トラックファンドは節税効果が狙える投資商品。仕組みや利回りを解説

share:

#税金・節税 #用語解説 #投資の仕組み・スキーム

現在、新たな投資手法として運送会社にリースをする大型のトレーラーやトラックに投資する トラックファンド(モビリティファンド) に注目が集まっています。この記事では、トラックファンドの特徴や注目される理由について詳しく解説していきます。

トラックファンド(モビリティファンド)とは?

トラックファンドは事業型ファンド の1つで、投資家から集めた資金をもとに購入したトラックやトレーラーを運送会社にリースし、そのリース料を配当とする金融商品です。「トラックファンド」という言葉は株式会社リアライズコーポレーションの商標で、同様の金融商品にモビリティファンドがあります。「モビリティファンド」は、株式会社クラウドファンディングの商標です。

トラックファンド(モビリティファンド)が注目される背景

トラックファンドは節税に効果的な投資商品トラックやトレーラーを投資対象とするトラックファンドは、近年のEC市場の拡大を理由に注目が集まっています。経済産業省が行った「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、令和3年のEC市場規模はBtoC(消費者向け電子商取引)で20.7兆円、BtoB(企業間電子商取引)で372.7兆円となっています。 

これは新型コロナウイルスの感染拡大の影響が強まる令和元年における市場規模を超えており、EC市場の成長と拡大を示すものです。こうしたEC市場の発展に伴い物流の需要が急激に高まっており、“足”となるトラックにも注目が集まっています。

参考:令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

トラックファンド(モビリティファンド)の仕組み

トラックファンドは、投資家から集めた資金をもとに購入したトラックやトレーラーを運送会社にリースし、そのリース料を配当とする金融商品 です。リースの形式は日本の運送会社で主流の「ファイナンスリース」とは異なり、借り手が設備を保有しない「オペレーティングリース」と呼ばれるものです。

ファイナンスリースとは

借り手が必要とする物件(トラック)をリース会社が購入し、それを貸し出す賃貸借契約です。基本的にはノンキャンセラブル(中途解約不可)で、リース期間中に物件価額、金利・諸税・保険料等を含めたすべての費用を定額月払いで支払う(フルペイアウト)契約です。

オペレーティングリースとは

オペレーティングリースは、ファイナンスリース以外のリース取引のことを指します。リース期間満了時の物件価値(残存価額)をあらかじめリース会社が見積もることでリース料の軽減が図れる ほか、一定の条件のもと借り手の希望に応じたリース期間設定が可能です。

また、車両が借り手所有ではないため諸費用が抑えられるのも特徴で、リース期間終了後に残る車両の価値を見込んでリース料を設定し、減価償却を行う期間(耐用年数)が経過した後に残る価値が車両価格から差し引かれるため、支払うリース料の総額は車両価格より低くなる点もメリットと言えます。 

 トラックやトレーラーのリース料を投資家に分配するには、車両をリースする運送会社が必要になります。オペレーティングリースという運送会社にメリットの大きい方式を選択することで「出資金で車両を購入したものの、リース先がない」というリスクも抑えられます。

トラックファンド(モビリティファンド)に投資する4つのメリット

トラックファンド(モビリティファンド)に投資する4つのメリットトラックファンド(モビリティファンド)に投資する4つのメリットトラックやトレーラーを借りる運送会社側にメリットの大きいトラックファンドですが、投資家側にはどのようなメリットがあるのか解説します。

メリット1.投資期間が短い

トラックファンドの運用期間は、減価償却が必要となる耐用年数に合わせてあるのが一般的です。トラックの法定耐用年数は新車で3~5年となっており、不動産や航空機、船舶などと比べると投資期間が短いというメリットがあります。

メリット2.節税効果がある

トラックファンドのオペレーティングリースでは、リース会社による匿名組合契約が利用されます。匿名組合とは、投資家から募った出資金をもとに事業を行い、そこで生じた利益を投資家に分配することを目的とした契約(ファンド)のことを指します。

 このときトラックファンドでは、リース期間の前半に匿名組合の費用となるトラックの減価償却費の大部分が計上されることにより損失が発生する仕組みになっています。ここで発生した損失は各出資者に分配され、出資者が法人の場合には、その法人の利益と相殺できることから節税効果が得られます。

中古トラックならさらに高い節税効果も

新車トラックの耐用年数は3~5年と定められていますが、中古トラックの耐用年数を計算する場合は簡便法が用いられます。耐用年数が経過している中古トラックであれば、その耐用年数は一律2年となります。耐用年数が短いほど減価償却費が大きくなり、節税効果も高まります。中古トラックならより短期間で減価償却できるため、そのぶん大きな節税効果を得られます

メリット3.国内運用のため為替リスクが低い

航空機や船舶が海外で運用されることが多いのと比較すると、トラックは道路での物流を支えるため国内での運用がベースになるのが大きく異なる点です。つまりトラックファンドは国内で運用されるため為替リスクは低くなります。

メリット4.安定した利回りが期待できる

現在情報が公開されている株式会社クラウドファンディングのモビリティファンドでは、想定利回りを1~4%としています。非常に需要の高い分野で、安定的な利回りを得られる投資商品となっています。

トラックファンド(モビリティファンド)に投資するデメリット

トラックファンドに投資するにあたって、デメリットも把握しておくことが重要です。

デメリット1.扱っている事業者が少ない

トラックやトレーラーを運送会社側にメリットの大きいオペレーティングリースによるリース事業を行っている企業が少ないため、金融商品として扱う事業者も少ないのが現状です。

デメリット2.元本割れすることもある

トラックやトレーラーのリース料金を投資家に分配するシステムであるため、安定性は高いものの、リース先が倒産してしまう、なんらかの理由でリース料の支払いが不可能になってしまう場合には、元本割れリスクがあります。また、リース後の車両売却によって得られる収益が、中古車の相場の変動によって見込みよりも下回ってしまった場合にも、元本割れとなる可能性があります。

デメリット3.交通事故・盗難・車両故障などのリスクがある

盗難や交通事故による車両の破損に対して、責任を負うのはリース先です。車両保険に加入していても支払いに時間がかかる場合や、最終的な車両価値が損なわれてしまうことがあります。そのような場合も元本割れにつながります。予期できない突発的なリスクがあることは、あらかじめ考慮した上での投資が求められます。

トラックファンドを知って投資の選択肢に

トラックファンド は金融商品としては新しいものです。しかし、EC市場の活性化から分かるように、今後は需要を伸ばす分野でもあります。

情報として知っておくことは投資計画を立てる上での大きな武器になります。投資の選択肢の候補として一度検討してみることも重要です。今回の記事を参考に、ぜひ、無理のない範囲での投資対象として、検討してみてください。

share:

  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    『ゴクラクJOURNAL』は、不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング、事業型ファンドといった少額投資ファンドに関する情報や、投資・お金、その他ファイナンシャルテクノロジーに関する情報を提供しています。編集部では、投資初心者の目線に立ったユーザーファーストのメディア運営を目指しています。

    この執筆者の記事を見る
こちらの記事もおすすめ
不動産投資
不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?併用・代用はできる?
NEW

#用語解説

不動産クラファンの基本
法人として不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行うメリット
NEW

#税金・節税

不動産クラファンの基本
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディング、おすすめはどっち?

#投資の仕組み・スキーム

お金の雑学
団体信用生命保険(団信)とは?加入条件・何歳まで入れるかを解説

#用語解説

その他投資
債券とは?仕組みや特徴、種類をわかりやすく解説

#投資の仕組み・スキーム

#用語解説

お金の雑学
保険で資産運用ができる?投資との違い&メリット・デメリット

#投資の仕組み・スキーム