“コテコテ” で突き抜け、真似のできないサポートを。ーー「なにわファンド」内藤綾子氏インタビュー

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#インタビュー
新NISAもスタートし日本全体で投資熱が高まる中、不動産クラウドファンディングをはじめとする少額不動産投資にも注目が集まっています。当シリーズでは、そんな少額不動産投資事業者のキーパーソンにお話を伺っていきます。

今回は、ユニークなサービスブランディングときめ細かなサポートで熱烈なファンを獲得している不動産小口化商品サービスの「なにわファンドをピックアップ。投資家に大人気のSNS運用も担当する、株式会社アンビシャスホームの内藤綾子氏にサービスの裏側を語っていただきました。

内藤綾子(ないとう・あやこ)
株式会社アンビシャスホーム
静岡県出身。短大卒業後、地方銀行に入行。当時では珍しい女性のエリアFP(個人資産運用のアドバイザー)として、地域3支店の個人預かり資産における運用提案業務に携わる。結婚・出産を経て、証券外務員資格や保険募集人資格を活かして郵便局やメガバンクで勤務。2020年、株式会社アンビシャスホーム入社。ファンドの運営管理やパンフレット作成、公式X(旧Twitter)アカウントの運用など、ファンド組成から広報活動まで幅広く手掛ける。2級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士。

なにわファンドとは?

なにわファンド

「なにわファンド」は、大阪府寝屋川市で地元に密着した不動産事業を展開する株式会社アンビシャスホームが運営する不動産小口商品サービスです。インカムゲイン型ファンドを「まいどシリーズ」、キャピタルゲイン型ファンドを「おおきにシリーズ」として展開するなど、ユニークなブランディングで異彩を放っている人気サービスです。

\なにわファンドをチェック/

なにわファンド公式サイト

投資家の近くで、親身なサポートを

ーー株式会社アンビシャスホームについて教えてください。

大阪北部の京阪エリアを中心に新築分譲住宅の企画・施工から販売、さまざまな不動産の売買、仲介を広く展開している、「不動産のことならなんでもお任せください!」という会社です。現在(2024年2月時点)34年目で、創業以来、大阪の地域に根ざした不動産事業を行っています。

ーー2021年から「なにわファンド」として、不動産小口化商品の提供をスタートしています。この事業を始めるきっかけについて教えてください。

地域のみなさまに支えていただき今があります。30年以上の実績と信頼を生かし、不動産を活用することで地域社会の発展に貢献し利益を還元していきたいという当社代表の強い思いをかたちにしたのが「なにわファンド」です。

事業を開始した2020年は、まだまだコロナ禍で日本中が大変な時期でした。その中でもこの事業は非対面で資産運用ができますし、不動産投資を小口で始めていだけるのが魅力です。

大阪には古くても収益力の高い不動産が多くあります。代表がそういった物件が好きで、これまでもバリューアップを図り利活用してきたのですが、古い物件の中には建築当時は適法でも現在の法律に適合していない「既存不適格物件」も結構あるんです。既存不適格だと担保価値も低くなるので、取得時の銀行融資も通りにくくなったりします。そこで、このような物件を活用するにあたって銀行に頼らない資金調達方法として、不特事業を活用しても面白いんじゃないかということで始めることになりました。

ーー「なにわファンド」のコンセプトや特徴を教えてください。

なにより投資家さまとの距離が近いことだと思います。投資初心者の方にも、「この人だったら相談したいな」と思ってもらえるような親身なサポートを心がけています。

「なにわファンド」はファンドの運用管理やお客様窓口を私含め女性を中心に行っているのですが、そういうところってあまりないと思うんですよ。なので「何かわからないことがあったときでも「内藤さんだったら答えてくれるかも」と相談しやすい、身近に感じていただけるようなファンドでありたいなと思っています。

実際、不動産投資やファンドというと「怪しい」「うさんくさい」みたいなイメージもありますよね。そういった中で信頼を獲得していくために、私自身も覚悟を決めてやらないといけないと思っています。自分自身の逃げ道をなくす意味でも、敢えてSNSで名前を出しています。

もし素性を明かさずに運用すれば、何かあっても転勤しましたよとか退職しましたといって逃げることもできてしまうので。でも、こうして地元密着でやっていて、なおかつ私たちも近場に住んでいるので、これで何かあっても逃げれないぞっていう(笑)。最後まで責任を果たす覚悟を持って、顔が見える(写真では隠していますが)運営を心がけています。

コテコテな名前の秘密とは……?

まいどシリーズとおおきにシリーズーーインカム型案件を「まいどシリーズ」、キャピタル型案件を「おおきにシリーズ」とされていて、ネーミングがユニークです。このような名前をつけたのはなぜですか?

代表がコテコテの関西人なので「まいど!」「おおきに!」と、日常的に使っているんです。ちなみに「なにわファンド」という名前も代表が考えたものです。大阪では商売人は「商人(あきんど)」と親しみを込めて呼ばれているので、そんな「商人さん」のイメージを持って、大阪(なにわ)を中心としてファンドを組成し、投資家様にとってのオンリーワンを目指したいという思いから「なにわファンド」というサービス名にしました。電話番号も「7281」で「なにわ1番」です。

ーー引っ掛かりのあるネーミングですよね。

名前が名前なので、最初は「大丈夫かな」と思われたりもするのですが、いい意味で私たちらしさの伝わる独自の路線がないとこの事業は成功できないと思っていたので、今はこの名前でよかったなと思っています。コテコテの名前で、こんな大阪のおばちゃんがやってるのに、実際はすごく真面目にしっかりサポートしているというギャップがいいと、投資家さまからもうれしいお声をいただいています。

なにわファンドの裏側・内藤さんの涙ぐましい努力も……?

ーーファンドの対象となる物件はどのように選定しているのでしょうか?

物件自体は、代表と仕入れ担当者から「これはどう?」と私のところに降りてきます。ただ、それらは長年の経験で売れると判断した物件を「利回りがこれくらい取れるならファンドにできるよね」という、あくまで不動産屋さん目線での話です。

でも、無理のないファンド組成を行うには、利回りの裏にどんなリスクが潜んでいるのか、お客様目線に立ってマイナス要素の洗い出しから始める必要があります。例えば、立地や周辺状況などはもちろん、どんな方が入居しているのかや、どれくらいのペースで入居者の入れ替わりがあるかなどですね。あと、ファンドの物件は必ず現地に行って確認をしています。

可能であれば、代表が仕入れた物件でも現地の仲介業者さんに周辺の相場感などのヒアリングをしますし、その他売主さんや、現地で入居されている方と偶然お会いできたときには直接お話を伺うこともあります。その結果、条件次第でファンド組成を断念することもあります。

ーーということは、ファンドを組成するかどうかの最終的なゴーサインは内藤さんが出されているということでしょうか?

はい。社内で協議を重ねますが、最終的には私が判断しています。不動産鑑定士さんや一級建築士さん、測量士さん、そして当社の営業担当や不動産コンサルティングマスター資格を持つ仕入れ担当と、社内外問わず不動産に関わる方とのコミュニケーションを図り、多角的に検証をしています。

ーーキャピタル型案件の「おおきにシリーズ」は、2024年2月時点ですべてのファンドが早期償還となっていますが、投資家さんの反応はいかがでしょうか?

一般的なファンドの場合、例えば運用期間12カ月、想定利回り6%の案件で、半分の6カ月で早期償還となりました、となったら普通は分配金も半分になりますよね。でも「なにわファンド」は結構特殊で、「不動産が売れる時期がわからない」というのも1つのリスクだと捉えているんです。リスクがあるなら、それに見合うリターンもあるべきでしょうと。

そこで、大阪府に提出している約款の内容を、投資家さまに売却益を還元できるように変更しているんです。なので、もし早期償還したとしても当初設定した利回りをそのまま還元しているんです。仮に半分の期間で償還できたら実質的な利回りは倍になるということですね。でも、これに関してはあまり大々的には宣伝していません。

ーー大きく宣伝しないのはどうしてですか?

「おおきにシリーズ」のようなキャピタルゲイン型ファンドは、建築中に工事が中断したり、遅延する可能性もあったり、物件が売れるかどうかも購入されるお客さまとのご縁なので不確実性が高くて。なので、利回りだけでなくリスクもしっかり見て検討いただきたいなというのがまず大きな理由です。

もう1つは、メリットが先に広まって応募が殺到してしまうと、今まで大切にしてきた既存の投資家さまが、これまで以上に投資できなくなってしまったり、運営側の手が回りきらなくなってご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。そうなると本末転倒で。私たちとしては手間のかかる書面契約にも関らず、なにわファンドを選んでくださった一人ひとりの投資家さまに誠実に対応してきたいという思いが強いので、ポイ活サイトなどを使った広告も利用していません。

そんな思いを含めて、仮に想定利回りが1年で6%であればそれをベースに、早く売れたらラッキーぐらいに思っていただけるとうれしいです。

ーーインカム型案件では「まいどmini」として、最低出資額を抑えたものも提供されています。こちらの反響はいかがでしょうか?

おかげさまで大変ご好評をいただいています。少しでも多くの方に出資いただけるようにと企画したもので、運用期間も1年で組成しました。ただ、少額になると応募件数だけでなく契約者数もすごく多くなりますし、ご案内も含めてすべてが書面でのやり取りになるので当方の作業量がすごいことになります(涙)。

分配金の支払いも私が手続きしているのですが、数字が合っているかどうか手作業で一つひとつ確認しているんですよ。電卓で。

ーーすごいです……。

万が一、数字が間違っていたら大変なことになるので、口座番号と振込先、金額を2回、3回と全部目視で確認しているんです。ただ、投資家のみなさまはよろこんでくださっているので、試行錯誤をしながら続けていければと思っています。

“真似できない” ユーザーとのコミュニケーション

なにわファンドの手書きお手紙ーー特にX(旧Twitter)を利用されている投資家さんにとっては、「なにわファンドといえば内藤さん」というイメージの方も多いと思います。SNSの運用方針について教えてください。

Xの運用は、Twitter時代から数えて3年以上が経つのですが、初めの頃は本当に知ってもらうことを第一に考えていて、1年間くらいは1日に200件くらい投資家さまや事業者さまと交流していました。家に帰ってからもずっとやっていましたね。

投資家さまに「なにわファンド」のスタッフが今どのような思いでどんなことをしているのか、ありのままを見てもらいたい、私自身を知ってもらおうというコンセプトでやっていたので、仕事だけじゃなくてお菓子の話だったり猫の話だったり私生活の話題も結構多かったです(笑)。最近はファンドの情報発信が中心ですが、みなさん変わらず見てくださっているようで、とてもありがたいです。

ーー内藤さんといえば直筆のお手紙が話題になることもありますよね。今でもこまめに書かれているのでしょうか?

「なにわファンド」をスタートして約半年間は全員に直筆のお手紙を書いていました。資料請求や出資申し込みのとき、契約書を送るときに感謝の気持を込めてお手紙を添えていましたね。

今は資料をお送りする件数が200件を超えてきていて、すべての方に直筆で、とは難しく、基本的にご新規で資料請求をくださった方や、契約書の発送時にはみなさまに手書きでお手紙をお送りするようにしています。

ーーとても真似できそうにありません……!ちなみに余計なお世話かもしれませんが、腱鞘炎とかは大丈夫ですか……?

なるときもあります(笑)! それでも思いを伝えるのが好きなんです。好きだから続けられるというのは確実にあります。そのときに自分が思っていることを書いているので、内容も毎回違います。そのあたりを楽しんでいただけたらうれしいです。

ーーそれが「なにわファンド」や内藤さんが愛されてる理由ですね。

ありがとうございます。私一人で頑張っているわけではなく、一緒に同じ方向をみて支えてくれるメンバー、そして応援してくださる投資家さまのおかげだと思っています。これまで、何度もこれでいいのかと迷うこともありました。それでも喜んでくださる投資家さまやファンになってくださった投資家さまからの温かい励ましのお言葉を頂戴するたびに、私たちの想いや「なにわファンドらしさ」を大切に運営してきてよかったと思えています。

これからも、「なにわ」らしいサービスを

なにわファンドの抽選最新鋭の(?)ビンゴマシーンで厳正なる出資抽選を行う内藤さん

ーーそれぞれファンドの詳細情報にも、収益の仕組みなど手描きのイラストがあったりして、すごくわかりやすく説明されている印象があります。

Webサイトに掲載している手描きのイラストは、全部私が作成したものです。また、パンフレットの「まいどシリーズの仕組み」「おおきにシリーズの仕組み」も私が描いたものなんです。コテコテの手作り感にこだわりました。現在は、2024年4月から新卒3年目になる「あーちゃん」がパンフレットを作成しているので、少し現代風になっています。テイストが昭和から令和になりました(笑)。

ーーちなみに意外だったのが、内藤さんが関西人ではなく静岡出身だということでした。自然な関西弁を話されているので驚きました。

じつは関西に越してきて18年なんです。 もちろん、もともとは関西弁ではなく標準語で話していたのですが、娘たちの影響や職場でのコミュニケーションにより関西色が強くなりました。

ーー最後に、この記事をご覧の方へメッセージをお願いします。

なにわファンドはこれからも投資家のみなさまに寄り添った、愛情満載・手作り感満載のサービスであり続けたいと思っています。年々不動産小口化商品を取り扱うサービスも増えてまいりましたが、新たに資産運用を始めるにあたって、一歩踏み出す選択肢の1つに「なにわファンド」があることを、頭の片隅にでも置いていただけていたらとても嬉しいです!

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  • 記事を書いた人 a.sato

    『ゴクラクJOURNAL』編集長。10年余りのラジオディレクター・構成作家の経験を経てライターに転身。延べ300社以上のコンテンツのコンサルティング・ライティング、ブランディングに携わる。以後エンタメ・インフラなどのWebメディアの編集長を歴任したのち現職。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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