太陽光発電ファンドと不動産特定共同事業法(不特法)の関係を解説

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#投資の仕組み・スキーム
太陽光発電事業を目的として、宅地や建物を購入するケースは少なくありません。 太陽光発電が目的となる不動産から収益を得て投資家に分配したら、 不特法(不動産特定共同事業法) の対象になることが考えられます。 

そこで今回は、太陽光発電ファンドと不特法の関係 について解説します。法規制が適用される状況、太陽光発電ファンドを可能にする不特法のスキーム、不特法以外でも 太陽光発電ファンド を可能にするスキームなどもあわせて解説します。 

太陽光発電ファンドとは

太陽光発電ファンドとは

太陽光発電ファンドは、複数の投資家から出資を受けて、再生可能なエネルギーに投資するという太陽光発電による資産運用です。個人で太陽光発電投資をするには、設備などの初期費用が高額となります。しかし、ファンドで多くの出資者を集めることで投資家一人あたりの負担を減らせるため、身近な資産運用となってきました。

不動産特定共同事業法(不特法)とは

不特法とは、「不動産特定共同事業法」を略した言葉で、現物不動産で投資ファンドを運用することへの規制のために、1995年4月に施行されました。

不動産投資は法で規制されないままだと損益が莫大になってしまうため、法による規制によって事業者も投資家もリスク範囲を制限するために作られた法律です。なお、不特法の要件を満たさなければ、不動産特定共同事業者は営業を認められない仕組みになっています。

太陽光発電ファンドに不動産特定共同事業法(不特法)が適用されるケース

太陽光発電ファンドに不動産特定共同事業法(不特法)が適用されるケース

太陽光発電ファンドは、一般的な不動産投資の認識だと不特法の規制対象になるため注意が必要です。

ここでは、違法になる場合と合法になる場合の2つのケースを見てみましょう。

【違法】になる場合

発電設備の設置場所が所有する不動産であれば違法になります。太陽光発電の場合は、発電設備を設置する土地を安易に購入してしまうと、法に触れる可能性があります。

設置場所となる土地 所有する不動産
発電設備 所有する動産

【合法】になる場合

発電設備の設置場所が賃貸であれば合法となります。

設置場所となる土地 賃貸
発電設備 所有する動産

太陽光発電ファンド事業者と投資家をつなぐ関係

太陽光発電ファンド事業者と投資家をつなぐ関係は、次のとおりです。

  1. 特別目的会社(SPC)と第二種金融商品取引業者が業務委託契約
  2. 第二種金融商品取引業者から匿名組合員の投資家 へ出資勧誘
  3. 投資家は特別目的会社(SPC)へ匿名組合出資する
  4. 特別目的会社(SPC)は投資家へ運用益を配当する

特別目的会社(SPC)は、SPC法で定める不動産など資産の流動化が目的となる会社です。第二種金融商品取引業者は、ファンドの自己募集や募集の取扱いを事業とする業者になります。そこに匿名組合員である投資家をあわせた三者間で取引をします。

太陽光発電ファンドを可能にする不動産特定共同事業法(不特法)のスキームとは?

不特法のスキームは、不動産を持つ特別目的会社(SPC) が規制対象とならない仕組みで、対策となる事業を設立することで、規制対象から回避できます。
2013年の法改正により、下記の仕組みで不動産を持つ特別目的会社(SPC)が、不動産を所有したまま運用できるようになりました。

主体となる発電事業のSPCにかかわる仕組み

太陽光発電事業の特別目的会社(SPC)は、2013年まで法規制の対象でした。規制の対象だった要因は、発電設備の設置場所となる土地(不動産)を所有している点です。

2013年末の法改正により、現在では次のような仕組みで運用できるようになりました。

  1. 不動産特定共同事業者(第3号事業者)に業務委託する
  2. 新規設立した特別目的会社(SPC)に所有する土地を貸し出す貸借契約を結ぶ
  3. 不動産特定共同事業者(第4号事業者)に業務委託する
  4. 匿名組合員の投資家から匿名組合出資を集める
  5. 匿名組合員の投資家に配当する
  6. 発電設備の設置用土地を所有する

新設した発電事業の特別目的会社(SPC)に関わる仕組み

新設した特別目的会社(SPC)は、主体となる特別目的会社(SPC)から土地を借りて所有する発電設備で太陽光発電事業に取り組みます。

  1. 土地を所有するSPCから土地を借りる貸借契約を結ぶ
  2. 匿名組合員の投資家から匿名組合出資を集める
  3. 匿名組合員の投資家に配当する
  4. 第2種金融商品取引業者に業務委託する
  5. 発電設備(動産)を所有する

匿名組合員の投資家

不特法のスキームでは、投資家が2つの特別目的会社(SPC)に出資する形となります。

  1. 不動産特定共同事業者(第4号事業者)から出資勧誘を受ける
  2. 第2種金融商品取引業者から出資勧誘を受ける
  3. 土地を所有する特別目的会社(SPC)に匿名組合出資する
  4. 土地を所有する特別目的会社(SPC)から配当をもらう
  5. 土地を借りている特別目的会社(SPC)に匿名組合出資する
  6. 土地を借りている特別目的会社(SPC)から配当をもらう

不動産特定共同事業法(不特法)以外で太陽光発電ファンドを可能にするスキーム

不特法の規制対象にならずに太陽光発電ファンドで運用するには、不特法以外のスキームで事業の仕組みを構築できます。

ここでは、不特法以外で法規制を回避できる2つの対策として、「信託スキーム」と「TMKスキーム」について解説します。

信託スキーム

信託スキームは、特別目的会社(SPC)が発電設備を設置する土地を信託銀行に譲渡することにより、不特法の規制を回避します(発電設備は自己所有)。

譲渡した土地に信託受益権を保有して、信託銀行からの利益還元を受ける仕組みです。

運営主体となる特別目的会社(SPC)を取り巻く事業の仕組みは次のとおりです。

  1. アセットマネージャーに業務委託する
  2. 信託銀行に発電設備を設置する土地を譲渡する
  3. 信託銀行から利益還元を受ける
  4. 匿名組合員の投資家から匿名組合出資を集める
  5. 匿名組合員の投資家に配当する
  6. 第2種金融商品取引業者に業務委託する
  7. 第2種金融商品取引業者は投資家に出資勧誘する
  8. 発電設備の設置用土地を所有する

信託スキームの仕組みは、上記の関係で連携しています。特別目的会社(SPC)がアセットオーナーになって、専門的な取組みを信託銀行やアセットマネージャーに委託する形式です。

TMKスキーム

TMKスキームは、資産流動化法で定められている特定目的会社(TMK)として運用する仕組みです。運営主体となる特別目的会社(SPC)は、不特法対策として資産流動化法のもと土地の所有が認められます。

特別目的会社(SPC)と連携する事業の仕組みは次のとおりです。

  1. アセットマネージャーに業務委託する
  2. 匿名組合員の投資家から優先出資を受ける
  3. 匿名組合員の投資家に配当する
  4. 第1種金融商品取引業者に業務委託する
  5. 第1種金融商品取引業者は投資家に出資勧誘する
  6. 資産流動化法のもと土地を所有する
  7. 発電設備の設置用土地を所有する

TMKスキームは、資産流動化法による税制上の適用を受けるため、優先出資を募集する投資家に対して社債発行が必要になる場合もあるようです。

ただし、投資家からの優先融資が受けることが条件となり土地の所有が認められます。

不動産特定共同事業法(不特法)の投資と他の投資の違いを知っておこう

本記事では、太陽光発電ファンドと不特法の関係 について解説しました。

太陽光発電ファンドへの投資は、不特法という法律によって行われています。不特法は、法改正により投資家の利益とファンド事業の健全性が強化されています。太陽光発電ファンドは、2013年の改正により不動産を所有する特別目的会社(SPC)が運用できるようになりました。要するに、不動産を持つ特別目的会社(SPC)と不動産を持たない特別目的会社(SPC)の連携により規制力を担保しているわけです。

ポイントは、業務委託に第3号事業者と出資勧誘に第4号事業者を必要とする点です。複数の事業者に役割を分散することで、投資ファンドの可能性を広げています。

特法以外のスキームで規制対象にならない太陽光発電ファンドの事業は、「信託スキーム」と「TMKスキーム」です。不特法は、法改正により投資家の利益とファンド事業の健全性が強化されていますので、今後の太陽光発電ファンド事業の仕組みにも期待が掛かります。

参照元(PV eye SPCアセットマネジメント株式会社 不特法解説マニュアル

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

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