不動産クラウドファンディングの利回りは?実際の利益をシミュレーション

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#投資の仕組み・スキーム

不動産クラウドファンディング は、1万円からの少額出資で不動産投資ができるとあって近年急成長している注目の投資方法です。本記事では、不動産クラウドファンディングの利回り の相場や収益の仕組み、また、ファンドを選ぶときの注意点を解説します。不動産クラウドファンディング投資に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

不動産クラウドファンディングとは?

不動産クラウドファンディングは、不動産の権利を小口化して複数の投資家から資金を集め、運営事業者が集めた資金で対象不動産を購入し運用益や譲渡益を得るという投資方法です。出資した投資家は運用収益を分配金という形で受け取ることになります。

少額からの投資が可能であることに加え、インターネット上で取引が完結するという利便性もあり、近年急成長している投資分野です。

不動産クラウドファンディングの利回りの相場は5~7%

不動産クラウドファンディングの利回りは、下は3%台から高いものでは10%を超えるものまであります。ファンドによりさまざまで、おおむね5~7%程度(年利)が相場です。

他の不動産投資の利回りと比較

不動産クラウドファンディング以外の不動産投資としては、現物不動産投資やREIT(不動産投資信託)があります。現物不動産投資とは、不動産を購入して賃貸により収益を上げる、または売却して譲渡益を狙うという投資方法です。

REIT(不動産投資信託)は、不動産に少額から投資できる点では不動産クラウドファンディングと同じですが、投資対象、保有期間、流動性などに相違点があります。不動産クラウドファンディングの利回りの相場と、その他の不動産投資の一般的な利回りを比較してみましょう。

不動産投資の種類 利回り
不動産クラウドファンディング 5~7%
現物不動産 3~4%
REIT(J-REIT) 3~5%

*現物不動産は、賃貸住宅1棟の期待利回り、オフィスビルの期待利回り
*J-REITは、分配金利回り

利回りの差はそれほど大きなものではありませんが、3つの違いは、投資に必要な資金や使い勝手です。不動産クラウドファンディングが他の不動産投資よりも優位な点は、少額投資が可能、投資対象の決定権、短期間運用が可能であるところ です。

不動産クラウドファンディングで得られる収益は2種類

投資運用で得られる利益は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類に区別されます。インカムゲインとは、投資資産を運用することで得られる利益 のこと、そして、キャピタルゲインとは、投資資産そのものを売却したときに得られる譲渡益 のことです。買った値段より高い値段で売れば、キャピタルゲインは大きくなります。

不動産クラウドファンディングによる利益の分配方法にも「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。

インカムゲイン

不動産クラウドファンディングのインカムゲインとは、対象不動産を運用することで得られる収益のことです。住居用やオフィス用不動産であればそこから発生する家賃収入がインカムゲインです。インカムゲインを投資家へ分配するファンドのことをインカムゲイン型ファンドといいます。

キャピタルゲイン

不動産クラウドファンディングのキャピタルゲインとは、不動産の譲渡益です。例えば1億円で購入した不動産を1億2千万円で売却したら、2千万円がキャピタルゲインです。このようなキャピタルゲイン(譲渡益)を投資家へ分配するファンドのことをキャピタルゲイン型ファンドといいます。

また、インカムゲインを得ながら、キャピタルゲインも得られるファンドもあり、これを「キャピタルゲイン重視型」や「インカムゲイン重視型」などと呼ぶこともあります。

不動産クラウドファンディングの収益シミュレーション


実際の収益をイメージするために、次の架空のファンドに投資した場合の収益を計算してみましょう。

ファンド名称 VWCL Funding
予定分配率(年換算) 5%
運用期間 12カ月
出資単位(1口当たり) 1万円

例えば、10万円分(10口)購入したとすると、予定分配金は、【10万円x5%=5,000円】です。

ただし、実際は20.42%の源泉徴収がありますので、手元に入るのは3,979円です。

不動産クラウドファンディングの利回りの考え方

不動産クラウドファンディングのファンドの募集時の利回りは「予定利回り」や「想定利回り」などで表記されます。最大の利益を想定したものです。インカムゲイン型の場合、空室が多い場合など想定通りの運用ができないと実利益は予定利回りを下回る可能性があります。

また、反対に、キャピタルゲイン型のファンドの場合、想定より高い値段で不動産を売却できれば予定利回りを上回る利益を得られることもあります。なお、一般的に利回りは次の3つを使い分けていますので違いを見ていきましょう。

1.表面利回り

グロス利回りともいい、単純に物件の購入価格に対して年間収益はいくらかというもので、物件の維持管理費などは一切考慮しない表面上の利回りです。

▽表面利回り計算式 (%)
年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 x 100


2.実質利回り

表面利回りに購入時にかかった初期費用や物件の維持管理のための必要経費(固定資産税、管理費、修繕費、火災保険料など)を加味した利回りのことで、ネット利回りともいいます。表面利回りよりも実態に近い利回りであるため、同一の投資先であれば、表面利回りより低い数字になります。

▽実質利回り計算式 (%)
(年間家賃収入 - 必要経費) ÷ 物件購入価格 x 100


3.想定利回り

投資不動産をフルに活用できた場合の利回りです。賃貸物件であれば、満室であると想定して得られる収益により計算されています。賃貸物件に空室が出てしまうと家賃収入が減るため、実際、手にできる分配金は想定利回りを下回ります。また、想定を下回る金額で不動産の売却を行った場合も同じです。

▽想定利回り計算式(%)
満室と仮定した年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 x 100

不動産クラウドファンディングのリスク


投資には大なり小なり必ずリスクが存在します。不動産クラウドファンディングも投資ですので、分配金が想定通りに還元されないことや、元本割れの可能性もゼロではありません。しかし、多くの不動産クラウドファンディングでは、投資家の出資元本を守るために、優先劣後方式 という仕組みを取り入れています。

優先劣後方式とは

一つのファンドに対し、投資家が優先出資を行い、事業者が劣後出資を行う仕組みです。これにより、対象不動産の価値が下落して損失が出てしまった場合でも、その損失は最初に劣後出資者の事業者が負担することになります 。損失が劣後出資額を超えなければ、優先出資者の出資部分に影響はありません。仮に損失が劣後出資額を超えてしまうと、優先出資者である投資家の出資額にも影響がおよびます。

優先出資率と劣後出資率の割合はファンドによって異なりますので、投資をする際は必ず確認するようにしましょう。

不動産クラウドファンディングの案件選びのポイント3つ

いざ、不動産クラウドファンディングを始めようと思っても、数あるファンド(案件)の中から何を選べばいいのか迷います。そこで、ファンド選びのポイントを3つに絞ってお伝えします。

1.運営事業者の調査

ファンドの運営事業者が倒産してしまうと、配当を受けられなくなる可能性があります。運営方針や運用実績などを調べ、ファンドの運営事業者を選ぶようにしましょう。

2.利回りと運用期間

ファンドを選ぶときに利回りは重要な指標となりますが、運用期間も大切な要素です。不動産クラウドファンディングは原則、中途解約ができないため、運用期間が自分に合ったものであるか確認をしましょう。

利回りは通常、年利で表記されています。運用期間が1年に満たない場合は、表記通りの利回りにはなりませんので注意が必要です。例えば、年利6%で運用期間が6カ月の場合、利益は半分の3%です。また、1口1万円から出資できるファンドも数多くありますが、最低出資金額が10万円以上などのファンドもあります。自分の投資許容範囲額であるかの確認も必要です。

3.リスク回避措置の有無

投資家のリスク回避のための措置が取られているかも必ず確認しましょう。優先劣後方式が取られている場合は、優先出資と劣後出資の出資割合についても必ず確認するようにしてください。

不動産クラウドファンディングを投資先の選択肢の一つに

今回は、不動産クラウドファンディングの利回り について解説しました。不動産クラウドファンディングは、少額から資産運用ができる投資方法として注目されています。自分でファンドを選べば、基本的にファンドに運用を任せるだけでいいので手間なしであることも人気の要因でしょう。

また、利回りに幅があるからこそ、自分のリスク許容範囲に合わせてファンドを選ぶことができます。一方で、満期期限まで解約できないなどの制約があることや、事業者の倒産リスクや元本割れリスクもゼロではありません。メリット、デメリットをしっかり理解した上で、投資先の選択肢のひとつに不動産クラウドファンディングを加えてみてはいかがでしょうか。

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  • 記事を書いた人 山﨑 裕佳子

    CFP®認定者。通関士として通関業務に7年携わった後、メーカーにて海外営業事務、銀行にてテラーほか様々な仕事を経験。2019年、2級FP技能士、AFP資格を取得。その後、独立系FP会社で執筆・校正の経験を積みフリーランスとして活動を始める。2022年5月、FP事務所MIRAI設立。

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