再生可能エネルギー(再エネ)ファンドとは?種類や投資のメリット・デメリットを解説

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再生可能エネルギーは従来の化石燃料に代わる発電方法としてシェアを拡大し続けています。そんな再生可能エネルギー市場に投資をできるのが再生可能エネルギーファンド(再エネファンド) です。今回は再生可能エネルギーにはどのような種類があるのか、ファンドに投資するメリット・デメリットを解説します。

再生可能エネルギーファンド(再エネファンド)とは

再生可能エネルギーファンドは事業型ファンド の1つで、投資家から再生可能エネルギー事業への出資金を集め事業から出た収益を分配するファンド です。広義には投資信託やETFという形式で提供されるファンドも含みます。

再生可能エネルギーの施設や設備を建設するのには非常に大掛かりな資金が必要であるため、投資家からの出資で資金をまかなおうという動きが活発です。ファンドの設立元はエネルギー会社のほか、大手証券会社や銀行、さらには行政や自治体がバックアップするNPOや市民団体などのケースもあります。

そもそも再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは?「再生可能エネルギー」とは、ひとことで言うと「自然界に常に存在するエネルギー」のことを指します。日本で使われるエネルギーの8割近くは火力発電によるものですが、火力発電には石油や石炭、天然ガスといった限りある資源が用いられます。

一方の再生可能エネルギーは太陽光 や風力、水力といった自然エネルギーで、枯渇することがなく、どこにでも存在し、利用してもすぐに再生産されて使うことができることから「再生可能」という名がついています。さらに、利用してもCO2を排出しない(増加させない)という特徴も持っています。

再生可能エネルギーの種類

環境エネルギー政策研究所の調査によると、2022年に日本国内で使われている自然エネルギーの割合は22.7%です。2016年の調査では14.7%だったため、順調に成長している市場であると捉えることができます。現在おもに5種類の再生可能エネルギーが活用されています。それぞれのシェアと特徴を解説します。

1.太陽光

近年もっともシェアを伸ばしているのが太陽光エネルギーです。2016年に4.4%だったシェアは2022年には9.9%にまで拡大し、日本国内の電力の約1割を担う状況にまで達しました。太陽光のシェアが伸びている理由には、

・一度設置すればメンテナンスがほとんど必要なく継続的に電力が生産できる
・太陽光パネルにはさまざまなサイズがあり多様な設置場所を実現できる
・田畑に太陽光パネルを設置する営農型発電など既存の事業を行いながら土地の有効活用ができる

などが挙げられます。

天候が悪いと発電効率が落ちるというデメリットがあるため、とくに投資として太陽光発電を行う場合は、設置場所と地域を考慮する必要があります。一般住宅においても自家発電でエネルギーを賄うことで年間エネルギー収支をゼロにする「ZEH(ゼッチ/ネットゼロエネルギーハウス)」の建設が推奨されています

2.風力

風力発電のシェアは2016年に0.5%、2022年に0.9%と微増にとどまっています。特徴としては

・風が吹く場所であれば時間帯関係なく発電可能
・設置後のコストが低い
・変換効率が高い

などが挙げられます。その一方、広い土地が必要かつ風がある程度安定的に吹く環境が限られるため、設置できる場所が限られることから、シェアが伸びにくい発電方法となっています。

3.水力

水力発電は2016年には7.6%と、当時自然エネルギーの中では最も高いシェアがありました。2022年には7.1%とダウンしていますが、これは太陽光のシェアが伸びたことで相対的に割合が減ったものと考えられます。水力発電は水が流れているところであれば設置場所になり得ます。特徴として

・発電時にCO2を発しないのでクリーンなエネルギー
・自然の水流をそのまま活用できるので安定している
・発電や管理のコストが安い

といったメリットがある一方、水力発電をそもそも設置するのに向いている場所がダム等であることから、そもそも大掛かりな工事になったり、雨量が安定しない場所では水量が落ち発電量が下がるリスクもあります。

4.地熱

地熱発電は2016年には0.2%、2022年には0.3%とシェアはほぼ横ばいです。温泉があるエリア等では地熱を発しているため地熱発電に向いており、

・24時間発電できる
・温水や蒸気など熱の再利用が可能

というメリットがあります。温泉施設やリサイクルセンター、ゴミ焼却場などと併設して地熱発電設備があることも多いです。ただし、設置に向いている場所がそもそも大規模施設であることが多いため、新たに増やすハードルが高い発電方法といえます。

5.バイオマス

バイオマス発電とは動植物の主に廃棄物を加工してエネルギーに変える発電方法で、2016年の1.9%から2022年には4.6%まで増加し、太陽光に次ぐ成長を果たしています。近年ニュース等でバイオマスというワードを耳にすることも増えたのではないでしょうか。バイオマス発電には、

・施設内で加工処理するため天候に左右されない
・廃棄物の有効活用になりSDGsに直結

といったメリットがある一方、他の再生可能エネルギーと違いエネルギーの元になる資源を収集・運搬・管理をする必要があるため、コストが高いというデメリットがあります。

再生可能エネルギーファンド(再エネファンド)の特徴・投資するメリット

再エネファンドに投資するメリット再生可能エネルギーファンドは将来性がある投資先として魅力があります。具体的にメリットをご紹介します。

メリット1.再生可能エネルギーのシェアは今後も伸びる可能性が高い

前段で紹介した通り、太陽光やバイオマスを中心に再生可能エネルギーのシェアは伸び続けています 。これは二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルを国が促進していることが大きな要因です。

日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを掲げており、従来の石油や石炭のような化石エネルギーを使った発電方法はさらにシェアが下がることが予想されます。そのため、再生可能エネルギーは大きな成長可能性を秘めた産業といえます。

メリット2.少ない投資金額で始められ、利回りが安定している

再生可能エネルギーファンドは1口10万円程度の少額から(投資信託・ETFの場合はさらに少額で)始められるものが多く、投資初心者にとっては比較的始めやすい投資商品 です。また、利回りはさほど高くはありませんが、発電が始まれば安定した稼働を期待できるため、小さめのリスクで長期運用が可能な点は魅力です。

メリット3.投資が社会貢献になる

投資を行うことで環境問題やSDGsに対する取り組みを間接的にサポートできる のもメリットです。単に収益だけを目指すのでなく投資によって社会を良くする社会投資の性質が強い投資といえます。

再生可能エネルギーファンドに投資する注意点・デメリット

再生可能エネルギーファンドに投資するデメリットには、投資対象である設備面でのリスクとカーボンニュートラルが国策であることが関係してきます。また、元本保証がない、中途解約ができないことが多いなど他の投資商品と同じリスクも当然あります。

デメリット1.災害や天候が収益に影響する

再生可能エネルギーの中でも現在シェアが大きい太陽光発電は悪天候が続くと収益が落ちてしまいます。また、地震等で施設にダメージがあると発電に支障をきたすのは、風力や水力、地熱、バイオマスにも共通する点です。設備が故障した場合は復旧まで利益が出ないばかりか、最悪のケースでは施設が廃止になることもあり得ます。

デメリット2.国の政策に左右される可能性も

基本的には日本政府がカーボンニュートラルを促進する限り再生可能エネルギーも市場が拡大する可能性が高いですが、国際協定の今後によっては政府が方針を変えることもあり得ます。また、再生可能エネルギーの導入を促進するために実施していた施策が終了すると、市場の動きが鈍くなったり撤退する事業者が出てくるリスクもあります

代表的な例でいうと、太陽光発電で作られた電力から余ったものを国が定額で買い取るFIT制度においては、買取期間に定められている10年が過ぎたタイミングで、FIT制度ありきで事業を行っていた太陽光事業者の撤退や倒産が相次いでいます。投資をするにあたっては継続的に事業を行う意思がある事業者かファンドかを見極める必要があります。

デメリット3.元本保証がない

これは再生可能エネルギーファンドに限ったことではありませんが、元本保証はないため、仮にファンドが潰れると投資した金額は戻ってきません。安心して預けられる投資先かよく見極めてファンドを選ぶ必要があります。

再生可能エネルギーファンドの将来性は魅力

今回は、再生可能エネルギーファンド について解説してきました。

再生可能エネルギー市場は成長性も高く政府もバックアップしていることで、今後も将来性が見込まれる分野です。社会投資に興味がある投資家にとっても再生可能エネルギーファンドは魅力のある投資商品といえそうです。

一方大前提として、投資をするにあたってはファンド運営母体の信頼度や計画性などをしっかり判断した上で投資先を決めることが大切です。

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  • 記事を書いた人 落合 達也

    早稲田大学社会科学部卒業後、広告代理店を中心に数社経験。2018年よりライターとして独立。年間約150本の企業取材を行い、ビジネス系やHR領域の記事執筆が得意。柔らかくてムニムニしている食べ物が好き。

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