ソーシャルレンディングで大損することも?過去の事例も踏まえて解説
公開日 2023/09/01
最終更新日 2023/09/01
資産運用の機運が高まる現在、 ソーシャルレンディング は高利回りを狙えることや手間がかからないことから投資先の一つとして徐々に知名度が高まっています。その一方で、「危ない」「大損する」などネガティブワードが飛び交っているのを目にする機会も多く、運用先として活用すべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ソーシャルレンディングで大損しうるケース や、重要な資金の預け先となるソーシャルレンディング会社を選ぶ際にチェックしたいポイントについて解説していきます。
ソーシャルレンディングとは?
ソーシャルレンディングとは、資金を融資してほしい企業や個人とお金を貸して利息を得たい投資家を結びつけるサービス です。
ソーシャルレンディングを運営する企業(ソーシャルレンディング事業者)はインターネット上で不特定多数の個人投資家から資金を集め、その資金を企業に融資します。融資を受ける企業は契約時に定めた利息をつけてソーシャルレンディング事業者に返済し、個人投資家はこの利息の一部を受け取れます。
ソーシャルレンディングの種類
ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一種であり、「融資型クラウドファンディング」や「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれます。クラウドファンディングは、出資者が金銭的な見返りを求めない「寄付型」や「購入型」と、金銭的な見返りを求める「金融型」に大別されます。ソーシャルレンディングは、金融型、その中でも融資型(貸付型)のクラウドファンディングに分類されます。
ソーシャルレンディング会社のなかには、サービス開始から現在まで元本回収率100%を実績として持つ会社も複数あります。もちろん投資の一つであるため運用にあたっては多様なリスクを抱えますが、運用の手間をかけることなく高利回りを期待できるため、投資家の間で注目を浴びている投資商品の一つです。
ソーシャルレンディングで大損する可能性のあるケース
元本回収率100%の実績があったとしても、今後も元本割れしないことが保証されるわけではありません。では、ソーシャルレンディング投資をするうえで、どのような場合に大損しうるのでしょうか。事前に把握しておくべきソーシャルレンディング特有のリスクも含めて紹介します。
1.貸し倒れが発生した場合
ソーシャルレンディング事業者を通じて融資した企業が倒産するなどして、利息どころか融資した資金が返済されない可能性があります。これを「貸し倒れ」といい、融資先の返済状況によって出資金の一部のみが返済される場合と、出資金全額が返済されない場合があります。
ソーシャルレンディングには元本保証はありません。個人投資家からお金を集める前に、ソーシャルレンディング事業者による融資先企業の事前審査はありますが、経営不振や倒産が発生するリスクは十分に考えられます。
2.為替変動により元本割れした場合
海外が投資先となる外貨建て案件の場合、為替レートの変動によって損失が生じる可能性があります。仮に貸し倒れることなく元本・利息ともに無事に受け取れたとしても、融資した時よりも円高になっていると元本割れするリスクもあることを認識しておきましょう。
例えば、1ドル100円のときに10,000ドル(100円×10,000ドル=100万円)を融資したとします。利息が5%つく場合、返済されるのは元本10,000ドルと5%の利息をあわせて10,500ドルです。元本と利息を受け取った際の為替レートが1ドル80円と円高になっていた場合は84万円(80円×10,500ドル)となってしまい、資産が減少しています。
もちろん融資時より円安傾向になっていれば利息以上の資産増加となりますが、円高時には元本割れの可能性があることも認識しておきましょう。
3.担保価値が低下した場合
ソーシャルレンディングでは、融資先の経営不振などによる貸し倒れリスクに備えて担保が設定されているケースも多くあります。担保があれば、返済が不履行となった場合でも一定の資金を回収できます。ただし、設定した担保の価値が低下した場合などは、融資額を全額補填できるとは限らない点に注意が必要です。
4.運営会社が倒産した場合
ソーシャルレンディングの運営会社そのものが倒産した場合も、個人投資家は大きな損失を抱えうることになります。ソーシャルレンディングの運営会社は「信託保全」が義務付けられていません。
信託保全とは顧客から預かった資産を自社の資産とは区別して信託銀行などに預けて管理することであり、投資家から預かった資金を守る仕組みの一つです。つまり、信託保全をしていないソーシャルレンディング運営会社が倒産した場合は、出資した資金は返還されない可能性が高いといえます。
ソーシャルレンディングで大損しないための5つのポイント
ソーシャルレンディングは高い利回りも狙える一方で、融資先だけでなく運営会社の倒産などでも大損する可能性がゼロとはいえません。そのようなリスクを回避するためにも、できるだけ信用力の高いソーシャルレンディングの運営会社を見極めることが重要です。
ここでは、ソーシャルレンディングの運営会社を選ぶ際にチェックしたいポイントを5つ ご紹介します。
1.運用歴が長く、案件数が多いソーシャルレンディング会社を選ぶ
ソーシャルレンディングの運用歴、つまりサービス提供開始からの年数と、募集案件数に着目しましょう。ソーシャルレンディングの仕組みは歴史がまだ浅く、運用会社の多くは万全な経営・財務状況であるとは言えません。事業を撤退した会社も数多くあるため、多くの案件を取り扱いしながら継続的に運用をしている会社は比較的信用性が高いといえるでしょう。とはいえ、過去には業界最大手であっても行政処分を受けた運営会社もあるため、あくまで参考情報と捉えましょう。
2.過去に行政処分のないソーシャルレンディング会社を選ぶ
まだまだ発展途上であるソーシャルレンディング業界においては、業務停止命令や登録取消しなどの行政処分も多発している のが現状です。投資家から集めた資金を異なる目的で流用したり、虚偽の表示で案件募集をしたりなど不正な運用が次々に発覚しています。必ずしも安心できる判断基準とは言えませんが、過去に行政処分を受けてないかどうかも指標の一つとして確認するとよいでしょう。
3.上場しているソーシャルレンディング会社を選ぶ
運営会社の倒産リスクを低減するために、上場しているかどうかの視点も持っておきましょう。上場するためには、利益水準や流通株式数などクリアしなければならない基準が複数設けられています。つまり、上場企業が運営するソーシャルレンディング会社であれば、財務状況も比較的安定している可能性が高いと考えられます。
4.担保が設定されているソーシャルレンディング会社を選ぶ
担保の有無もチェックしておきたいポイントです。担保がついていると、貸し倒れが発生した場合などに担保を売却して資金を回収できるため元本割れのリスクを低減できます。ただし、損失額が大きい場合や担保価値が下がってしまった場合、担保を売却しても損失すべてを補填できない可能性もある点に注意が必要です。
5.融資先の情報を開示しているソーシャルレンディング会社を選ぶ
融資先企業の情報を積極的に公開しているソーシャルレンディング会社のほうが透明性が高く、出資金の回収可能性も判断しやすいため、納得した上で投資することができます。従来のソーシャルレンディング事業においては融資先についての具体的な情報は公開されていませんでしたが、現在では投資家が適切な投資判断をできるようにするため、融資先情報を開示する動きが高まっています。ソーシャルレンディング会社によって融資先の情報開示への対応スタンスは異なっているため、事前に確認しておきましょう。
知識をつけてソーシャルレンディングでの大損リスクを抑えよう
ソーシャルレンディングで大損するリスクと、その対策 について解説してきました。近年注目を集めているソーシャルレンディングですが、あくまでも投資であり、それによってリターンを狙う金融商品である以上、当然ながらノーリスクというわけにはいきません。
重要なのはどのようなリスクがあり、どのようなケースで被る可能性があるのかを事前に把握しておくことです。リスクを十分に理解し、その対策を講じておくことで大損のリスクを小さくすることも可能です。
ソーシャルレンディングに限らず、さまざまな投資にも言えることですが、「よく分からないけど儲かるらしい」などの理由で始めるのは危険です。メリットとデメリット、双方をしっかり認識しておくことがソーシャルレンディングをはじめとした投資を成功に導く近道と言えるでしょう。
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