不動産投資ローンと住宅ローンの違いを5つのポイントで詳しく解説
公開日 2023/10/02
最終更新日 2023/12/21
不動産を購入時に利用できる主なローンとして、不動産投資 ローンと住宅ローンがあります。不動産投資ローンは収益用不動産を購入するため、住宅ローンは自宅となる物件を購入するためのローンです。両者には、借入れの目的以外にも様々な違いがあり、実は全くの別物です。
今回は、不動産投資ローンと住宅ローンの主な違い 、そして不動産投資ローンと住宅ローンの併用に関する注意点についてわかりやすく紹介していきます。それぞれの特徴をしっかりと理解したうえで、自身の目的にあわせてローンを上手に活用できるようにしましょう。
住宅ローンとは
住宅ローンは、自身やその家族が住むための建物や土地を購入する際に金融機関からお金を借りる住宅取得専用のローンです。新築を購入する場合だけでなく、中古住宅の購入時にも利用できるほか、リフォームや建て替えなどの際にも利用できます。
ローンには、公的ローン(公的融資)と民間ローン(民間融資)の2種類があります 。公的ローンは国や自治体など公的機関による融資、民間ローンは、銀行や信用金庫、生命保険会社などの民間機関による融資です。銀行ローンとも呼ばれます。また、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している「フラット35」は、国と民間の中間的立ち位置にあると言えます。現在の新規ローンでは、民間ローンとフラット35が主流です。
借り入れ要件は融資元によっても異なりますが、基本的に対象の下限年齢は20歳とされており、勤続年数などの勤務状態や年収基準、保険加入の有無などが審査項目として挙げられます。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、自身の居住用としてではなく家賃収入を得る目的でアパートやマンションなどを購入する際に利用するローンです。アパートローンとも呼ばれます。不動産投資では、そもそも物件を所有しなければ収益を得られません。不動産投資ローンを利用することで、自己資金が不足していても投資用物件を購入することが可能となります。
不動産投資ローンは、銀行や信用金庫、信用組合、日本政策金融公庫、ノンバンクなど様々な金融機関が取り扱っています。年収基準などの返済能力のほか、物件そのものの収益力なども加味されて審査されることになります。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いは?
不動産投資ローンと住宅ローンにおける主な違いを、次の5つの点からみていきましょう。
- 借入れする目的
- 金利
- 返済原資
- 審査内容
- 融資限度額や返済期間
それでは、以下で詳しく解説します。
1.借入れする目的
住宅ローンと不動産投資ローンの一番大きな違いは「何のためにローンを利用するのか」という目的の部分です。住宅ローンは、自身の居住用の物件を購入することを目的に資金を借り入れます。
一方、不動産投資ローンは、第三者に貸して家賃収入を得ることを目的とした物件の購入資金を借り入れます。なお、住宅ローンで不動産投資物件を購入して賃貸収益を得ることは禁止されています。
2.金利
金利を比較すると、不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高いのが特徴 です。その理由は、両者の目的の違いによるものです。
住宅ローンは居住するための物件購入が目的であり、住宅購入の資金補助としての役割も担っています。給与が高くない人や資産が少ない人でも住宅を購入できるよう、住宅ローンの金利は優遇されて低い傾向にあります。
また、住宅ローンは事業用ローンではないことも、不動産投資ローンと比べて金利が低い理由の一つです。不動産投資の場合、空室が続いてしまったり思わぬ家賃の下落が生じてしまう可能性もあります。賃貸事業が上手く行かずに想定していた通りの家賃収入が得られなかった場合、貸し手である金融機関側は貸倒れのリスクがあります。そのリスクを考慮して、不動産投資ローンは金利が高めに設定されているのです。
3.返済原資
住宅ローンと不動産投資ローンは、返済原資を何とするかにおいても違います。返済原資とは、ローンの返済に充てられる資金のことです。
住宅ローンは基本的にローンを組んだ人の月々の給与などの収入が返済原資 です。住宅ローンは個人の消費にかかわるローンであり、返済原資の考え方はほかの個人向けローンと変わりません。
一方、不動産投資ローンにおいては、購入した投資物件から得られる家賃収入が主な返済原資 です。自身の居住用ではなく、収益を得ることを目的とした不動産を購入するための不動産投資ローンは、賃貸経営という事業によって得られる収入を返済原資としています。個人としてローンを契約していたとしても、不動産投資ローンは賃貸事業を行うためのローンであることが、返済原資の出どころの違いにつながっています。
4.審査内容
住宅ローンと不動産投資ローンは返済原資の出どころが異なるため、融資審査の内容においても違いがあります。
住宅ローンでは、個人の「属性」をもとに返済能力の有無を判断されます 。具体的には、年齢、勤務先、勤続年数、年収、資産状況、他の借入状況などです。一般的に、公務員や会社員などのように安定して収入を得られる給与所得者は住宅ローンの審査に通りやすい傾向にあります。
一方、不動産投資ローンでは、個人の属性だけでなく、投資する不動産物件の収益性なども判断材料となります 。収益性の判断基準は、物件の資産価値や立地エリア、築年数、駅からの距離などが挙げられます。前述のとおり、不動産投資ローンの返済原資は主に投資不動産からの収益です。つまり、賃貸運用がうまくいかなければ返済が滞ってしまう可能性があります。そのため、いくら個人の属性が良くても、投資物件の収益性が低いと判断された場合には審査に落ちることも十分考えられるのです。
5.融資限度額や返済期間
住宅ローンよりも不動産投資ローンのほうが、融資額の上限は大きくなります 。自身の居住用に購入した不動産で収益をあげることはできませんが、投資用に購入した不動産では収益が見込めます。また、投資用物件の場合は、区分マンションや一軒家だけでなく、一棟マンションなど一棟まるごと購入する可能性もあります。そのため、融資限度額は住宅ローンよりも不動産投資ローンのほうが高く設定されています。
ただし、不動産投資ローンの融資限度額は、不動産投資物件の収益性などによっても変わります。収益性が高いと認められるほど限度額は高くなります 。また、不動産経営の実績有無も融資限度額に影響します。
返済期間に関しても、住宅ローンと不動産投資ローンとでは考え方が異なります。住宅ローンにおける返済期間は、一般的に完済時の年齢を基準に決めていきます。その一方で、不動産投資ローンの場合、投資物件の法定耐用年数に基づいて決められます。法定耐用年数は建物の構造によって異なり、返済期間は築年数が経過しているほど短くなる傾向にあります。つまり、中古物件を購入する際は、返済期間について注意が必要です。
住宅ローンと不動産投資ローンはどちらも借入れできる?
結論から言うと、住宅ローンと不動産投資ローンを併用して借り入れることは可能です。なぜなら、この2つのローンは借り入れる目的が異なるからです。
では、併用する場合、住宅ローンと不動産投資ローンのどちらを先に組むのが良いのでしょうか。基本的には、まず先に不動産投資ローンを利用して投資物件を購入した後に、住宅ローンで自身の住居を購入することをおすすめします。
先に住宅ローンを組んだ場合、不動産投資ローンにおける審査において、住宅ローンでの残債がマイナスに働く可能性があるためです。その一方で、住宅ローンの審査時に、先に不動産投資を始めて安定した収益が得られていた場合、住宅ローンの審査時にプラスに働く可能性があります。
ただし、先に不動産投資ローンを受けた場合のデメリットもあります。不動産投資ローンの対象となる物件の収益状況が赤字などあまり良くない場合に、住宅ローンの審査で融資枠が減額されたり、最悪審査に落ちてしまったりするなどの可能性も考えられるでしょう。
目的に応じて使い分け無理のない返済プランを
不動産投資ローンと住宅ローン は借入れ目的が異なるゆえに、金利や返済原資、審査内容など様々な点で違いがあります。
住宅ローンは不動産投資ローンに比べて金利面などで優遇されているものの投資用物件の購入時に利用することはできません。しかし、不動産投資ローンと住宅ローンを併用することは可能です。ただし、どちらも大きな資金を借り入れることになるため、無理のない返済計画を立ててローンを組むことがとても重要です。
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