公開日 2025/01/17
最終更新日 2025/03/14
さらに、確定申告を行うことで税金が還付される可能性があり、節税につながるケースも。知らないと損をする重要なポイントです。
この記事では、1級FPでCFP認定者の筆者が、ソーシャルレンディングに関わる税金の基本、確定申告が必要な場合・不要な場合、申告のメリットをわかりやすく解説します。
また、2024年(令和6年)分の申告提出期間は【2025年2月17日(月)~2025年3月17日(月)】です。
早めの準備で、余裕を持って対応しましょう。
この記事の要点まとめ |
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ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)は、資金を借りたい企業と資産運用を希望する投資家を仲介するサービスです。
サービス事業者は、投資家から資金を集めファンドを組成し、第三者企業へ融資します。
その後、融資金をもとに事業を展開し、利子を付けて返済。
この利子が投資家への配当原資となります。
ソーシャルレンディングについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
ソーシャルレンディングの分配金に対しては、基本的に源泉徴収が行われるため、特に確定申告は不要であるように思えます。
しかし、なぜ、ソーシャルレンディングには確定申告が必要になるのでしょうか。
ソーシャルレンディング投資の収益は、「雑所得」に分類されます。
雑所得を含む総合課税に該当する所得については、その収入金額のすべてを合算して所得税を計算するという決まりがあります。
ソーシャルレンディングの分配金も雑所得であるため、ほかの総合課税の所得(例:給与所得、不動産所得など)と合算して、所得税を再計算しなければなりません。
そのために確定申告が必要なのです。
なお、確定申告することで、ソーシャルレンディングの分配金の受取時に徴収された20.42%の税金の過不足が精算されることになります。
以下の1~4に当てはまる人は、原則、確定申告が必要なので忘れずに申告しましょう。
ちなみに、会社員の方の副業収入も雑所得ですので、同様に副業所得が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。
年末調整されていない収入と、ソーシャルレンディング投資を含む雑所得との合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
(*)雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除は除く
確定申告をする場合は、ソーシャルレンディング投資の収益の多寡にかかわらず、すべてを申告しなければなりません。
また、無職の主婦(夫)や学生も同様にソーシャルレンディングによる収益が48万円を超えれば課税対象になります。
会社員の方で、所得が会社からの給与とソーシャルレンディングの収益だけの場合、分配金が20万円以下であれば確定申告は不要です。
また、個人事業主や、無職の方は、ソーシャルレンディング投資からの収益も合わせた年間所得の合計額が48万円以下であれば、確定申告不要です。
ソーシャルレンディングでは、分配金から20.42%の所得税がすでに控除されています。
仮に所得税額が5%の方が、20.42%の税金を払っていたら、税金を払いすぎていることになります。
住民税は、別途申告する必要があるのです。
ただし、確定申告を行った場合は、そのデータが市区町村へ送信され自動で住民税の計算がされるため、住民税だけの申告は不要です。
別途、住民税だけの申告が必要なのは、確定申告をしないケースに限ります。
確定申告すべきケースで、正しい申告を行わないとペナルティの対象となりますので注意しましょう。
期限までに申告しない、または、申告はしても、納付期限までに税金を払わないなどの場合、以下のようなペナルティが課されます。
ペナルティとしては、納付すべき税金が50万円以下の場合15%、50万円以上では20%の課税です。
なお、税務署から指摘される前に自主納付すれば5%へ減額措置があります。
ペナルティは、納付期限の翌日から2ケ月以内であれば原則、年7.3%、2ケ月経過後は、原則、年14.6%の課税です。(令和3年1月1日以後の割合)
ソーシャルレンディング投資の分配金については、事業者から税務署へ「支払調書」が提出されているため、所得をごまかすことはできません。
加算税や延滞税という余分な支払いを回避するためにも、正しい申告納税を心掛けましょう。
資産運用の手段としてソーシャルレンディングを始めるのであれば、認められている範囲で可能な限り税負担を抑えたいと考える方も多いでしょう。
そこで、多くの利益を手元に残して賢く資産を増やすための節税方法を4つご紹介します。
課税所得が高いほど所得税率は上がります。
そのため、所得税を軽減できる方法の一つとして、ソーシャルレンディングで得られた配当金に対して税法上認められる範囲で経費として計上することをおすすめします。
具体的には、口座の振込手数料や入出金にかかる手数料、インターネットの接続料、納税にあたり助言を受けた場合の税理士費用などが挙げられます。
経費として計上するため、領収書やレシートを紛失しないように注意しましょう。
法人を設立することで節税できる場合があります。
例えば、資本金が1億円以下の法人の場合、年間利益が800万円超になると法人税率は一律で23.20%です。
一方で、個人の年間所得が900万を超えると所得税率は33%以上になります。
該当する場合は法人化を検討してみるとよいでしょう。
夫婦でソーシャルレンディングに投資するのであれば、所得の低いほうの名義で運用することで税金を軽減できます。
ソーシャルレンディングの所得は雑所得に分類され、所得が少ないほうが税率も低くなるため、結果的に税金を抑えられるというわけです。
年間の所得が330万円未満の場合は、確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。
ソーシャルレンディングでは、配当金を受け取る際に配当金の20.42%が源泉税として差し引かれて口座に振り込まれます。
年間所得が330万円未満の場合の所得税率は10%以下なので、源泉徴収で税金を多く納めていることになります。
雑所得に分類されるソーシャルレンディングの利益は、他の所得と損益通算できない点に注意しましょう。
損益通算とは、課税額を計算する際に一定期間内で生じた利益と損失を相殺できる制度です。
損益通算のメリットは、損失が生じたときに納税の負担を軽減できる点です。
ソーシャルレンディングでの利益は同じ雑所得であれば損益通算可能ですが、給与所得や事業所得、不動産所得などとは相殺できません。
給与所得と雑所得の損益通算が可能であれば、相殺して合計所得400万円に対しての課税となります。
しかし、ソーシャルレンディングの利益あるいは損失は給与所得とは損益通算できないため、給与所得の500万円は丸々課税対象となってしまいます。
ソーシャルレンディングで大きな損失が生じたとしても、税金面で配慮を受けられない点を理解しておきましょう。
ソーシャルレンディングにおける損失は、繰り越しが認められていません。
つまり、繰越控除ができません。
繰越控除とは、年間に被った損失が所得を上回った場合。
相殺しきれなかった損失を繰越して翌年以降に生じた利益から控除できる制度です。
前年の損失を翌年以降の利益と相殺できるため効果的な節税方法です。
上場株式投資による損失などは3年間の繰越控除が受けられます。
しかしながら、ソーシャルレンディングでの損失は年をまたいで控除ができないので、その点は注意が必要です。
関連図書費、口座振替手数料、通信費の一部などが考えられます。
ソーシャルレンディングの必要経費の額はそれほど大きくないかもしれません。
ですが、雑所得を減額できれば多少の節税効果はあるかもしれません。
直前になって慌てることのないよう早めに準備を始めましょう。
ソーシャルレンディングの確定申告はおおむね次の流れで行います。
確定申告には、以下の書類が必要になります。
ソーシャルレンディング投資をしている方であれば、e-Taxを利用して申告書を作成するのが簡単です。
国税庁HPの確定申告書等作成コーナーにて、案内に従って数字を入力するだけ。
税額が自動計算されるため計算間違いが起こりません。
他の部分も確認したら、あとは書類を管轄の税務署に提出します。
2023年1月より(2022年申告分)、マイナンバーカードやスマホを利用した手続きの利便性がさらに向上しています。
ネット環境があり、PC操作ができるソーシャルレンディングの投資家には、ネット申告が適しているでしょう。
参照:国税庁|国税庁のホームページで所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!
また、申告書は出力後、税務署へ郵送、持参することも可能です。
e-Taxを利用した電子納税手続きの場合、申告書作成→提出→納税(口座振替)までがスムーズです。
ソーシャルレンディングの分配金は雑所得に区分されます。
確定申告が必要であるにもかかわらず、申告を怠ると加算税や延滞税の対象となることもありますので注意しましょう。
しかし、経費をきっちり計上すること、または、家族内で所得税率の低い方が投資を行うなどの工夫で、税金を軽減する余地はあります。
いずれにしても、ソーシャルレンディングの税金の仕組みをしっかり理解し、正しい申告をすることが大切です。
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