不動産クラウドファンディングとREIT(リート)の違いは?仕組みや特徴を比較
公開日 2023/09/01
最終更新日 2024/06/14
REIT(リート/不動産投資信託)と不動産クラウドファンディングは、いずれも不動産に関する投資商品ですが、詳しい違いについてはよく分からないという方が多いでしょう。そこで今回は、REIT(リート)と不動産クラウドファンディングの違いや、それぞれの特徴、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。
本記事を読むことで、それぞれの投資商品の違いが分かり、自分にマッチした投資先を選べるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
RIET(リート/不動産投資信託)とは
REITと不動産クラウドファンディングの違いを見ていく前に、まずはREITの特徴とメリット・デメリットについて確認しておきましょう。
RIETの概要
RIETとは、不動産投資信託のことで「Real Estate Investment Trust」の略称です。投資家から集めた資金をオフィスビル・ホテル・商業施設・物流施設などの不動産に投資し、賃貸収入や売却益を投資家に分配する仕組みになっています。
投資対象はREITに組み込まれている複数の不動産で、REITを購入するだけで専門家が選んだ不動産に分散投資することができます。
なお、日本におけるREITは、頭文字にJAPANの「J」を付けてJ-REITと呼びます。J-REITは個別銘柄として証券取引所に上場しているため、株式と同じように売買することが可能です。J-REITは個別銘柄のほか、J-REIT ETFやJ-REITファンドがあります。
RIETの特徴やメリット
- 少額から手軽に投資ができる(数万円から数十万円)
- 安定的に比較的高めの分配金が得られる
- 不動産の運用・管理の手間を運営元の投資法人に一任できる
- 複数の不動産に分散投資するので、リスク軽減になる
- 証券取引所に上場しているため流動性が高く売買しやすい
- iDeCoやNISA制度を利用できるので節税になる
RIETのリスクやデメリット
- 運営する投資法人の倒産や、上場廃止のリスクがある
- 災害によって対象不動産が損傷・損壊し、不動産価値の低下や分配金が減るリスクがある
- 不動産市場や社会情勢の影響で価格変動するリスクがある
- 株式や投資信託のように配当控除が受けられない
不動産クラウドファンディングとは
次に、不動産クラウドファンディングの特徴とメリット・デメリットを確認していきましょう。
不動産クラウドファンディングの概要
不動産クラウドファンディングは不動産小口化商品の一種で、2017年12月に国交省が不動産特定共同事業法を改正したことにより行えるようになった不動産投資商品です。
不動産クラウドファンディングは、インターネットを介して複数の投資家から資金を集め、マンション・ホテル・オフィスビル・商業施設などの不動産に投資し、そこから発生した利益を投資家に分配するという仕組みになっています。
投資対象は一棟の不動産で、事業者が公開している管理状況や築年数といった物件情報を基に、投資家自身が投資したい案件を選ぶことができます。
不動産クラウドファンディングの特徴やメリット
- 少額から手軽に投資ができる(1口1万円から数十万円)
- 比較的高い利回りで投資できる
- 不動産の運用・管理の手間を運営元の事業者に一任できる
- 優先劣後方式で元本割れリスクが軽減されている
- 不動産の価格変動が比較的少ない
不動産クラウドファンディングのリスクやデメリット
- 事業者の倒産リスクがある
- 投資対象が1棟の不動産なので、リスク分散になりにくい
- 税制上の優遇措置が少ない
- 購入が先着順や抽選方式なので、投資機会を逃すことがある
REIT(リート/不動産投資信託)と不動産クラウドファンディングの違いを比較
REITと不動産クラウドファンディングの違いを、表にまとめました。
REIT(不動産投資信託) | 不動産クラウドファンディング | |
投資対象 | 複数の不動産 | 1つの不動産 |
最低投資金額(1口) | 数万円~数十万円 | 1万円~数十万円 |
利回り | 3~4% | 4%~7% |
元本割れリスク | あり | あり(ただし優先劣後方式でリスクを軽減できる) |
価格変動 | 大きい | 小さい |
管理コスト | 不要 | 不要 |
税制 | 申告分離課税制度 | 総合課税(雑所得) |
それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。
投資対象
REITと不動産クラウドファンディングはいずれも不動産を対象にした投資商品ですが、REITは投資信託なので複数の不動産が投資対象になり、不動産クラウドファンディングは一棟の不動産が投資対象になります。
REITを始めるのに必要な最低資金は、証券取引所に上場している銘柄の価格によります。おおよそ、数万円から数十万円程度で購入することができるので、現物不動産投資と比べると少額で不動産投資ができます。なお、組み込まれている不動産の価格変動によって、REITの価格も上下します。
不動産クラウドファンディングは、投資する案件にもよりますが1口1万円から購入することができます。投資商品全体で見ても、少額資金で始められる投資方法だと言えます。
利回り
REITの平均分配利回りは2022年11月時点で3.79%です。利回りは購入する銘柄によりますが、2%台から高いものでは9%を超えるものまであります。
参考:ARES(不動産証券化協会)|J-REIT分配金利回り(10年間)
不動産クラウドファンディングの利回りは、3%台から高いものでは10%を超えるものまで案件ごとに差があります。運営する事業者によってさまざまですが、だいたい5~7%程度が相場だと考えられます。
元本割れリスク
REITは比較的リスクの少ない投資方法だと言えますが、投資である以上は元本割れのリスクを伴います。また、株式のように日々価格が変動するため、売買のタイミングによっては損失を被ります。
不動産クラウドファンディングもREITと同様、元本割れリスクがあります。しかし、元本割れリスクに対するスキームとして「優先劣後方式」が採用されている場合は、事業者が一定の損失までカバーする形となるため元本割れリスクの軽減になります。
価格変動
REITは、不動産や株式市況、金利などの影響で価格が上昇したり下落したりする価格変動リスクがあります。そのため、売却時に元本割れする可能性がある点は十分に心得ておきましょう。
不動産クラウドファンディングもREIT同様、不動産市況の影響で価格の上下はありますが、REITと比べると価格変動リスクは少ないです。
管理コスト
REIT、不動産クラウドファンディングどちらも管理コストは不要です。物件の維持や入居者の管理などはすべて運営会社が担うため、現物不動産投資を行う際に必要なとなる煩雑な手間がかかりません。
税制
REITは株式と同じ源泉分離課税制度の対象なので、分配金や譲渡益には20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課されます。税制は株式と同じなので確定申告の際に損益通算できますが、配当控除は受けられません。なお、REITはiDeCo・NISA制度を利用できるため大きな節税の恩恵が得られます。
不動産クラウドファンディングは、総合課税の対象なので雑所得として分配金に税金が課されます。ただし、事業者から分配金として支払われる際に源泉徴収が行われるため、雑所得が20万円以上でなければ投資家自身が納税する必要はありません。REITと違い、不動産クラウドファンディングではiDeCo・NISA制度は利用できません。
REIT(不動産投資信託)と不動産クラウドファンディングはどちらを選べばいい?
ここでは、REITと不動産クラウドファンディングは、それぞれどんな人に向いているのか見ていきましょう。
REITが向いている人
REITは、次のような人に向いていると言えます。
- 少額で不動産投資を始めたい人
- 売買しやすい流動性・換金性の高い商品に投資したい人
- 節税しながら不動産投資がしたい人
不動産クラウドファンディングが向いている人
不動産クラウドファンディングは、次のような人に向いていると言えます。
- 1万円から不動産投資を始めたい人
- 比較的高い利回りで効率よく投資を行いたい人
- 元本割れのリスクを軽減したい人
投資初心者にはどちらがおすすめ?
REITと不動産クラウドファンディングのメリット・デメリットを比較すると、これから投資を始める初心者は不動産クラウドファンディングが適していると言えます。不動産クラウドファンディングは1口1万円という少ない資金から取引を始められるうえ、優先劣後方式で元本割れリスクが軽減されている点が初心者に向いています。
また、REITのように日々変動する価格をチェックする必要はなく、運用する物件を決めて申し込んだ後は、ただ運用終了するのを待つだけとなります。少額資金で始められるうえ、安全性も比較的高く、運用の手間もほとんどかからない不動産クラウドファンディングは、投資初心者でも取り組みやすい投資方法です。
資金に余裕があればどちらも運用するという選択肢も
この記事では、REIT(リート)と不動産クラウドファンディングの違いについて解説しました。ここまで解説したように、同じ不動産投資でありながらそれぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、比較しながら自分に合った投資商品を選ぶことが大切です。
資金に余裕があれば、どちらか一方を選ぶというより「REIT」+「不動産クラウドファンディング」など、2つの投資商品を選んで始めるのもリスク分散という点ではいいかもしれません。
いずれの投資商品も、現物不動産投資と比べるとコストや手間がかからない投資方法なので、手軽に不動産投資を始めたい人はREITや不動産投資クラウドファンディングの運用を検討してみましょう。
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