事業型ファンドとは?特徴や一般的な投資ファンドとの違いを解説

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#用語解説 #投資の仕組み・スキーム
資産を形成する上で、何に投資するかは非常に重要です。長期的に資産を作っていきたい場合は、リスクを抑えながら積立投資をするのが効果的ですが、短期的に資産を築きたい、あるいは余剰資金を使ってリスクを取った投資をしたいという場合は、ハイリターンの投資を行うことも選択肢の1つとなります。 

 この記事では、ファンド商品の中でもハイリターンを狙える可能性もある事業型ファンド について解説していきます。事業型ファンドの特徴やメリットとデメリットについても紹介しますので、投資戦略を立てる際にお役立てください。

事業型ファンドとは?

一般的に、単に「ファンド」と言う場合、投資信託のことを指すことが多いですが、厳密には、投資信託に限らず投資家から集めた資金を元手にして有価証券や事業運営などへの投資を行い、収益を出資者へ分配する仕組み全般のことを指します。なかでも、株式や債券などの金融商品ではなく、太陽光発電設備や車両リースなどの事業に対して投資するファンドのことを「事業型ファンド」といいます 。 

 第二種金融商品取引業協会が定めた「事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則」には以下の記述があります。

(定義)第2条 この規則において、次の各項に掲げる用語の定義は、当該各項に定めるところによる。1 事業型ファンド金融商品取引法(以下「金商法」という。)第2条第2項第5号又は第6号に掲げる権利のうち、出資対象事業が主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資(金融商品取引法施行令(以下「施行令」という。)第2条の9第1項第1号及び第2号に規定する出資を除く。)以外のものをいう。
参考:事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則  
一般的な投資ファンドが「有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資」であるのに対し、それ以外のものを「事業型ファンド」と定義しています。事業型ファンドには、融資型(貸付型)ファンドや商品ファンド(原油、貴金属、農作物などの商品先物取引で運用する金融商品)なども含まれます。

事業型ファンドの特徴

事業型ファンドとは、企業や団体などが事業運営のための資金を調達するべく組成されるファンドのことを言います。投資家は、これらの事業の成功を見込んで出資し、その収益を見返りとして受け取ります。

事業型ファンドでは、基本的に投資対象がプロジェクト単位になる点が一般的な投資ファンドと異なるポイントです。また、 ファンドを組成する事業者は第二種金融商品取引業の登録が必要になり 、投資家は事業者をとおして匿名組合契約などの出資契約を行います。

事業型ファンドの種類

続いて、事業型ファンドの種類について見ていきましょう。一般社団法人・第二種金融取引業協会は、ファンドの種類として以下を紹介しています。
①商品(農産物、鉱物など)に対して投資を行う商品ファンド
②ベンチャー企業の未公開株に対して投資を行うベンチャーファンド
③事業会社等に対して投資を行うプライベートエクイティファンドや事業再生ファンド
④競走馬に対して投資を行う競走馬ファンド
⑤一定の設備を取得してそのリース事業を行う設備投資ファンド
⑥ラーメン店などの事業に投資するラーメンファンド
⑦アイドルのCD・写真集の販売事業等に投資するアイドル・ファンド
⑧映画製作・音楽制作などに投資する映画ファンド
⑨不動産信託受益権を取得・開発し、賃料その他の収益を得る不動産ファンド
⑩個別の事業(農産物、海産物の養殖、日本酒の製造など、さまざま。)に投資する事業型ファンド
参照:ファンド全般について|一般社団法人 第二種金融商品取引業協会   

これらのうち、②③は非上場企業(未公開株)に投資する「プライベートエクイティファンド」で、有価証券に投資する投資ファンドに該当しますが、それ以外は広い意味で事業型ファンドに該当します。

事業型ファンドと一般的な投資ファンドの違い

次に、一般的な投資ファンドと事業型ファンドの違いを見ていきましょう。

1.投資対象の違い

まず挙げられるのが、上記でも紹介した投資対象の違いです。一般的な投資ファンドが金融商品を投資対象とするのに対し、事業型ファンドでは、あらゆる事業が投資対象になり得ます。
ファンドの種類 投資対象
一般的な投資ファンド 金融商品:株式、債券、投資信託など
事業型ファンド 金融商品以外:太陽光発電設備、トラック・航空機等のリース、不動産、映画、競走馬など

2.販売方法・販売経路の違い

大手証券会社や銀行、郵便局などで広く販売される一般的な投資ファンドに比較すると、事業型ファンドは規模が小さいことが多く、これらの窓口で販売されるケースは稀です。通常、第二種金融商品取引業者がネット窓口など自社で投資家を募集して資金を集めます。

3.リスクとリターンの違い

事業型ファンドは、事業の成否によって成果が大きく左右されるため、事業が大成功すれば大きなリターンを得られる可能性を秘めていますが、反面リスクも大きくなりやすいという特徴があります。具体的には、投資対象となる事業が破綻するケースはもちろん、ファンド運用会社が破綻するケースもあります。もちろん、一般的な投資ファンドが投資する上場企業やファンド運用会社が破綻する可能性もありますが、事業型ファンドのほうがリスクは大きくなります。

代表的な事業型ファンド

代表的な事業型ファンド事業型ファンドの投資対象にはさまざまなものがあります。中でも代表的なものについて紹介します。

1.太陽光発電ファンド

事業者が出資者から募った資金で太陽光発電設備を設置し、発電した電力を電力会社へ売電し利益を得る仕組みです。売電収入から、運営費用など諸経費を差し引いたものが出資者に分配されます。売電価格が一定期間保証される固定価格買取制度(FIT)では、10kW以上の大型施設の場合は20年間保証され、家庭用設備の10年に比べて有利ですが、これを個人で用意するのはかなり高いハードルとなります。しかしこれを太陽光発電ファンド とすることで1人あたりの負担金額を抑えつつ太陽光発電投資が可能になります。

2.トラックファンドなど輸送機系ファンド

トラックファンドヘリコプターファンド 、航空機ファンド、船舶ファンド など、物流や人の輸送に関わる車両等を投資対象としたファンドです。事業者は、出資者から募った資金をもとにこれらの輸送機を購入し、それをリースすることで得た利益を出資者に分配します。これら車両等に出資したお金は損金として算入できるため、節税用投資商品としても注目が集まっています。

3.融資型(貸付型)ファンド/ソーシャルレンディング

融資型(貸付型)ファンドは、ソーシャルレンディング という名称で人気が高まっているファンド商品です。ソーシャルレンディング事業者は、ファンドを組成して出資者から集めたお金を不動産事業などを行う別の事業者に貸し付け、その金利で得たお金を出資者に分配します。このように、「集めた資金を他の事業者に貸し付ける事業」に投資を行うという意味で、事業型ファンドの一種であるといえます。

4.不動産小口化商品/不動産クラウドファンディング

不動産投資ファンドも事業型ファンドに含まれるケースがあります。代表的な不動産投資ファンドにREIT(不動産投資信託/リート)やその日本版であるJ-REITがありますが、これらは現物不動産ではなく、「不動産信託受益権」への投資を行う場合があります。不動産信託受益権とは、「不動産から発生する利益を受け取る権利」のことを指し、金融商品取引法では「みなし有価証券」として有価証券と同じ規定が適用されます。 

 一方、近年人気の高まっている不動産クラウドファンディング は「不動産小口化商品」とも呼ばれる商品です。これは不動産の小口化が可能で、投資家から集めた資金をもとに不動産の売買や賃貸など不動産事業を行い利益を分配する投資商品で、有価証券とは区別されます 。つまり、現物不動産に加えみなし有価証券に投資するREITは一般的な投資ファンドの一種であり、不動産クラウドファンディングは事業型ファンドの一種であるといえます。

事業型ファンドに投資するメリット

事業型ファンドに投資するメリットは大きく2つあります。

1.比較的高いリターンが狙える

事業型ファンドは、一般的に銀行からの融資を受けにくい事業において行われることが多く、それだけリスクも高いといえます。しかしリスクが高いぶん、利回りが高めに設定されているのが特徴です。リスクを理解した上で大きな収益を上げたい人にとっては魅力的な商品になり得ます。

2.お金以外の価値を見いだせる

投資対象として多彩な選択肢があることが事業型ファンドの魅力の1つです。対象となる事業には、再生可能エネルギーの推進や地方創生など、社会的意義のある事業なども含まれます。こうした事業に投資することは、単に投資で収益を上げることだけでない価値を見いだせる可能性があります。

事業型ファンドに投資するデメリット

反対に、事業型ファンドにはどのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

1.比較的リスクの高い投資である

事業型ファンドに限らず、投資である以上は元本割れのリスクがあることは、どのタイプのファンドでも同じです。しかし、事業型ファンドは比較的小規模であるがゆえに、事業自体が失敗するリスクやファンド運用会社が破綻するリスクは、一般的な投資ファンドに比べてどうしても大きくなります。また、株式や投資信託などと比較すると、公開されている情報が少なく、投資判断がしにくい点もリスクになり得ます。

2.悪徳業者が紛れている可能性も

証券取引等監視委員会が、ファンド運用会社を名乗った詐欺についての注意喚起 を行っています。事業型ファンドの場合、組成や販売・運用については、第二種金融商品取引業の登録が必要です。慎重を期すのであれば、投資を行う前にその事業者が正規の登録事業者であるかどうか、金融庁のWebサイト を確認するようにしましょう。

事業型ファンドはリスクを取りハイリターンを狙う投資商品

事業型ファンドはリスクを取りハイリターンを狙う投資商品事業型ファンド は比較的ハイリスクな投資であるため、堅実さが重要となる「老後の資金づくり」や「長期投資」には不向きです。しかし、ハイリスクであるがゆえにハイリターンが期待できる点は大きな魅力です。

余剰資金だけを回す、損切りラインや目標を明確にしておくといったリスクマネジメントを徹底しておけば、投資の醍醐味を味わえる商品でもあります。自身の投資方針を踏まえたうえで、事業型ファンドへの投資も選択肢としてみてはいかがでしょうか。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    『ゴクラクJOURNAL』は、不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング、事業型ファンドといった少額投資ファンドに関する情報や、投資・お金、その他ファイナンシャルテクノロジーに関する情報を提供しています。編集部では、投資初心者の目線に立ったユーザーファーストのメディア運営を目指しています。

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