不動産小口化商品とは?メリット・デメリットを詳しく解説

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#用語解説 #投資の仕組み・スキーム

不動産小口化商品は少ない資金でも手軽に 不動産投資 に挑戦できる投資商品として人気を集めています。

不動産小口化商品には大きく分けて3種類ありますが、どれを選んだらいいのでしょうか。そこで本記事では、 不動産小口化商品とは ?をテーマに基礎知識やメリットやデメリット を解説します。

不動産小口化商品とは

不動産小口化商品とは、一つの不動産物件を複数人の投資家が分割して購入する商品のことです。ここでいう不動産物件とは収益用不動産のことを指します。収益用不動産から生まれた収益は出資額に応じて投資家それぞれに分配されます。

「一人で数億円のマンションを購入するのは難しいが、数百万円程度から不動産投資に挑戦したい」場合には不動産小口化商品はよい選択肢になるでしょう。もちろん、ハードルが低いぶん、利幅も薄くなる可能性はありますが、手軽さに利点のある不動産投資と言えます。

不動産小口化商品と不動産特定共同事業法(不特法)の関係

不動産小口化商品を扱う事業を法律では不動産特定共同事業といいます。この事業を行うための決まりを定めた法律が不動産特定共同事業法(不特法) です。

不特法上では第1号から第4号まで事業者の種別があり、それぞれに行える業務領域が異なっています。また、そもそも事業者としての認可を受けていない場合は、仲介も契約も運営もしてはいけないため、不動産小口化商品購入の勧誘を受けた場合には適切な認可を受けた事業者かどうか、注意が必要です。

不動産小口化商品の種類

不動産小口化商品は3種類あり、それぞれ投資家が得られる権利や投資額の目安などが異なります。しっかり理解して自分に合った商品を選びましょう。

1.匿名組合型

匿名組合型はもっとも手軽に投資できる不動産小口化商品です。投資家は金銭で出資をし、事業者が不動産の運営を行って出た収益を投資家に分配するという仕組み。匿名という通り投資家は金銭を出すのみで運営には一切タッチしないため、人物の特定の必要がありません。投資家と事業者は匿名契約を交わします。投資額は1口数万円からの商品も多く、数カ月単位での短期運用も可能です。匿名組合型の場合、投資した不動産の所有権は投資家にはありません。

2.任意組合型

任意組合型は「複数の投資家による収益用不動産の共同購入」です。つまり、投資家は不動産の共同所有者になり、実際に物件を保有できることが匿名組合型との大きな違いと言えます。出資というと金銭をイメージしますが、任意組合型の場合は労務出資や現物出資が可能です。不動産運営も投資家たちで行っていきます。

ちなみに任意組合型に金銭出資した場合は不動産の共同所有者にはなりませんが、相続の際には出資した物件を一般の不動産と同じ相続税評価額で計算できるため、相続税評価額を下げられるのもメリットです。投資額は1口100万円から、運用期間は10年以上の運用の物件が多めです。不動産を実際に運営している実感を得られ、長期で安定収益になりやすいという特徴があります。

3.賃貸型

賃貸型は任意組合型と同じく、投資家が収益用不動産を共同購入します。ただし、物件の管理・運営は不動産特定共同事業者に委託するという形式です。一見手離れよく見えますが、事業者が破産したり撤退した場合にどうするか等のリスクもあることから、賃貸型の商品はそこまで多くないのが実情です。

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品を購入するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。手軽に始められてリスクが少ないのがポイントです。

不動産現物を購入するより少ない資金で始められる

匿名組合型にしても任意組合型にしても不動産現物を購入するよりはかなり安く始められるのは大きなメリットです。

匿名組合型であれば1口数万円から、任意組合型であれば1口100万円からなので、自分の投資に回せる資金に応じて決めることができます。

小額なのでリスク分散可能

数億円する現物の不動産をいくつも購入できる人は多くないかもしれませんが、数万円や数百万円なら分散投資が可能なので、さまざまな物件に投資できるのが不動産小口化商品を購入するメリットです。

手持ちの資金からさまざまなパターンのポートフォリオを描けます。

自分で物件を探す必要がない

不動産小口化商品を購入するには、いわゆる普通の不動産購入サイト等でなく専門の業者経由で購入します。プロの視点で「収益が出る」と見込んだ物件に投資ができるため、自分でゼロから物件を探すよりも安心です。

不動産を実際に確認することができる

物件を自分で探す必要がなく小口での出資とはいえ、不動産を購入していること自体に変わりはありません。所有している不動産がどれなのかもわかりますし、不動産投資をしている実感を得られます。

管理を専門の会社に任せられる

特に匿名組合型の場合、管理運営は事業者側で行うので、投資家はお金を出すだけで手離れよく不動産投資ができるのが魅力です。任意組合型の場合はどこまでを投資家側で行うのか、どこから外注するのかはケースによって分かれます。

相続税対策になる

投資商品は課税対象になるため、有価証券や暗号資産などを保有している場合は相続税がかさむのが悩みどころです。

しかし、任意組合型の不動産小口化商品であれば、出資の種類に関わらず、投資した物件を不動産相続税評価額で計算できるため、節税につながることがあります。

不動産小口化商品のデメリット

次に不動産小口化商品を購入するデメリットを見ていきます。購入ハードルが低い裏返しの内容が多めです。

自己資金が必要

不動産購入であれば物件を担保に金融機関から資金の融資が受けられますが、不動産小口化商品の場合は物件が担保にならないためその方法では融資が受けられません。自己資金か別の方法で調達が必要になります。

元本補償、賃料補償はない

これは投資であれば当たり前ですが、元本補償はありませんし、見込んでいた賃料収入が得られない可能性はあります。例えば任意組合型で物件を購入したが、思うように空室が埋まらず分配金も予想より得られなかったため、物件を売却することになるケースがしばしば発生します。

しかし、その場合に物件の価値が下がっており、元本割れを起こすことも考えられます。購入時によく状況を把握し、納得の行った状態で投資をすることが欠かせません。

利回りが低い

少額投資でハードルが低いぶん、普通に収益用物件を購入するよりも利回りは低くなりがちです。しかし、これはリスクが少ないというメリットの裏返しでもあります。

不動産小口化商品を正しく理解しよう

不動産小口化商品とは 何かについて解説してきました。不動産小口化商品は手軽に収益用物件への投資を始められる不動産投資商品です。

初めて不動産投資を行う人にとっては入門編になりますし、すでに不動産投資に慣れている人にとっては分散投資をする対象として選びやすい商品と言えます。不動産小口化商品を正しく理解して上手に活用しましょう。

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  • 記事を書いた人 落合 達也

    早稲田大学社会科学部卒業後、広告代理店を中心に数社経験。2018年よりライターとして独立。年間約150本の企業取材を行い、ビジネス系やHR領域の記事執筆が得意。柔らかくてムニムニしている食べ物が好き。

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