不動産投資にかかるコスト(税金・手数料)にはどんなものがある?
公開日 2024/08/23
最終更新日 2024/08/23
不動産クラウドファンディングの投資対象は、もちろん不動産です。対価を支払って不動産を購入し、その不動産を運用もしくは売却して利益を得るわけですが、実際に現物不動産投資をするとなると、物件の購入費用のほかにも、さまざまなコストがかかります。
そこで今回は、不動産投資にかかるコスト(税金・手数料)について解説します。
不動産購入時にかかるコスト(税金・手数料)
不動産購入時にかかるコストには、以下のようなものがあります。これらを合計すると、購入価格の6〜7%程度となるのが一般的です。1.売買契約書に貼る印紙代
課税文書に対して課税される印紙税があります。売買契約書には以下の印紙税がかかることになります。ただし、2014年4月1日〜2027年3月31日までの期間は、標準税率よりも低い税率となる「軽減税率」が適用されます。不動産売却価格 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
1万円以下のもの | 非課税 | 非課税 |
1万円を超え10万円以下のもの | 200円 | 200円 |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
2.銀行からの借入契約書に貼る印紙代
金融機関から不動産投資ローンを行う際の借入契約書についても印紙税がかかります。契約金額 | 印紙代 |
---|---|
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 |
1億円を超え5億円以下 | 100,000円 |
3.司法書士報酬
不動産登記に関しては司法書士に依頼することになります。具体的には「所有権移転登記」「所有権保存登記」「抵当権設定登記」「相続による所有権移転登記」といったものがあり、合わせた大体の目安は15〜20万円程度です。4.登録免許税
登録免許税は、不動産の登記手続きの際に国に納める税金のことを指します。具体的には、土地評価額×1.5%+建物評価額×2%がかかります。なお、この際の「評価額」は固定資産税証明書に記載されている金額であり、物件売買価格ではありません。5.抵当権設定費用
抵当権の設定には、上記で紹介した司法書士への依頼費用のほか、抵当権設定登記における登録免許税額として、借入金額の0.4%がかかります。6.不動産取得税
不動産取得税は、市町村の役所にある固定資産台帳に登録されている課税標準額をもとに、土地・家屋(住宅)はその3%、住宅でない家屋にはその4%を掛けた額となります。
7.不動産業者への仲介手数料
不動産の売買を行う際は、不動産業者への仲介手数料も発生します。不動産売買の仲介手数料は、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律で以下のように上限額が定められています。売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
売却価格が200万円以下 | 売却価格の5% |
売却価格の200万円超から400万円以下の部分 | 売却価格の4% |
売却価格の400万円を超えた部分 | 売却価格の3% |
上記の金額に、さらに消費税がかかります。
8.火災保険料
不動産投資を行う上で、火災保険への加入は必須です。地震保険をつけないとすると、区分マンションの場合は年間3〜5万円程度、一棟アパートの場合で年間5〜15万円程度となります。不動産運用中にかかるコスト
不動産運用中にかかるコストとしては以下のようなものがあり、その総額は賃料収入の20~30%です。1.固定資産税と都市計画税
運用する不動産には、各自治体が定めた固定資産評価額を基準として固定資産税と都市計画税がかかります。固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して課される税金です。税率は全国的に統一されており、標準的な税率は 1.4%です。一方の都市計画税は市街化区域内にある土地や建物に対して課される地方税です。標準税率は 0.3%ですが、これも地域によって異なる場合があります。
2.大規模修繕費用
一棟アパート・マンションの場合、10年ごとに数百万円から数千万円をかけて屋上防水や給排水設備更新・共用部分のバリューアップリフォームが必要になります。区分マンションの場合は、修繕積立金として毎月数千円~数万円程度をマンションの管理組合に納めることになります。3-1.【個人の場合】賃料収入に対するインカムゲイン課税
不動産の運用によって得た賃料収入にも所得税や住民税などがかかります。所得税
個人名義で物件を所有している場合、サラリーマンであれば、本業の給与収入と不動産収入は合算され、累進課税による所得税が課されます。所得税の税率は以下の通りです。課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円から329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円から694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円から899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円から1,799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円から3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興財源に充てるため、2013年1月1日~2037年12月31日まで、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税で、税率は所得税額に対し2.1%です。個人住民税
個人住民税には、所得に応じた負担を求める「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」があります。所得割の税率は、所得に対して10%(道府県民税が4%、市町村民税が6%)、均等割は、個人住民税は「地域社会の会費」的なものとして負担するもので、その税額は4,000円(道府県民税が1,000円、市町村民税が3,000円)とされています。東京都は所得割として、所得に対して10%(都民税が4%、特別区民税6%)、均等割として5,000円(特別区民税3,000円、都民税1,000円、森林環境税1,000円)となっています。
個人事業税
個人事業主が事業所得に対して課される税金として個人事業税があります。対象となる事業は「法定業種」に該当するもので、不動産賃貸業は「第一種事業」に該当し、事業所得から290万円の事業主控除をしたあとの金額に対して5%の税金がかかります。3-2.【法人の場合】賃料収入に対するインカムゲイン課税
続いて法人のケースについて見ていきましょう。法人税
法人税の税率は以下の通りです。区分 | 適用関係(開始事業年度) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平28.4.1以後 | 平30.4.1以後 | 平31.4.1以後 | 令4.4.1以後 | |||||
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など(注1) | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% | 15% | 15% | 15% | |
適用除外事業者(注2) | 19%(注3) | 19%(注3) | ||||||
年800万円超の部分 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | 23.20% | ||||
上記以外の普通法人 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | 23.20% |
法人住民税
法人住民税は均等割と法人税割の2つの税割で構成されています。均等割は以下表の区分で計算されます。資本金等の額 | 都道府県民税均等割 | 市町村民税均等割 従業者数50人超 | 市町村民税均等割 従業者数50人以下 |
---|---|---|---|
1千万円以下 | 2万円 | 12万円 | 5万円 |
1千万円超1億円以下 | 5万円 | 15万円 | 13万円 |
1億円超10億円以下 | 13万円 | 40万円 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 54万円 | 175万円 | 41万円 |
50億円超 | 80万円 | 300万円 | 41万円 |
さらに、法人税割として、法人税額に以下の税率を掛けた額が徴収されます。
・(都道府県)法人税額×1.0%
・(市町村)法人税額×6.0%
法人事業税
法人事業税は、法人がその事業活動を通じて得た所得に対して課される地方税の一つで、利益に応じた税率が適用されます。法人事業税の税率は、法人の種類や課税所得、事業開始年度、また都道府県によっても異なります。また、資本金が1億円以上の法人には、外形標準課税が適用されます。
地方法人税
「会社が事業を行うことによって得た所得に対してかかる国税」として地方法人税があります。税率は、法人税額に対し、10.3%です。4.借入に対する金利支払い
不動産投資ローンの金利として、借入金額の1~3%程度が返済時にかかります。5.物件管理費用
不動産の管理にかかるる費用で、賃料回収代行や書類作成などの一般事務などが含まれます。費用は、おおむね賃料収入の3~5%程度です。
6.物件維持メンテナンス費用
不動産を健全に維持していくためのメンテナンス費用です。共用部分の電気代・水道代・消防点検・水槽清掃・植栽の剪定などを含みます。区分マンションの場合は修繕積立金として数千円〜2万円程度、一棟マンションの場合は月額5~10万程度となります。
7.賃借人募集費用
空室が出た場合には、賃借人の募集を行います。その費用には、仲介手数料や広告料、原状回復費用などが含まれます。費用相場はおおむね年間賃料収入の7%程度です。
8.日常修繕
一棟アパート・マンションの場合には日常的な修繕費用もかかってきます。物件の規模にもよりますが、具体的には、給湯器・エアコン・自動ドア修理などに年間数十~数百万円程度がかかります。
不動産売却時にかかるコスト
不動産売却時にかかるコストとしては以下のようなものがあり、総額の相場は売却価格の4~6%程度です。1.売却益に対するキャピタルゲイン課税
売却益が発生した場合は、その金額に応じた税金がかかります。個人と法人で異なるため、それぞれ確認しておきましょう。
個人の場合
個人が不動産を売却して利益を得た場合は「譲渡所得税」が課されます。譲渡所得は、「売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除額」で計算され、その額に対して以下の税率を掛けて税額を求めます。
・短期譲渡所得(所有期間が5年以下):39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
・長期譲渡所得(所有期間が5年超):20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
なお、譲渡所得は分離課税の対象で、ほかの所得との損益通算はできません。
法人の場合
「賃料収入に対するインカムゲイン課税」で記載したのと同様、法人税・住民税(法人税割)・住民税(均等割)・事業税(法人事業税)・事業税(地方法人特別税)・地方法人税がかかります。
2.抵当権抹消費用
不動産を売却する際には抵当権を解除する費用がかかります。手続きは司法書士が行うためその依頼費用として1~3万円、さらに登録免許税として1件につき1,000円がかかります。
3.不動産業者への仲介手数料
売却に際して仲介を行った不動産業者へ支払う手数料です。購入時と同様に仲介手数料は、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律で以下のように上限額が定められています。売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
売却価格が200万円以下 | 売却価格の5% |
売却価格の200万円超から400万円以下の部分 | 売却価格の4% |
売却価格の400万円を超えた部分 | 売却価格の3% |
上記の金額に、さらに消費税がかかります。
不動産投資には多くのコスト(税金や手数料)がかかる
今回は不動産投資にかかるコスト(税金・手数料)についてまとめました。不動産にかかる費用で一番大きいのが税金です。そのため、「“手取り”がいくらになるか」のトータルの利回り計算は税引き後ベースで行う必要があります。現物不動産投資を手掛けようと考えている方は、これらの経費も意識しておく必要があります。
反対に、不動産投資でこうしたコストのことは考えたくないという人は、出資後の手間やコストがかからない不動産クラウドファンディングやREIT(不動産投資信託)などの少額不動産投資が向いているといえるでしょう。
>>【徹底比較】不動産クラウドファンディング大手サービス8選
2025/01/23
#投資初心者
2025/01/20
#投資初心者
2025/01/17
#税金・節税
2025/01/15
#税金・節税
2025/01/10
#投資初心者
2024/12/27
#投資初心者