法人として不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行うメリット

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#税金・節税 #投資初心者
こんにちは。投資家・ブロガーの中田健介です。

不動産クラウドファンディングソーシャルレンディング投資を行う際、個人名義で実施する人が多いと思います。しかし、いくつかの不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングにおいては、法人名義で投資することもできます。

法人名義で投資した場合、個人名義で投資した場合と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。今回は、この点について解説します。

不動産クラファン・ソシャレンに向いている法人形態は?

法人の形態には「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4つがありますが、個人(1名)で会社を設立する場合(マイクロ法人)、この内の「株式会社」「合同会社」の2つの形態から選ぶことができます

合同会社は2006年から設立が可能になった比較的新しい会社の形態です。合同会社に向いているビジネスは、大きな資本を必要としない事業です。例えば、ソフトウェア開発・デザイン・経営コンサルティングなどです。不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行う目的としても適しています。

外部から出資を募ったり上場を目指したりしないのであれば株式会社にする必要はありません。また、合同会社は株式会社と違い、出資の金額に関わらず平等な発言権があるため、少額出資者の意見を尊重する場合に向いています。

設立にかかる費用と期間

合同会社の設立にかかる費用は、株式会社と比べて半分ほどで済みます。株式会社は25万円ほどかかりますが、合同会社であれば11万円ほどです。

設立に必要な期間も、合同会社の方が株式会社よりも比較的短期間で済みます。株式会社設立には10日間ほど必要となりますが、合同会社は4~5日間程度で設立登記が可能です。不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行うという目的であれば、安価かつ短期で設立できる合同会社で十分だといえます。

法人名義で不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングに投資した場合のメリット

法人名義で不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングに投資した場合のメリットとしては以下が挙げられます。

1.税率が低くなる可能性がある

不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資の収益は、個人名義の場合と法人名義の場合とで課税方法が変わります。

個人名義の場合

個人名義の場合、クラウドファンディング投資の収益は「雑所得」となります。給与所得と雑所得は合算され、その金額に対して所得税がかかります。所得税は累進課税で税率が決まるため、投資収益が少なくても本業の給与が多いと、投資収益に対する税率も高くなってしまいます。所得税の所得金額ごとの税率は以下の表のとおりです。

所得税の税率参照:確定申告書等作成コーナー|国税庁

また、所得税とは別に住民税10%がかかります。したがって、例えば年間の給与所得が4,000万円以上ある人が不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行った場合、その収益に対して所得税45%+住民税10%、計55%の税金がかかるということになります。

法人名義の場合

一方、法人名義の場合、不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資の収益は法人の他の所得と合わせて法人税の対象となります。法人税の税率は、以下のとおりです(資本金1億円以下の普通法人で、適用除外事業者以外の場合)。

法人税率参照:No.5759 法人税の税率|国税庁

例えば、年間の所得が800万円以上ある法人で不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行った場合、その収益に対して法人税23.2%がかかるということになります。このように、諸々の条件によるものの、法人のほうが税率が低くなる可能性があります。

2.経費計上の幅が広がる

個人名義で投資する場合と法人で投資する場合とでは経費計上においても大きな違いがあります。

個人名義の場合

個人名義で不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行った場合でも、節税のために経費を計上することはできます。

ただし、経費として計上できるのは、「不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングで利益を得るために直接要したもの」に限られます。例えば、不動産クラウドファンディングに関する書籍費用やセミナー参加費、インターネット通信料などを経費として計上できる可能性があります。

法人名義の場合

法人名義で不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を行った場合、会社の経費として認められる範囲は大幅に広がります。

会計規則や法人税法では、会社の業務に関するものはすべて会社の経費で落とすことができるようになっています。例えば、テレビやパソコンなどの購入費も、情報収集など会社の業務で使用しているのであれば、経費とすることができます。

また外食費や旅行の費用なども、業務に関連付けられれば、会社の経費で落とすことができます。さらに会社には福利厚生費という支出が認められています。社長1人しかいない会社であっても、福利厚生費を出すことができます。このように、さまざまな費用を経費として計上すれば、支払う税金の額を減らすことができます。

法人名義でソーシャルレンディングに投資した場合のデメリット

法人名義で不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングに投資する場合には、以下のようなデメリットもあります。

1.初期費用・固定費がかかる

先にも述べた通り、法人を設立するには、最低でも費用が約11万円かかります。また、法人住民税(均等割)が年間7万円、それに加えて税理士費用が年間30~40万円かかります。ある程度の収入が見込めなければ、”固定費負け”してしまう可能性もあります。

ただ、もともと何らかのビジネスを手掛けていて、法人を所有しているのであれば、これらの費用はいずれにしてもかかりますので、特にデメリットとはならないでしょう。

2.法人名義では口座開設できないサービスもある

すべての不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングサービスが法人名義で口座開設ができるわけではありませんので、事前に確認しておく必要があるでしょう。

法人名義で投資できる不動産クラファン&ソシャレンサービスは?

法人名義で口座開設が可能なサービスの例は以下のとおりです。

種別 サービス事業者名
不動産クラファン COZUCHI(コヅチ)
TECROWD(テクラウド)
ヤマワケエステート
利回り不動産
TSON FUNDING(ティーソンファンディング)
TOMOTAQU(トモタク)
利回りくん
ソシャレン Bankers(バンカーズ)
Crowd Bank(クラウドバンク)
Alterna Bank(オルタナバンク)
COMMOSUS(コモサス)
COOL(クール)
J.Lending(ジェイレンディング)
マリタイムバンク

法人名義でのクラウドファンディング投資も検討してみよう

法人化でクラファン投資今回は、法人で不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング投資を行う場合のメリット・デメリットについて解説しました。

給与所得が多かったり、投資収益が多かったりして多額の税金がかかっている場合は、個人でマイクロ法人を設立し、法人名義での投資をするという選択をすることで大きな節税になる可能性もあります。これらに該当する場合は十分検討してみる価値があるでしょう。

税金に関する詳細については、個人の所得等の状況によって変わるため、税務署か税理士に確認することをおすすめします。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    『ゴクラクJOURNAL』は、不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング、事業型ファンドといった少額投資ファンドに関する情報や、投資・お金、その他ファイナンシャルテクノロジーに関する情報を提供しています。編集部では、投資初心者の目線に立ったユーザーファーストのメディア運営を目指しています。

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