わかちあいファンドの償還遅延はなぜ起きた?2019年開始から出金遅延までの全時系列

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#特集・選び方

わかちあいファンドでは、2026年に複数ファンドの償還遅延や運用期間の延長が公表されました。旧軽井沢大樹の森について、運営会社は工期の長期化や募集未達による資金計画への影響を説明しています。*1、*2、*3、*4

この記事では、2019年のサービス開始から2026年10月26日までに確認できた公式発表と自社取材を、時系列で整理します。

取材にあたった編集部員は、同サービスの2ファンドに計20万円を出資し、払戻申請や運営会社への問い合わせを行いました。*5

※出典

*1:わかちあいファンド公式サイト|「わかちあいファンド旧軽井沢大樹の森第6期」の不成立および「わかちあいファンド旧軽井沢大樹の森」シリーズ(第Ⅱ期、第Ⅲ期、第Ⅳ期、第Ⅴ期)の配当遅延、償還遅延についてのお知らせ

*2:わかちあいファンド公式サイト|「わかちあいファンド旧軽井沢大樹の森」シリーズに関するお詫びと現状のご報告

*3:わかちあいファンド公式サイト|「わかちあい東近江ウイングⅠ-②」不成立および「わかちあい東近江ウイングⅠ」償還遅延に関するお知らせとお詫び

*4:わかちあいファンド公式サイト|【重要】一部ファンドの運用期間延長に関するお知らせとお詫び

*5:ゴクラクJOURNAL|【20万投資済み】36日経ってもわかちあいファンドで出金できない!分別管理や体制はどうなってる?調査してみた

結論|わかちあいファンド償還遅延の全体像を1分で整理

2026年10月時点で確定している事実と、まだ確定していない事実を分けて整理します。

SNS上には推測を含む情報も多いため、まずは公式発表で確認できる範囲を押さえてください。

いま起きていること(2026年10月時点の現在地)

時期 対象 確認できた内容
2026年4月29日 旧軽井沢大樹の森 第6期の不成立と、第Ⅱ期〜第Ⅴ期の配当・償還遅延の見通しを公表。*1
2026年5月16日 旧軽井沢大樹の森 第Ⅱ期〜第Ⅴ期 配当金・償還金の支払予定日を2027年4月30日と案内。*2
2026年5月27日 東近江ウイングⅠ 後継ファンド「東近江ウイングⅠ-②」の不成立に伴う償還遅延を公表。*3
2026年5月27日 石垣島第Ⅳ期・第Ⅴ期、滋賀湖南②、南青山 4ファンドの運用期間延長を公表。*4
2026年7月31日 大津瀬田④ ゴクラク編集部が償還金がデポジットに反映されたことを確認。*6
2026年8月3日〜9月8日 払戻申請 ゴクラク編集部が8月3日に申請し、9月8日時点で36日経過しても銀行口座への着金を確認できなかった。*5

注意

「遅延=元本割れ確定」ではありません。

物件の売却が完了すれば、予定どおりの分配が行われる可能性は残っています。

ただし出金の遅れは、ファンドの成否とは別の問題です。

すでに手元に戻っているはずのお金が動かない状態なので、償還遅延とは切り分けて見る必要があります。

【早見表】創業から2026年10月までのタイムライン

開始から遅延まで
時期 出来事
2000年9月 株式会社日本プロパティシステムズ設立*7
2019年7月8日 不動産特定共同事業の許可を取得*8
2019年10月 大津市内の商業ビルを対象とする初号ファンドでサービスを開始*7
2020年9月1日 電子取引業務を開始*8
2020年12月 キャピタル型ファンド「日野」の募集を開始*9
2022年8月 「PJ旧軽井沢第Ⅱ期」を募集*10
2023年 旧軽井沢大樹の森を募集。当初は土地の取得、既存建物の解体・整地後の売却を計画*11
2024年 旧軽井沢大樹の森第Ⅱ期で、別荘を新築して土地・建物を売却する計画を案内*12
2026年4月29日 旧軽井沢大樹の森第6期の不成立と、第Ⅱ期〜第Ⅴ期の配当・償還遅延の見通しを公表*1
2026年5月16日 旧軽井沢大樹の森の支払予定と、遅延の原因・対応方針を公表*2
2026年5月27日 東近江ウイングⅠの償還遅延と、4ファンドの運用延長を公表*3、*4
2026年6月10日 電話受付の一時休止と問い合わせ窓口の一本化について告知*6
2026年8月13日 銀閣寺道⑥の1年間の運用延長*13
2026年9月1日 石垣島プロジェクトの残工事が8月24日に完了*14
2026年9月3日 旧軽井沢大樹の森の工事進捗を約100%と報告。引渡しは9月中旬を予定と案内*15
2026年9月28日 会員ランク制度が2026年9月で終了*16
2026年10月9日 新小岩の進捗を約99%、引渡し予定日を10月30日と公表*17

※出典

*7:わかちあいファンド公式サイト|運営会社

*8:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンドとは

*9:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンド日野

*10:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンドPJ旧軽井沢第Ⅱ期

*11:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンド旧軽井沢大樹の森(二次募集)

*12:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンド旧軽井沢大樹の森第Ⅱ期

*13:ゴクラクJOURNAL|【20万投資済】わかちあいファンド銀閣寺道で運用延長!償還ファンド大津瀬田で正常に出金されるか申請してみた

*14:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンド 石垣島プロジェクト(フルリノベーション)工事進捗状況のご報告(2026年8月度)

*15:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンド旧軽井沢大樹の森(新築別荘建築)工事進捗状況のご報告(2026年8月度)

*16:わかちあいファンド公式サイト|「わかちあい会員ランク制度」終了のお知らせ

*17:わかちあいファンド公式サイト|わかちあいファンド 東京都新小岩(葛飾区)PJ(新築収益マンション)工事進捗状況のご報告(2026年9月度)

第1章|創業期:滋賀の不動産会社が始めたファンド

運営会社・日本プロパティシステムズとは

運営会社は、株式会社日本プロパティシステムズです。公式会社概要には、次の情報が掲載されています。*7

項目 内容
社名 株式会社日本プロパティシステムズ
設立 2000年9月
代表者 代表取締役 森田康弘
所在地 滋賀県大津市島の関1-10
資本金 1億円
不動産特定共同事業 滋賀県知事 第1号
宅地建物取引業 国土交通大臣(3)第8486号
第二種金融商品取引業 近畿財務局長(金商)第346号
一般建設業 滋賀県知事(般-5)第13659号・建築工事業

不動産特定共同事業は、出資を募って不動産を売買・賃貸等により運用し、その収益を分配する事業です。原則として許可が必要ですが、登録・届出により実施する制度もあります。*18

同社の不動産特定共同事業の許可と、第二種金融商品取引業の登録は、別の制度に基づくものです。*18、*19

あわせて読みたい: 不動産特定共同事業法とは?要点をわかりやすく解説

2019年の初号ファンドからオンライン取引へ

同社は2019年7月8日に不動産特定共同事業の許可を取得し、同年10月にわかちあいファンドを開始しました。初号ファンドの対象は、大津市内の商業ビルです。*7、*8

2020年9月1日には電子取引業務を開始しています。*8

当時、投資家の期待を集めた4つの理由

サービス開始から数年間、わかちあいファンドは次の4点で評価されていました。

  • 毎月分配のインカム型:賃料収入が原資なので、値動きの影響を受けにくい*20
  • 実績の表示:公式サイトが特徴として「元本毀損ゼロ」を掲げていた*20
  • 特典とキャンペーン:ご当地商品のプレゼントや会員向けの優遇制度*21
  • 人気の高さ:先着式のファンドが短時間で完売することも多かった*21

第2章|拡大期:インカム型からリゾート・開発型へ

転機になったのは、投資対象の広がりです。

京都・滋賀の賃貸マンションから、軽井沢・石垣島・東京へと案件が移っていきました。

京都・滋賀の賃貸から、軽井沢・石垣島・東京へ

2023年ごろから、ファンドの対象が大きく変わります。

  • 旧軽井沢大樹の森:別荘の新築
  • 石垣島:別荘のフルリノベーション*20
  • 南青山:内装工事中のテナントビル*23
  • 新小岩:新築の収益マンション*24

ここで、収益の出し方そのものが変わっています。

インカム型は、すでに家賃が入っている物件を持ち、その賃料を分配する仕組みです。*8

キャピタル・開発型は、建てたり直したりして価値を上げ、売却した利益を分配する仕組みです。*8

家賃か売却か

ゴクラクに蓄積されている実績データは次のとおりです。*20

項目 数値 補足
ファンド数 122件 掲載事業者中19位
累計募集額 116億9,390万円 掲載事業者中23位
平均利回り 6.2% インカム型中心だった初期は4〜5%台
最高利回り 15.0% 掲載事業者中13位
平均運用期間 12カ月 短期運用が中心

資本金1億円の会社が、累計で116億円を超える資金を扱ってきたことになります。*7、*20

あわせて読みたい インカム型・キャピタル型の違いは?不動産クラウドファンディングにおける違いを解説

「再組成」という仕組み

開発型に進むうえで、同社が使ったのが「再組成」という方式です。

本来27カ月かかるプロジェクトを、7カ月や12カ月といった短い運用期間のファンドとして募集します。

期間が満了したら、そのファンドはいったん償還し、後継ファンドを新たに募集してプロジェクトを引き継ぎます。

後続募集と償還のつながり

投資家にとっては短期で区切られるため申し込みやすく、事業者にとっては長期の資金を小分けに調達できる方式です。

用語:再組成/後継ファンド 同じプロジェクトについて、期間を区切って募集し直すことです。

旧軽井沢大樹の森は第Ⅰ期から第6期まで、石垣島は第Ⅳ期・第Ⅴ期まで、この方式で続いてきました。

ポイント

この方式には前提条件があります。

前のファンドを償還するお金は、後継ファンドで集まった資金から支払われます。

つまり、新しい募集が成立し続けることが、償還の前提になっているということです。

25周年記念ファンドと特典の拡大

拡大期には、プロモーションも手厚くなりました。

南青山のテナントビルを対象にしたファンドは「25周年記念商品」として組成され、想定利回り9.0%・運用期間10カ月で募集されています。*23

このファンドは賃料収入が限定的なため、分配金と償還金を物件の売却益から支払うキャピタル型として設計されていました。*23

ほかにも、滋賀のご当地商品のプレゼントなど、出資者向けの特典が継続的に用意されていました。*21

ポイント

特典は運営会社の負担で配られるものです。

特典が豪華であることと、会社の財務が健全であることは別の話だと考えてください。

ここまでが、多くの投資家が知っている「堅実なわかちあいファンド」です。

では、その裏側で最初の異変はいつ表れていたのでしょうか。

続きでは、2026年より前から公開情報に表れていた4つの予兆と、編集部が当事者として追った出金遅延の全貌を整理します。

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第3章|異変:2026年より前から表れていた予兆

予兆1:旧軽井沢第1期の引渡し遅れ(2023年)

予兆2:「最終募集」のあとに続いた追加募集

予兆3:運用終了から償還までの期間が長い

予兆4:償還の原資が「後継ファンド」頼み

第4章|償還遅延の連鎖:2026年4月〜5月

4月29日:旧軽井沢大樹の森第6期の不成立

5月16日:支払予定と、事業・資金計画の問題を説明

5月27日:東近江ウイングⅠの償還遅延

5月27日:4ファンドの運用期間延長

「現行契約のまま延長」とは何を意味するのか

第5章|出金遅延:デポジットの払戻が止まった(2026年6月〜)【独自取材】

デポジットへの反映と銀行への入金は別の段階

何が起きたのか:払戻申請から着金までの遅れ

第6章|最近の動き:正常な償還と、継続する募集(2026年6月〜10月)

大津瀬田④では7月31日に償還金が反映

石垣島・旧軽井沢大樹の森・新小岩の工事進捗

2026年10月時点の募集状況

なぜ遅延が起きたのか|会社の説明から確認できる背景

工期の長期化で資金化が後ろ倒しになった

後継募集の不成立が資金計画に影響した

計画の見通しと、情報提供の問題

出資中の人が今とるべき確認手順

ステップ1:運用期間と支払予定を確認する

ステップ2:払戻申請から銀行への着金まで確認する

ステップ3:契約書面・通知・申請履歴・入出金記録を保存する

払戻しが遅れた場合の相談先

まとめ|わかちあいファンドの時系列から投資家が学ぶ教訓

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    不動産クラウドファンディング等の情報を提供しています。投資初心者の目線に立った運営を目指しています。記事は情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する意思決定は、事業者の公式サイトにてリスク等の内容をご確認いただき、ご自身の判断にてお願いいたします。

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