不動産クラウドファンディングでも可能な節税方法を4つ紹介

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#税金・節税

不動産クラウドファンディング を利用して節税はできるのでしょうか。不動産クラウドファンディングでの資産運用を考えているのであれば、そういった税金のこともきちんと理解しておく必要があります。

そこで今回は、不動産クラウドファンディングの税金に関する基礎知識や節税対策について解説していきます。不動産クラウドファンディングの税金について理解し、節税をしながら賢く利益を得る方法を身につけましょう。

不動産クラウドファンディングの利益にかかる税金

不動産クラウドファンディングは、インターネット上で複数の投資家から募った資金で不動産運用をして得られた利益の一部を投資家に分配する投資手法です。最終的に投資家に分配される収益を「分配金」といい、分配金は所得の一部とみなされ課税の対象となります。

不動産クラウドファンディングの分配金は、一般的に所得税法上10種類に分類される所得のうち「雑所得」として扱われ、総合課税の対象となります。雑所得とは、ほかの9種類の所得いずれにも分類されない所得であり、具体的には年金収入や副業収入などが挙げられます。

分配金は確定申告が必要?

分配金は事業者が税率20.42%で源泉徴収したうえで支払われます。つまり、税金が差し引かれた後の金額が分配金として実際に口座に入金されます。源泉徴収により納税が済んでいるため、投資家自身が別で納税する必要はありません。

ただし、給与所得以外の所得の合計が20万円を超えたり、課税所得金額が694万円以下の場合は確定申告が必要です。課税所得金額が694万円以下の場合、確定申告が必須なわけではありませんが、確定申告により納め過ぎた税金が戻ってくるため面倒でも手続きするほうが好ましいでしょう。

不動産クラウドファンディングは節税できる?

不動産クラウドファンディングは節税できる?

運用益が非課税になるとして人気を集めているNISAやiDeCoなどの制度 は、残念ながら不動産クラウドファンデイングには利用できません。

しかし、「任意組合型」の不動産クラウドファンディングであれば、節税効果を期待できる場合があります。

任意組合型であれば節税効果が得られる

不動産クラウドファンディングには、出資を募る方式によって「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類に主に分けられます。

匿名組合型とは

「匿名組合型」では、投資家は出資だけをして運営は事業者に任せて、事業者が運営責任をもつ方式です。不動産の所有権は事業者にあるため、不動産登記は事業者が行います。出資者である匿名組合員は、不動産は所有せずに収益を得る権利のみを保有しています。

任意組合型とは

一方、「任意組合型」では、複数の投資家が任意組合契約を結んで出資し、不動産を共同で所有します。運用は事業者が行いますが、修繕や復旧が必要になれば不動産の所有者である投資家もその費用を負担する可能性があります。そのため、税務上は現物不動産を保有している場合と同じ扱いとなり、分配金も不動産所得に分類される点に注意が必要です。

任意組合員に相続や贈与が発生すると、課税時点における評価額が相続財産とみなされます。現物不動産の評価額は実際の価格の7割程度となることが一般的です。匿名組合型の場合は実際に不動産を所有するわけではないため、相続時は分配金や償還額がそのまま計算されます。つまり、実際に不動産を所有する任意組合型であれば、実際の価格より低く評価される資産圧縮効果が期待できます。

任意組合型の注意点

不動産クラウドファンディングでは匿名組合型が比較的多く扱われていますが、任意組合型は相続税や贈与税の対策として人気です。

ただし、任意組合型では、所有物件を運用するうえで損失が出た場合、投資家は出資の割合に応じた無限責任を負うことになります。つまり、出資金以上の債務を負う可能性があります。それに対し、匿名組合型は有限責任であり、事業でどれだけ多くの債務が発生したとしても、出資金以上の損失は発生しません。

任意組合型は相続や贈与の際に節税効果を期待できるメリットはありますが、無限責任を負うという大きなリスクがあることを理解したうえで選びましょう。

不動産クラウドファンディングでおすすめの4つの節税対策

前項では、任意組合型の不動産クラウドファンディングに投資すると受けられる節税効果について解説しました。

ここでは、そのほかの不動産クラウドファンディングでおすすめの節税方法を4つ紹介します。

1.確定申告による還付を受ける

確定申告によって納め過ぎた税金が返ってくる場合があります。それは、1年間の課税所得金額が694万円以下の方の場合です。

所得税に関しては、所得額によって課税率が異なる累進課税制度をとっています。所得金額ごとの税率は以下のとおりです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
3,300,000円から6,949,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,590,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

一方、不動産投資クラウドファンディングでの源泉徴収税率は一律で20.42%です。そのため、課税所得額が649万円以下の場合、本来適用されるべき税率よりも高い税率で源泉徴収されており、税金を過払いしていることになります。この払いすぎた税金は、確定申告することで還付が期待できます。

2.経費を計上する

必要経費を漏れなく計上することも有効な節税対策の一つです。なぜなら、得られた利益から必要経費を差し引いた金額に課税されるためです。

経費の考え方は、「不動産クラウドファンディングで利益を得るために直接要したものであるか」です。例えば、不動産クラウドファンディングに関する書籍費用やセミナー参加費、インターネット通信料などを経費として計上できる可能性があります。必要経費が増えれば、その分課税される所得金額は少なくなるため、税負担も軽減できます。

3.ほかの雑所得と損益通算する

損益通算とは、同一年分の利益と損失を合算して相殺できる仕組みです。利益が出た場合は税金がかかりますが、一方で損失が生じた場合には利益から損失分を差し引き、税金を軽減できます。

不動産クラウドファンディングは基本的に雑所得に分類されます。雑所得は他の所得と損益通算することは認められていませんが、雑所得同士での内部通算は可能です。

例えば、不動産クラウドファンディングと同じく「雑所得・総合課税」の扱いとなる暗号資産(仮想通貨)の投資をしていたとします。そして、不動産クラウドファンディングでは50万円の利益、同一期間で暗号資産では20万円の損失が生じたとします。この場合、損益通算によって差し引き30万円分に対して課税されることになり、税金を抑えられます。

4.損失を「繰越控除」する

繰越控除とは、損失を翌年以降3年間に得られた利益と相殺できる仕組みです。確定申告することで、翌年以降の納税額を抑えられる可能性があります。

例えば、不動産クラウドファンディングの運用で1年目に200万円の損失、2年目に50万円の利益、3年目に20万円の利益、4年目に70万円の利益が出たとします。この場合、繰越控除を利用することで、3年間の税金が次の通り軽減できます。

損益 税金 繰越額
1年目 損失200万円 0円(利益なし) 損失200万円を翌3年間に繰り越し
2年目 利益50万円 0円(繰越損失との相殺により課税対象となる利益なし) 損失150万円(200万円-50万円)を翌2年間に繰り越し
3年目 利益20万円 0円(繰越損失との相殺により課税対象となる利益なし) 損失130万円(200万円-50万円)を翌年に繰り越し
4年目 利益70万円 0円(繰越損失との相殺により課税対象となる利益なし) 繰越控除の期限切れのため繰り越しなし

なお、損失の繰越控除を利用するには、毎年確定申告をする必要があります。

節税方法を理解して賢く資産を増やそう

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ここまで、不動産クラウドファンディングの節税対策 について詳しく解説してきました。

不動産クラウドファンディングの分配金は一律20.42%の税率で源泉徴収されるため、基本的には確定申告は必要ありません。ただし、給与所得以外の所得が合計20万円以上ある場合や課税所得金額が一定額以下の場合は確定申告をしましょう。

経費計上や損益通算、繰越控除などを上手に活用しながら、効率よく利益を増やしていきましょう。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

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