TMK(特定目的会社)スキームとは?仕組みをわかりやすく解説

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#用語解説 #投資の仕組み・スキーム

不動産投資の対象となる不動産ファンドの資金調達に、TMKスキーム という仕組みがあります。これは不動産を持つ会社などがTMK(特定目的会社)を設立し、そのTMKに資産を移して運用するものです。投資家にとってはこのTMKスキームを利用した不動産ファンドにどんな特徴と魅力があるのか気になるところでしょう。

そこでこの記事では、TMKスキームの仕組みをわかりやすく解説 します。不動産ファンドでの投資を検討している方、仕組みを詳しく知りたい方は、当記事をぜひ参考にしてみてください。

TMK(特定目的会社)スキームとは?

TMK(特定目的会社)スキームとは?

TMKスキームとは「不動産私募ファンド」における資金調達の仕組みの一つです。「TMK」は「特定目的会社(Tokutei Mokuteki Kaisha)」の頭文字からとったものです。

TMKスキームの特徴

TMK(特定目的会社)とは「資産流動化法(SPC法)」に基づいて、資産の流動化を目的に設立する法人のことを指します。TMKスキームでは、次の4種類の資金調達により特定資産(不動産)を取得します。

  • 特定借入(金融機関)
  • 特定社債(金融機関など)
  • 優先出資(投資家)
  • 特定出資(投資家)

TMKスキームは「資産流動化計画」を作成し、一定の要件(※)に該当すればファンド監査を受けるため投資家にとっては信頼性が高いことも特徴です。

※ 証券として特定社債のみ発行し、特定社債と特定目的借入の総額が200億円未満の場合は不要

資産流動化法とは?

資産流動化法(SPC法)は1988年6月に公布されたもので、TMK(あるいは、SPC/特別目的会社 )を設立して資産を流動化するための法律です。資産の有効活用やさまざまな金融商品の開発を促す目的で制定され、2001年4月の改定で現物不動産以外のあらゆる財産権が対象となりました。

この法律ではTMKが不動産などの資産を取得・運用して、その収益を裏付けに証券や信託受益権を発行する際のルールなどを定めています。

優先出資と特定出資の違いは?

優先出資とは、TMKの利益配分や残余財産の配分を特定出資者に先立ち受け取る権利を持つ出資のことです。優先出資者はTMKの制限を受けることなく優先出資証券を譲渡できます。

一方の特定出資は、TMKを設立する発起人が設立をする際に振込みをする出資です。特定持分を特定出資者以外に譲渡する場合には、総会の承認が必要となります。

不動産私募ファンドとは?

私募ファンドは「プライベートファンド」とも呼ばれ、資金を募る対象者を49名以下に限定したファンドです。行政規制を受けないため公募ファンド(投資信託 )よりもハイリスク・ハイリターンであることが特徴でで、高い利回りが望める反面、取得した証券の流動性が低い点に注意が必要です。

TMK(特定目的会社)スキームの仕組みは?

TMK(特定目的会社)スキームの仕組みは?

オリジネーター(不動産の原資産保有者)がTMKを設立すれば、保有する資産(不動産など)をTMKに売却できます。TMKはその資産から生じるキャッシュフローなどを裏付けにして、資産対応証券を発行し資金を調達する仕組みです。

TMKスキームの流れ

TMKスキームは次のような流れで、オリジネーターの特定資産を流動化します。

  1. TMKを設立
  2. 特定資産(不動産や信託受益権)の売買契約締結
  3. 特定資産管理処分業務委託契約の締結
  4. 資産流動化計画を地方財務局へ提出し業務開始を届出
  5. 減税証明申請(登録免許税)
  6. 優先出資引受契約の締結
  7. 保管証明書の発行と優先出資発行の登記
  8. 特定社債要項・特定社債引受契約の締結と特定社債の発行
  9. 特定目的借入れによる資金調達
  10. 特定資産の取得

信託受益権とは、信託銀行などに信託した資産から発生する経済的利益を受け取る権利のことです。

TMKスキームの仕組み

TMKスキームの仕組みは購入する対象が現物不動産か受益権かにより異なります。

1.現物不動産によるTMKスキームの仕組み

まず資産を保有するオリジネーターはTMKを設立し、金融機関から特定借入での融資や特定社債による払込を受けます。あるいは投資家から優先出資や特定出資による資金を調達します。資金を得たTMKはオリジネーターから不動産を取得し、取得代金をオリジネーターに支払います。

TMKは「特定資産管理処分受託者(信託会社)」と管理処分委託契約を締結して、取得した不動産の運用を委任します。特定資産管理処分委託者は賃貸付けをして賃借料を受け取り、TMKに賃料を支払います。

賃料を受け取ったTMKは融資を受けた金融機関に対して元利金を支払い、特定社債を購入した金融機関や投資家にその償還と利息の支払いをします。また出資している投資家に対して配当を支払います。

以下にその流れを記載します。

  1. TMK←【資金調達】←金融機関・投資家
  2. TMK←【資産を取得】←オリジネーター
  3. オリジネーター←【取得代金支払い】←TMK
  4. 特定資産管理処分受託者←【運用委託】←TMK
  5. 特定資産管理処分受託者←【賃貸料】←賃借人
  6. TMK←【賃料】← 特定資産管理処分受託者
  7. 金融機関・投資家←【元利金・社債償還・配当など】←TMK

2.受益権によるTMK(特定目的会社)スキームの仕組み

不動産を所有するオリジネーターはTMKを設立し、まずアセットマネジャーに投資運用業務を委託します。次に現物不動産と同じように金融機関や投資家から資金を調達します。そしてTMKはオリジネーターから不動産の受益権を取得し取得代金を支払います。オリジネーターはこの受益権を、不動産管理処分信託契約を結ぶ信託銀行から受け取り、TMKに売却する仕組みです。

信託銀行は賃借人から賃借料を受け取り、その賃借料を原資にTMKへ信託配当を支払います。信託配当を受け取ったTMKは金融機関や投資家に対して融資の元利金支払いや特定社債の償還と利息の支払い、あるいは出資に対する配当支払いを行います。

以下にその流れを記載します。

  1. アセットマネジャー←【業務委託】←TMK
  2. TMK←【資金調達】←金融機関・投資家
  3. オリジネーター←【受益権】←信託銀行
  4. TMK←【受益権】←オリジネーター
  5. オリジネーター←【取得代金支払い】←TMK
  6. 信託銀行←【賃借料】←賃借人
  7. TMK←【信託配当】←信託銀行
  8. 金融機関・投資家←【元利金・社債償還・配当など】←TMK

TMK(特定目的会社)とGK-TKスキームの違い

不動産私募ファンドでの資金調達にはほかに、「GK-TKスキーム 」というものがあります。

GK-TKスキームはオリジネーターが「合同会社」を設立し、投資家からの「匿名組合出資」を受けたり金融機関から借入をしたりといった形で資金を調達します。TMKとの大きな違いは、現物不動産を対象にできないこと です。

オリジネーターが保有する現物不動産を購入することはできず、オリジネーターが信託銀行から得た受益権を購入する形となります。お金の流れは受益権におけるTMKスキームと同じです。社債を発行することもなく、金融機関からは融資のみを受けます。投資家は匿名組合出資者となり、匿名組合出資や合同会社出資をして配当を受け取る仕組みです。

なお匿名組合は投資する権利を譲渡できず、途中解約もできないため、流動性がない点に注意が必要です。

TMK(特定目的会社)とREITのスキームの違い

REIT(リート) はTMKのような会社を設立せずに投資法人が現物不動産や信託受益権を保有しており、資産運用は資産運用会社に委託します。また投資口を上場することで流動性が高まり、幅広い投資家からの資金調達ができるのも特徴です。

資金調達は金融機関からの融資や金融機関への投資法人債の売却、投資家からの出資という形になります。

TMK(特定目的会社)スキームの特徴やメリット

TKMスキームにおけるメリットには次の3点があります。

1.投資家は安心して投資できる

TMKは当局に提出した資産流動化計画に従って資産運用しなければなりません。そのため投資家はTMKスキームによる運用が見える化されている安心感を得られます。

2.税金が安い

TMKスキームでは税金が安くなります。たとえば不動産取得税は不動産価格の5分の3に相当する税金が免除されます。あるいは一定の事業年度に限りますが、利益配当の金額を損金の額に算入できる特別措置もあります。このような税務上の優遇措置は、投資家にとっては収益のプラスにつながる利点と言えます。

3.投資できる財産や財産権が豊富

TMKスキームではGK-TKスキームのように投資対象が信託受益権に限定されず、現物不動産はもちろん債権などにも投資できます。リスク回避の対象が多い点も投資家にとってはメリットです。

TMK(特定目的会社)スキームは透明性の高い運用が利点

TMK(特定目的会社)スキーム の仕組みについてわかりやすく解説 してきました。

TMKスキームの投資家にとっての最大利点は、資産流動化計画に沿った運用をすることでの透明性の高さです。ファンド運用の内容が見える化されているので、納得・安心して投資ができるようになっています。また税金の優遇措置があるため、高い収益性が期待できる点もTMNスキームの特徴であり魅力と言えるでしょう。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

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