サイドFIREを達成し、投資&バイトで悠々自適生活。投資家K氏インタビュー

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#投資家インタビュー
こんにちは。投資家・ブロガーの中田健介です。

今回は、不動産クラウドファンディングソーシャルレンディングの投資家に投資手法や資産状況を赤裸々に語っていただく当シリーズ、今回はクラウドファンディング投資を活用して2年前にサイドFIREを達成した投資家K氏にお話を伺いました。(インタビュー実施日:2024年7月20日)

投資家K
投資家
サラリーマンとして働くかたわら、2000年頃から投資をスタート。以後、株式・外債のほか不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングなどの投資を手掛ける。2022年にサイドFIREを達成。

コロナ禍がきっかけで価値観に変化

ーー年齢とご職業を教えてください。

50歳男性です。2年前までサラリーマンとして会社に勤務していましたが、現在は退職して好きなことをしながら過ごしています。いわゆるサイドFIREの状態です。

ーー退職したきっかけは何だったのですか?

ある程度投資で資金ができて生活できる見通しがついたということと、新型コロナウイルスの流行で価値観が変わり、人生を楽しもうと考えるようになったことがあります。退職してしばらくはまったく働いていませんでしたが、暇すぎたため、社会とかかわりたいと思い、1年ほど前からアルバイトを始めました。現在は気楽に働き、気楽に過ごしています。

ーー投資自体を始めたのはいつですか?

2000年ごろからです。当時はネット証券もなく、対面の証券会社しかありませんでした。会社帰りに証券会社に寄り、利回り5%の外債や日経平均連動型のETFなどを300万円ほど買ったのが始まりでした。最初から手堅い投資に興味がありました。

当時は社会人になって3年目くらいでしたが、働いていた会社がいわゆるブラック企業でした。一生働き続けることはできないと考え、当時から投資で生計を立てることを計画していました。

ーー現在の総資産額・負債額とポートフォリオについて教えてください。

自分の資産額は6,000万円ほどです。妻もずっと働いており、妻の資産も6,000万円ほどあります。ローンは特にありません。ポートフォリオとしては、不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングが1,500万円ほど、株式が1,500万円ほど、外債が500万円ほど、あとは予備資金です。

妻のリスク資産は株や外債が2,000万円ほどです。妻の資産は妻が管理していますが、自分が投資のアドバイスをしています。妻には損をさせたくないので、銀行株のような、手堅く、絶対つぶれないような銘柄をすすめています。

ーーどのようにしてそれだけの資産を築いたのですか?

ダブルインカムで普通に年間400万円ほどは貯金できていました。それを25年ほど続けていたら、自然と1億円ほど貯まりました。途中で怪我や病気などをしなければ、誰でもできることだと思います。

住居については、妻の両親が保有する不動産に家賃を払って住んでいます。家賃は若干割安にしてもらっています。おかげで住宅ローンを組まなくてよかったので、それも資産を作るのに役立ちました。

特に現在は都心でマンションを買おうとすると1億以上してしまいます。マンションを買うくらいなら賃貸にし、そのぶんを不動産クラウドファンディングで運用するといいかなと思っています。

ーー現在の月々のキャッシュフローとその内訳について教えてください。

あまり意識していませんが、不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングで4%ほどの利回りを得ているので、月5万円ほどだと思います。あと、株の配当が2%ほどで、月2万円ほど。後は外債の金利が1万円ほどで、合計月8万円ほどです。

不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングの魅力

ーーソーシャルレンディング投資を始めたのはいつですか?

2012年頃です。最初は「maneo(マネオ)」「SBIソーシャルレンディング」「AQUSH(アクシュ)」の3社で投資していました。それ以降新たなサービスがたくさんでてきて、2016年には10社ほどで投資していました。各サービスで投資資金の重みづけはしていました。

ーーソーシャルレンディング投資を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

もともと安定的に収益が得られる債券などの商品に興味がありました。株はよいときはよいのですが、マイナスになったときにインカムゲインで補えるようにしようと思ったのがソーシャルレンディングに着目したきっかけです。

ーー現在投資しているソーシャルレンディングサービスはどこですか?

OwnersBook(オーナーズブック)」「Bankers(バンカーズ)」「CROWD CREDIT(クラウドクレジット)」「Crowd Bank(クラウドバンク)」「Funds(ファンズ)」「AGクラウドファンディング」です。

ーーソーシャルレンディングサービスを選ぶ上でどんなところに気を付けていますか?

運営会社の信頼度に気を付けています。借り手の匿名化の義務が解除され、案件の透明性・安全性は高まっていると思いますが、依然として運営会社や借り手の信頼度は重要です。運営会社については上場しているかどうか、借り手については、会社四季報を見て、ちゃんと利益が出ているか、自己資本比率が低すぎないかなどをチェックし、数年以内にはつぶれないと確信できれば投資します。

ーーソーシャルレンディング投資の魅力はどんなところですか?

しっかり選べば安定的に収益が得られる点です。また、小口で分散投資可能なので、時期をずらして投資すれば、一発退場になりにくい点も魅力です。

ーーソーシャルレンディング投資のデメリットや懸念点はどんなところですか?

貸し倒れリスクが読めない点です。突然発生することがあり、そこで大きな失敗をしてしまうと取り返すのが非常に難しいといえます。損失を回収するには何十年もかかってしまいます。そのため、いかに大きく負けないかがカギだと思います。

ーーこれからソーシャルレンディング投資を始める投資家におすすめのサービスはどこですか?

私の基準で行くと、運営会社が上場企業のグループ会社である「OwnersBook」や「AGクラウドファンディング」などがおすすめです。「Funds」も利回りは低いですが、基本的に上場企業に貸し付けているので、手堅い印象です。ただ、「OwnersBook」はクリック合戦になりやすいので少し大変です。私は抽選式の案件や、大規模な案件を狙うようにしています。

ーー現在投資している不動産クラウドファンディングサービスはどこですか?

不動産クラウドファンディングでは「CREAL(クリアル)」「利回りくん」など運営会社が信頼できそうなサービスに投資しています。利回りでいうと3~4%程度ですが、その程度が妥当なのかなと思います。REITの利回りもその程度ですし。

ーー不動産クラウドファンディングのファンドを選ぶ際はどんなところに気を付けていますか?

バランスを考えています。エリアとしては都心5区を中心に投資しています。基本的には都心のマンションなどは鉄板で、価値が下がる要素は少ないと考えています。世界のマーケットからお金が入ってくるのは都心なので、仮に価値が下がったとしても誰かが買ってくれると思います。私はさらにそれらに分散して投資しています。

ーー不動産クラウドファンディング投資の魅力はどんなところですか?

不動産投資に興味があるけれども現物投資をするのはちょっと怖い、という人でも、不動産に少額から気軽に投資できるのが魅力だと思います。また、都心に行ったときに、実際に物件を見に行くこともあります。実際に物件が見られるのも不動産クラウドファンディングの魅力です。

あとは、事業者がしっかりしており、投資先の物件がちゃんと存在することが確認できれば、リスクはかなり回避できると思います。

ーー不動産クラウドファンディング投資のデメリットや懸念点はどんなところですか?

ほとんどのサービスで売りたいときに売れないというのが懸念点です。運用期間が決まっているので、自分の都合では売れないのはデメリットですね。そこはいつでも売れるREITとの使い分けが必要だと考えています。

過去には失敗も経験。リスク対策の重要性を実感

ーー過去に不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング投資で損失を被ったことはありますか?

ソーシャルレンディングの「ラッキーバンク」で10万円ほど、「グリーンインフラレンディング」で10万円ほどの損失を被りました。この辺りはもともと危ない予感はしていたので、あまり多額は投資していませんでした。

「maneo」ではいくつかの案件で合計100万円ほど返済遅延が発生しましたが、ほかの案件の利益と相殺されてほぼトントンとなりました。損はしていませんが、そのぶんREITなどで投資していればよかったと思いました。

「Crowd Realty(クラウドリアルティ)」では、京都案件で損失を被りましたが、保育園など他の案件で利益が出ていたので、トータルではプラスで終えることができました。1つのサービスの中でも案件を分けて投資するのは重要だと思います。

トラストレンディング」でも10万円投資していましたが、それは回収できました。誕生日にプリペイドカードを送ってきたのが逆に怪しいと感じ、それ以上は投資しませんでした。

ーーこうした失敗を踏まえてなお、それ以降も不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を続けているのはなぜですか?

トータルではプラスで逃げられたのがよかったと思います。もし当時大きな損失を出していたら、今はソーシャルレンディングでは投資していないでしょう。

ただ、2019年当時は3,000万円ほどソーシャルレンディングに投資していましたが、一連の問題を受けて、投資金額を1/2~1/3くらいに減らし、そのぶんNISA口座の株などに振り分けました。現在の不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングへの投資金額は1,500万円ほどで、これ以上増やす予定はありません。

ーー不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を始める投資家に何かアドバイスはありますか?

やはり分散投資が重要です。また、ババを引かないことも重要です。少しでも不安だと感じたら投資金額を抑えたほうがよいでしょう。いくらでも案件はあります。利回りが高い案件にはそれなりの理由があります。

長い目で見れば、多少貸し倒れがあったとしても、20年くらい運用すれば投資資金は2倍くらいにできるので、そこからは増えたぶんの金額はなくなってもよいお金となります。また、今は不動産市況がよいですが、それがいつまで続くかという懸念はあります。

ストレスなく、ゆるく働く毎日

ーー早期リタイア後の生活はどのようなものですか?

毎日楽しいです。サラリーマン時代は理不尽なことが多く、嫌なことも嫌だといえなくてストレスがたまりましたが、現在は嫌なことはやらなくて済みます。50代の元気なうちに人生を謳歌したいと考えています。

「死ぬまでにお金を使い切る」というテーマの『DIE WITH ZERO』という本がありましたが、徐々に資産を減らしていき、死ぬ瞬間に資産が500万程度残っていれば十分だと考えています。資金が2,000万程度に減ったとしても、60代ならアルバイトすればよい、と気楽に考えています。

現在はアルバイトとして短期でイベントスタッフなどを時折やっています。若い子に交じってアルバイトするのは刺激になります。毎週決まった日数働く、という働き方はもうしたくないですね。自分自身で面白いなと思う仕事だけできれば十分です。

ほかの日は日帰り旅行に行くなどして遊んでいます。平日はどこも空いているのでいいですね。また、PCを持って行ってカフェでドラマや映画を見るのも趣味です。サイドFIREはお金のかからない趣味を楽しむのがコツです。50代はまだ元気が残っているので、遊ぶことができます。また、節約と運動を兼ねて、なるべく電車を使わずに歩くようにしています。気候のよい時期は、3〜4km程度なら普通に歩きます。途中で都心の複合商業施設などで休憩しながら歩いています。

若い人には、早めに投資を始め、早めに資産を築いて、どうにでもなる人生を歩んでほしいと思います。今は女性の働く割合も高くなっており、共働きで経済的な自由を得るのは比較的簡単なのではないでしょうか。私の若い頃は共働きで子育てをするのは大変でした。

ーー将来に心配事などはありませんか?

気になるのは、物価上昇のリスクです。インフレが続くと投資の利回りが物価上昇に追い付かない可能性があります。それもあって、ソーシャルレンディングだけでなく、株式や不動産にも投資しています。現金はあまり持たないほうがよいかもしれません。

年金もどうなるかわかりません。私は、年金を60歳から繰り上げ受給しようと考えています。そうするともらえる額は25%ほど減りますが、早く貰ってお金は元気なうちに使いたいと思っています。

私には娘がいますが、現在20歳になったので、まもなく就職して独立するでしょう。ローンもありませんし、人生で大きな出費はもうないと思えば気楽ですね。

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  • 記事を書いた人 中田健介

    IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。

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