多数のトラブル経験も、クラファン投資を継続ーー投資家・mai_tt氏インタビュー

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こんにちは。投資家・ブロガーの中田健介です。

クラウドファンディング投資家の方にお話を伺う当シリーズ、今回は、ソーシャルレンディング不動産クラウドファンディングをはじめとして、投資信託や株式、社債などに投資されているmai_tt氏にインタビューを実施。現在の資産状況や運用のポイントなどを詳しく伺いました。(インタビュー実施日:2024年5月24日)

mai_tt
IT技術者・投資家・ブロガー
個人事業主のIT技術者として勤めるかたわら、ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディングをはじめとして、投資信託、株式、社債などの投資を手掛ける。ブログ「40代個人事業主のソーシャルレンディングの投資実績」を運営中。

毎月40万円を積立投資へ

ーー年齢とご職業を教えてください。

年齢は40代で、個人事業主のIT技術者をしています。コロナ禍以降はほとんどリモートワークです。

ーー投資自体を始めたのはいつですか? 

2003年に社会人になり、会社の持ち株会を始めたのが最初です。あと、そのころ外貨預金も始めました。

ーー現在のポートフォリオについて教えてください。

ポートフォリオとしては、現金のほかは投資信託iDeCoNISA、個別株、ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディングなどに振り分けています。

ーーどのようにして資産を築いたのですか? 

あまりお金を使わず、そのぶん投資に回しています。現在は夫と2人暮らしですが、数年前に中古マンションを購入して、以降は住居費がかからなくなっています。現在、収入の半分以上を投資に回しており、毎月株式に40万円積立投資しています。基本的には順調に資産を増やしていますが、かつてはライブドアショックなどで損失を被ったこともあります。ちなみに資産の管理は夫婦別々で行っています。

ーー現在の月々のキャッシュフローとその内訳について教えてください。

株式の配当がありますが、それはすべて再投資に回しています。ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディングの収益は月3~5万円程度ですね。

ソーシャルレンディング草創期から投資を開始

ーーソーシャルレンディング投資を始めたのはいつですか?

2011年からです。最初は「maneo(マネオ)」で投資を始めました。当時金融系のシステムを担当しており、日経や東洋経済などの雑誌で情報収集している中でフィンテック関連の情報として見つけたのがきっかけだったと思います。初期のころは「P2P融資(P2Pレンディング)」と呼ばれていました。

ーー現在投資しているソーシャルレンディングサービスはどこですか? 

現在投資中なのは「Funds(ファンズ)」「Funvest(ファンベスト)」「bitREALTY(ビットリアルティ)」です。

以前は「maneo」「LCレンディング」「グリーンインフラレンディング」「キャッシュフローファイナンス」「クラウドリース」「スマートレンド」「アメリカンファンディング」「ガイアファンディング」「Crowd Bank(クラウドバンク)」「SBIソーシャルレンディング」「CROWD CREDIT(クラウドクレジット)」「Pocket Funding(ポケットファンディング)」「COMMOSUS(コモサス)」「ネクストシフトファンド」「SAMURAI FUND(現:オルタナバンク)」「クラウドリアルティ」「ラッキーバンク」「トラストレンディング」で投資をしていました。

ーーソーシャルレンディングで年間どのくらい利益を上げていますか? 

2023年は3万円程度でした。

ーーソーシャルレンディングサービスを選ぶ上でどんなところに気を付けていますか? 

過去はあまり気をつけておらず、利回りが高いところに投資していました。そのため多くの償還遅延やデフォルトが発生する結果となりました。最終的な借り手についての情報がわからないこともあるので、今はサービス事業者が信頼できるかどうかに気を付けています。その点、「Funds」については借り手が上場企業などで安心できます。まあそのぶん、利回りは低いのですが。

ーーソーシャルレンディングのファンドを選ぶ際はどんなところに気を付けていますか? 

あまり長期のファンドには投資しないようにしています。例えば運用期間3年といった案件だと、コロナ禍がそうだったように、途中で社会情勢が大きく変わる可能性があるので、期間としては1年以内のものを選択しています。また、借り手の情報がきちんと公開されているファンドを選んでいます。

ーーソーシャルレンディング投資の魅力はどんなところですか? 

値動きがなく、一度投資すれば放置しておけるのがメリットです。株式だと日々の値動きをチェックする必要がありますが、仕事が忙しいときなどはなかなかできません。

ーーソーシャルレンディング投資のデメリットや懸念点はどんなところですか?

公開されている借り手の情報が不明確・不十分な場合がある点です。Webサイトに書かれていることがすべてですが、それが信用できるかどうかが問題です。

また、償還遅延が発生した際、事業者側が何も対応してくれないと、いつまでも損失が確定せず、宙ぶらりんになってしまうことがあります。デフォルトするなり破産するなりしてくれれば損失が確定できるのですが、そうならないケースがあるのは困るポイントです。

不動産クラウドファンディング投資の魅力とは

ーー現在投資している不動産クラウドファンディングサービスはどこですか? 

COZUCHI(コヅチ)」「CREAL(クリアル)」「利回りくん」「KORYO Funding(こうりょうファンディング)」「えん funding」「ゴコウファンド」「投活」「TECROWD(テクラウド)」「わかちあいファンド」です。

ーー不動産クラウドファンディングを始めたのはいつですか? 

2019年に始めました。最初は「CREAL(クリアル)」から始めました。ソーシャルレンディングをもともとやっていて、似たような投資サービスだと感じたので、同じような感覚で始めました。

ーー不動産クラウドファンディングで年間どのくらい利益を上げていますか? 

2023年は20万円ほどでした。

ーー不動産クラウドファンディングサービスを選ぶ上でどんなところに気を付けていますか? 

不動産クラウドファンディングでは、物件の場所が明確になっているので、立地を重視していて、特に都内や自分の土地勘があるところに投資しています。ただ、あまり集中するのもよくないので、一部は九州や関西の物件にも分散させています。

ーー不動産クラウドファンディング投資の魅力はどんなところですか? 

ソーシャルレンディングと違って、投資対象が明確なところがいいですね。賃料や物件の売却益など、何から収益を得ているかわかりやすいのもいい点だと思います。逆に、(これはソーシャルレンディングでも同様ですが)多くの事業者で中途解約ができない点はデメリットだと感じます。

ーーこれから不動産クラウドファンディング投資を始める投資家におすすめのサービスはどこですか?

「COZUCHI」ですね。中途解約ができる点を評価しています。中途解約は、事業者にもある程度の体力がないと難しいのかもしれません。そういう仕組みを整えているのはありがたいと思います。

合計1,000万円以上の損失の可能性も?

ーー過去にソーシャルレンディングで償還遅延やデフォルトを経験したとおっしゃっていましたが、具体的にどれくらいの損失を被ったのでしょうか? 

償還遅延中のものと、損失が確定したものを合わせると、以下の通りです。

投資先 金額
トラストレンディング 445万円
ガイアファンディング 317万円
クラウドリース 350万円
グリーンインフラレンディング 96万円
キャッシュフローファイナンス 75万円
ラッキーバンク 67万円
クラウドクレジット 10万円
クラウドリアルティ 4万円

全部合わせると1,360万円ほどになりますが、このうち償還遅延中のものが800万円ほどです。もしこれらの遅延分がすべて返ってこなかった場合、これまでソーシャルレンディングで得た利益と相殺しても、トータルではマイナスになります。ちなみに不動産クラウドファンディングでは損失を被ったことはありません。

ーーそれを踏まえて、それ以降もソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディング投資を続けているのはなぜですか? 

悪意のある事業者は一掃されたので、今残っている事業者は真面目にやっているところだと思います。特に投資先が明確な「Funds」などは安心できますし今でも投資しています。

その他興味を持っている投資について

ーー株式型クラウドファンディングには投資されていますか? 

はい。「FUNDINNO(ファンディーノ)」「イークラウド」「エメラダ」でそれぞれ少額投資しています。エンジェル税制を使いたかったというのもあります。

ーー他にはどんな投資を手掛けていますか?

「Siiibo(シーボ)」というベンチャー企業の私募社債に投資できるサービスに投資しています。1口50万円程度から投資でき、投資期間は2~3年程度です。利回りもそこそこ高く、中途解約可能です。あとは、投資信託、個別株式、NISA、iDeCoで投資をしています。また、ブランドバッグのシェアリングサービスでバッグを貸し出して毎月5万円程度の収益を得ています。

ーーその他、興味を持っている投資はありますか? 

仮想通貨は一時期やっており、今でもまたやってみたい気持ちはありますが、確定申告がめんどうなのでできていません。

ーー早期リタイアをされる予定はありますか? 

個人事業主なので、年をとっても続けられるか不安はありますが、とりあえず50歳くらいまでは仕事を続けようと思っています。それ以降は、仕事の量を減らすか、完全にリタイアするかはしたいと考えています。

ただ、以前親をグループホームに入居させたのですが、その際は月20万円以上かかりました。もし自分が将来そういったところに長期間入るとなると、資産がいくらあってもすぐになくなってしまうでしょう。自分自身も何歳まで生きるかはわからないので、資産がいくらあっても安心はできないですね。

ーーソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディング投資を始める投資家に何かアドバイスはありますか? 

キャンペーンでAmazonギフトカードなどを配布している事業者もありますが、そういうものに過度に目をくらまされることなく、しっかりした事業者か見極めたうえで投資を始めたほうがよいでしょう。投資では何かあっても他人のせいにはできません。自分が最終的に責任を負うしかないので、納得できるまで調べることが重要です。

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  • 記事を書いた人 中田健介

    IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。

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