「SOLS WALLET」で新しい不動産投資体験の提供へーー「SOLS」猪子能史氏インタビュー

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#事業者インタビュー
投資初心者でも少額から気軽に不動産投資が行える不動産クラウドファンディングソーシャルレンディングの人気が高まっています。業界への新規参入事業者も増えており、市場規模も年々拡大しています。

そんな不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングのサービス事業者側に焦点を当て、キーパーソンにインタビューを実施する当シリーズ。知られざるサービスの深い部分を“中の人”に直接語っていただきます。

今回は、不動産クラウドファンディングサービス「SOLS(ソルス)」を運営する、株式会社不二興産 代表取締役・猪子能史(いのこ・よしふみ)氏にお話を伺いました。

猪子 能史(いのこ・よしふみ)
株式会社不二興産 代表取締役
1968年、愛知県生まれ。高校卒業後はフリーターとして働く。着物の販売営業職を経て24歳で不動産の販売仲介業を主に手がける会社に転職。支店長まで昇進したのち、31歳で有限会社不二興産を設立する。2009年に株式会社不二興産へ組織変更。2022年に不動産クラウドファンディング「SOLS」をローンチ。宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、2級福祉住環境コーディネーター、相続診断士など多数の資格を保有。

SOLS(ソルス)とは?

「SOLS(ソルス)」は、2022年にサービスを開始した不動産クラウドファンディングサービスです。空き家を再生しグループホームとして活用するプロジェクトなど、ユニークで社会貢献性のあるファンドづくりでも注目を集めています。2023年からは任意組合型の長期運用ファンドシリーズ「SOLS α」もスタートし、さまざまな投資ニーズに応えています。

「SOLS」のネーミングに込めた4つの意味

ーー株式会社不二興産の事業内容についてお聞かせください。

弊社は2000年に設立した会社で、設立以来、収益不動産の買取・販売から不動産管理、さらに不動産に関するコンサルティング業務と事業を広げてきました。そして2022年に不動産クラウドファンディング事業として「SOLS(ソルス)」をスタートしています。

ーー不動産クラウドファンディングに注目し、事業としてスタートすることになったきっかけを教えてください。

一般的に不動産投資を行うには多額の資金が必要になります。そのため、投資先の選択肢に入れていただくには高いハードルがあり、実際に行う人は限られている現状があります。不動産投資は資産形成に非常に有効な手段のひとつですし、この楽しさ・素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いはずっと持っていました。

そんな中で、不特法(不動産特定共同事業法)の改正など、法整備が進んだことで不動産クラウドファンディングが比較的簡単に始められるようになったのが大きかったですね。弊社も早い段階で免許を取得しました。その上で業界の動向を追いつつ準備を進めて、2022年にサービスをリリースしました。

ーー「SOLS」というサービス名の由来を教えてください。

弊社で提供しているサービスの1つに「新・大家ライフ」という、賃貸不動産のコンサルティングサービスがあるんです。「不動産を持つ」ということは、それを賃貸に出して収益を出すという側面以外にも、色々な面があるわけですね。

例えば、売却を考えたときにどうやって相手を探すかとか、相続をどうするかとかもいずれ考える必要があります。あとは収益を増やしていくにしても専業と兼業では将来のプランニングも変わってきますし、手持ち資金やライフスタイルによって不動産の持ち方、運用の仕方は本当に千差万別なんです。そこで、運用や出口戦略、その他もろもろをその人ごと最適化していきましょう、というのが「新・大家ライフ」というサービスです。

「SOLS」の名前は、この「新(S)・大家(O)ライフ(L)」の頭文字を取って「SOL」、でそこに、不動産をシェア(S)するという不動産クラウドファンディングの概念的な意味を付け足して、「SOLS」としています。最後の「S」については、さらに、安心の提供ということで「Safety」や、満足の「Satisfaction」、貯蓄の「Saving」の3つの意味もあり、計4つの「S」の意味が含まれています。

社会貢献にもつながる投資を

ーー「SOLS」のファンドでは、空き家を再生してグループホームとして活用するプロジェクトを定期的に実施しています。この背景についてお聞かせください。

じつは私の身内に障がいを持っている者がおり、 日々障がい者支援施設にお世話になっているんです。ですから、他人事ではなく自分としても何かしら支援できることがあるならやるべきだろうという思いがあったんです。

これはだいぶ前の話になりますが、私がご相談を受けたケースだとなかなか入居できないという現状がありました。それなら自分の会社で買い取って最適なかたちに改装しようじゃないかということで始めたのがきっかけで、それから現在(2023年11月)までに6カ所グループホームへの改装を行っていて、「SOLS」でも2件のファンドを組成しています。

社会貢献にもつながる投資ということで、私たちとしてもやりがいがありますし、実際に投資家の方にも「どうせ同じお金を投資するなら意義のあるところに投資したい」というニーズがあることは伺っていたので「SOLS」でもやってみようということで始めたものです。

ーー「SOLS」のファンドは、劣後出資比率が業界水準と比較しても非常に高いものがあります。どのようにして割合を決めているのでしょうか?

劣後出資に関しては、基本的には案件に応じて適切な割合を設定していますが、さまざまなパターンがある中でまさに試行錯誤しているところです。劣後出資を多く出すことで投資家のみなさんの元本割れリスクを抑えて安心して投資していただけるというメリットを提供できますし、案件によっては逆に劣後出資をある程度抑えることで出資していただきやすくしているものもあります。

ですので、これまでの実績も踏まえつつ、投資家のみなさんのご意見も伺いながら、引き続き案件ごとに最適なものを提供していければと思っています。

ーー物件の選定はどのような基準で行っているのでしょうか?

やっぱり、まずは投資家のみなさんに損をさせないという意味での「安全性」が第一だと思っています。例えば、短期のものだと再生して販売したりもするのですが、そういったケースでは物件のスペックとして立地や築年数も含めて、確実に売却ができることが分かっている安全性の高いものを選ぶというのを「SOLS」では特に重視しています。

ーー物件のエリアとしては、地元・愛知のほかにも東京や大阪、さらに愛媛の案件もありますよね。エリア選定の基準はあるのでしょうか?

「SOLS」に限らず、弊社の事業全体にいえることですが、基本的には愛知・東京・大阪を中心に展開しています。ただ、そのほかにも、今挙げていただいた愛媛もありますし、札幌や福岡、新潟といった都市の物件も扱っています。というのも、日本は世界有数の地震大国で、不動産を扱う際にも当然リスクがつきまといます。そのため、同じ国内でも地域分散することは不動産投資においては非常に重要だと考えています。

これは、投資家のみなさんに地域分散した投資機会を提供するという意味でもそうですし、不動産事業者である私たち自身のリスクをコントロールするという意味においても大切なことだと思っています。

ーー地方の物件だと収益性の部分で不安に感じる方もいらっしゃるのでは?

やはり東京や大阪、愛知といった大きな都市と比べると、地方の案件に不安を感じる人はたしかにいらっしゃると思います。ただ、調査していけば地方でも人口が増えていたり、賃貸需要が安定していたりするところはたくさんあります。そういったところをピックアップして取得していますので、その点はご安心いただければと思います。

不動産投資へのさまざまなニーズに応えるために

ーー2023年は、一般的な匿名組合型のほかに、「SOLS α(ソルス・アルファ)」として任意組合型ファンドの提供も行っていますね。

はい。不動産クラウドファンディングで一般的な「匿名組合型」は、投資家がいくら投資をしても所有権は得られません。一方で「任意組合型」であれば、出資額に応じて不動産を所有しているものとして扱われるので、減価償却など税制上のメリットを得られます。そういう意味で、より現物に近い不動産投資になりますし、実際にそういったメリットを取りたいというニーズも多くいただいていましたので、やってみようということでスタートしています。

第一弾の「SOLS α フジテラス小幡」に関しては最低投資金額は1口50万円となっていて、匿名組合型ファンドと比べると大きい額にはなるのですが、やはり税制メリットを得るという目的を考えると一定の額を投資できる仕組みのほうがよいだろうということでこの設定にしています。

やはり金額が大きくなることもあって、「SOLS α」のほうは経営者や個人事業主といった属性の方に多めに利用いただいていますね。

ーー今お話のあった「SOLS α フジテラス小幡」の運用期間は7年とやや長めになっていますが、途中での売却などは可能なのでしょうか?

原則はできないことになっています。ただ相続など、やむを得ない事情がある場合は、手数料をいただいた上で売却をお受けしています。

ーー今後、さらに長期間のファンドの組成も検討されていたりするのでしょうか?

はい。検討はしていますし、そうあるべきかなと思っています。

ーーより長期のファンドとなると、投資持分譲渡という2次取引のニーズも出てきそうです。

そうですね。不動産クラウドファンディングという業界全体のことを考えれば、2次取引の仕組みができることで市場が活性化するので非常にいいことだと思います。

ただ、任意組合型ファンドは長期で運用しながら価格変動がなく安定している点がREIT(リート)と比較したときのメリットだと思うのですが、2次取引市場ができることで価格が不安定になる可能性もあるので、この点は今後の課題になっていくのかなと思っています。

柔軟な資産管理ができる「SOLS WALLET」

SOLS WALLETーー今年から、新サービスとして「SOLS WALLET(ソルスウォレット)」を発表されています。どういったものなのか、ご説明をお願いします。

「SOLS WALLET」は、「好きなときに出し入れできる新しいかたちの不動産クラウドファンディング」です。不動産クラウドファンディングは、一度投資をしたら基本的には運用が終わるまでは資金が拘束されます。「SOLS WALLET」はそこの課題に着目して、好きなタイミングで財布のように資金を出し入れできるようにしたものです。2次取引とは違ったアプローチで、柔軟な資産管理ができるようにしたいと考えています。

もう1つ大きな特徴として挙げているのは、ファンドの対象物件を運用しながら適宜入れ替えていくという点です。やはり物件が古くなっていくと入居率に影響が出てくることがあります。そういったものを不動産市況を見ながら適宜入れ替えていくことで、収益性を継続的に確保できます。具体的なサービス開始時期については現在検討中ですが、できるだけ早い段階で提供を始めていければと思っています。

ーー今後の展望を含め、記事をご覧の方へメッセージをお願いします。

まずは先ほどお話をした「SOLS WALLET」のリリースが控えております。比較的自由に資金を出し入れできるというのは、不動産クラウドファンディングにおいては新しい投資体験になると思いますので、ぜひ多くの方にご利用いただけたらいいなと思っております。

あとは「SOLS α」で行っている任意組合型ファンドは、まだまだいろんな可能性があると思っています。より多くの方に利用していただくためには、メリットを知っていただくということもそうですし、2次取引も含めた柔軟な取引の仕組みの構築であったり、根本的には不動産クラウドファンディング業界全体の認知拡大という部分も必要不可欠だと思います。

そのために、私たちとしてもさまざまな企画やサービスづくりにチャレンジしていきたいと思っています。

\ 「SOLS(ソルス)」の公式サイトはこちら/

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  • 記事を書いた人 a.sato

    『ゴクラクJOURNAL』編集長。10年余りのラジオディレクター・構成作家の経験を経てライターに転身。延べ300社以上のコンテンツのコンサルティング・ライティング、ブランディングに携わる。以後エンタメ・インフラなどのWebメディアの編集長を歴任したのち現職。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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