ワンストップサービスを背景に、安定したファンドの提供を続けたい。ーー「KORYO Funding (コウリョウファンディング)」神長春美氏インタビュー

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#事業者インタビュー
少額から投資でき、運用に手間がかからないことなどから、不動産クラウドファンディングソーシャルレンディングに注目が集まっています。サービスに参入する事業者も年々増えており、さらなる市場規模の拡大も期待されています。

当インタビューシリーズでは、そんなクラウドファンディング投資のサービス事業者に焦点を当て、“中の人”にサービス運営の裏側を伺っていきます。

今回は、2022年に不動産クラウドファンディング事業を開始し、現在はコンスタントにインカムゲイン型のファンドを募集している「KORYO Funding (コウリョウファンディング)」を運営する香陵住販株式会社取締役・神長春美氏にお話を伺いました。

神長春美(かみなが・はるみ)
香陵住販株式会社 取締役第一営業本部長
1963年生まれ。高校卒業後不動産会社へ入社、不動産営業を経験する。その後会計事務所に入所し、不動産の会計事務に従事。1997年香陵住販株式会社へ入社。茨城県央・県南・東京エリアにて不動産営業に携わる。支店長を歴任したのち2018年に同社取締役に就任し、現任。2023年3月、ビジネスブレークスルー(BBT)大学卒業。

KORYO Funding (コウリョウファンディング)とは?

KORYO Funding

KORYO Funding」は、茨城県を中心に不動産事業を展開する、香陵住販株式会社(東証スタンダード:3495)が手掛ける不動産クラウドファンディングです。2022年の事業スタート後、5,000万円前後のファンドをコンスタントに募集しており、また順調にファンドの償還も進む、注目の不動産クラウドファンディングです。

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KORYO Fundingを展開する香陵住販株式会社について

ーー本日はよろしくお願いします。最初に「KORYO Funding」を展開する香陵住販の事業内容などについて教えてください。

香陵住販は水戸市に本社を置く不動産会社です。賃貸仲介・不動産売買・賃貸管理に加えてコインパーキングや不動産ファンド・太陽光発電などの収益不動産も手掛けており、東証スタンダード市場に上場しています。私が思う当社の大きな特徴を2点ご紹介します。

1点目は茨城県エリアを中心に事業展開している点です。さらに東京・上野にも支社を置き、茨城県に加えてつくばエクスプレスや常磐線沿線も営業エリアとしています。

2点目の特徴は、収益物件のワンストップのバリューチェーンを構築している点です。収益物件について、土地の仕入れ・設計・建築・完成後の賃貸付・管理・売却まで、ワンストップでサービスを提供しています。また、実直にコツコツと真面目にやる、という社風も特徴です。

ーー2022年から「KORYO Funding」として不動産クラウドファンディング事業に参入した経緯や狙いを教えてください。

2020年頃から不動産クラウドファンディング事業を開始する検討を始めて、2022年に同事業をスタートしました。当社が不動産クラウドファンディング事業に参入した目的は大きく分けて2つあると私は考えています。

まず1つ目の目的が、ストックビジネスの拡大です。当社は賃貸管理事業を展開しており、管理物件が増えればそれだけ安定的な収益が見込めるストックビジネスが拡大します。茨城県では賃貸物件に対する需要は依然として高いため、木造アパートの開発と管理戸数を増加させる意図がありました。

2つ目は、継続的に投資していただけるロイヤルカスタマーとなる投資家の発掘・育成です。当社は収益不動産事業を手掛けており、優良顧客を増やしていくことは非常に重要なポイントと考えています。

ーー香陵住販の中期経営計画「KORYO2025」において、「KORYO Funding」を収益事業として確立させる、としていますが、状況はいかがでしょうか?

募集するファンドはすぐに売り切れるなど、不動産クラウドファンディング事業の「KORYO Funding」は順調に推移しています。また、「KORYO Funding」を始めたことにより、資金調達の多様化も図ることができました。さらに、「KORYO Funding」の会員様の中から収益物件を一棟購入されたケースもあるので、今後はそういった会員様を増やして収益化していけたらと思っています。

「KORYO Funding」のファンドについて

ーーこれまでの「KORYO Funding」のファンドの実績について教えてください。

当社は2021年6月に不動産特定共同事業の1号事業者および2号事業者の認可を取得しました。そして2022年6月に第1号ファンドを組成しています。その後これまでインカムゲイン型のファンドを全15本、約8億円のファンドを組成しました。

なお、いずれのファンドも運用期間1年前後のファンドとなっています。事業開始当初から5,000~7,000万円規模のファンドが中心です。

ーー「KORYO Funding」の特徴や強みを教えてください。

「KORYO Funding」では事業者の香陵住販が、ファンドに組み入れる物件の「商品開発→賃貸仲介→建物管理→売却」までをワンストップで対応しています。これによりファンド組成、入居者募集、物件の売却といった一連のプロセスを安定的に行うことができます。実際にファンド組成を継続的にできており、償還を迎えたファンドも予定通りの利回りで着地しています。

ーーファンドに組み入れられる物件の選定はどのような基準で行われているのでしょうか?

当社のファンドは、自社物件を組み入れているのは先ほどお話した通りです。その中でも高い稼働率が見込まれる物件を選定しています。ファンドに組み入れる物件を大きく色分けすると、自社ブランド(レーガベーネ)の投資用物件、区分所有マンション、既存の収益物件の3つに分けられます。

ちなみに、1号ファンドの物件は入居率はほぼ100%の状態でスタートしました。以後のファンドも入居率90%台でスタートしています。自社でワンストップ対応しているファンドなので、途中で退去が発生しても、自分たちの会社で積極的に入居を決めて高い入居率を維持しています。

ーーファンド償還時に物件はどのようになるのでしょうか?

物件によりますが、大きく「第三者に売却」「ファンドの再組成」「自社保有に戻す」の3パターンがあります。1号案件は最終的に自社で買い戻し、再組成しました。ほかには、ファンドの再組成が複数ありますね。また区分所有マンションの物件については、空きが出たあとでリフォームして売却しました。

ーー手堅い内容のファンドながら、1~2カ月に1件ペースでファンドが組成できる理由を教えてください。

一番は、ワンストップで対応できる強みがあるのが大きいと思います。香陵住販として、ファンド組成を視野に入れて物件を仕入れたり、自社開発の新築アパートをファンドに組み入れたりもしています。

会社全体として「KORYO Funding」のファンドを意識した経営を行っており、入居者の募集などについてもファンドの存在を意識して事業を展開中です。また当社は茨城エリア中心の事業展開であり、本エリアの住宅事情などの市場動向を熟知している点も優位点ですね。賃貸付けや施設管理の観点から、安心なエリアだしこの物件なら間違いないだろう、という物件をピックアップしてファンドを組成しています。

「KORYO Funding」の会員について

ーーファンドに投資する会員の方は茨城県の方が多いのでしょうか?

多いですね。ただ、当初は茨城県の方が圧倒的に多かったのが、少しずつ県外の方も増えてきています。現在は県内の方の割合は3割程度まで比率が下がってきています。その他の属性でいうと、40~50代の男性の方が多いですね。

ーー会員の男女比はどのようになっているのでしょうか?

男性が中心ですが、女性の比率も約2割あります。パートの方がコツコツと貯めたお金で投資しているケースもあるようで、当社としては身が引き締まる思いです。実は当社が当初想定していた投資家のペルソナは、東京の30代男性サラリーマン、というものでした。しかし蓋を開けてみると、男女含めて幅広い層の方に会員になっていただいています。

ーーファンド募集は先着式と抽選式を混在させていますが、先着式だと枠がすぐに埋まってしまうのでしょうか?

そうですね。先着式のファンドはありがたいことに、いつもすぐに枠が埋まってしまいます。宣伝広告は、新聞の取材対応や自社の店舗にのぼりを出している程度で、特にお金はかけていませんが、クチコミもあり先着式のファンドはすぐに枠が埋まっています。

そのため、投資したいのに投資できない、というお声が地元のお客様などから相当数あり、抽選式も行うようにしました。抽選式にすると当選率が低くなってしまうのが悩ましいところですね。

ーー当面は先着式と抽選式の混在方式で進めるご予定ですか?また先着式と抽選式で物件の内容が異なることはあるのでしょうか?

当面は混在方式で進める予定です。また若干金額が大きめのファンドは先着式、金額が小さめのファンドは抽選式、という大まかな色分けはしています。ただし、先着式と抽選式のどちらかが偏らないように募集する、という観点でも選んでいます。

「KORYO Funding」の物件のバックグランドとなる茨城県の状況について

ーー現在、日本全体として人口減少が進んできています。その中で御社の事業展開の中心となる茨城県の人口はどのような状況なのでしょうか?

茨城県全体で見ると人口減少が始まっている、と聞いていますが、当社の主力営業エリアでは人口や世帯数の増加が続いています。当社の主力営業エリアとしては、つくばエクスプレス沿線と常磐線沿線の2つのエリアがあります。秋葉原まで1本で出られるつくばエクスプレス沿線は、その利便性の良さから現在も人口の増加が続くエリアです。

ーー常磐線沿線の状況はいかがでしょうか?以前は東京に近いエリアは既に開発が進み、遠方になると都内に勤める人は住んでいないというイメージがありましたが。

常磐線沿線も中古マンションの価格が上昇するなどしており、以前とは状況が変化していますね。

ーー何か変化する出来事があったのでしょうか?

実はコロナ禍の最中でも、当社の業績は増収増益だったんです。当社の営業エリアでは、コロナ禍の中でも物件が動いていました。コロナ禍により多くの会社でリモートワークが行われた結果、郊外に住宅を買う方が増えています。

そしてコロナ禍が明けても、リモートワークを残す企業も少なくありませんよね。その結果、都心の通勤に時間がかかるエリアでも、安価に住宅が購入でき更に家で仕事を行うスペースも確保できる、として常磐線沿線が評価されているようです。

例えば、茨城県南部の阿見町は昨年人口5万人を突破するなど人口が増えており、今後は市への昇格を目指しています。コロナ禍を契機に、常磐線沿線の見方が変わったように感じています。

また県南および県央部では工場などの積極的な進出が続いています。もともと日立の“企業城下町”ですし、コマツが新工場を立ち上げました。JX金属の新工場建設も発表されています。さらに県南では日清食品やダイキンなども事業用地を新たに取得するなど、全国的に見ても茨城県は工場の進出が国内トップクラスです。よって、つくばエクスプレス沿線や常磐線沿線含めて当社の営業エリアの物件は、当面引き合いの強い状態が続くと予想しています。

今後の方向性について

ーー今後企画しているファンドなどがあれば教えてください。

これまではインカムゲイン型のファンドのみの組成を行ってきましたが、今後は開発型で売買益を狙うファンドの組成を予定しています。これまで5,000万円前後のファンド規模でしたが、ファンドサイズも大きくなる予定です。ファンドサイズが大きくなることで、多くの会員様にも投資していただけるようになると思います。

ーー最後に読者の方にメッセージをお願いします。

当社は茨城県の中心に事業を展開する不動産会社であり、実直に事業を展開しています。お客様に対して誠実であれ、をモットーとしており、安心して投資していただけるファンドの組成を行って参りました。ファンドの運営については、安定した運用を心がけています。

これまでインカムゲイン型のファンドのみの募集でしたが、今後の開発型のファンドにおいても、安定した運用というスタンスに変わりはありません。派手さはありませんが、コツコツと安心感のある運用を心がけていますので、ぜひ資産運用方法の一つとして「KORYO Funding」をご検討いただければと思います。

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  • 記事を書いた人 石井 僚一

    大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式及び為替などの金融・投資ライティングに加え、ビジネスライティングも手掛けている。Yahoo!トップページの掲載実績および書籍ライターの経験あり。証券外務員第一種資格保有。writer_ishii

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