早期償還とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

share:

#用語解説 #投資の仕組み・スキーム #投資初心者
不動産クラウドファンディングソーシャルレンディングで投資をしていると、ときどき「早期償還」が発生することがあります。この早期償還とはどういう意味で、どういう場合に発生するのでしょうか。また、投資家にとって良いことなのでしょうか?悪いことなのでしょうか? 

 この記事では、そんな早期償還について詳しく解説します。

そもそも「償還」とは?「返済」との違いは?

そもそも「償還」とはどういう意味なのでしょうか。償還とは、債券や投資信託が満期を迎え、投資家にお金が返還されることをいいます。基本的には元本がそのまま返還されることを目指しますが、場合によっては「元本割れ償還」や「額面割れ償還」が起こることもあります

一方、似た意味で使われる言葉として、「返済」もあります。返済とは、借りたお金を貸し手に返すことです。少し意味は異なりますが、不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングにおいては「償還」と「返済」はほぼ同じニュアンスで使われます。

早期償還とは「早期に」「償還」されること

早期償還とは、文字通り、投資案件において予定されていた期間よりも早く償還が行われることをいいます。例えば、当初投資期間が12カ月と想定されていた案件で、実際には半分の6カ月で償還が行われるようなケースです。このようなときは多くの場合、得られる利益も想定の半分になります。

ただし、早期償還にはさまざまなケースがあり、中には早期償還によって想定以上の償還が行われる場合もあります

早期償還の発生頻度は?

ところで、早期償還はどの程度発生するのでしょうか。例えばソーシャルレンディングサービス大手の「Funds(ファンズ)」では、早期償還の情報を公開しています。同サービスでは運用終了したファンド216件のうち10件が早期償還となっており(2023年11月14日時点)、発生率としては約5%です。

他の事業者でも多かれ少なかれ早期償還は発生しています

どんなときに早期償還が起きる?

早期償還はどんな時に起きるのでしょうか。不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングに分けてそれぞれ解説します。

1.不動産クラウドファンディングにおいて早期償還が起きるケース

不動産クラウドファンディングにおいては、物件の売却益を狙うキャピタルゲイン型案件で早期償還が起こり得ます。償還は基本的に投資対象の不動産物件が売却された時点で行われるため、早期償還が起こるのは想定よりも早く物件が売却できたとき、となります。

なお、想定する期間内に売却ができなかった場合には事業者が物件を買い取ることもあります。また、事業者がより低い利回りで資金を調達した場合、借り換えが発生し、早期償還が起こることがあります

2.ソーシャルレンディングにおいて早期償還が起きるケース

ソーシャルレンディングにおいては、融資先が予定よりも早く資金を返済した場合に早期償還が起こります。理由には、プロジェクトが順調に進んだ結果、予定よりも早く終了したというケースや、逆にプロジェクトが途中で中止となってしまったケースなどがあります。

また、そもそも余裕を持って計画よりも長い期間で借り入れを行っているため、計画通りプロジェクトが終わって結果的に早期償還となるケースもあります。不動産クラウドファンディングと同様、事業者がより低い利回りで資金を調達した場合にも早期償還が発生することがあります。

早期償還のメリット

早期償還のメリット・デメリット早期償還が起きると、投資家にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1.早期に利益を確定できる

早期償還が起きると、想定していたよりも早期に利益を確定できます。返ってきた資金を他の用途に使用することもできるでしょう。

メリット2.次の投資に資金を回せる

早期償還により返ってきた資金を別の投資案件に回すこともできます。そのタイミングでよりよい条件の案件が募集されていれば、当初予定していたよりも高いパフォーマンスが得られるでしょう。

早期償還のデメリット

一方、早期償還には以下のようなデメリットがあります。

デメリット1.当初想定していた利益が得られない

例えば、年利回り5%・投資期間12カ月の案件に100万円投資した場合を考えます。この場合、想定通り満期で償還が行われれば、5万円の利益が得られることになります。しかし、6カ月の時点で早期償還が行われると、得られる利益は半分の2.5万円となります。

このように、早期償還が起こると当初想定していた利益が得られないことになります。

デメリット2.投資計画の変更を余儀なくされる

早期償還が発生すると、当初想定していたよりも少ない利益しか得られず、また想定よりも早く投資資金が返ってくることになります。そのため、当初想定通りのパフォーマンスを得るには、別の案件に投資する必要があります

ちょうどそのタイミングでよい案件が募集されていればよいですが、そうでない場合、当初想定よりもパフォーマンスが下がってしまう可能性もあります。

デメリット3.資金の運用効率が下がる

不動産クラウドファンディングにしろ、ソーシャルレンディングにしろ、案件の募集から実際の投資開始までには通常数日から数週間程度のタイムラグがあります。その間は投資資金は拘束されますが、利益は発生しません。したがって、利回りが同じであれば、例えば投資期間12カ月の案件に1回投資したときよりも、6カ月の案件に2回投資した時の方が資金の運用効率は若干悪くなります

早期償還が発生した場合、先ほど述べたように別の案件に再度投資する必要があります。その場合、このタイムラグの影響で多少資金の運用効率が下がることになります。また、細かいことですが、投資回数が増えると、入金時の銀行手数料などがその都度かかることにもなります。

早期償還は良いこと?悪いこと?

早期償還はいいこと?これまで見てきたように、投資家にとって早期償還には良い点・悪い点の両方があります

投資家からすると、期待していた利益が全額得られないため若干損したような気分にはなりますが、資金が予定よりも早く返ってきて投資期間中の利益が得られただけよしとしましょう

逆に返済遅延やデフォルトが発生して資金が返って来なくなるよりははるかによいといえます。早期償還が起きたときに喜んだり落胆したりする必要はありません。冷静に対処すればよいでしょう。

早期償還の可能性を理解して投資を

早期償還とは?について解説してきました。 

早期償還は事前に予測することはできず、狙ったり避けることもできません。不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を手掛ける上で避けられない事態であるといえます。

不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディング投資を10年以上にわたり行ってきた筆者自身も、これまで早期償還を何度も経験していますが、特に気にしていません。不動産クラウドファンディング・ソーシャルレンディングに投資する際は、早期償還が起こるものであると理解した上で投資するようにしましょう

share:

  • 記事を書いた人 中田健介

    IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。

    この執筆者の記事を見る
こちらの記事もおすすめ
不動産クラファンの選び方
【11月最新】不動産クラウドファンディングのキャンペーン情報まとめ!
NEW

#投資初心者

不動産特定共同事業法(不特法)
不動産特定共同事業法(不特法/FTK法)とは?要点をわかりやすく解説

#用語解説

#投資の仕組み・スキーム

投資一般
『私の財産告白』本多静六の蓄財・投資法&名言

#投資初心者

不動産クラファンの選び方
【10月最新】不動産クラウドファンディング利回りランキングTOP10+α

#投資初心者

ソシャレンの選び方
【10月最新】ソーシャルレンディングのキャンペーン情報まとめ

#投資初心者

不動産クラファンの選び方
不動産クラウドファンディングの短期型と長期型、それぞれのメリット・デメリットは?

#投資の仕組み・スキーム

#投資初心者