不動産投資における都心と地方それぞれのメリットとデメリットとは

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#リスクマネジメント #投資初心者
こんにちは。ブロガー・投資家の中田健介です。

不動産クラウドファンディングの投資対象である不動産は、立地の面では大きく都心と地方に分けられます。不動産投資において、都心の物件と地方の物件には、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

今回は、この違いについて解説します。

都心の物件のメリット

まずは、不動産クラウドファンディングでも投資対象となる数が圧倒的に多い都心の不動産について見ていきましょう。都心の不動産には以下のようなメリットがあります。

1.好景気時には価格上昇が期待できる

不動産価格は、実需だけでなく景気動向によっても大きく左右されます。例えば1980年代のバブル期には不動産価格は大きく上昇し、2008年のリーマンショック時には大きく下落しました。景気は循環するので、良いときもあれば悪いときもあります。

そして、都心の物件は景気動向の影響を強く受ける傾向があります。特に好景気の際には都心の物件は大きな価格上昇が期待できるでしょう。

2.手間があまりかからない

都心の物件は管理体制がしっかりしている物件が多く、基本的に修繕などもきちんと行われており、いわゆる「ボロ物件」といったものはあまりありません。

資産価値を上げるため、賃料を上げるために投資用物件をリフォームするケースは多いですが、「このままでは貸し出せない」というレベルであるために手間をかけて修繕しなければならない、というケースは比較的少ないといえるでしょう。

3.賃貸需要が安定している

都心の大きな特徴として、安定的な賃貸需要が見込める点も見逃せません。「東京一極集中」は、社会課題の1つとなっていますが、都心への不動産投資という観点でいえば、継続的な需要の大きさを表しており、メリットとなります。

また、都心でなくとも東京近郊であれば、ベッドタウンとして東京都心への通勤客を取り込むこともできます。東京での賃貸は、新宿・渋谷・池袋といったターミナル駅付近から部屋を探し始め、そこで賃料が高すぎる人は、徐々に郊外を検討していくという探し方が一般的です。賃料設定さえ間違わなければ、長期にわたって賃料を得ることも可能です。

4.銀行の選択肢が多い

東京は借入先の金融機関選定という観点で見ても、都銀・地銀・信金・外資系銀行なども含め、さまざまな貸し手が互いに競争している、不動産投資ローンの“激戦区”です。投資家からすれば、投資資金の借り入れの選択肢は広いといえます。

都心の物件のデメリット

一方、都心の物件には以下のようなデメリットもあります。

1.利回りが低い

都心の物件は、賃料に対して物件価格が非常に高い傾向があります。そのため、多くの場合、表面利回りとしては高くて5%程度です。空室リスクが低めである反面、リターンは小さめになります。

2.優良物件の競争率が高い

都心は、投資用不動産の競争率も高くなります。不動産業者が抱える優良物件の情報は、すでに不動産投資を複数行っている“優良顧客”に優先的に行きやすく、初心者がよい物件を探し出し、巡り合うのはそれなりに難易度が高いといえます。

地方の物件のメリット

都心の物件にはさまざまなメリットがありますが、地方の物件にもメリットがあります。具体的には以下のようなものが挙げられます。

1.高利回りの物件が多い

地方の物件には、利回り20%を超える「掘り出し物」ともいえる高利回りのものもあります。都心ではこのような高利回り物件はほぼないといってよく、この点は地方物件の大きな魅力といえるでしょう。

2.地元の金融機関からのローンが出やすい

金融機関の不動産査定では、積算評価(土地価格と建物価格の合計で価値を評価する方法)がよく用いられます。都心では、実勢価格との乖離が大きくなるため、相対的に地方の物件は積算評価が高く出やすいという特徴があります。

担保となる不動産の価値が大きく見積もられやすいため、地元の信用金庫などでフルローンでの借り入れがしやすいというメリットがあります。

地方の物件のデメリット

一方、地方の物件のデメリットとしては以下のようなものがあります。

1.好景気時でも価格上昇はさほど期待できない

地方の物件は、都心の物件と比較して景気動向の影響をあまり受けない傾向があります。好景気の際でも、都心の物件ほどの価格上昇は期待しにくいでしょう。

2.経営力と企画力が求められる

地方の物件には非常に高利回りのものもありますが、その高利回りは満室になった場合の想定利回りであり、こうした物件の多くは空室だらけです。

つまり、このような物件への投資はハイリスク・ハイリターンであるといえ、土地勘や地域性、かかる修繕費などの目利きを間違えると、大きな問題が発生するリスクがあります。

そのため、もはや不動産投資というよりも事業再生案件に近く、自分が率先して動く必要があります。こうした物件を購入して、少ない修繕費で賃貸を埋めることができれば高い利回りは現実となり、転売すれば高く売れる可能性はあります。しかし、これには膨大な手間がかかります。

つまり、地方の物件を自ら管理し、賃貸業者回りも自ら行い、物件価値を高めるという経営感覚がなければ、期待通りの利回りは得られません。高利回りの地方物件は投資というよりも経営に近いプロジェクトとなります。

3.入居付けをする管理会社やビル管理会社の選択肢が少ない

高利回りの地方物件で収益を得るには、空室を埋める必要がありますが、そのためには入居付けをしてくれる管理会社の存在が非常に重要となります。そうした管理会社が見つかればよいですが、地方ではあまり管理会社の選択肢が多くないため、都合よく見つかるとは限りません。

4.賃貸需要が大きく減少するリスクがある

地方の物件は、周辺に点在する工場や大学などに経済を大きく依存していることが多く、特に長期保有をする場合は、周辺環境の変化により賃貸需要が大きく減少するリスクもあります。

5.金融機関の選択肢が少ない

東京と違い、地方の場合、融資の出し手が限られているという問題があります。地方で不動産を購入するには、地元の地銀と信金・日本政策金融公庫くらいしか選択肢がありません。この点は、物件購入時の制約となることはもちろん、売却時のリスク要因にもなります。

不動産クラウドファンディングでも投資先のエリアを意識しよう

今回は不動産投資における都心と地方のメリット・デメリットについてまとめました。

どちらにも良い点・悪い点があり、絶対的にどちらが良いと決めることはできません。ご自身の投資スタイルや志向、不動産投資経験、あるいは自己資金の大きさなど、さまざまな要素によって、どちらが適した投資先であるかは変わってきます。

また、今回紹介したメリット・デメリットのいくつかは、現物不動産に限らず、不動産クラウドファンディングで投資を行う際にも当てはまるものです。ファンド選びの際には、投資対象不動産のチェックは欠かせませんが、都心と地方、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で選ぶという観点も忘れないようにしましょう。

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  • 記事を書いた人 中田健介

    IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。

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