不動産ファンドとは?現物不動産投資との違いもチェック
公開日 2023/09/08
最終更新日 2023/09/08
そこで不動産ファンドは現物不動産投資と何が違うのかを比べながら、その内容をチェックしてみましょう。最後までご覧いただくと、不動産ファンドが自分の投資スタイルに合うものかどうかがわかるでしょう。
不動産ファンドとは
不動産ファンドは投資家から集めた資金で不動産を運用し、得た収益を出資額に応じて投資家に配分する仕組みの総称です。複数の物件に資金を投じて、そこから得た利益が投資家に還元されます。投資家は「ひと口いくら」という形で不動産ファンドに出資します。投資口価格が変動するタイプもあり、株式のように売買差益を得ることも可能です。
不動産ファンドの種類
不動産ファンドは大きく次の2つに分類できます。- 不動産投資信託(REIT/リート)
- 不動産特定共同事業
不動産投資信託(REIT/リート)
不動産投資信託 は「REIT(リート)」とも呼ばれます。投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などを運用し利益を投資家に分配するものです。投資家は「不動産信託受益権」を購入します。上場している銘柄は証券市場で少額から購入でき、その売買益を得ることも可能です。公募ファンド
公募ファンドは銀行や証券会社が一般の投資家向けに販売するファンドのことです。株式のように価額が変動し、タイミングを見計らって売却することで売却益を得ることもできます。最低出資額が比較的安く設定されており、出資のハードルが低いのが特徴です。私募ファンド
私募ファンドは限定された投資家に向けた金融商品で、一般に広く販売されることがないファンドのことを指します。上場していないため流動性が低く、換金性の低い商品といえます。そのかわり、公募ファンドのように基準価額が日々変動することはありません。なお、最低出資額は比較的高めに設定されていることが多く、出資のハードルが高くなる傾向があります。不動産特定共同事業
不動産特定共同事業とは、不動産特定共同事業法(不特法) に基いて行われる事業で、複数の投資家が出資したお金をもとに不動産事業を行い、その収益を投資額に応じて投資家へ分配する事業のことを指します。匿名組合型
匿名組合とは、投資家が不動産事業者と「匿名組合契約」を結んで出資を行い、その事業による利益を投資家に分配する契約の形態の1つです。事業を行う事業者の名前は公表されますが、出資者の名前は公表されないことから「匿名組合」と呼ばれています。匿名組合では、対象不動産の所有者は事業者になります。匿名組合員である投資家は、不動産事業による利益を受け取る権利を持ちますが、不動産の所有者ではないため不動産登記は行われず、そのため匿名性があります。
任意組合型
任意組合では、複数の投資家が出資をし、共同で不動産を所有し事業を行います。不動産は組合が管理・運用を行い、利益を各投資家に分配します。共同所有する形式になるため、比較的少額で不動産(一部)を所有することができます。匿名組合型が「利益を受ける権利」に出資するのに対し、任意組合型は「不動産そのもの」に出資する、という点が最大の違いです。投資家は共有持分(出資額に応じた不動産持分)を購入し、その持分を任意組合に現物出資します。投資家は不動産の所有者として登記されます。そのため匿名性はありません。
なお、金銭出資の場合は金銭を払うことで「持分を所有している」とみなされるため、登記が不要で登記費用もかかりません。そのため、近年市場規模が拡大している不動産クラウドファンディングでは金銭出資が主流となっています。
不動産ファンド投資と現物不動産投資の違いは?
不動産ファンド投資と現物不動産投資の違いをチェックしてみましょう。1.不動産の所有権
不動産ファンド投資は、その種類によっては運用する不動産の所有権を有する場合もあれば、所有権を有しない場合もあります。所有権を有する場合には、出資割合に応じた比率分だけとなります。現物不動産投資の場合には投資家が不動産を購入するので、そのすべての所有権を得ることができます。2.不動産の運用益
不動産ファンド投資は運用する不動産の利益から手数料を差し引いて投資家に分配します。一方で現物不動産投資では、手数料はなく家賃収入はすべて投資家が得ます。ただし現物不動産投資には運用などを任せる管理会社への手数料や物件購入時に利用するローン返済などの支払いがあるので、得た家賃収入のすべてが利益となるわけではありません。
3.購入資金と運用にかかる費用
不動産ファンド投資は証券や小口化商品の購入費用として、少額から始めることができます。一方の現物不動産投資はそもそもの物件価格が高く、購入する際には頭金が必要になるほか、登記費用、仲介手数料などの諸費用も必要となります。また運用にかかる費用としては、不動産ファンドの手数料は比較的少額で、ほかには特にランニングコストは発生しません。反対に現物不動産投資は毎月のローン返済や運用会社への管理委託料、固定資産税などのランニングコストが発生します。
4.投資対象
不動産ファンド投資の投資対象は居住用住宅のほかに利回りが高いオフィスビルや商業施設、ホテルなどさまざまです。一方の現物不動産投資の場合、多くの場合は個人で購入できるアパートやマンションなどの居住用住宅となります。不動産ファンドに投資するメリット
不動産ファンドに投資するメリットには次のようなものがあります。メリット1.少額投資できる
不動産ファンドは少額で不動産に投資できるのが最大のメリットです。商品により価格は違いますが、安いものは数千円程度からで始められます。現物不動産を購入するには頭金や登記費用などが必要なほか、毎月のローン返済も発生します。メリット2.物件の管理・運営の手間がない
不動産ファンドは運用する不動産の管理をファンド事業者側が行います。投資家は現物不動産のように管理・運営に携わることがないので、手間がかからないのも大きなメリットです。メリット3.分散投資でリスクを軽減できる
不動産ファンドは少額から投資できるので、異なる商品への分散投資が容易です。また、リートでは、それ単体でも複数の物件で運用しているためリスク分散になります。現物不動産はいくつもの物件を保有することはハードルが上がり分散投資の難易度も格段に高くなります。不動産ファンドであれば、少額で分散投資が可能です。不動産ファンドに投資するデメリット
不動産ファンドに投資するデメリットには次のようなものがあります。デメリット1.レバレッジ効果が得られない
現物不動産を購入する際には、金融機関から資金を借り入れることで自己資金だけでは買えない物件も購入できレバレッジ効果を得ることができます。しかし、不動産ファンドの購入ではこうした借り入れは行なえず自己資金のみで投資を行う必要があり、レバレッジ効果が得られない点はデメリットになります。デメリット2.ファンド事業者の倒産などのリスク
リートに投資するリスクとしてよく挙げられるのが、上場廃止リスクです。上場廃止基準は証券取引所によって異なりますが、これに抵触する場合、上場廃止となります。投資家は上場廃止までに持分を売却する必要がありますが、基準価額が大きく下がる可能性があります。また、リートの事業者も不動産特定共同事業者も同様に倒産するリスクがゼロではなく、その場合にも多大な損失が生じる可能性があります。デメリット3.元本保証がない
不動産ファンドには元本保証はありません。空室が続き家賃収入が途絶えれば、収益率の低下や不動産価値の下落により物件の売却時には大きく値下がりする可能性があります。不動産投資信託は上場廃止のリスクもあり、その場合には証券の基準価額が大きく値下がりすることにもなります。不動産ファンドは少額から投資できるのが魅力
不動産ファンド は現物不動産投資と異なり、わずかな資金で購入できるのが魅力です。複数の商品に分散すればリスク軽減にもつながります。運用はプロに任せますし管理の手間も不要です。
そのぶん運用手数料がかかりますが、投資対象には通常個人では買えない大規模オフィスビル・商業ビル等も投資対象に含まれることがあるため少額資金で投資したい人にはおすすめだと言えます。
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