不動産クラウドファンディングでローンを利用する意外な方法。ただし注意点あり
公開日 2024/06/17
最終更新日 2024/06/17
近年、不動産クラウドファンディングは少額から行える不動産投資として人気が高まっています。不動産投資といえば不動産投資ローンを利用するのが一般的ですが、不動産クラウドファンディングでもローンは利用できるのでしょうか?
今回は、不動産クラウドファンディングでローンを利用する方法と注意点について、筆者の体験談も交えて紹介します。
筆者:中田健介(投資家・実業家・ブロガー) |
IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。 |
不動産クラウドファンディングで不動産投資ローンは利用できる?
不動産投資ローンとは、収益不動産を購入するためのローンのことを指します。つまり、個人で不動産を購入するわけではない不動産クラウドファンディング投資では不動産投資ローンを利用することはできません。
そのため、不動産クラウドファンディングに投資をする場合は、基本的に自己資金で行う必要があります。
不動産クラウドファンディングでローンを利用する方法はある?
不動産クラウドファンディング投資は不動産投資ローンが使えないため、「基本的には」自己資金で行う必要があります。しかし、まったくローンが使えないというわけではありません。ここからは、不動産クラウドファンディング投資でローンを使う方法について考えていきましょう。
不動産クラウドファンディングでローンのメリットを得るには?
ローンを利用した不動産クラウドファンディング投資とは、例えば「年利3%でお金を借り、その資金を年利8%のファンドに投資することで、差し引き5%の利益を得る」といった手法です。つまり「金利差」で儲けを得るということです。そのためには、少なくとも投資先の利回りよりも低い金利でお金を借りる必要があります。また、借り入れたお金は投資をしなくても金利が発生してしまうため、借り入れたらすぐに投資に回さないと効率が悪くなります。そう考えると、借入金利はどんなに高くても年利3~4%以下でないと最終的な利益は得られません。
この前提に基づくと、用途の限定されないローンといってまず思い浮かぶカードローンや消費者金融は金利が高く、多くの場合で損をしてしまうため選択肢からは外れます。
【筆者も利用】証券担保ローンで不動産クラウドファンディング投資をする
今回紹介する方法は、筆者自身も実践している方法です。それが「証券担保ローン」の利用です。
証券担保ローンとは、保有している株式や投資信託、債券などを担保としてお金を借りられる証券会社のサービスのことを指します。担保にした有価証券の時価の一定割合まで借りられる仕組みで、基本的に資金用途が限定されておらず自由です。そのため、上記のような有価証券を保有している人、あるいは購入予定のある人は検討する価値があるかもしれません。
証券担保ローンは、以下の証券会社などが提供しています。
サービス名 | 提供する金融機関 | 金利(年利) |
野村Webローン | 野村證券、野村信託銀行 | 1.5% |
コムストックローン | SBI証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券 | 2.675〜4.175% |
ダイワの証券担保ローン(ダイワLMS) | 大和証券 | 2.82〜3.95% |
証券担保ローン・セレクト | 楽天証券、あかつき証券、いちよし証券など | 1.8〜3.8% |
証券担保ローン | 東海東京証券 | 1.2〜3.0% |
証券担保ローンを利用するには
証券担保ローンを利用するには、まず対象となる証券会社に口座を開設し、有価証券を購入するかあるいは別の証券会社ですでに保有している証券を移管する必要があります。ただし担保にできない株式・投資信託・債券もあるので、事前に確認しておきましょう。保有する証券を担保として設定したら、以降は担保評価額の範囲で好きなときに資金を借りることができます。中でも野村証券と野村信託銀行が提供している「野村Webローン」の金利は現在1.5%と大変低いので、不動産クラウドファンディングの資金として十分有用な範囲であるといえます。このサービスでは、担保とする証券の時価に対して50~80%程度の金額まで借りることができます(証券の種類によって割合は異なります)。
また、担保設定後は、申し込んでから最短で翌営業日には借りられるので大変便利です。投資したい不動産クラウドファンディングのファンドが募集されてから資金を調達しようと思っても多くのケースで間に合わせることができるでしょう。
さらに、借入期間は特に決まっておらず、好きな時に返せばよいようになっています(ただし金利がかかるので、期間が長くなれば、複利のように借入金額が徐々に増えていくことにはなります)。なお、私も2014年から「野村Webローン」を利用しており、一時は最大800万円ほど借りていました。
不動産クラウドファンディング投資に証券担保ローンを利用する際の注意点
証券担保ローンを利用する上で必ず注意しておかなければならない点についてもチェックしておきましょう。担保の価格変動リスクに気をつける
証券担保ローンを利用する際には株式や投資信託などの有価証券を担保としますが、株式や投資信託には価格変動のリスクがあります。もし担保にした株式などの価格が下がってしまったときは、追加で担保を求められたり、強制的に売却されたりすることもあります。価格変動がないことが大きなメリットの1つである不動産クラウドファンディングに投資するために価格変動の大きい株式を担保にすることは、リスクの観点からは非合理的ともいえます。
その意味では、比較的値動きの小さい債券を担保にするのもリスクを抑える選択肢の1つといえるでしょう。
ファンドの元本割れや償還遅延リスクにも注意
不動産クラウドファンディングでは、投資しているファンドに元本割れや償還遅延が発生するリスクも潜んでいます。もし担保にした証券の価値が下がり、なおかつ元本割れなどのトラブルに直面した場合は、借りているローンを返済する原資がなくなる、といった事態もあり得ない話ではありません。そのため、あまり大きな額を借り入れるのは危険であるといえます。
資金用途に制限のある場合も
証券担保ローンは基本的に資金の用途が自由であることが多いものの、種類によっては、用途に制限がある場合もあります。用途については、必ず事前に確認しておきましょう。その他のローンを“実質的に”利用するという手も?
低金利でお金を借りる方法として、ほかに住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど資金の用途が限定されたローンもあります。金利は各種条件により異なりますが、安い場合は、住宅ローンは1%未満、自動車ローンは2%未満で借りられます。
大前提として、住宅ローンの資金使途は住宅購入に、自動車ローンの資金使途は自動車購入に限られているので、借りたお金を直接投資に回すことはできません。
ただ、例えば100万円の自己資金を持っている人が100万円の自動車を購入する際、自己資金で支払ってしまえば手元にはお金は残りませんが、その際の購入資金を自動車ローンでまかなうようにすれば手元には100万円の自己資金が残ります。この残った資金を不動産クラウドファンディングに投資することに特に問題はありません。
住宅ローンや教育ローンでも同様の方法は可能です。きっと、中には無意識のうちにこのような方法で投資資金を捻出できていたという人もいることでしょう。ある程度余裕資金のある人に限られてはきますが、住宅や自動車などの購入予定がある人はこうした手法も使えないことはない、ということは頭に入れておいてもよいかもしれません。
不動産クラウドファンディング投資にローン利用は可能もリスクに注意
今回は、不動産クラウドファンディングでローンを利用する方法について考えてみました。不動産クラウドファンディングでは不動産投資ローンは利用できません。しかし、考えようによっては、ほかのローンで代用することが可能であることは頭の片隅に入れておいてもよいでしょう。
とはいえ、今回紹介した方法はいずれも強く推奨するものではありません。不動産クラウドファンディングには元本割れや償還遅延のリスクがあり、もしそのような事態に遭遇した場合、ローン返済に困窮してしまうということにもなりかねないからです。
ローンの検討は、万が一の事態が起こっても対応できるよう、借入額を増やしすぎず、いつでも返そうと思えば返せる範囲に留めるのが賢明でしょう。
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