福岡での約40年の経験を活かして投資家と利益を分かち合い、ファンドのファンを作りたい。九州・アジア・ファンディングインタビュー
公開日 2025/07/01
最終更新日 2025/07/01

サービスに参入する事業者も年々増えており、さらなる市場拡大も期待されています。
当インタビューシリーズでは、そんな不動産クラウドファンディングのサービス事業者に焦点を当て、“中の人”にサービス運営の裏側を伺っていきます。
今回は福岡を拠点に不動産事業を展開し、『九州・アジア・ファンディング』の名称で不動産クラウドファンディング事業を手掛ける、九州・アジア・パートナーズ株式会社の代表取締役・小城雅弘(こじょう・まさひろ)氏にお話を伺いました。
(取材日2025年6月24日)
九州・アジア・ファンディングとは
2024年12月に1号ファンドの設立が行われた、新興の不動産クラウドファンディングサービスとなります。
九州・アジア・ファンディングを展開、九州・アジア・パートナーズ株式会社について
---最初にサービスの提供会社である九州・アジア・パートナーズ株式会社について教えてください。
九州・アジア・パートナーズ株式会社は福岡市に本社を置く不動産会社です。
リーマンショックのあった2008年に設立されました。
九州で複数のビルやマンションを束ねる、不動産ファンド事業を手掛けようとして立ち上げました。
しかし、リーマンショックの影響で不動産ファンド事業の立ち上げは中断されて、不動産の販売や、不動産の管理などに方向転換して現在に至ります。
売上構成は、不動産販売4割、不動産仲介3割、不動産管理3割です。
これまでは売上10億円前後でしたが、今期は15~20億円を目指しています。
---本社のある福岡を中心に事業を展開しているのでしょうか?
そうですね。当社が扱う物件は、福岡の物件と九州の県庁所在地のある都市の物件です。
私は銀行の不動産部門から始まり、約40年不動産に携わり、その間のほとんどを福岡の中心地である天神で過ごしてきました。
福岡の不動産については、過去の取引や歴史そして人脈などを熟知しており、様々な情報も入ってきます。
私の長年の福岡での不動産業界での知識や経験が、当社の強みの源泉となっています。
活況を呈する福岡経済と堅調な福岡の不動産市場
---福岡の経済が堅調という話を耳にする機会が多いのですが、福岡経済が堅調な要因はどこにあるとお考えでしょうか?
福岡経済は堅調に推移しており、その理由は3つあると考えられます。
1つ目は、旺盛なインバウンド需要です。
福岡は日本におけるアジアの玄関口として、アジア圏からの観光客が非常に増えています。
2つ目は、九州各地からの人の流入による人口増加です。
福岡は人口の増加が今も続いています。
また、人だけでなく産業についても、サービス業中心に九州以外からの流入が続いています。
3つ目は、若者比率の高さです。
福岡には大学や専門学校が多くあるため、若者が福岡に集まってきます。
これらの3つの強みは今後も続くと予想されており、福岡経済の活況も当面続くと考えています。
---福岡の不動産市場の状況はいかがでしょうか?
福岡の不動産市場も堅調です。
足元の30年間、福岡の地価は上昇が続いています。
特に近年は都市部を中心に地価が上昇しており、以前に比べると割高感のある物件が増えました。
---長年福岡の不動産に携わっておられますが、福岡の街の風景は変わりましたか?
大きく変わりました。行政の努力も大きいのではないでしょうか。
地下鉄ができる、放置自転車がなくなる、公園でホームレスの方の姿を見なくなるなど、福岡の街自体、随分キレイになったと感じています。
2024年12月に1号ファンドを立ち上げ、九州・アジア・ファンディングについて
---九州・アジア・パートナーズ株式会社で、不動産クラウドファンディング事業の九州・アジア・ファンディングを始めた経緯を教えてください。
当社は不動産ファンド事業を行うべく設立されたのですが、リーマンショックで中断せざるを得ませんでした。
今でもJ-REITの組成などを手掛けたいとの思いはありますが、当社の規模では難しい状態です。
その中で、当社で取引できる物件の幅を広げたい、との思いから不動産クラウドファンディング事業を立ち上げました。
私は福岡の不動産を熟知しています。
私の目で見て、この物件を買いたい!、と思える物件を買って投資家と共有して利益を分かち合う、というイメージでいます。
基本的には福岡の物件が中心となりますが、九州の他県でもよい物件があれば取り組むスタンスです。
---1号ファンド「KAF1号」について教えてください。
1号ファンドは2024年12月に設立し、2025年2月より運用を行っております。
当社としてファンド設立は初の取り組みであり、小型ファンドでスタートしています。
想定利回り6.25%、運用期間6年で物件は福岡の区分マンションです。
---サイトを拝見すると、1号ファンドは2,100万円の募集に対し、2,270万円の応募となっています。
---1号ファンドの募集は順調だったのでしょうか?
1号ファンドは、当社として初のファンドであり手探り状態でした。このため、1号ファンドは私の知人などを中心に資金を集めており、苦労したと言えます。
どのような媒体で投資家を集めるか分からず、チラシなども作りましたが、ほとんど反応はありませんでした。
まだ九州で、当社及び九州・アジア・ファンディングの認知が進んでいないと実感しています。
ファンド規模3.8億円・利回り10%の2号ファンドの立ち上げを計画中
---苦労されながらも1号ファンドは2024年12月に設立された訳ですが、2号ファンドのご予定はいかがでしょうか?
---既に予定があるようなら、ファンドの詳細を教えてください。
まさに現在、2号ファンドの設立に向けて準備を進めており、7月1日から募集を開始します。
2号ファンドは3.8億円の規模を予定しており、博多駅近くのファミリータイプのホテルを組み入れます。
取得後にバリューアップして、売却により利益を得る予定です。
長くても2年で売却します。
想定利回りは10%です。
利回りは高めの設定ですが、この利回りを出す自信はあります。
福岡ではマンションやビルの価格は相当上昇が進みましたが、ホテルならまだ値頃感のある物件があります。
---1号ファンドは2,100万円でしたが、2号ファンドは3.8億円となり一気にサイズが大きくなりますね。
そうですね、1号ファンドは実験的な意味もあったので、2号ファンドが当社としては実質的には初のファンドです。
将来的にはもっと大きなファンドを設立したいと考えており、1号ファンドはホップで、2号ファンドはステップのイメージでいます。
なお、2号ファンドの募集期間は7月1日から9月11日までとしており、比較的長めの募集期間です。
---2号ファンドについて、既にテストマーケティングなどをしているかと思いますが、感触はいかがでしょうか?
非常によい感触を得ています。
今回は募集に向けて、広告代理店の出身者に依頼してSNSでの情報発信も行っています。
本日のインタビューも、2号ファンド募集の足がかりになればと思っています。
---2号ファンドは御社にとって初の大型ファンドであり、今後の試金石となるファンドです。
---メディアやSNS以外の集客施策は何かお考えでしょうか?
出版社から提案があり、書籍を発行予定です。
書籍は当社ファンドのPRが7割、私の自伝的内容が3割の予定です。
来年2月か3月の出版予定のため2号ファンドには間に合いませんが、当社や当社ファンドの知名度向上に繋がるのではないでしょうか。
20億円のファンド設立を目指したい、今後の事業展開について
---まずは2号ファンドの設立に注力されるかと思いますが、今後の九州・アジア・ファンディングとしての事業展開について教えてください。
3ヵ月に1本のファンドを立ち上げられる体制を、早期に構築したいと考えています。
また投資家の会員についても、まず1,000名を集めて、その後は早期に1万人規模としたいです。
そして、20億円規模のファンド設立を目指します。
ただし一気に20億円のファンド設立に進むのは難しいため、3億円→5億円→10億円→20億円などの設立イメージでいます。
その意味で3.8億円の2号ファンドは、今後の本格ファンド立ち上げに向けたファーストステップです。
既に3号以降のファンドに組み入れる物件についても、2~3件数億円と10億円規模で候補があります。
実際に取り組むかどうかは、2号ファンドの状態とタイミング次第ですが。
---物件や規模以外にファンド事業で何か特色を出そうとする試みなどはありますか?
当社のファンドは、投資家も含めて我々と一緒に資産を増やそうという、ファンクラブ的な要素を取り入れたいと考えています。
投資家の方には我々に質問や要望を寄せていただきたいですね。
LINEでの質問受け付けの準備も進めていますし、既にSNSの運用も行っています。
---九州・アジア・パートナーズ株式会社としての事業展開はいかがでしょうか?
売上100億円を目指したいと考えています。
大和ハウスや積水ハウスで活躍した社員が入社するようになり、優秀な人材も揃ってきました。
同業の平均給与で九州No.1を目指しています。
ただし私のモットーである、朝会社のドアを開けたくなる会社、という、仕事が楽しくて出社したくなるような会社、という部分は守っていきたいですね。
経済発展が続く福岡、熟知する街に投資して投資家にリターンをお返ししたい
---最後となりますが、読者に一言お願いします。
衣食住の“住”に当たる不動産は、人間生活になくてはならないものです。
そして不動産は、土地やマンションなど2つと同じ物がない個性ある存在です。
ただし不動産には表の顔と裏の顔があり、裏の顔は地元の人間でないと分からないことがたくさんあります。
この部分が、不動産投資で成功するための隠し味の部分です。
私は不動産が好きで、約40年に渡り福岡で不動産を見てきました。
当社のファンドは不動産投資の隠し味も踏まえて投資を行い、投資家にリターンをお返ししたいと考えています。
行政のデータでも、福岡は今後も人口増加など発展が見込まれる地域であり、不動産価格も堅調な推移が予想されます。
福岡の不動産市場を熟知する、当社の運営ファンドに期待していただきたいですね。