日経平均株価(日経平均)とは?株式投資の初心者にもわかりやすく解説

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#用語解説 #投資初心者
投資をしていない方でも「日経平均株価(日経平均)」という言葉は一度は聞いたことがあるでしょう。

「株式投資を始めたいから、まず基礎基本を抑えておきたい」「有名な指数とは知っているけれど、詳しくは知らない」という方のために、今回は日経平均株価(日経平均)についてわかりやすく解説します。特徴を知れば見方がわかるようになります。ぜひ投資判断のヒントとして大いに活用していきましょう。

日経平均株価(日経平均)とは

日経平均株価とは、東京証券取引所のプライム市場に上場する1,600余りの銘柄(企業)※ から選ばれた225銘柄の株価をもとに算出される指数です。略して「日経平均」「日経225(ニーニーゴ)」とも呼ばれます。日本の株式市場の大まかな動きを捉えられるため注目度が高く、投資信託のなかには日経平均に連動して運用される商品もあります。

※2023年10月30日時点 参考:上場会社数・上場株式数|日本取引所グループ

プライム市場とは?

日本の代表的な証券取引所である東京証券取引所には次の3つの市場が設定されています。
  • プライム市場
  • スタンダード市場
  • グロース市場
このうちプライム市場は上場基準がもっとも厳しく、日本でも名だたる大企業が上場しています。たとえばトヨタ自動車や、ユニクロで知られるファーストリテイリング、ソフトバンクなどです。下の表に各市場へのおもな上場基準をまとめました。
プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
株主数 800人以上 400人以上 150人以上
流通株式数 2万単位以上 2,000単位以上 1,000単位以上
流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上 5億円以上
収益基盤 最近2年間の利益合計25億円以上
または売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上
最近1年間の利益が1億円以上
財政状態 純資産50億円以上 純資産額がプラス

 スタンダード市場やグロース市場と比べると、プライム市場に上場する企業規模の大きさは一目瞭然です。市場に出回る株式数や金額が多く、売買が成立しやすい(流動性が高い)、株価が乱高下しにくいといった特徴があります。

日経平均はプライム市場に上場する企業のなかでも特に市場流動性の高い銘柄が採用されます。

日経平均株価(日経平均)の3つの特徴

日経平均株価(日経平均)の3つの特徴日経平均は銘柄の採用方法、数値の算出方法が特徴的です。両者が数値の動き方にも影響します。日経平均の具体的な特徴は次の3つです。
  1. さまざまな業種からバランスよく選出される
  2. 定期的に銘柄が入れ替えられる
  3. 構成率の高い銘柄の影響を強く受ける

1.さまざまな業種からバランスよく選出される

日経平均は6つのセクターから数にできるだけ偏りがないようバランスよく銘柄を選出するルールがあり、36の業種を6つのセクターに集約して選出(除外)の参考としています。
  • 技術
  • 金融
  • 消費
  • 素材
  • 資本財・その他
  • 運輸・公共
セクターとは、業種やテーマといった株式の特性で分類するグループのことを指します。市場分析によりセクターごとの業績などを見ることで投資の判断材料に用いられます。

日経平均の銘柄選出に用いられる分類一覧

下の表は6つのセクターと、各セクターに分類される業種です。
セクター 業種
技術 医薬品/電気機器/自動車/精密機器/通信
金融 銀行/その他金融/証券/保険
消費 水産/食品/小売業/サービス
素材 鉱業/繊維/パルプ・紙/化学/石油/ゴム/窯業/鉄鋼/非鉄・金属/商社
資本材・その他 建設/機械/造船/輸送用機器/その他製造/不動産
運輸・公共 鉄道・バス/陸運/海運/空運/倉庫/電力/ガス
日本は製造業が盛んなため、日経平均には技術セクターから59銘柄と多く選出されています。また業種の多い素材セクターからの採用も56銘柄と多めになっています。

2.定期的に銘柄が入れ替えられる

日経平均を構成する銘柄は年に2回(4月の第1営業日と10月の第1営業日)定期見直しが実施されます。見直しのおもな基準は流動性とセクター間のバランスです。また日経平均を構成する銘柄の上場廃止や、プライム市場から別市場への移動があった場合は臨時で銘柄が入れ替えられます。

入れ替え基準1.流動性

過去5年間の売買代金をもとに流動性を測ります。採用・除外のルールは以下のとおりです。
  • 採用:プライム市場に上場する銘柄のうち流動性の上位75銘柄に含まれ、日経平均にまだ採用されていない銘柄
  • 除外:プライム市場に上場する銘柄のうち流動性の上位450銘柄に含まれなくなった銘柄

入れ替え基準2.セクター間のバランス

先述の6セクターから流動性の高い銘柄を数の偏りがないように採用・除外します。流動性の高い450銘柄のうち、そのセクターに属する銘柄数の1/2が各セクターからの選出数の目安です。例えば流動性の高い450銘柄のうち技術セクターに属する銘柄が100あるなら、技術セクターから日経平均への採用は50銘柄が目安となります。

3.構成比率の高い銘柄の影響を強く受ける

225銘柄それぞれが均等に日経平均に影響を与えるわけではありません。構成比率の高い銘柄、つまり株価の高い銘柄ほど日経平均への影響度合いも大きくなります。

日経平均構成比率上位銘柄

以下の表は2023年2月末時点での構成比率上位10銘柄です。ファーストリテイリングだけで1割以上を占め、10銘柄の合計は37.44%と約4割弱にもなります。
企業名 セクター 業種 構成比率 株価(2023/3/10終値)
ファーストリテイリング 消費 小売業 10.07% 2万8,735円
東京エレクトロン 技術 電気機器 5.83% 4万8,030円
ソフトバンクグループ 技術 通信 4.13% 5,343円
KDDI 技術 通信 2.98% 4,113円
ダイキン工業 資本財・その他 機械 2.91% 2万3,610円
ファナック 技術 電気機器 2.89% 2万4,130円
アドバンテスト 技術 電気機器 2.70% 1万1,400円
信越化学工業 素材 化学 2.39% 2万500円
テルモ 技術 精密機器 1.83% 3,588円
TDK 技術 電気機器 1.71% 4,770円
その日のマーケットで多くの銘柄が株価を下げていたとしても、構成比率の高い銘柄が株価を上げていれば日経平均も上昇する可能性があります。その意味では、日経平均だけでは225銘柄全体の株価動向を判断できない点は弱点といえるでしょう。
【ひと口メモ】TOPIXとは?

日経平均と似た指数に「TOPIX(トピックス/東証株価指数)」があります。TOPIXは日経平均よりも広範囲に株式市場を網羅する株価指数です。日経平均と並んで日本の株式市場全体の動きをつかめる代表的な指標として知られています。日経平均が構成比率の高い銘柄に影響を受けやすいのに対して、TOPIXは時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい点が特徴です。

日経平均株価(日経平均)が上昇・下落する要因

日経平均株価(日経平均)が上昇・下落する要因日経平均だけでなく個別の株価にも言えることですが、株が多く買われれば株価は上昇し、多く売られれば下落します。では日本株をおもに売買するのは誰でしょうか。実は売買代金の約6割が海外投資家(外国人投資家)による取引だと言われています。つまり、日経平均株価は、海外投資家の売買に大きく影響されています。
海外投資家(外国人投資家)とは、海外に在住しており、日本の市場で株を売買する個人や機関投資家(金融機関や信託銀行、投資顧問など)のことを指します。

海外投資家のなかでも機関投資家はとくに運用額が大きいため、市場へのインパクトも大きくなります。海外投資家の投資材料は企業の経営状況や財務状況だけでなく、金利や為替、各種の経済指標など多岐にわたります。

日経平均が上昇・下落するおもな要因

日経平均株価が上昇したり下落したりするのには以下のような要因があります。
  • 企業の業績や将来性
  • 経営状況や財務状況、決算の内容など
  • 政治の動向
  • 総理大臣や財務大臣、日銀総裁の発言など
  • 景気の動向
  • 金利の水準
  • 為替
  • 国際情勢
  • 戦争や紛争、貿易摩擦、諸外国の経済状況など
  • 自然災害や天候

世界の代表的な株価指数

日本の日経平均と同様の指数を世界各国でも採用しており、とくに米国のニューヨーク・ダウは世界中から注目される指数です。ここでは米国、英国、ドイツ、フランスのおもな株価指数を下の表に紹介します。
米国 英国 ドイツ フランス
指数名 ダウ工業株30種平均 FTSE100種総合株価指数 ドイツ株価指数 CAC40
略称 ダウ平均株価 FTSE100(フッツィーワンハンドレッド) DAX(ダックス)
算出機関 ダウ・ジョーンズ社 FTSE STOXX ユーロネクスト・パリ
対象取引所 ニューヨーク証券取引所(NYSE)
ナスダック(NASDAQ)
ロンドン証券取引所(LSE) フランクフルト証券取引所(FWB) ユーロネクスト・パリ証券取引所
対象銘柄数 主要30銘柄 時価総額上位100銘柄 主要30銘柄 時価総額上位40銘柄

日経平均株価(日経平均)の仕組みを知って株式投資に活かそう

日経平均株価とは?について詳しく解説してきました。

日経平均株価は日本の株式市場の大まかな動きを捉えられる代表的な指標です。225銘柄すべてが均等に指数へ影響するわけではない点には注意が必要ですが、政治や景気の動向、為替の状況など併せれば投資判断の手助けになります。

今回少し触れた、株式市場の種類については、「株式市場とは?市場の種類と区分についてわかりやすく解説」の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

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  • 記事を書いた人 紗冬 えいみ

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®保有。証券会社、税理士事務所を経てWebライターに。現在はIFA事務所でアシスタント業務も行う兼業ライター。所属事務所のメルマガやFP事務所のブログ記事、金融メディアでの記事制作など年間250記事以上を執筆。モットーは「お金の世界をことばでひらく」。

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