不動産ファンドを徹底解説!種類やメリット・デメリット、現物不動産との違いは?
公開日 2023/09/08
最終更新日 2026/02/17
不動産投資には現物不動産投資のほかに不動産ファンドに投資する方法があります。
少額から投資できるものですが、実際にどんな投資スタイルなのかがわからないという方も少なくないでしょう。
そこで不動産ファンドは現物不動産投資と何が違うのかを比べながら、その内容をチェックしてみましょう。
- ・不動産ファンドとは、集めた資金で不動産を運用し利益を分配する仕組み
- ・代表例はREIT、私募ファンド、不動産特定共同事業(不動産クラファン)
- ・現物と違い、管理の手間が少なく少額で分散しやすい
- ・一方で元本保証はなく、流動性や手数料、事業者リスクに注意
- ・選ぶ軸は「目的・期間・リスク許容度・換金性・仕組みの透明性」
最後まで読めば、不動産ファンドが自分の投資スタイルに合うものかどうかがわかるでしょう。
不動産ファンドとは
不動産ファンドとは、投資家から集めた資金で不動産を運用し、得た収益を出資額に応じて投資家に配分する仕組みの総称です。
不動産ファンドの定義
不動産ファンドとは、投資家から集めた資金で不動産を運用し、得た収益を出資額に応じて投資家に配分する仕組みの総称です。
複数の物件に資金を投じて、そこから得た利益が投資家に還元されます。
投資家は「ひと口いくら」という形で不動産ファンドに出資します。
商品によっては投資口価格が変動し、株式のように売買差益を得ることも可能です。
不動産ファンドの市場規模は拡大中
不動産ファンド市場は、公的な調査でも「不動産の証券化」を中心に大きな規模へ拡大していることが示されています。
国土交通省の「不動産証券化の実態調査」では、令和6年度末時点における不動産証券化の対象となった不動産または信託受益権の資産総額は約66.6兆円と推計されています。
ARESと三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)の共同調査では、2025年6月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT・グローバルファンド含む)の市場規模が44.9兆円と推計され、前回(2024年12月末:40.8兆円)から増加したことが示されています。
このように、公的調査で把握される証券化市場の大きさに加え、私募ファンド領域でも運用資産が積み上がっており、不動産ファンド市場は拡大基調といえます。
参照:三井住友トラスト基礎研究所|不動産私募ファンドに関する実態調査(2025年7月調査結果)
不動産ファンドの種類
不動産ファンドは大きく次の2つに分類できます。
- 不動産投資信託(REIT/リート)
- 不動産特定共同事業
不動産投資信託(REIT/リート)
不動産投資信託は「REIT(リート)」とも呼ばれます。
投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などを運用し利益を投資家に分配するものです。
投資家は「不動産信託受益権」を購入します。
上場している銘柄は証券市場で少額から購入でき、その売買益を得ることも可能です。
リートは、不動産の権利ではなく、「利益を受け取る権利を買う投資である」といえます。
リートには「公募ファンド」と「私募ファンド」の2種類があります。
公募ファンド
公募ファンドは銀行や証券会社が一般の投資家向けに販売するファンドのことです。
株式のように価額が変動し、タイミングを見計らって売却することで売却益を得ることもできます。
最低出資額が比較的安く設定されており、出資のハードルが低いのが特徴です。
私募ファンド
私募ファンドは限定された投資家に向けた金融商品で、一般に広く販売されることがないファンドのことを指します。
上場していないため流動性が低く、換金性の低い商品といえます。
そのかわり、公募ファンドのように基準価額が日々変動することはありません。
なお、最低出資額は比較的高めに設定されていることが多く、出資のハードルが高くなる傾向があります。
不動産特定共同事業
不動産特定共同事業とは、不動産特定共同事業法(不特法)に基いて行われる事業で、複数の投資家が出資したお金をもとに不動産事業を行い、その収益を投資額に応じて投資家へ分配する事業のことを指します。
「電子取引業務」は、いわばインターネット上で契約の締結・申し込みを行う業務のことを指します。
匿名組合型
匿名組合とは、投資家が不動産事業者と「匿名組合契約」を結んで出資を行い、その事業による利益を投資家に分配する契約の形態の1つです。
事業を行う事業者の名前は公表されますが、出資者の名前は公表されないことから「匿名組合」と呼ばれています。
匿名組合では、対象不動産の所有者は事業者になります。
匿名組合員である投資家は、不動産事業による利益を受け取る権利を持ちますが、不動産の所有者ではないため不動産登記は行われず、そのため匿名性があります。
任意組合型
任意組合では、複数の投資家が出資をし、共同で不動産を所有し事業を行います。
不動産は組合が管理・運用を行い、利益を各投資家に分配します。
共同所有する形式になるため、比較的少額で不動産(一部)を所有することができます。
匿名組合型が「利益を受ける権利」に出資するのに対し、任意組合型は「不動産そのもの」に出資する、という点が最大の違いです。
投資家は共有持分(出資額に応じた不動産持分)を購入し、その持分を任意組合に現物出資します。
投資家は不動産の所有者として登記されます。そのため匿名性はありません。
なお、金銭出資の場合は金銭を払うことで「持分を所有している」とみなされるため、登記が不要で登記費用もかかりません。
そのため、近年市場規模が拡大している不動産クラウドファンディングでは金銭出資が主流となっています。
不動産ファンド投資と現物不動産投資の違いは?
不動産ファンド投資と現物不動産投資の違いをチェックしてみましょう。
| 比較項目 | 不動産ファンド | 現物不動産 |
|---|---|---|
| 所有権 | 持たないことが多い | 原則として物件の所有者になる |
| 収益の受け取り | 分配金 | 家賃収入 |
| 初期費用 | 少額から開始しやすい | 頭金・登記・仲介などが必要 |
| 運用の手間 | 原則として事業者が運用 | 管理や意思決定を自分で行う(委託も可) |
| レバレッジ | 原則として自己資金中心 | ローンで拡大しやすい |
1.不動産の所有権
不動産ファンド投資は、その種類によっては運用する不動産の所有権を有する場合もあれば、所有権を有しない場合もあります。
所有権を有する場合には、出資割合に応じた比率分だけとなります。
現物不動産投資の場合には投資家が不動産を購入するので、そのすべての所有権を得ることができます。
2.不動産の運用益
不動産ファンド投資は運用する不動産の利益から手数料を差し引いて投資家に分配します。
一方で現物不動産投資では、手数料はなく家賃収入はすべて投資家が得ます。
ただし現物不動産投資には運用などを任せる管理会社への手数料や物件購入時に利用するローン返済などの支払いがあるので、得た家賃収入のすべてが利益となるわけではありません。
3.購入資金と運用にかかる費用
不動産ファンド投資は証券や小口化商品の購入費用として、少額から始めることができます。
一方の現物不動産投資はそもそもの物件価格が高く、購入する際には頭金が必要になるほか、登記費用、仲介手数料などの諸費用も必要となります。
また運用にかかる費用としては、不動産ファンドの手数料は比較的少額で、ほかには特にランニングコストは発生しません。
反対に現物不動産投資は毎月のローン返済や運用会社への管理委託料、固定資産税などのランニングコストが発生します。
4.投資対象
不動産ファンド投資の投資対象は居住用住宅のほかに利回りが高いオフィスビルや商業施設、ホテルなどさまざまです。
一方の現物不動産投資の場合、多くの場合は個人で購入できるアパートやマンションなどの居住用住宅となります。
5.管理・運用
不動産ファンドは物件の運営判断や管理業務を事業者が行うため、投資家の手間は小さくなります。
現物不動産は、意思決定の自由度が高い反面、管理や手配の負担が発生します。
時間を投下できるかどうかで、向き不向きが分かれます。
6.手数料・利回り
不動産ファンドは、管理報酬や運用報酬などが分配原資から控除される設計が一般的です。
現物不動産は、手数料の名目が分かれているだけで、仲介、管理、修繕などの支出が発生します。
どちらも「表面利回り」だけでなく、差し引き後のイメージで比較することが大切です。
7.換金性・流動性
上場REITは市場で売買できるため換金性が高い一方、価格変動の影響を受けます。
非上場ファンドやクラファンは原則として満了まで保有する設計が多く、途中換金が難しいことがあります。
現物不動産は売却できるものの、買い手探しや手続きで時間がかかりやすいです。
8.税金
税金は商品や契約形態で扱いが変わるため、最終的には個別確認が必要です。
現物不動産は減価償却や諸費用の考え方が関わる一方、金融商品系は分配金の課税関係が中心になります。
税負担まで含めて最適化したい場合は、税理士など専門家に相談すると安心です。
不動産ファンドに投資するメリット
メリット1.少額投資できる
不動産ファンドは少額で不動産に投資できるのが最大のメリットです。
商品により価格は違いますが、安いものは数千円程度からで始められます。
現物不動産を購入するには頭金や登記費用などが必要なほか、毎月のローン返済も発生します。
メリット2.物件の管理・運営の手間がない
不動産ファンドは運用する不動産の管理をファンド事業者側が行います。
投資家は現物不動産のように管理・運営に携わることがないので、手間がかからないのも大きなメリットです。
メリット3.分散投資でリスクを軽減できる
不動産ファンドは少額から投資できるので、異なる商品への分散投資が容易です。
現物不動産はいくつもの物件を保有することはハードルが上がり分散投資の難易度も格段に高くなります。
また、リートでは、それ単体でも複数の物件で運用しているためリスク分散になります。
メリット4.専門家が運用してくれる
不動産ファンドは、物件取得、賃貸運営、売却などをプロが担う設計が一般的です。
投資家は案件選びとリスク管理に集中できるため、再現性のある投資行動を取りやすくなります。
ただし、運用者の実力差は出るため、実績や情報開示の姿勢も確認しましょう。
メリット5.大型物件・優良物件に投資できる
個人で買いにくい大型物件や好立地案件でも、ファンドなら小口で参加できることがあります。
投資対象の幅が広がる点は、ポートフォリオ設計の自由度につながります。
特にエリア分散や用途分散をしたい方にとって、選択肢が増えるのはメリットです。
不動産ファンドに投資するデメリット
不動産ファンドに投資するデメリットには次のようなものがあります。
デメリット1.レバレッジ効果が得られない
現物不動産を購入する際には、金融機関から資金を借り入れることで自己資金だけでは買えない物件も購入できレバレッジ効果を得ることができます。
しかし、不動産ファンドの購入ではこうした借り入れは行なえず自己資金のみで投資を行う必要があり、レバレッジ効果が得られない点はデメリットになります。
デメリット2.ファンド事業者の倒産などのリスク
リートに投資するリスクとしてよく挙げられるのが、上場廃止リスクです。
上場廃止基準は証券取引所によって異なりますが、これに抵触する場合、上場廃止となります。
投資家は上場廃止までに持分を売却する必要がありますが、基準価額が大きく下がる可能性があります。
また、リートの事業者も不動産特定共同事業者も同様に倒産するリスクがゼロではなく、その場合にも多大な損失が生じる可能性があります。
デメリット3.元本保証がない
不動産ファンドには元本保証はありません。
空室が続き家賃収入が途絶えれば、収益率の低下や不動産価値の下落により物件の売却時には大きく値下がりする可能性があります。
不動産投資信託は上場廃止のリスクもあり、その場合には証券の基準価額が大きく値下がりすることにもなります。
自分にあった不動産ファンドの選び方
不動産ファンドは種類が多く、選び方を誤ると目的と合わない投資になりがちです。
ここでは、初心者でも判断しやすい選び方の軸を整理します。
投資目的から選ぶ
安定した分配を重視するのか、値上がり益も狙いたいのかで選ぶ商品は変わります。
分配重視なら賃料収入中心の設計、売買益狙いなら価格変動を許容する設計が候補です。
目的が曖昧だと商品選びもぶれるため、まずはゴールを言語化しましょう。
リスク許容度で選ぶ
価格変動に耐えられるか、元本割れをどこまで許容できるかを整理します。
値動きが大きい商品ほどリターンの幅も広くなります。
不安が強い場合は、分散投資と投資額のコントロールから始めるのがおすすめです。
投資期間で選ぶ
短期で現金化したいなら換金性の高い商品が向きます。
中長期で運用できるなら、満了まで保有する設計の商品も検討しやすくなります。
投資期間は「いつ使うお金か」で決めると失敗しにくいです。
投資金額で選ぶ
投資額が小さいほど、分散しやすく、失敗したときの痛手も限定できます。
最初は無理なく続けられる金額から始め、経験を積んで調整するのが現実的です。
特に初心者は、投資額よりも「比較して選ぶ習慣」を優先すると精度が上がります。
複数ファンドを比較して選ぼう
同じ利回りでも、運用期間、換金性、優先劣後の有無、手数料、情報開示の丁寧さは大きく異なります。
「想定利回りだけ」で決めるのではなく、条件を並べて比較するのが基本です。
比較の質が上がるほど、長期的な投資結果も安定しやすくなります。
手軽に不動産投資を始めるなら不動産クラファンがおすすめ
不動産ファンドの中でも、少額で始めやすく比較検討しやすい選択肢として、不動産クラウドファンディングがあります。
現物不動産と比べて始めるハードルが低く、投資の入り口としても検討しやすいのが特徴です。
不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングは、不特法に基づく小口不動産投資をオンラインで行える仕組みです。
投資家が出資し、事業者が物件を運用して、賃料収入や売却益などを分配します。
案件ごとに、運用期間や想定利回り、リスク要因が提示されるのが一般的です。
不動産クラウドファンディングの特徴
まず押さえておきたい不動産クラファンの特徴は以下のとおりです。
少額から始められる:1万円程度から投資できる案件もあり、現物不動産よりハードルが低い。
運用はプロにお任せ:物件の購入・運営・売却は事業者が行い、投資家は出資して分配を受け取ります。
運用期間が決まっていることが多い:「6ヶ月」「12ヶ月」など期間が決まっていて、満了後に償還される設計が一般的です。
分配の元は「家賃」や「売却益」:家賃中心は比較的安定しやすく、売却益の比重が大きいほど市況の影響を受けやすい。
元本保証ではない:空室や価格下落で分配が減ったり、元本割れする可能性はあり。
途中でお金を引き出しにくい:原則は満了まで保有なので、すぐ使う予定のお金は投資しないのが基本。
案件によって「守りの仕組み」がある:優先劣後など、損失を緩和する設計がある場合もあるため、劣後割合は確認すると安心です。
まずは「運用期間」「分配の元」「途中解約できるか」「守りの仕組み(優先劣後など)」の4点をチェックして比較するのがおすすめです。
他の不動産ファンドとの違い
不動産クラファンは、上場REITのように市場で日々売買するというより、運用期間を決めて満了まで保有する設計が多いです。
そのため価格変動のストレスが小さい一方、途中換金が難しい場合があります。
「換金性」と「値動きの小ささ」のどちらを重視するかで向き不向きが分かれます。
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不動産ファンドは、商品ごとに条件が大きく違うため「比較できるかどうか」で成果が変わります。
特に不動産クラファンは、募集方式、運用期間、想定利回り、劣後割合、募集状況など比較ポイントが多く、公式サイトを見比べるだけでも時間がかかります。
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