不動産クラウドファンディングで失敗する5つのパターンと対策方法を解説
公開日 2024/08/27
最終更新日 2025/03/05

不動産クラウドファンディングは、インターネットから申し込みが完結できます。
しかし、不動産クラウドファンディングも投資である以上、失敗する可能性があります。
そこで今回は、不動産クラウドファンディングでの失敗パターンとその対策方法を詳しく解説します。
これから不動産クラウドファンディングを始めようと検討している人は、本記事で取り上げるポイントをしっかりチェックしてください。
そして、正しいファンド選びの知識を得ましょう。
- ・不動産クラファンでの失敗例は元本割れ、配当の遅延など
- ・運営企業の倒産もあり得る
- ・失敗しないためにこれまで問題を出してない業者を使う
- ・倒産に備えて、資本力のある会社を使う
- ・運用期間が短い数ヶ月のファンドでリスク対策
不動産クラウドファンディングの失敗パターン5つ
不動産クラウドファンディングで失敗するパターンには次の5つが挙げられます。
- 元本割れ
- 配当や償還の遅延
- 運営事業者の倒産
- 中途解約ができず資金拘束を受ける
- 投資機会を逃すことがある
それでは、以降で詳しく見ていきましょう。
>>不動産クラウドファンディングとは?仕組みとメリット・デメリットを解説
1.元本割れ
不動産クラウドファンディングには、当然元本割れのリスクがあります。
一般的に不動産クラウドファンディングでは「優先劣後方式」の採用により元本割れは起きにくいとされています。
優先劣後方式とは、物件売却などの際に損失が生じても、運営会社が出資した劣後出資分から損失を計上する仕組みです。
優先出資をした投資家の損失が補填されます。
優先劣後で投資家の損を防ぐ
運営会社の劣後出資比率は案件により異なりますが3割に設定している運営会社が多いです。
劣後出資比率が高いほど投資家のリスクは小さくなります。
なお、劣後出資分を上回る損失が生じた場合には、投資家の出資金の損失を補填しきれずに、元本割れとなります。
2.配当や償還の遅延
仮に投資しているファンドのプロジェクトの進捗が遅れたり、多くの空室が出た場合、配当の原資となる収入が大幅に減少します。
結果、配当が予定通りに支払えないという状況が起こり得ます。
ただ、配当の支払いが遅れると、そのぶん実質的な利回りは減少することになります。
遅延で利回り減少も
例えば、運用期間12カ月、利回り6%のファンドで、配当が6カ月遅延してしまった場合で考えてみましょう。
100万円を投資したとして、本来であれば12カ月で6万円得られたはずが、それに18カ月かかったことになります。
実質的な年換算利回りは4%に減少したことになるわけです。
元本自体の損はしていないため「大失敗」とまではいえませんが、期待を下回るという意味では失敗の1つといえます。
3.サービス運営会社の倒産
不動産クラウドファンディングにおける投資は、不動産そのものに直接行うのではなく、匿名組合契約による「ファンド」に行います。
そして、ファンドによって集めた資金はサービス事業者によって運用されます。
よって、サービスを運営する会社が倒産すると出資金が戻らない可能性があります。
不動産クラウドファンディングでは投資家の出資金と運営事業者の資金を分ける「分別管理」が行われます。
しかし、その場合でも運営会社が倒産すると、投資家には出資金が戻らない可能性があります。
4.中途解約できず資金拘束を受ける
不動産クラウドファンディングは原則として中途解約ができません。
これは運用中、現金化できないということです。
仮に不測の事態が発生して現金が必要になった時でも、不動産クラウドファンディングに投資している資金は資金拘束を受けるため売却・出金できずに現金化できません。
ただし案件によっては当初の計画よりも早く物件を売却し「早期償還」されるケースもあります。
5.投資機会を逃すことがある
不動産クラウドファンディングは募集金額や投資口数が決まっているので、募集後にすぐ完売するケースがあります。
希望する案件があっても投資機会を逃す可能性があるのも不動産クラウドファンディングの注意点です。
応募者が多い場合には抽選となる案件もあります。
この場合はまだ投資できる可能性はありますが、抽選に外れると大きな利回りが期待できる案件には投資できないことになります。
ただ、不動産クラウドファンディングでの高い利回りを得る機会を逃す「機会損失」になると言えるでしょう。
機会損失を避ける方法
こういった機会損失が嫌なら、ヤマワケエステートがおすすめです。不動産クラウドファンディングで失敗しない方法は?
不動産クラウドファンディングで失敗しないためには、次のような事前準備がおすすめです。
- 運営事業者の信頼性を確認する
- 投資するファンドの情報を確認する
- ファンドの募集日程や申込方法を事前にしっかりチェックする
- 投資の基本的な知識をつける
- 分散投資を心がける
それでは、順番に詳しく見ていきましょう。
1.運営事業者の信頼性を確認する
まずは倒産リスクを避けるために、不動産クラウドファンディングの運営事業者に関するリサーチをしましょう。
実績や経営状況などから信頼性を確認します。
実績は過去の募集案件情報を調べると返済遅延などの履歴を確認できます。
経営状況はIR情報があれば直近の業績をチェックできるでしょう。
以上のように、運営事業者の信頼性を確認することが大事です。
2.投資するファンドの情報を確認する
運営事業者をチェックしたら、次は投資するファンドそのものを確認しましょう。
投資対象と投資期間、予定利回りなどをチェックします。
資金拘束の期間を短くしたいのであれば運用期間が短いものを選びます。
分配金のタイミングなどもチェック
分配金を受け取るタイミングも年に数回なのか償還時なのか希望するタイプを選択できます。
ファンドの仕組みもSPC方式であれば倒産リスクを軽減できます。
ただ、それに対応する事業者が少ないので徹底したリサーチが必要になります。
このようにファンドに関する情報が数多くあるので、極力リスクが少なくなるように選別しましょう。
3.ファンドの募集日程や申込方法を事前にしっかりチェックする
人気のある不動産クラウドファンディングの案件はすぐに募集が終わります。
目当てのファンドがあれば、募集日程や申込方法を確認して忘れずに申し込めるようにしましょう。
抽選方式であれば当選するかどうかは運次第になりますが、自分にできることは確実に行うことが大事です。
募集開始とともにすぐ申し込めるように準備しておきましょう。
4.投資の基本的な知識をつける
不動産クラウドファンディングに限らず投資に関する基本的な知識を学んでおくことも大切です。
例えば、どのような投資案件にもリスクはつきものなので、複数の投資案件に資金を振り分けてリスク分散することが大事です。
投資対象となる不動産も種類の異なるものに分散すれば安心できます。
運用期間も長いものや短いものを混ぜるとよいでしょう。
投資は余剰資金で
また余剰資金以上のお金を投資に回さないことも大事なことです。
特に不動産クラウドファンディングは中途解約できないので、運用期間が終わるまでは資金拘束されます。
いざという時のためにある程度の現金は残しておきましょう。
さらに運用資金が元本割れとなっても、余剰資金による運用であれば生活に支障が出ることはありません。
これは心理的な安定にもつながるので、無理に投資資金を捻出することは避けるのも大切なことです。
5.分散投資を心がける
投資にはリスクはつきものであるため、100%失敗を回避する方法はありません。
そのため、トータルでの損失をいかに小さく抑えられるかが重要になります。
そこで心がけたいのが分散投資です。
分散で大損を防ぐ
REIT(リート/不動産投資信託)は、1つのファンドでも複数の不動産に分散投資が行えます。
しかし、不動産クラウドファンディングにおいては、多くのファンドで1ファンドにつき1つの不動産(あるいは開発案件)に投資することになります。
そのため、複数のファンドに投資を行い分散投資を行うのが基本的な戦略となります。
また、ファンドを分散してもサービス事業者を分散していないと、その事業者が倒産してしまったときに大損してしまう可能性があります。
そのためサービス事業者も複数で分散して投資するのがよいでしょう。
失敗しないための不動産クラウドファンディングの選び方
ここでは、不動産クラウドファンディングで失敗しないための、リスクの低いファンドの選び方について紹介します。1.利回りの低いファンドを選ぶ
通常、投資においてはリターンとリスクは比例します。不動産クラウドファンディングにおいても同様で、高利回りのファンドには相応のリスクがあると考えるべきです。
反対にいえば、利回りの低いファンドは手堅いファンドであると考えることができます。
不動産クラウドファンディングにおいては、4~5%程度が判断のラインといえ、3%台以下のファンドは「堅い」ファンドと捉えることができます。
利回り3%は不動産クラウドファンディングとしては低い部類に入ります。
それでも、銀行預金や債券の利回りと比較すれば高利回りです。
株式投資を考えても配当利回り3%の株は十分な「高配当株」といえるため、決して低すぎる水準ではありません。
2.劣後出資割合の高いファンドを選ぶ
不動産クラウドファンディングでは、ほとんどのサービス・ファンドで優先劣後方式が採用されています。優先劣後方式では、投資家の投資分を「優先出資」、事業者による投資分を「劣後出資」といいます。
ファンドの運用によって損失が発生した場合は劣後出資分から損失を補填していく仕組みです。
つまり、劣後出資割合が高いほど、投資家の元本割れのリスクが小さくなるということ。
少しでも元本割れリスクを下げたい場合は劣後出資割合の高いファンドを選ぶのが賢明です。
劣後出資の割合を要チェック
平均的な水準は10~20%程度で、30%を超えるファンドは劣後出資が高いといえます。
劣後出資割合は、公式サイトのファンド詳細ページで確認できる場合もあります。
しかし、契約成立前書面など、投資家登録をしていないと閲覧できない書類にのみ記載しているケースもあります。
確実性を少しでも高めたい場合はこのような書面は詳しくチェックしておきましょう。
3.運用期間の短いファンドを選ぶ
不動産は特性上、時間が経過するほどその価値の変化が大きくなっていきます。例えば、新築のマンションは1年後よりも5年後のほうが価値が下がりやすい、というのは納得しやすい話でしょう。
また、運用の期間が長くなるほど災害を受けるリスクも高まるため、価値を毀損する可能性が高くなるといえます。
逆にいうと、運用期間が短ければ、その間の不動産の価値変動は大きくなりにくいということでもあります。
リスクを避けるなら運用6カ月以下のファンドを選ぶ
不動産クラウドファンディングでは運用期間12カ月前後のファンドが多くを占めています。
基本的にそれくらいであれば不動産の大きな価値下落の可能性は低いといえます。
ただ、さらにリスクを抑えたい、早く収益を確定させたい、ということであれば6カ月以下のファンドを選ぶとより安心できるでしょう。
4.需要の高い不動産を対象にしたファンドを選ぶ
不動産クラウドファンディングで失敗しないため(≒成功するため)には、現物不動産投資と同様、「どんな不動産に投資をするか」が重要になります。つまり、需要の高い不動産を見極めて投資先を決めることが大切です。
わかりやすい例でいえば、都心の人気エリアの駅近物件は賃貸需要も購入需要も見込めます。
利回りは低いが堅い案件を知る
一方でこうした物件は投資のための購入価格が高くなる傾向があるため、必然的に利回りは低くなります。
つまり、①で紹介したような「利回りは低いが堅い案件」ということになります。
ただし、中には需要の高いエリアにも関わらず、一定以上の利回りを出せる「掘り出しもの」もあります。
もし土地勘のあるエリアでこのような物件を見つけることができれば、収益性も確保しながらリスクを抑えた投資ができるでしょう。
5.売却先が決まっているキャピタルゲイン型ファンドを選ぶ
不動産クラウドファンディングには、大きく分けて「インカムゲイン型ファンド」と「キャピタルゲイン型ファンド」の2種類があります。前者は不動産の賃料収入を配当原資にしたファンドで、後者は売却益を配当原資としたファンドです。
キャピタルゲイン型ファンドは、リノベーションなどによって資産価値を向上させることで取得した金額よりも高値での売却を目指すもの。
インカムゲイン型ファンドと比べて高い利回りが出やすい傾向があります。
キャピタルゲイン型のリスクは?
ただし、運用開始時点で売却先が決まっていない場合は、運用中に売り先が決まらずに配当が遅延することがあります。
また、売れやすくするために売却価格を下げざるを得なくなり収益性が低下する、といったリスクも抱えています。
そんな中で注目したいのが、「事前に売却先が決まっているキャピタルゲイン型ファンド」です。
売却先が決まっているかチェック
運用期間中に契約上のトラブルなど不測の事態が起きない限りは、あらかじめ決まった売り手への売却を進めます。
そのため、確実性の高いファンドであるといえます。
このようなファンドは、③で紹介したように短期間のファンドになることが多く、すぐに回収できる可能性が高いです。
つまり、リスクを抑えたい人に向いているといえるでしょう。
6.マスターリース契約付きのインカムゲイン型ファンドを選ぶ
インカムゲイン型ファンドで失敗する原因として多いのが長期間にわたる空室のリスクです。賃料収入を原資にしているだけに、空室は収入減の直接的な原因となります。
そんな中で安心感を高めてくれるのが、マスターリース契約です。
マスターリース契約は家賃保証
不動産クラウドファンディング事業者は、投資対象の不動産を第三者に賃貸することによって賃料を得ます。
しかし、マスターリース契約では、物件を特定転貸事業者(サブリース会社)へ貸すことで、仮に空室が出たとしても一定の賃料を受け取れます。
これにより入居の状況にかかわらず安定的な収入が期待できるため、空室リスクを抑えることができます。
7.新規事業者の1号ファンドを狙う
一般的には、不動産クラウドファンディングはファンドの運用実績が重要だといわれます。一方で、実績のない「新規サービス事業者の第1号ファンドは狙い目」だといわれることもあります。
新規事業者の1号ファンドは、そのサービスにとっての「顔」です。
そのため、比較的高利回りの案件となることが多いです。
第1号ファンドで問題を起こしたサービスはない
さらに、最初のファンドで配当・償還遅延や元本割れを出すわけにはいきません。
なので、「何が何でも無事に運用を終えたい」というサービス側の思惑が働き、特にリスク管理が徹底されると考えられます。
実際にこれまでで第1号ファンドで遅延などを出したサービス事業者はないと思われ、実績としては確実性の高い選び方であるといえます。
ただし、利回りが高いものはリスクも高いという原則に変わりはないため、十分理解した上で投資をする必要があるでしょう。
不動産クラウドファンディングで失敗しないよう事前準備を
今回は、不動産クラウドファンディングの失敗パターンや失敗しないための方法を詳しく解説しました。
不動産クラウドファンディングにはさまざまな失敗事例がありますが、いずれも事前準備での回避は可能です。
必要な知識と情報を備えたうえで不動産クラウドファンディングを開始するようにしましょう。
特に、いかにリスクを少なくするかが重要です。
そのための運営事業者選びと案件の選定が適切にできるよう、情報収集を十分に行うことが大切です。

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