maneo(マネオ)事件とは?ソーシャルレンディングのトラブル事例からリスクを学ぼう

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#リスクマネジメント #事例
ソーシャルレンディングサービスの「maneo(マネオ)」が行政処分を受けた事件をご存知でしょうか。貸付先の資金使途が応募内容に記載されているものと異なることが判明し、maneo社の管理不足を指摘された一連の事件のことを指すものです。

今回は、そんな「maneo(マネオ)事件」の概要と、そこから考えられるソーシャルレンディングの選び方を解説します。ソーシャルレンディング投資に関するリスクを学びたい人はぜひ参考にしてみてください。

maneo(マネオ)とは

「maneo」はmaneoマーケット株式会社が運営していたソーシャルレンディングサービスです。以下が運営会社の概要です。

会社名 maneoマーケット株式会社
所在地 東京都品川区西五反田7丁目17番7号
設立日 2007年8月30日
資本金 3億851万8,500円
代表者 代表取締役 佐藤友彦
登録免許 関東財務局長 (金商) 第2011 号
加入協会 一般社団法人第二種金融商品取引業協会

サービス内容は一般的なソーシャルレンディングのスキームで、投資家から集めた資金を、企業などの借り手に貸し付け、その返済金と利息を原資に投資家へ配当金を支払うというものです。なお、2019年7月以降は新規ファンドの募集をしていません。

maneo事件はなぜ起きたのか?概要を解説

2018年7月6日に証券取引等監視委員会はmaneoマーケット株式会社(以下maneo社)に対して行政処分を求める勧告を行いました。

maneo社の虚偽の表示

関東財務局では、maneo社には以下のような問題があったことを指摘しています。

maneo社は2016年10月5日以降、ソーシャルレンディングのプラットフォームにおいて株式会社グリーンインフラレンディング(以下GIL社)を営業者とするファンドの取得勧誘を行いました。2017年12月末における出資者数は3,084名、貸付残高は約103億円となっていました。

maneo社はファンドの取得勧誘においてファンド資金はファンドごとに特定の太陽光発電所やバイオマス発電所などの再生可能エネルギー事業に支出すると表示していました。しかし実際にはGIL社が資金を貸し付けたGIL社の本社(A社)はmaneo社のプラットフォームサイトで表示している出資対象事業とは異なる事業などへ支出している事例が多数確認されました。

maneo社はウェブサイトで表示している資金使途と同一であるかを確認せずにファンドの取得勧誘を続けていました。これが結果的に虚偽の表示と認められることになりました。

情報参照:maneoマーケット株式会社に対する行政処分について|証券取引等監視委員会関東財務局 

maneo社の管理上の問題

maneo社の管理上の問題として、法令上は虚字表示などの禁止行為が規定されているにもかかわらず、ファンド資金の使途などを確認せずにGIL社の本社など関係会社に一任していたことが挙げられています。

以上の問題点において証券取引等監視委員会は業務改善命令の行政処分を行いました。なお、maneo社は2018年8月13日に関東財務局に対して改善対応策などを報告しています。

maneo社のその後の対応

ただmaneo社ではその後も「ガイアファンディングセレクトファンド79号」や「ガイアファンディングセレクトファンド164号」といった融資案件でも返済遅延が発生しています。2019年に入っても次のような案件で遅延が発生しました。
  • 不動産担保付きローンファンド628号
  • 【不動産担保付き】1,200億円突破記念ローンファンド
  • 不動産担保付きローンファンド1515号、1544号~1548号、1554号~1557号
その後も多数の遅延が発生し続ける中、2019年7月16日以降は新規ファンドの受付を終了し、2018年12月3日に設置した経営改善委員会を解散した旨の報告が9月17日付で報告されました。

GIL社に対しては2021年3月8日付で東京地方裁判所に債権者破産申立てを行い、4月9日に破産手続き開始の宣告を発令しています。

遅延発生に関する報告は2021年1月4日の報告をもって以降はなされていません。2019年11月25日にパルティール債権回収株式会社と業務提携契約を締結し回収業務に注力すると報告していますが、延滞案件の進捗に関する報告は2020年5月以降は報告がありません。

maneo事件から学ぶソーシャルレンディングを選ぶポイント

ソーシャルレンディングを選ぶポイントmaneo事件からソーシャルレンディングを選ぶためのポイントがいくつかわかります。利回りの高さだけに目を向けるのではなく、ソーシャルレンディング事業者そのものの経営や貸付先の事業者が信頼できるところなのかを確認することが重要です。

ポイント1.高利回り案件に資金を集中しない

ソーシャルレンディングには高利回りの案件もありますが、どれが危険なのかを判別するのは難しいものです。「maneo」でも利回りが9%を超えるファンドが数多くあり人気を集めましたが、その運営・管理は正常に行われていませんでした。maneo社における詳細な運営・管理状況までは投資家にはわからないものです。

また、「maneo」で不動産担保付きのローンファンドでも遅延が発生した例があるように、担保があっても完全に安心できるわけではありません。高利回り案件にはリスクが伴うことを理解し、リスク分散のために高利回り案件ばかりに資金を集中しないことをおすすめします。

ポイント2.過去に返済遅延や貸し倒れのあるサービスを避ける

過去に返済遅延や貸し倒れがあったソーシャルレンディングサービスへの投資には慎重になったほうがよいでしょう。事実、行政処分を受けて業務改善に努めていたものの、その後も投資家への支払いが遅れる案件が「maneo」では多数発生しています。

遅延や貸し倒れの発生にはさまざまな要因がありますが、「maneo」の例は、ずさんな審査体制やコンプライアンス意識の低さは一朝一夕で改善するのが簡単ではないことを示唆しています。

3.融資先に関する情報をチェックする

ソーシャルレンディングサービスが開示している融資先に関する情報は、必ずチェックしてファンドを選ぶようにしましょう。

例えば、maneo社で支払い遅延が発生した案件に、事業者Aが借り手となり不動産事業者Bに融資するものがありました。事業者Aは事業者Bが取得する土地と建物を担保としており、事業者Aが保有する財産は担保対象となっていませんでした。そのため遅延が発生しても事業者Aの財産に対する強制執行はできない仕組みになっていました。

この場合、あくまでも事業者Bの事業が計画通りに進むかどうかがポイントになります。事業者Aにどれほどの実績があっても事業者Bに関する情報を入手できなければ信用できる案件なのかどうかの判断ができません。そのため、事業者だけでなく最終融資先の情報も確認することが重要です。

近年ソーシャルレンディングは規制強化が進んでいる

近年、ソーシャルレンディングでは、投資家に対する定期的な情報提供を義務付けるなど、規制強化が進んでいます。これには、「maneo」でも発生した資金使途の偽装などを防止する狙いがあります。

こうした規制強化によって、業界の健全性は高まっていくことが予想されるため、投資家にとってはよいニュースであるといえます。ただし一方で、「ソーシャルレンディングは危ない」といったイメージが根強くあるのも確かです。

各事業者はこのようなイメージをどのように覆し、安全性を訴求していけるかが、新規投資家の獲得や今後の業界全体の市場規模拡大に欠かせなくなっていくでしょう。

maneo事件からソーシャルレンディングのリスクを学ぼう

今回は、ソーシャルレンディングにおいて多くの投資家が被害を被ることになった「maneo(マネオ)事件」について解説しました。

ソーシャルレンディングは高い利回りが魅力ですが、その反面リスクが高い案件も少なくありません。事実、「maneo」に限らず、ほかのいくつかのサービスでもトラブルは発生しており、投資商品の特性上、今後も遅延の発生などは起こり得るリスクとして理解しておく必要があります。

こうしたリスクを完全に防ぐことは困難ですが、投資先の見極めや分散投資などによってリスクを和らげることは可能です。過去の事例に学び、ソーシャルレンディングにおける正しいリスクマネジメントを心かげましょう。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    『ゴクラクJOURNAL』は、不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング、事業型ファンドといった少額投資ファンドに関する情報や、投資・お金、その他ファイナンシャルテクノロジーに関する情報を提供しています。編集部では、投資初心者の目線に立ったユーザーファーストのメディア運営を目指しています。

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