株の配当金の仕組みとは?もらえるタイミングや注意点も徹底解説
公開日 2023/11/21
最終更新日 2023/12/21
株式を保有さえしていれば配当金を受け取れるので、働かずに配当収入だけで生活していくことを夢みる方も少なくありません。
今回は、そんな夢のある株の配当金の仕組みやもらえるタイミング、計算方法についてまとめていきます。あわせて理解しておきたい税金や配当金に関する注意点についても解説していきますので、配当金生活への一歩を踏み出したい方は必見です。
株の配当金とは
株の配当金とは、企業が株主に利益の一部を分配するお金のことを指します。配当金の額は企業ごとに異なり、さらに株主が保有する株数(持ち株数)に応じて決まります。ただし、企業の利益の状況によって分配されるため、必ず配当金を受け取れるわけではありません。企業によっては利益があっても配当金を出さない場合もあります。
配当を出さないことを「無配」、中断していた配当を復活させることを「復配」、そして配当を減らすことを「減配」、配当を増やすことを「増配」といいます。また、通常の配当とは別に、企業の業績が極めて好調であるときには「特別配当」、企業の創立や創業などを記念する「記念配当」を上乗せして一時的に増配するケースもあります。
株の配当金がもらえるタイミング
基本的に、配当金は決算月の2〜3ヶ月後に受け取れます。決算によって企業の財務状況が確定し、それを踏まえて株主総会で決議されて分配される流れです。例えば、3月期決算の企業であれば、6月下旬に開かれる株主総会で決議を経て、6月下旬から7月上旬頃に支払われるケースが一般的です。
また、配当金を受け取れる回数も企業によって異なり、多くが年に1回あるいは2回程度です。年2回の場合は、事業年度最終月に行う本決算(通期決算)のタイミングで受け取れる「期末配当」に加え、半期決算のタイミングでも「中間配当」を受け取れます。
上記例と同様に3月期決算の企業で考えると、1回目の中間配当は9月の第二四半期決算、2回目の期末配当は3月の本決算期から2〜3ヶ月経過したタイミング、つまりそれぞれ12月、6月ごろに受け取れることになります。
株の配当金の計算方法
配当金は、株主の持ち株数に応じた金額を受け取れます。では、具体的に配当金の計算方法について見ていきましょう。あわせて、銘柄選びなどの際に注目されやすい「配当利回り」についても計算方法と一緒に解説していきます。
配当金の計算方法
配当金は、1株あたりの金額で表記されています。例えば、銘柄情報における「配当金」の欄に「10円」と記載されていれば、1株あたり10円の配当金が受け取れます。
つまり、100株保有している投資家の場合、10円×100株=1,000円の配当金を受け取れることになります。特別に記載がなければ、この金額が1年間で受け取れる金額です。
1株あたり10円と記載されているにも関わらず半分の5円しか受け取っていない場合などは、2回に分けて配当を出している企業である可能性が考えられます。その場合は、企業HPの株主向け情報のページで確認してみてください。
配当利回りの計算方法
配当利回りとは、株主が購入した株価に対して1年間でもらえる配当金額の割合を示す数値です。現在、定期預金の金利が0.002%程度とされる一方で、株式の配当利回りが1〜2%を超える銘柄は珍しくありません。つまり、配当利回りは、より効率の良い資産形成を目的とした銘柄選びの際に注目されやすい投資尺度のひとつです。計算式は、次のとおりです。
- 配当利回り(%) = 1株当たりの年間配当金 ÷ 株価 × 100
例えば、ある銘柄の株式を1株あたり1,000円の株価で購入したとします。配当金として年間10円が株主に分配される銘柄だった場合、配当利回りは1%(10円÷1,000円)となります。
株の配当金の税金や確定申告は?
株の配当金を受け取った場合には、税金がかかります。個人が受け取る配当金は一般的に上場株式の配当金であり、その税率は20.315%です。内訳としては、所得税・復興特別所得税として15.315%、住民税として5%となります。
株の配当金は受け取り時に源泉徴収されているため、確定申告は原則として必要ありません。ただし、自身の状況によっては確定申告をしたほうが良いケースもあります。
なお、NISA口座を利用して得た配当金は非課税です。
確定申告をしたほうが良いケースとは
まず、課税所得金額が900万円以下の人は、確定申告をして配当控除を利用することですでに納めた税金の一部が還付される可能性があります。配当金は源泉徴収によって一律で差し引かれてしまうため、一定以下の所得の人にとっては税金を納めすぎてしまう場合があるのです。
また、株の売買で損失が生じ、「損益通算」や「譲渡益の繰越控除」を利用したい人も確定申告をしたほうが良い可能性があります。株の売買で損失が出た場合、その損失と配当で得た利益を通算することで、配当金受取り時に源泉徴収された税金を取り戻すことが可能です。これを「損益通算」といいます。配当を受け取った証券口座と損失が生じた証券口座が別口座の場合は必ず確定申告が必要です。
そして、配当などの利益から差し引きしきれなかった損失を3年間繰り越すことを「譲渡益の繰越控除」といいます。翌年以降の3年間にわたって株の譲渡益や配当から控除でき、この手続きも確定申告が必須です。
株の配当金の注意点やリスク
株の配当金に関して、注意しておきたいポイントを3つご紹介します。
1.権利付き最終日までに買付ける
配当金を受け取るには、権利確定日に株主名簿に登録されている必要があります。権利確定日とは株主権利を得られる確定日のことで、配当金を受け取る権利(利益配当請求権)も株主権利のひとつです。株主名簿に登録されるには、権利確定日の2営業日前にあたる権利付き最終日までに買付けの約定がされてなければなりません。
なお、権利確定日は、企業の決算日と同一となっていることが一般的です。配当金目的で株式の買付けをする場合は、必ず銘柄ごとに権利付き最終日を事前に確認しておきましょう。
2.NISA口座利用時の配当受け取り方法
NISA口座を利用して非課税で配当金を受け取る際には、受け取り方法に注意が必要です。配当金の受け取り方は主に4つあり、任意で選択できます。
- 銀行や郵便局で直接受け取る 「配当金領収証方式」
- 証券口座に入金される「株式数比例配分方式」
- 銀行口座に振り込まれる「登録配当金受領口座方式」
- 指定の金融機関に振り込んでもらう 「個別銘柄指定方式」
ただし、NISAを利用している場合に「株式数比例配分方式」以外の受け取り方に設定していると、NISA口座での運用であっても課税されてしまいます。NISA利用時には「株式数比例配分方式」を選択しておきましょう。
3.配当はただ高ければ良いわけではない
企業が事業を通して得た利益のうち、どのくらいの割合を配当に回したかがわかる指標として「配当性向」があります。配当性向が低い企業は内部留保が、配当性向が高い企業は株主に対する利益還元が多いといえます。
配当性向の高さは株主にとって魅力的ですが、配当性向が高ければ良いと一概には言えません。配当性向が低ければ内部留保の割合が相対的に大きくなり、その資金を事業拡大のための投資として活用することも可能です。
積極的な投資は将来的に株価の上昇を期待でき、株主にとって大きな利益に繋がる可能性もあります。配当の大きさだけで銘柄選定するのではなく、配当が株価の変動にどう影響するかなど総合的に判断する必要があります。
配当金で安定した利益を狙おう
株の配当金 は企業が利益の一部を株主に還元してくれるお金のことです。
仮に株価が下落局面であっても保有しているだけで受け取れるため、比較的安定して得られる利益といえます。そのため、投資初心者にはおすすめの投資方法でもあります。効率良い資産形成のためのひとつの手段として、配当金を効果的に活用してみてはいかがでしょうか。
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