IPO投資とは?仕組みや投資の始め方をわかりやすく解説
公開日 2023/11/07
最終更新日 2023/12/21
IPOによって、それまで市場で買えなかった企業の株を一般の投資家でも買えるようになります。上場直後は株価が大きく上昇する銘柄も多いため、IPO投資を好む投資家も多くいます。明確な勝ちパターンがあるため、初心者にとっても利益が出しやすい投資方法といえるでしょう。
この記事ではIPO投資の仕組みや利益の出し方、実際の申込み方法について解説します。ここ数年は毎年100社ほどのIPOがおこなわれているので、ぜひこの記事を参考にIPO投資ヘのチャレンジを検討してみましょう。
IPO投資とは
IPOはInitial Public Offeringの頭文字を取った言葉で、新規公開株、新規公開株式、新規上場株式などといわれます。IPO投資とは名前のとおりIPO銘柄を購入し、利益を狙っていく投資方法です。それぞれ簡単に説明します。そもそもIPOとは
IPOは、それまで証券取引所に上場していなかった企業が一般の投資家が株式を売買できるよう、証券取引所を通じて株式市場に株式を公開することを指します。IPOでは株式を新たに発行するか、上場前にもともと株主が保有していた株式を売り出します。創業者一族やベンチャーキャピタルなど一部の限られた人たちが持っていた株式が、IPOによって証券会社に口座があれば誰でも自由に売買できるようになります。企業にとっては社会的信用度を高める、また資金調達の選択肢を広げるための有効な手段です。多くのベンチャー・スタートアップ企業が新規上場を目指して企業活動をおこなっています。
IPO投資の仕組み
IPO投資を簡単に説明すると、新たに証券取引所へ上場する株式銘柄を上場前に買い、上場して市場での取引が始まったら売却して利益をあげる投資方法です。IPO(投資)は大まかに次の3つの流れでおこなわれます。- 企業が新規公開株の扱いを複数の証券会社に委託する
- 委託を受けた証券会社は新規公開株の公募価格を決め、購入希望者を募る
- 購入を希望する投資家は抽選に応募し、当選すると新規公開株を購入できる
- 株式が上場して取引が始まったあと、株価が2で決まった公募価格(※)より高ければ株式を売却して利益を得る
IPO投資の3つのメリット
IPO投資は株式投資の一種ですが、通常の株式売買にはないメリットが3つあります。- 初値(※)が公募価格を上回ることが多い
- 短期的に利益を狙える
- 初心者でも挑戦しやすい
メリット1.初値が公募価格を上回ることが多い
良い相場環境のもとでは、初値が公募価格を上回る傾向があります。抽選漏れしてIPO銘柄を手に入れられなかった投資家が上場日に買い注文を出し、需要が膨らむためです。2022年の株式市場はウクライナ情勢や世界的なインフレなどでパッとしませんでしたが、それでもIPOをおこなった91社のうち70社以上が公募価格を上回る初値をつけました。さらに、中には初値が公募価格の数倍にもなる銘柄もあります。そのため「IPO投資は利益を出しやすい」という口コミが広まり、IPO投資は根強いファンだけでなく初心者からも注目を集めています。
メリット2.短期的に利益が狙える
初値が公募価格を上回ったら、2~3週間程度の短期間で大きな利益を上げられることもIPO投資の特徴です。証券会社によって、ブックビルディング時に資金が拘束されるところと当選してから資金が拘束されるところなどがあり多少の差はありますが、いずれにしても投資を決めてから利益を得るまでの期間が短いことは確かです。すでに上場し、株価が安定している銘柄が数週間で数倍にも値上がりするケースは稀なため、こうした利益を非常に短期で狙える点はIPO投資のメリットといえるでしょう。初値がぱっとしなくても、上場してから数カ月かけて株価が大きく値上がりする例もあります。たとえば2020年4月に新規上場した松屋アールアンドディは公募価格が910円、初値は838円でした。しかし7カ月後の2020年11月には8,270円にまで上昇し、初値の約9.8倍となりました。
メリット3. 初心者でも挑戦しやすい
IPO投資は通常の株式とは購入方法が異なりますが、初心者にも挑戦しやすいといえます。理由は大きく5つあります。- 買付手数料がかからない
- 勢いのあるベンチャー企業の上場も多く株価の上昇が見込める
- 公募価格は割安に設定される
- 初値が公募価格を上回りやすい
- 毎日株価を気にする必要がない
公募価格が決まってしまえば、あとは上場日を待ちます。初値が公募価格を上回っていることを確認したら売却すれば利益が確定します。
IPO投資の3つのデメリット
IPO投資の最大のメリットは、初心者でも利益を出しやすい点にありますが、当然ながら確実に利益が約束されているわけではありません。新規上場ならではのデメリットもきちんと頭に入れておきましょう。- 初値が公募価格を割ることもある
- 値動きの予想が難しい
- 必ず投資できるとは限らない
デメリット1.初値が公募価格を割ることもある
一つ目のメリットと矛盾するようですが、投資に絶対はありません。先述した松屋アールアンドディのように、初値が公募価格を割るケースも十分にありえます。先ほど「IPOをおこなった91社のうち70社以上が公募価格を上回る初値をつけた」と述べましたが、逆に91社のうち18社は公募価格よりも安い初値をつけています。割合にするとおよそ2割です。相場環境が悪いときには特に、IPO銘柄でも公募価格割れする可能性が高まります。IPO銘柄だからとなんでもかんでも買うのではなく、可能であれば対象企業の事業内容や商品・サービスの将来性なども考慮した上で購入の是非を判断したほうがよいのは言うまでもありません。
デメリット2.値動きの予想が難しい
IPOをおこなうのはベンチャー企業が多く、高い成長を期待できる一方、大企業に比べると業績が不安定になる可能性は否めません。株価も安定しづらく、乱高下するリスクも大いにあります。株式投資は業績が安定している企業や、今後の成長が見込める企業への投資が基本です。業績の振れ幅が大きいベンチャー企業への投資は、大企業への投資よりもリスクが大きい点を頭に入れておきましょう。デメリット3.必ず投資できるとは限らない
IPO投資にあたって応募者が多数だと証券会社で抽選が行われ、当選しなければ購入はできません。人気や注目度の高い銘柄ほど倍率も高く、当選は難しくなります。全体の平均的な当選確率は1%前後ともいわれるほどです。すでに上場している銘柄であれば市場を通して誰でも購入できますが、IPO銘柄は必ず希望通り購入できるわけではありません。希望の株式を手に入れられるとは限らない点はデメリットと言えるでしょう。IPO投資に当選するためのコツは?
当選確率の低いIPO投資では、百発百中で当選できる方法はありません。しかし当選しやすくするコツはあります。ここでは3つ紹介しましょう。- IPOの取り扱い実績が多い証券会社で申し込む
- 複数の証券会社から申し込む
- 抽選の倍率が低そうな証券会社から申し込む
1.IPOの取り扱い実績が多い証券会社で申し込む
通常、IPOを取り扱える証券会社は該当するIPOの幹事会社(※1)と主幹事会社(※2)です。※1 幹事会社……IPOの引き受けや販売を担う証券会社。複数の証券会社が共同して引き受けるケースが多い
※2 主幹事会社……幹事会社のなかでもIPOに関する業務運営やスケジュール管理など中心的な役割を果たす証券会社で、株式の引受数も多い
当選する確率を高めるには、そのIPO銘柄の主幹事を務めている証券会社から申し込むのがセオリーです。主幹事会社では、新規公開される株式のうち50%~70%をも引き受ける場合があります。割り当てられる株数が多いため、投資家へ配分できる株数が多く、当選の期待が高まります。
2.複数の証券会社から申し込む
IPOでは株式を複数の証券会社に分けて投資家を募集します。たとえばA証券会社に10万株、B証券会社には5万株といった具合です。各証券会社で購入希望者を募り、希望者が多い場合は抽選をおこないます。IPO投資での当選確率を上げたい場合は複数の証券会社で口座を開き、申込みの窓口を増やすとよいでしょう。3.抽選の倍率が低そうな証券会社から申し込む
抽選方法は証券会社によって異なります。特に初心者が当選確率を上げたい場合は「完全平等抽選」を採用している証券会社からの申込みがおすすめです。完全平等抽選とは、特定の応募者への優遇はなく、当選の機会が誰でも平等である抽選方法です。他には取引回数(支払った手数料額)が多い人が当選しやすくなる抽選方法や、口座内の資金やIPO申込み株数が多い人を優遇する抽選方法があります。また優遇抽選と平等抽選を組み合わせている証券会社もあります。IPO投資の始め方
IPO投資を始める場合、以下の流れが一般的です。- 証券会社で口座を開く
- ブックビルディングに申し込む
- 必要な金額を入金する
- 当選したら購入手続きをおこなう
- 上場日を待つ
手順1. 証券会社で口座を開く
証券口座を持っていない方は、まず口座開設の手続きをします。IPO投資を重視する場合は主幹事会社や幹事会社の実績が多い証券会社を選ぶとよいでしょう。実際に取引を始められるようになるまで数日を要する場合もあるため、その点に留意しつつ手続きを進めましょう。手順2.ブックビルディングに申し込む
口座開設を終えたら購入したいIPO銘柄の目論見書(※)に目を通し、ブックビルディングへ申込みます。※目論見書(もくろみしょ)……株式を発行する企業の事業内容や経営計画、利益予測などの重要事項が記載され、投資家に必ず交付される書類
ブックビルディングでは、たとえば1,000円~1,500円といったように目安となる価格帯が提示されます。申込みの際に値段と株数を指定しますが、指定した値段が1,000円、公募価格は1,500円で決まった場合、抽選の対象外となります。抽選に進めなければ株式を手に入れられませんので、上限価格で申し込むのが事実上の“鉄則”となっています。
手順3.必要な金額を入金する
ブックビルディングに申し込んだら、必要な金額を公募価格が決まるまでに入金します。とはいえ公募価格はまだわかりませんので、「目安となる価格帯の上限価格×申し込んだ株数」以上の金額を入金しておく必要があります。手順4.当選したら購入手続きをおこなう
ブックビルディング期間が終わると抽選に入ります。当選できた場合には購入するか辞退するか、意思表示を求められます。当選できたと安心して購入手続きをしそびれては株が手に入りませんので注意しましょう。無事にすべての手続きが終わると、保有株として反映されます。手順5.上場日を待つ
上場日を迎えると株式が公開され、市場で売却できるようになります。初値が公募価格よりも高ければ売却して利益を得ることができます。しかし、必ずしも初値で売却する必要はありません。企業の成長・株価の上昇に期待して初値では売らず、しばらく保有するのも一つの選択肢です。注目しているIPO銘柄が、「A証券会社では取り扱いがあってもB証券会社では取り扱っていない」というケースもあります。IPOの取り扱い実績は証券会社によって差があるため、IPO投資を目的に口座開設をするなら証券会社を吟味しましょう。
IPO投資は利益を狙いやすい方法だが将来性にも注目しよう
IPO投資では初値が公募価格を上回るケースが多く、やり方さえわかれば初心者にも魅力的な投資手法です。一方で将来性のある企業であれば、時間をかけて初値以上に株価が上昇し、長期の保有でより多くの利益を得られるかもしれません。とくに業績が不安定なベンチャー企業は株価の騰落幅も大きくなりがちで、そのぶんリスクも高まります。初値での売却益を狙うだけでなく、相場環境や本当に投資に値する企業かどうか、きちんと調べて判断しましょう。
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