債券とは?仕組みや特徴、種類をわかりやすく解説
公開日 2024/04/11
最終更新日 2024/04/11
今回は、リスクを抑えながら利益が期待できる債券の特徴や種類、メリット・デメリットを紹介していきます。債券の特徴をしっかり理解して、自分の資産運用に活用すべきか検討しましょう。
債券とは
債券は、国や地方公共団体、企業などが、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。投資家がその債券の発行体にお金を貸すと、利払日には利息を受け取れて、満期となる償還日には元本である額面金額が払い戻されます。発行される債券ごとに利率や償還日、利払日などの条件が決められており、償還までの期間や利率はさまざまです。
債券の種類
債券は、発行体によって「公共債」「民間債」「外国債」の3つの種類に大別されます。1.公共債
「公共債」とは、国、地方自治体、政府系の機関が発行する債券などの総称です。国債
「国債」とは国が発行する債券です。半年ごとに利子が支払われる利付国債や個人向け国債などがあります。個人向け国債は個人でも購入しやすいように工夫された国債で、最低購入額は1万円と少額から購入可能です。資金の貸付先は国であるため、安全性は数ある投資商品のなかでもトップクラスといわれています。地方債
「地方債」とは、都道府県や市区町村などの地方公共団体が発行する債券です。集めた資金は、地域の交通、ガス、水道の整備事業などに使われます。広く投資家を募る市場公募地方債がある一方で、発行対象を事業への参加意識が実感しやすい地域住民などに限定したミニ公募地方債(住民参加型市場公募債)などもあります。政府関連機関債
「政府関連機関債」とは、独立行政法人などの政府関係機関や日本政策金融公庫などの特殊法人が発行する債券です。「特別債」とも呼ばれます。政府保証の有無と募集形式によって3種類に分けられます。政府保証を付けている「政府保証債」が中心で、そのほかには政府保証がなく非公募方式で発行される「非政府保証債」、そして政府保証を付けずに公募形式で発行される「財投機関債」があります。
2.民間債
「民間債」とは、民間の一般事業会社などが発行する債券の総称です。社債
「社債」は一般の事業会社が発行する債券です。会社が資金調達を行う代表的な方法として、株式の発行がありますが、株式で得た資金は「出資金」であるため返済の義務はありません。一方、社債は「借入金」にあたるため返済の義務があり、社債の所有者は元本と利息を受け取る権利があります。金融債
「金融債」とは、特定の金融機関が発行する債券です。特定の銀行が発行できる銀行債、農林中金、信金中金など系統金融機関などが発行できる特定金融債に分けられます。定期的に利息が支払われる利付金融債、そして発行時に利息相当分が差し引かれた金額で発行される割引金融債があります。外国債
発行体や発行通貨、発行場所のいずれかが外国または外国の通貨である債券を、「外国債」といいます。ソブリン債
「ソブリン債」とは、各国の政府や政府機関、国際機関によって発行、または保証されている債券の総称です。国債や政府機関債などもソブリン債に含まれます。ソブリン(sovereign)は、「君主、国王」という意味です。国際機関債
世界銀行やアジア開発銀行、米州開発銀行など世界各国が協調して設立した開発金融機関が発行する債券を「国際機関債」といいます。米ドル、ユーロ、円などさまざまな通貨で債券を発行しています。債券の特徴・メリット
では、債券にはどのような特徴とメリットがあるのでしょうか。以下で主な3つを解説します。メリット1.低リスク
債券は、他の投資商品と比べると低リスクです。債務不履行にならない限り、償還日まで保有しておくだけで元本が償還され、利息も上乗せして受け取れるからです。途中売却による利益を狙わないのであれば保有するだけで資産を増やせられるため、この手軽さは債券投資の魅力といえるでしょう。メリット2.銀行預金よりも高金利
資金を銀行の普通預金や定期預金に置いておくよりも、債券のほうが高い利息を受け取れる傾向にあります。現在の定期預金金利は0.025%程度であり、100万円を預けていたとしても250円しか利息がつかない計算です。一方の債券の場合、元本が保証されている個人向け国債であっても最低金利は0.05%と定期預金金利の2倍です。リスクは伴うものの金利がさらに高く設定されている債券は他にも多くあり、預金よりも効率的な資産形成が可能です。
メリット3.途中で売却も可能
債券は市場価格で途中売却もできるので、株式投資のように売却益を狙った運用ができます。償還日まで保有すれば元本が返済されますが、個人向け国債など一部の例外を除いて市場で売買も可能です。自分が購入した価格よりも高い値段で売却できれば、売却益を得られます。債券のリスク・デメリット
次に、債券の主なリスクとデメリットを3つ紹介します。デメリット1.途中売却すると損失を被る可能性がある
債券を償還日前に市場価格で売却する際、購入時の価格よりも高く売却できれば利益を得られますが、購入時よりも低い値段で売却してしまうと損失が生じます。債券は、売却せずとも償還日まで保有していれば元本がそのまま返ってきます。また、利払日には利息も受け取れます。市場価格が購入時の価格と同等もしくは下回っている場合は、できる限り償還日まで待つほうがよいでしょう。
デメリット2.債務不履行になる可能性がある
債券には、債務不履行(デフォルト)リスクがあります。債務不履行が起きるリスクの大小は債券ごとに異なりますが、債務不履行になると利子どころか元本も返済されません。国が破綻することは稀ですが、企業が発行する社債は経営難などからデフォルトに陥るリスクは国債と比較すると小さくはありません。発行体の信用度、つまりデフォルトリスクの大小を客観的に判断できる指標である「格付け」を必ずチェックしたうえで債券を選ぶことをおすすめします。
デメリット3.利回りが低い
債券の金利は、預貯金よりは高いものの他の投資商品と比べると低い傾向にあります。債券の最大のメリットは、債券の発行体が資金難などの状態にならない限り、償還日には額面が返済され、定期的に利子も受け取れる点です。つまり、他の投資商品よりも安全性が高く、元本割れするリスクが低い商品です。リスクが低ければ、もちろん見込めるリターンも低いため、大きく資産を増やしたいと考える人には向いていません。
債券の価格と金利の関係
債券価格は、発行体の信用度や格付け、償還日までの残存期間、市場環境予想などさまざまな要因で変動します。なかでも債券価格と市場金利はシーソーの関係ともいわれており、逆の動きをする傾向にあります。つまり、市場金利の影響を受けて金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がります。債券の多くは、発行時から償還までの金利が変わらない固定金利型です。発行時よりも金利が上がる局面では、債券の利回りの魅力が薄れるため債券価格は下落します。
一方で金利が下がっていくことが予想されると、発行時と金利が変わらない債券の魅力は上がり、債券価格が上昇するというわけです。このような仕組みで債券価格と金利は連動する関係にあります。
債券で計画性のあるローリスクな運用を
債券の特徴や種類、メリット・デメリットを解説しました。債券はデフォルトリスクはあるものの、償還日まで保有すれば元本と利息が受け取れる安全性の高い投資商品といえます。リスクが低いため高いリターンは見込めませんが、預貯金よりは高金利で運用可能です。
また、償還期間や利息をあらかじめ把握できるため、計画性をもった運用が可能です。投資には興味があるけれど元本割れは避けたいという人は、手始めに債券で投資に慣れていくのも一つの手でしょう。
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