不動産クラウドファンディングの選び方を6つのポイントで解説!

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#投資の仕組み・スキーム

不動産クラウドファンディング は、少額から不動産投資ができること、運用に手間がかからないことなどから、資産運用の選択肢として人気が高まっている投資の一つです。 しかし、不動産クラウドファンディングを行う事業者はさまざま存在するため、どの事業者をどういった基準で選べばいいのかという悩みもあるかと思います。

そこで今回は、不動産クラウドファンディングの事業者の選び方 をテーマに、そもそも不動産クラウドファンディングとは何かという概要からメリット・デメリットまで詳しく解説します。

そもそも不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングは、1口1万円からの少額投資が可能という手軽さと、預貯金に比べ利回りが高く、インターネット上で取引が完結することから資金の運用先として、昨今、注目度の高い投資です。不動産クラウドファンディングの仕組みを簡単に説明すると、以下の1から3までの流れになります。
  1. 事業者が、不動産権利を小口化して複数の投資家から資金を集める
  2. 集まった資金で不動産を購入、運用
  3. 収益を投資家へ分配
投資家は事業者のHPから投資したいファンドを見つけて、募集期間内にクラウドファンディングに参加します。ファンドは先着順のものと、抽選のものがあります。投資先となる物件は、住居用不動産、商業施設、医療施設、保育施設など、さまざまな種類があります。海外の物件へのクラウドファンディングもあります。 当然、投資ですので 元本保証 はありません。リスクをよく理解して始めましょう。

不動産クラウドファンディングの選び方6つのポイント

不動産クラウドファンディングをはじめるための 一歩は、運営事業者を選ぶことから始まります。しかし、数ある事業者や多数のファンドから、何を基準に選べばいいのでしょうか?

ここでは、事業者やファンドを選ぶための6つのポイントをお伝えします。

1.取り扱いファンドの数

不動産クラウドファンディングに参加するためには、事業者のサイトから申し込みをします。ファンドによって「先着順」で参加できるものや、「抽選」のものがあります。人気の高い先着順のファンドでは開始からすぐに募集が終了してしまうこともあります。

そのため、ファンドの募集規模が小さい、または、ファンドの取り扱い数が少ない事業者では、なかなかクラウドファンディングに参加できないこともあります。よって、事業者のサイトを選ぶ際は、ファンドの取り扱いの多い業者、また、募集金額の大きい業者がおすすめです。事前にリサーチして、数社に登録しておくのがいいでしょう。

2.不動産の種類や情報量

不動産クラウドファンディングの投資先は、住居用不動産、商業施設、ホテル・旅館などの宿泊施設、保育施設など、多種多様です。ファンドを選ぶときには、利回りだけでなく、投資物件の種類や立地なども重要な判断基準となります。 例えば、住居系不動産の場合、定期的に家賃収入が見込まれるため、比較的安定した分配金(インカムゲイン)が得られます。また、利便性の高い土地や人気のエリアなら、売却益(キャピタルゲイン)も見込めるでしょう。

一方、商業施設や宿泊施設などの場合、世の中の景気や社会情勢により収益が変動する可能性があります。また、海外不動産に投資できるクラウドファンディングは、一般的に利回りが高く魅力的に見えますが、為替変動の影響を受ける場合があるので注意が必要です。

不動産クラウドファンディングは、数あるファンドの中から自分で投資先を選ぶという楽しみはありますが、同じ利回りでも、選ぶファンドによって抱えるリスクが異なることを理解しておきましょう。ファンドを選ぶ際は、自分のリスク許容度と相談して投資先を選ぶことが大切です。

3.運用期間

不動産クラウドファンディングの運用期間は、3カ月から12カ月など、比較的短期間のものが多いですが、中には2年、3年、10年という長期運用のファンドもあります。短期運用は資金が早期に回収できるため、景気の影響を受けにくいことがメリットです。

一方、長期運用は、長期間資金を拘束することになるため、利回りが短期運用より高めに設定されていることがメリットと言えます。したがって、将来的な資金計画の中で、自分に適した投資期間を選ぶようにしましょう。

4.優先劣後割合

不動産クラウドファンディングの特徴として「優先劣後方式 」が採用されることが挙げられます。優先劣後方式とは、投資家の損失リスクを抑える方式です。ファンドに対して、投資家が優先出資を行い、事業者が劣後出資を行うという仕組みです。

優先劣後出資方式をとっているファンドの場合、対象不動産の価値が下落して損失が出た場合、その損失は最初に劣後出資者の事業者が負担することになります。したがって、損失が事業者の劣後出資額を超えなければ、優先出資者である投資家の元本が減ることはありません。

例えば、優先劣後割合が、「70%:30%」の出資総額1億円の不動産の場合で考えてみましょう。

  • 投資家の優先出資金:7,000万円
  • 事業者の劣後出資金:3,000万円

仮にこの物件で2,000万円の損失が出た場合でも、劣後出資者である事業者の出資金から2,000万円が補填されるため、投資家の損失はありません。もし、損失が劣後出資額を超えてしまうと、優先出資者の元本にも影響が生じます。

なお、優先劣後出資方式では、分配金の配当順位も優先出資者→劣後出資者の順です。このように、優先劣後出資方式は、投資家の安全性を高める仕組みです。優先出資率と劣後出資率の割合はファンドによって異なりますので、ファンド選びの指標にできます。

5.事業者の信頼性

不動産クラウドファンディングの事業者を選ぶ際は、必ず、不動産特定共同事業の許可を受けている会社を選んでください。不動産特定共同事業の許可を得るためには、資本金、財産的基礎、人的構成、電子取引業務の体制整備ほか、定められた要件を満たしている必要があります。

出典:国土交通省|不動産特定共同事業の許可の要件

大切な財産を守るために業者選びは重要です。もちろん、許可を受けているから100%大丈夫という保証はありませんが、会社規模、不動産業歴、不動産クラウドファンディングの過去の実績などを調べ、信頼性の高い運営会社を選ぶことが大切です。

6.投資家へのサポート体制

不動産クラウドファンディングは、インターネットで完結する投資です。事前に会員登録をしておけば、PCやスマホから簡単に投資ができます。しかし、取引手数料や、中途解約が可能かなど、事業者によりサービスやサポートに違いがあります。 信頼性の高い事業者同士を比較検討することが大切です。

ほかの不動産投資法との違いは?

不動産クラウドファンディングの特徴不動産投資 と言えば、現物不動産への投資やREIT(不動産投資信託) やソーシャルレンディング あります。これらの投資商品と、不動産クラウドファンディングの違いを見ていきましょう。

1.現物不動産投資との違い

現物不動産への投資先と言えば、アパートやマンションなどの住居系不動産が多いため、オーナーの収益は家賃や譲渡益になります。

現物不動産投資は、安定的な収益が見込まれる一方で、不動産取得時の費用が多額であることや、税金や管理費などのランニングコストなどがかかることから、誰もが気軽に手を出せる投資ではありません。

一方、不動産クラウドファンディングは、不動産投資といっても、権利を小口化しているため、少額から不動産への投資が可能です。無理のない範囲で投資ができるため、投資初心者でも手を出しやすいと言えます。

また、現物不動産を運用するには、管理や運営にマンパワーが必要ですが、不動産クラウドファンディングでは、運用が始まれば基本、償還まで手間がかかりません。

2.REIT(不動産投資信託)との違い

REITとは、不動産投資信託証券のことです。複数の投資家から集めた資金を投資のプロが、商業ビル、オフィスビル、マンションなど複数の不動産を購入して運用します。一つの不動産ではなく、複数へ投資するためリスクの分散にもなっています。

REITは不動産クラウドファンディング同様、少額からの投資が可能です。投資信託のためいつでも売却可能で売却益を狙うこともできますが、安定的に分配金を受け取るためには長期保有が基本です。また、REITは、証券取引所で売買をしますので、不動産クラウドファンディングよりも流動性が高いです。その半面、社会情勢や為替の影響を受けやすいため、REIT自体の価格や分配金に変動リスクがあります。

その点、不動産クラウドファンディングは、あらかじめ運用期間や利回りが決まっているので収益の安定性は高いと言えます。

3.ソーシャルレンディングとの違い

貸付型(融資型)クラウドファンディングのことを、ソーシャルレンディング といいます。ソーシャルレンディングは、インターネットでファンドの募集を行い、複数の投資家から集めた資金を、ソーシャルレンディング会社(事業者)が企業に貸し付けることで利息を受け取り、投資家へ分配するサービスです。

不動産クラウドファンディングと同様、少額からの投資が可能で、こちらも今、注目されている投資方法の一つです。不動産クラウドファンディングとの大きな違いは、不動産クラウドファンディングは特定の不動産に直接投資するのに対し、ソーシャルレンディングは、直接投資するのではなく、間にソーシャルレンディング会社(事業者)が入り融資を行う点です。

ソーシャルレンディングでは、融資先企業の収益が悪化すると分配金が減る可能性があるのと同時に、ソーシャルレンディング会社(事業者)が倒産してしまうと、出資金が戻らなくなるケースもあります。

このようなことから利回りは高めの設定ですが、投資を行う際は事業者の経営状況などを注意深く確認する必要があります。

不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット

次に、不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットを確認していきましょう。

不動産クラウドファンディングのメリット4つ

メリット1.少額から不動産投資ができる

不動産クラウドファンディングは、1口1万円からという少額から始められ、運用期間も短期・中期・長期と選べるため、自分に合うスタイルで比較的気軽に投資が始められます。

メリット2.ミドルリスク・ミドルリターンの投資

定期預金をローリスク・ローリターン、FXや暗号資産をハイリスク・ハイリターンとしたら、不動産クラウドファンディングは、ミドルリスク・ミドルリターンを目指した投資です。

ローリターンでは物足りない、かと言ってハイリスクには踏み込めないという方には向いているのではないでしょうか。

運用期間や利回りはファンドによって異なります。将来の資金計画、リスク許容度内のファンドを選ぶことができます。

メリット3.管理や運用の手間がかからない

不動産クラウドファンディングは、クラウドファンディングに参加できれば、運用が終了して分配金を受け取るまで何もする必要はありません。手間なしの投資と言えます。

メリット4.安定収入が得られる

株式、投資信託、REITなど他の投資は、社会情勢や為替変動により元本や分配金に変動が生じますが、不動産クラウドファンディングは、保証はないものの、設定された利回りで比較的安定した収入が期待できます。

不動産クラウドファンディングのデメリット4つ

デメリット1.分配金が変動する可能性

不動産クラウドファンディングの利回りは、5%~7%と他の投資に比べ高めの設定です。しかし、事業者の倒産、社会情勢、さまざまな要因で予定通りの分配金を得られないリスクはゼロではありません。

デメリット2.中途解約できない場合もある

不動産クラウドファンディングの利回りは償還まで保有した場合の利回りです。投資を始める前には、運用期間や投資額が適切かを検討しましょう。中途解約可能としている事業者もありますが、別途、事務手数料がかかるため運用効率は下がります。

デメリット3.元本割れリスク

不動産クラウドファンディングは投資ですので、元本割れのリスクはゼロではありません。投資不動産の価値が下がると、元本割れの可能性があります。元本割れリスクを下げるために、優先劣後出資方式を採用しているファンドを選ぶようにしましょう。出資割合はファンドごとに異なりますので、劣後出資割合が高いファンドを選ぶこともリスクを下げるコツです。

デメリット4.希望のファンドに投資できないこともある

不動産クラウドファンディングの参加方法は、「先着順」と「抽選」がありますが、先着順で人気の高いファンドは、募集開始後すぐに終了してしまうことがあります。確実にクラウドファンディングに参加したい場合は、「先着順」と「抽選」を併用する、数社の事業者に会員登録をしておくなどの準備が必要です。

不動産クラウドファンディングは事業者とファンド選びが重要

今回は、不動産クラウドファンディングの選び方 について解説しました。

不動産クラウドファンディングは、少額から不動産投資ができること、手間もかからないことから忙しい方に向いているミドルリスク・ミドルリターンの投資です。まずは、信頼できる事業者選びから始めましょう。確実にクラウドファンディングに参加するためには、数社に登録することも検討していいでしょう。そして、リスク軽減のために、優先劣後割合を確認することも大切です。

今後の資産運用先の一つとして不動産クラウドファンディングも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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  • 記事を書いた人 山﨑 裕佳子

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、証券外務員二種保有。通関士として通関業務、メーカーにて海外営業事務、銀行にてテラーなど経験し、FPの道へ。2022年「FP事務所MIRAI」設立。家計の見直しでMIRAIを変えるをモットーに、各種相談、金融記事執筆、書籍監修等、幅広く活動中。

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