公開日 2024/01/09
最終更新日 2025/02/18
インカムゲイン型とキャピタルゲイン型とは、それぞれどのような形式なのでしょうか。また、それぞれの違いは何でしょうか。この記事で解説します。
不動産クラウドファンディングにおけるインカムゲインとは、対象不動産を居住者や利用者に賃貸することで得られる賃料による収益のことを指します。住居用やオフィス用不動産であれば、そこから得られる賃料収入から不動産管理費用(募集費や広告費、修繕費、原状回復費、保険料、管理費など)を引いた収益がインカムゲインとなります。
物件自体の価格変動によって配当が下がったり元本割れが発生したりすることは比較的少ないといえます。ただし、当初の予定よりも入居率が低くなった場合、賃料収入が減って、そのぶん配当利回りが低くなることは考えられます。
とはいえ、12カ月程度の運用期間が多い不動産クラウドファンディングの場合、居住用物件では急激な入居率の低下は起こりにくく、配当利回りの低下幅もそれほど大きくならない可能性が高いといえるでしょう。
インカム型の最大のメリットは、不動産自体の価格動向の影響を受けにくく、分配金の額が安定していることです。仮に不動産価格が下がったとしても、賃料までがすぐに連動して下がるわけではないため、それによって分配金の額が減るケースは少ないといえます。
また、ファンドによっては毎月、四半期ごと、半年ごとなど定期的に分配金が得られる点もメリットです。定期的に配当されるファンドに投資すれば、安定したキャッシュフローが得られるでしょう。
さらに運用期間中に賃料相場が下がってしまった場合も、配当が下がるケースがあります。こうした場合は想定通りの賃料が得られずに元本割れすることも考えられます。
ただし、クラウドファンディング事業者が不動産管理会社とマスターリース契約を結んでいる場合は、空室が発生しても分配金に影響することはありません。マスターリース契約とは、不動産管理会社が物件を一括して借り上げるもので、空室の有無にかかわらず賃料が保証されます。
また、インカム型は、キャピタル型のように大きな譲渡益を見込みづらいため、利回りが比較的低めに設定されるのが一般的です。
不動産クラウドファンディングのキャピタルゲインとは、不動産の譲渡益です。例えば1億円で購入した不動産を1億2,000万円で売却したら、2,000万円がキャピタルゲインとなります(実際には登記費用・不動産取得税、媒介手数料などの諸費用が差し引かれます)。
一方で、当初想定していたよりも安価でしか物件が譲渡できなかった場合、リターンが想定利回りを下回ることもあります。
また、物件が当初想定よりも高く売却できた場合、利回りが当初想定を上回る(アップサイドがある)こともあります。
キャピタル型のファンドへ投資を行う際は、物件の立地や広さおよび売却予定金額・スケジュールが妥当かどうか、慎重に検証することが大切です。
ただし「優先劣後方式」を採用しているファンドであれば、譲渡益が想定を下回った場合でも投資家の損失は限定されます。優先劣後方式が採用されているファンドは損失が生じた場合、まず事業者の資金から損失分を補填する仕組みとなっています。投資家の資金は「優先資金」として、事業者の資金は「劣後資金」として管理します。ただし、投資家の優先割合と事業者の劣後割合はファンドにより異なります。
また、キャピタル型の場合、分配金は償還時に一括で支払われます。したがって、分配金を定期的に得たい投資家には向いていません。
インカム型 | キャピタル型 | |
配当原資 | 賃料収入 | 売却益(譲渡益) |
分配のタイミング | 定期的に分配(償還時に一括のケースもあり) | 償還時に一括 |
利回り(年利換算) | 3〜8%程度 | 5〜10%程度 |
損失が発生するケース | 空室発生・賃料下落のケース | 売却益が想定を下回るケース |
なお、中にはインカム型とキャピタル型を組み合わせた“ハイブリッド型”ファンドもあります。このようなファンドでは、それぞれの比重をパーセンテージで設定していたり、「キャピタルゲイン重視型」や「インカムゲイン重視型」などと呼ぶこともあります。
特に初心者のうちは単純に利回りや運用期間だけを重視して投資先を決めがちですが、各ファンドの特性を理解することで、不動産の運用にも目が向くようになっていきます。
投資の判断基準を養っていく第一歩として、まずは特性やメリット・デメリットを理解し、自分の投資スタイルに適したファンド・サービスを選べるようになっていきましょう。
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