堅実に、一歩ずつ。「安心感」で信頼を築く。ーー「ちょこっと不動産」横地孝典氏インタビュー

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#インタビュー
初心者でも始めやすい少額不動産投資として、不動産クラウドファンディングソーシャルレンディングが注目を集めています。市場規模も年々拡大傾向で、今後さらなる投資人口の増加も期待されています。

このシリーズでは、そんな不動産クラウドファンディング/ソーシャルレンディングのサービス事業者側に焦点を当て、キーパーソンにインタビューを実施。サービスの深い部分を“中の人”に直接語っていただきます。今回は、不動産クラウドファンディングサービス「ちょこっと不動産」を運営する株式会社良栄・アセット事業部長の横地孝典(よこち・たかのり)氏にお話を伺いました。

横地 孝典(よこち・たかのり)
株式会社良栄 アセット事業部長
大学卒業後、北海道拓殖銀行に入行。営業点や本部を経験し、企画部在籍時の1997年に同行が経営破綻。預金保険機構・整理回収機構と連携し銀行の清算業務に携わる。その後、中央信託銀行・営業推進本部を経て、同行合併後の中央三井信託銀行にて支店長として従事。以降、不動産特定共同事業者など複数の事業会社を渡り歩いた後、2019年12月に株式会社良栄に入社し現職。

ちょこっと不動産とは?

ちょこっと不動産「ちょこっと不動産」は、1万円から気軽に不動産投資を行える不動産クラウドファンディングサービスです。運営会社である株式会社良栄が展開する自社ブランドの戸建てシリーズ「Buena Town -ブエナタウン- 」をメインの投資対象としているのが特徴です。

また、インカム型案件では賃貸会社とマスターリース契約を提携することでリスクを低減するなど、安心して投資できるサービスを提供しています。

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資金調達に複数の選択肢を

ーー株式会社良栄の事業内容を教えてください。

当社で行っている事業としては大きく「不動産開発事業」と「不動産賃貸事業」、そして「不動産ファンド事業」の3つです。開発事業では、まず土地を仕入れて企画・設計を行い、開発をしたのち分譲住宅として販売します。基本的に注文住宅ではなく建売の分譲、それも狭小地の3階建てを得意としています。賃貸事業としては、良栄で保有しているマンション・アパートなどのほか、テナントビルや店舗などの賃貸を行っています。そして、不動産ファンド事業が「ちょこっと不動産」によるクラウドファンディング事業となっています。

ーー横地さんが統括されているアセット事業部ではどのような業務を担っているのでしょうか?

アセット事業は、まさに「ちょこっと不動産」の運営をメイン業務としていて、あと自社物件の管理業務も担っています。

ーー「ちょこっと不動産」立ち上げの経緯やきっかけを教えてください。

代表の森田が「不動産特定共同事業」に電子化が認められたことを知って興味を持ったのが最初のきっかけです。どうしてここに興味を持ったかというと、資金調達の多様化を考えていたためです。

当社はもともと現物を扱う不動産会社ですから、まずは不動産の仕入れを行います。手元のキャッシュで買うこともありますが、それにしても限界はありますので、銀行からの借り入れも行います。とはいえ、銀行は何でもかんでも融資してくれるわけではなく、中には「これには貸せません」という物件もあります。また、銀行の融資の是非は物件の査定だけでなく市況によっても左右されます。代表の森田はバブル崩壊やリーマンショックを乗り越えてきており、銀行借入のみに依存することのリスクを痛感していたのだと思います。

今現在はそのような厳しい時期でないとしても、資金調達の手段として複数の選択肢を持っておくのは重要だろうという認識は強く持っていたんですね。それで実際に調べてみると、いくつかの事業者がパラパラと不動産特定共同事業の申請をし始めているようでした。

「不動産投資」というとあまりいいイメージがなかったのが、これでカジュアルな新しい資産運用の手段としていいイメージに刷新できるかもしれない、またユーザーにとってもいい投資機会になるかもしれない、ということで我々も早い段階で始めれば新しい事業の柱にできるんじゃないかと考えて具体的に走り出したという感じです。

「安心感」の積み重ねを強みに

ちょこっと不動産横地02ーー「ちょこっと不動産」の特徴や強みについて教えてください。

一番は投資家のみなさんに安心して投資していただける安全性の高いファンドを提供している点です。「ちょこっと不動産」では優先劣後方式を採用していますが、当サービスの方針として劣後出資割合を業界水準よりも高めの30%以上としています。

【ひと言メモ】
優先劣後方式では、投資家と同様、事業者自身もファンドに出資します。そして事業者による出資分を「劣後出資」といい、仮にファンドで損失が発生した場合は劣後出資から損失を負担します(劣後出資割合が30%の場合、全体の30%までの損失は事業者が負担することになります)。そのため、劣後出資が大きいほど投資家の元本割れリスクを軽減することができます。

また、インカム型のファンドについてはマスターリース契約で一括借上げとなっていますので、仮に運用中に空室が出たとしても予定通りの分配が可能です。それから、一般的な不動産クラウドファンディングですとキャピタル型でもファンドの組成段階では出口(売却先)が決まっていないことが多いと思いますが、「ちょこっと不動産」では組成段階ですでに売却先が決まっているものも出しています。

もちろん何らかの都合でキャンセルになる可能性もゼロではないので100%確実とまではいきませんが、期間内に売却して利益が出る可能性は、いうまでもなく売却先が決まっていない案件と比べると高くなります。

こうした「安心感」の積み重ねが当サービスの強みかなと思います。

ーー「ちょこっと不動産」で提供しているファンドの主な投資対象の戸建て物件は自社ブランドの「ブエナタウン」というシリーズとなっています。これはどういったコンセプトの戸建てなのでしょうか?

当社の「ブエナタウン」シリーズは、価格をできるだけ抑えながら、高品質かつスタイリッシュでモダンなデザインを提供する建売の戸建てシリーズです。土地の取得から企画・設計・施工まで自社で行っており、購入者様にはアフターサポートも含めて好評をいただいています。

ーーファンドで対象にしている「ブエナタウン」は、借地権付きの新築分譲住宅となっています。こうしたファンドをメインにした戦略を取っている理由を教えてください。

投資家のみなさんの中にも気になっている方がいらっしゃるかもしれませんが、あえて借地権を狙って仕入れているわけではなく、いろいろと物件を探している中で借地権の案件が出てくる、という感じが近いかなと思います。

運営会社である良栄が提供している戸建ては借地権かつ狭小地の物件も多いのですが、それでも都内となれば5,000万円~7,000万円はします。これが所有権になるとさらに高額な「億」近い金額になってしまいます。借地権なので所有者から土地を借りるわけですが、当社が扱うのは旧法借地権なので契約を更新すれば半永久的に借りられますし、当然ながら借り物の土地だからといって実際の住み心地が変わったりもしません。それで1,000万円単位のお金が浮くと考えれば購入する側にも十分にメリットがあるわけですね。ですので戦略というと大げさですが、そういったニーズに対して一定の訴求力はあると思っています。

じゃあ、なぜ借地権付き住宅を不動産クラウドファンディングで扱うのかというと、ここで資金調達の話につながってきます。所有権と比較すると、借地権は資産性という意味で劣るため、銀行からの融資の難易度が大きく上がるんですね。そこで、銀行からの融資が厳しいときの別の資金調達手段として不動産クラウドファンディングを活用しているということです。

ただ、借地権付き住宅の案件ばかりになると、サービスにそういうイメージがついてしまって、それはそれでよくないよね、というのもありますので、今後は採算以外のメリット・デメリットも踏まえた上で戦略的にいろいろなアセットタイプを提供していく、というのは考えています。

地に足をつけ、着実に信頼を築く

ちょこっと不動産横地01ーーファンドの募集開始時点で売却先が決まっていない場合もありますが、運用期間の9~10カ月間の売却はある程度見えているものなのでしょうか?

そうですね。大体、全体の半分くらいは完成前には売れてしまいます。のこり半分に関しても、完成後2カ月くらいでほとんどは売れます。基本的に在庫を長く持たないというのが方針としてあるので、仮に売れ残りそうであればある程度値下げをしてでも売却するようにしています。そういう意味では、9カ月、10カ月は問題なく売却まで行ける期間として設定しています。

ーー現状、キャピタル型ファンドがメインでインカム型は少なめになっていると思いますが、今後、運用期間が長めのインカム型案件の取り扱いについての検討もされているのでしょうか?

投資家のみなさんからはインカム型のニーズはいただいています。本来であればインカム型は2年や3年といった長めの期間でインカムを提供していくべきかなとは思っているのですが、現段階では投資家さんがそれをあまり求めていないという現状もあります。

なので、「ちょこっと不動産」としては今はインカム型でも1年で設定しています。もっと期間を長くしたいという思いはありつつも、今、2年以上のインカム型案件を出したとしてちゃんと売れるかといったらちょっと自信がない、というのも正直ありますね(苦笑)。ですので、今はインカム型でも運用期間を短めに設定して、しっかり運用し、分配・償還することで少しずつ信頼を築いていければと思っています。

ーー2024年の年初時点で29件のファンドがあり、すべてで満額成立を達成していてかつ即日に枠が埋まるものがほとんどです。現状の募集金額は高くて3,000万円台となっていますが、さらに大型の案件を提供していくという考えもあるのでしょうか?

大型案件の提供の話もないことはないのですが、現段階では堅実にというのを一番に考えています。最近は新規参入事業者さんも増えてきていますし、そんな中で、当初の募集期間では完売できず募集期間を延長されているところもポロポロと出てきていますよね。

当社としては特段、即日完売にこだわっているわけではないのですが、しっかり地に足をつけて今の実力に見合った商品を提供するという方針でサービスを提供しています。

ありがたいことに先着で即日完売のものがほとんどにはなっていますが、そうはいっても埋まるまでに40〜50分くらいかかるものもあるので、ものすごいクリック合戦になることもないですし、ちゃんと開始時間付近でアクセスしていただければ投資できるというちょうどいいバランスにはなっているのかなと思います。もちろん、サービスのさらなる成長を目指していますし、将来的にはもう少し大きめの、中規模くらいの一棟モノをやったりというのは考えています。

「安全性の高いファンド」の提供を第一に

ーー現在のちょこっと不動産のユーザー層はどのような感じでしょうか?

年代は40代と50代で全体の半分くらい、さらに30代も加えると全体の7割くらいになる感じです。20代の方はそんなに多くはないですね。1口1万円から投資はできますが、ある程度の資産をお持ちで、他の投資もやられている方が多いです。これは、不動産クラウドファンディングという投資の認知度がまだまだ低いというのもあるのかなと思っています。

気軽にできる投資としてもっと一般化してくれば、若い層の割合がもっと増えてくるのではないかと思います。ちなみに職業としては会社員の方が半分以上を占めています。「ちょこっと不動産」は基本的に募集方式が先着順で開始時刻を12時30分にしているのですが、これには会社員の方でもお昼休みに申し込みができるように、という意味合いもあります。

ーーこの記事をご覧の方へ、「ちょこっと不動産」のPRなどメッセージをお願いします。

不動産クラウドファンディングにもさまざまな事業者がありますが、「ちょこっと不動産」としては堅実に一歩ずつというのが当初から変わらない基本方針です。自分たちの集客力を見極めながら、しっかり調達できる規模で、しっかり投資家のみなさんに分配・償還できる安全性の高いファンドを提供していく、ということを第一に考えてこれからもやっていきたいと思っています。

もちろん、いろいろとご意見もいただいていますので、今後は運用期間の長いもの、より規模の大きいものも状況を見ながら検討して拡大していければと思っております。ぜひ引き続きご期待いただければと思います。

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  • 記事を書いた人 a.sato

    『ゴクラクJOURNAL』編集長。10年余りのラジオディレクター・構成作家の経験を経てライターに転身。延べ300社以上のコンテンツのコンサルティング・ライティング、ブランディングに携わる。以後エンタメ・インフラなどのWebメディアの編集長を歴任したのち現職。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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