ETF(上場投資信託)とは?投資信託や株式との違いをわかりやすく解説

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日本国内には6,000以上もの公募投資信託が存在しています。株式を主体としたもの、債券中心のものなどさまざまな種類がありますが、そのほかにETFという株式のように市場に上場している投資信託 があるのをご存じでしょうか。 

 今回はETF(上場投資信託)とは 何かをわかりやすく解説します。これから投資信託の購入を検討する方、ETFを知ってはいるけれど、メリット・デメリットまでは把握していなかったという方はぜひご覧ください。

ETF(上場投資信託)とは

ETFとはExchange Traded Fundsの略です。日本語では「上場投資信託」といわれています。投資信託の名のとおり、複数の銘柄を組み込んで作られた金融商品です。ETFの仕組み、そして投資信託や株式投資との違いを把握しておきましょう。

ETF(上場投資信託)の仕組み

ETFは株価指数などに連動した値動きを目指した投資信託です。ETFが連動する指数には次のようなものがあります。
  • 日経平均株価
  • 東証株価指数
  • 日経レバレッジ指数
  • 国内債券
  • NASDAQ
  • NYダウ
その他、以下の株価に連動したものもあります。
  • 日経高配当株
  • 銀行株
  • 新興国株

ETF(上場投資信託)と投資信託・株式投資との違い

ETF(上場投資信託)と投資信託・株式投資との違い次に、ETFと他の投資との違いについて解説していきます。

ETF(上場投資信託)と投資信託の違い

まずはETFと混同されやすい投資信託との違いです。

違い1.取扱窓口の違い

複数の銘柄を組み入れて作られている点ではETFは一般の投資信託と似ていますが、取扱窓口が異なります。ETFが証券会社のみであるのに対し、一般の投資信託は証券会社のほか、銀行や郵便局などでも取り扱っています。

違い2.注文方法などの違い

ETFは東京証券取引所などの株式市場に上場しているため、売買時は株式のように証券会社を通じて注文を入れ、市場が開いている時間であればリアルタイムで取引を行うことができます。注文方法も株式同様「指値注文」「成行注文」が可能です。
 
「指値(さしね)注文」とは売買する価格を指定して出す注文のことで、「成行(なりゆき)注文」とは売買する価格を指定せず出す注文のことを指します。
一方、一般の投資信託は上場していません。注文を販売会社に出しますが、売買価額は注文日の翌営業日に発表される基準価額になります。投資信託の注文時点では売買価額が分からないという点を覚えておきましょう。

違い3.窓口ごとの取扱銘柄の違い

ETFは上場しているため、どの証券会社であっても取扱銘柄はまったく同じです。しかし、一般の投資信託は各窓口で取扱銘柄や銘柄数が異なるという特徴があります。

ETF(上場投資信託)と株式投資の違い

次に、ETFと株式投資の違いについて見ていきましょう。

違い1.商品特性の違い

ETF、株式ともに株式市場に上場しており、どの証券会社でも取扱銘柄や注文方法は同じです。しかし、ETFが専門家が選定した複数の銘柄を組み合わせた「パッケージ」のような金融商品であるのに対し、株式は自分で個別に投資先を選定しなければなりません。

違い2.株主優待の有無

日本国内の株式の場合、銘柄によっては株主優待が受け取れることがありますが、ETFにはそれがありません。なお、株式投資の場合、銘柄によっては「配当金」を受け取れる場合がありますが、ETFも同様に銘柄によっては「分配金」を受け取れるものがあります。

違い3.運用にかかるコスト

株式投資の場合、売買の際に「売買手数料」がかかりますが、ETFの場合はこれに加えて、運用中には「信託報酬」がかかります。ETFの信託報酬は銘柄によって異なり、安いもので0.1%未満、高くて1%程度です。
 
信託報酬は投資信託の運用時にもかかりますが、投資信託の場合は販売窓口の手数料も加味されるため、とくにネット証券以外で購入する場合、ETFよりもETFよりもトータル手数料がやや高くなる傾向があります。

ETF(上場投資信託)・投資信託・株式投資の違い一覧

ETF、投資信託、株式投資の違いを一覧で確認しておきましょう。
ETF 投資信託 株式投資
上場 している していない している
販売窓口 証券会社 証券会社
銀行
郵便局 など
証券会社
売価 時価(価格を確認して注文が可能) 1日1回更新される基準価額(価格を確認して注文が不可能) 時価(価格を確認して注文が可能)
コスト 売買手数料
信託報酬
売買手数料
信託報酬
売買手数料
個別銘柄の選択 不可(組入銘柄を選択不可) 不可(組入銘柄を選択不可) 可(投資銘柄を自分で選べる)

ETF(上場投資信託)に投資するメリット

ETF(上場投資信託)に投資するメリット続いて、ETFに投資するメリットについて解説していきます。

メリット1.どの証券会社でも購入可能

投資信託の販売窓口によって取扱銘柄が異なることがあるため、「A銀行で販売している商品がB銀行にはない」ということも珍しくありませんが、ETFは上場しているため、ネット証券を含めどの証券会社でも取引ができます。

メリット2.リアルタイムでの取引が可能

ETFは株式のようにリアルタイムでの取引が可能です。また、指値注文をすれば、指定した価格以上(以下)での売買を防ぐことができます。

メリット3.コストを抑えられる

商品にもよりますが、投資信託と比較するとETFの方が売買手数料や信託報酬が低めに設定されるのが一般的です。コストを意識して投資をするのであれば、投資信託よりもETFの方がお得といえます。

メリット4.分散投資ができる

投資のリスクを抑えるためには、1つの金融商品に集中して投資するよりも、いくつかの商品に分散して投資する「分散投資」が有効です。株式投資の場合、いくつもの銘柄に分散投資しようとすれば多くの資金が必要になるでしょう。しかし、ETFであれば、数十〜数百にもおよぶ銘柄が組み込まれるため、1銘柄の購入だけでも分散投資が可能です。

ETF(上場投資信託)のデメリット

ETFへの投資には次のデメリットもありますので、こちらも押さえておきましょう。

デメリット1.株主優待が受け取れない

投資の楽しみの一つに「株主優待」があります。株主優待は日本独自の制度で、株式発行企業が販売する商品やサービスの優待券、ギフトの詰め合わせなどが受け取れるものです。株式投資であれば、企業によっては株主優待を受け取る権利を得られることがありますが、ETFには株主優待はありません。

デメリット2.少額・定額の積み立て投資ができない

投資信託の場合、毎月定額を長期間積み立てる「積み立て投資」を行うことができます。証券会社にもよりますが、100円などの少額から始めることができるため人気のある投資方法です。ETFも投資信託ではありますが、「口(くち)」単位での購入となり、とくに国内ETFの場合は多くは10口単位での購入となります。

「100円から投資」というわけにはいかないほか、常に価格が変動するため毎月定額を積み立てることができません。そのため、毎月同じ額を少しずつ投資をしたいという方には不向きです。

デメリット3.信託報酬がかかる

株式投資と比較すると、ETFは売買手数料のほかに信託報酬がかかる点はデメリットです。中には同じ株価指数に連動するETFも複数あるので、コストを少しでも抑えたい方は、それらの中でも信託報酬の低いものを探して購入するとよいでしょう。

ETF(上場投資信託)は投資初心者にもおすすめ

ETF(上場投資信託)とは? について解説してきました。

ETFは株式と同様に市場で売買されているためリアルタイムで取引できるという大きなメリットがあります。指値注文もできるため、投資の醍醐味も味わえます。

また、ETFは複数の銘柄が組み込まれた投資信託ですので、1本でも分散投資ができ、初心者にも比較的始めやすい投資と言えます。さらに投資信託に比べて信託報酬が安いというメリットもあります。

これから投資を始めてみたいけれど株式のように銘柄を選ぶのは難しそう、という方はETF投資は有力な選択肢になるでしょう。

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  • 記事を書いた人 田尻 宏子

    2級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員第一種資格保有。証券会社、生命保険会社など複数の金融機関勤務後、2016年にライターとして活動開始。現在は「分かりにくいことを分かりやすくお伝えする」をモットーに、株式などの投資関連から、保険や家計管理まで幅広く金融関連記事を執筆中。

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