区分マンション投資の魅力とは?メリット・デメリットもわかりやすく解説
公開日 2023/09/07
最終更新日 2023/09/07
とはいえ決して安くない不動産を購入してどんなリスクを抱えるのか不安という人もいるかもしれません。そこでこの記事では区分マンション投資とは実際にどのようなものなのか、メリットとデメリットには何があるのかを詳しく解説します。
区分マンション投資とは?
区分マンション投資はワンルームマンションなどを1室単位で購入し、貸し出すことで家賃収入を得る投資方法です。ローンを組んで購入し家賃収入をその返済にあてることで、会社員でも運用が可能となります。ただし住宅ローンが使えず事業用ローンを利用するため、金利が高くなりがち な点に注意が必要です。一棟マンション投資との違い
区分マンション投資は、銀行などから融資を受けることで少ない資金で始めることができます。同様に一棟マンション投資も融資を受けて購入しますが、購入金額の大きさから頭金もそれなりの額となり、かなりの自己資金が必要になります。区分マンション投資も一棟マンション投資も同様に空室リスクはありますが、一棟マンション投資は複数の部屋を有するため、まったくの無収入になる可能性は低くなります。
一方で区分マンション投資はリスク分散をしやすい特性があります。区分マンションを複数のエリアで行えば、賃貸需要の観点でリスク分散に有利ですが、一棟マンションはその立地での需要の影響を大きく受けます。
ほかにも区分マンション投資は売却しやすいことに対して、一棟マンション投資は売却先を探すのが難しい点も双方の違いとして挙げられます。
区分マンション投資の種類
区分マンション投資ではまず、新築マンションと中古マンションのどちらかを選択します。1.新築の区分マンション投資
新築の区分マンション投資は新築分譲されるマンションを購入し、賃貸運用するものです。新規に賃借人を募集する必要がありますが、新築マンションの賃貸需要は高く家賃金額も高めに設定できます。新築マンションは物件自体の評価が高いため中古マンションと比較してローン審査が通りやすい のも特徴です。ただしどちらも住宅ローンは利用できず、不動産投資ローンなど事業用ローンを利用します。新築マンションは 中古と比べて修繕積立金が抑えめになる利点もあります。
さらに、家賃収入を得るための経費となる建物の減価償却費は新築マンションの場合、耐久年数最大の47年間(ただし設備部分は15年)にわたり計上できます 。ほかに借入金の利息分などを経費計上して家賃収入から差し引き、区分マンション投資による課税所得分を引き下げます。
購入費用にはデベロッパーの利益などが上乗せされるため、築浅での売却は価格の下落率が大きくなりがちです。そのため新築の区分マンション投資は短期売却よりも、長期にわたり家賃収入での収益を狙うのに向いています。
2.中古の区分マンション投資
中古マンションを購入し賃貸収入を得るのが中古の区分マンション投資です。新築マンションよりも価格が安く、賃貸中の物件であれば購入後すぐに家賃収入を得られます。物件価格が安いため利回りが高くなりやすい 反面、新築と比較して融資条件が不利となる点に注意が必要です。
さらに修繕積立金の負担が大きくなりやすく、また減価償却できる期間も新築と比べて短くなります。節税効果が長期に続かないこともあり、中古の区分マンション投資は売却を前提にした運用にも向いています。
中古マンションの減価償却・耐用年数の計算方法
中古マンションの減価償却は耐用年数を次のように計算します。中古マンションの耐用年数=(47年 - 築年数)+(築年数)× 0.2
たとえば築25年のマンションであれば減価償却費を計上できる期間は次のように計算できます。
築25年のマンションの耐用年数=(47 - 25)+25 × 0.2 = 27(年)
区分マンション投資の収益
区分マンション投資でどのように収益を得るのかを理解しておきましょう。1.インカムゲインによる収益
不動産投資におけるインカムゲインは「家賃収入」により収益を得ることを指します。当然ながら、空室になれば家賃収入は得られません。インカムゲイン収益の計算方法
家賃収入はそのまま収益となるわけではありません。ローンを組んでマンションを購入すれば、毎月のローン支払いがあるからです。また管理会社への管理料支払いや修繕積立金なども発生します。つまりインカムゲインの収益は、家賃収入からローン返済や管理費用、修繕積立金などを差し引いた残額ということです。また、不動産所得に対する所得税の支払いも実質的な収益から差し引かれます。
インカムゲインに伴う税金
インカムゲインを得たら確定申告をして税金を支払う必要があります。不動産所得は「総合課税」となるため、会社員であれば給与所得などと合算して所得税を算出し源泉徴収された税額との差額を支払います。また、所得が増えることで住民税も増えるので留意しておきましょう。ただし家賃収入を得るための経費として、次のような費用を計上できます。
- 減価償却費
- ローン返済の利息分
- 管理費
- 修繕費
- 固定資産税などの税金
- 保険料
減価償却費は「(マンションの取得価格)×(定額法償却率)」で算出します。定額法償却率はマンションの耐用年数によって決まっており、国税庁のサイトで確認できます。これらを家賃収入から引いて不動産所得を算出し、給与所得などと合算して所得税を計算します。もし不動産所得がマイナスになれば、給与所得が減少するので税金の還付を受けます。
2.キャピタルゲインによる収益
キャピタルゲインは保有するマンションの価格が上昇し、購入時よりも高い価格で売却することで得られる売買差益のことです。値上がりしている都心マンション
東京23区の中古マンション価格は上昇傾向にあります。特に湾岸エリアのタワーマンションには、2022年12月時点での前年同月比で20%以上の価格上昇となる物件もありました。このようなマンションで賃貸運用し売却した際にキャピタルゲインを得ることになります。キャピタルゲインにかかる税金
区分マンション投資でキャピタルゲインによる利益を得た際には次のような税金が発生します。これらをキャピタルゲインによる収益から差し引いて、実質的な利益が手元に残ります。- 登録免許税
- 印紙税
- 譲渡所得税、住民税
なお、譲渡所得税は売却利益にかかる税金ですが、売却利益は次のように計算します。
売却利益=(売却代金)ー(取得費用 + 譲渡費用)
譲渡費用は売却に伴い発生した仲介手数料や印紙税などを指します。注意すべきは取得費用が「購入代金」から「減価償却費」を差し引いたものになることです。つまり実際に手にした売買差益よりも、減価償却費の分だけ課税所得は増えることになります。
賃貸運用中は節税につながる減価償却費ですが、売却時には課税所得の増加につながる 点を理解しておきましょう。
譲渡所得税率は所有期間により異なる
さらにもうひとつ注意が必要なのは、運用していた区分マンションの売却までの所有期間によって譲渡所得税率が異なる 点です。所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」となり所得税率は30.63%(住民税9%)、5年を超えたら所得税率は15.315%(住民税5%)になります。短期間での運用で売却すると税金が高くなるので注意しましょう。
区分マンション投資のメリット
区分マンション投資にはどのようなメリットとデメリットがあるのかを把握しておきましょう。1.入居率の高い物件を探しやすい
区分マンションは市場に出回る物件数が多い ため、好立地での物件を探しやすいのがメリットです。一棟マンション投資となると物件数が少ないため、狙っているエリアで見つかるとは限りません。物件単価の安いエリアでも入居率の高いマンションを探すことができ、高い利回りを狙うことも可能です。
空室リスクを軽減するための物件選びに不自由しにくいことが区分マンション投資の利点となります。
2.売却しやすい
区分マンションは流動性が高く、売却しやすい のもメリットです。一棟マンションは買い手が投資家に限定されますが、区分マンションであれば投資用に限らず居住目的の買い手も探せます。もちろん賃借人がついたままのオーナーチェンジであれば、投資家としてはすぐに家賃収入があるので需要が高まります。
すぐに現金化したい、あるいは収益性が低下したので売却したいといった際に売りやすいのは大きな利点です。
3.管理の手間が小さい
区分マンションは物件管理にかかる人的・金銭的なコストが低いのもメリットです。不動産投資の管理費には、不動産管理会社に支払う「管理委託手数料」と管理組合に支払う「管理修繕積立金」があります。前者は、入居者のクレーム対応や空室が発生した場合の入居者募集などを委託するもので、中には仲介会社が管理も行うケースもあります。後者は、マンションの共用部分などの管理を行うもので、管理組合によって管理会社が決められます。
とくに後者に関しては、一棟マンション投資の場合は修繕計画や管理組合の話し合いに対してオーナー自身が主導していく必要がありますが、区分マンションの場合は自動的に管理組合の一員となるため、大きな手間はありません。このように管理の手間がかからないことは、会社員の副業としてマンション投資が人気の理由のひとつです。
4.比較的少ない自己資金で始められる
区分マンション投資で不動産売買をする際には、「手付金」と呼ばれるお金が必要になります。手付金は、いわば保証金のようなもので、買主が売主に対して契約を約束する証として納め、もし契約を破棄した場合には売主に全額徴収されます。手付金の相場は物件価格の5~10%で、このお金は必ず用意する必要があります。物件価格が大きくなればそれだけ金額も増えるので、区分マンション投資は手付金が少なく済む、という意味で始めやすいといえます。
5.生命保険の代わりになる
区分マンション投資で不動産投資ローンを組む際には「団体信用生命保険(団信) 」に加入します。これは、ローンの借主が死亡した場合などに保険金が支払われ、ローン残債を弁済する仕組みです。自分に万が一のことがあれば運用しているマンションを家族に残せるので、そのまま家族が運用して家賃収入を得られます。ただしローン残債がなくなったマンションの相続税も発生するので、その場合は、税金の支払いのためにマンションを売却することも可能です。売却した際には相続税や諸費用を差し引いた売却代金が家族に残ります。
区分マンション投資のデメリット
区分マンション投資にはどんなデメリットがあるのかもチェックしておきましょう。1.空室リスクの影響が大きい
区分マンション投資は1室から保有できるメリットがある反面、空室になると家賃収入がゼロになります。複数の区分マンションを保有すれば空室リスクも分散できますが、買い増しには個人の属性を上げるなど融資を受けやすくする必要があります。複数の物件所有を視野に始める場合には、買い増しのための計画も立てておくとよいでしょう。
2.物件管理の権限は限定される
区分マンションは建物全体の管理は管理組合に任せておけますが、これは管理の権限が限定されることにもつながります。例えば、所有する部屋の内装を変えることはできますが、建物の外壁やエントランスなど共用部分のデザインを一新したいと思っても、一区分マンションオーナーでは自由に変更できません。
3.積算評価による融資は受けにくい
購入するマンションの融資を受ける際の審査では、収益性を評価する「収益還元評価」ではなく、土地の価格と建物の価格を別々に計算して価値を算出する「積算評価」であることが一般的です。
このとき、土地の持分に関しては一棟マンションに比べると区分マンションは担保評価が低くなりやすい というデメリットがあります。中古マンションは建物部分の評価も低くなるため、融資を受けるために多くの頭金を用意しなければならない場合があります。
4.収益が少ない
これは一棟マンションにも言えることですが、不動産投資は家賃収入を得る一方でローン返済もあります。さらに管理費などの維持費のほか税金もかかってくるるため、実際の収益は思ったほど多くないのがデメリットです。また、空室期間が出れば収益がマイナスになる可能性もあります。ローンが完済すれば、家賃の多くが収益となりますが、それまで年数がかかる点には注意が必要です。
5.キャピタルゲインを狙える物件は限定される
マンションは購入すれば必ず値上がりするわけではありません。むしろ築年数が経つほどに価値が下がっていくことのほうが一般的です。キャピタルゲインが狙えるのは、都心・駅近など好立地の一部の物件に限られる点には注意が必要です。ただし購入時よりも売却代金が安くなったとしても、その間に家賃収入で得た利益と売却額を足した額が、ローン残債よりも大きくなるのであれば、売却という出口戦略を立てることができます。
区分マンション投資に向いている人は?
時間をかけてでも資産運用をしたい人
区分マンション投資は短期間で収益を生み出すものではなく、長期にわたってインカムゲインを得つつ、あわよくば数年後以降の売却によるキャピタルゲインも併せて狙う投資です。
ただ、時間がかかる反面、区分マンションなら管理の手間は少なく済むのが魅力です。本業は忙しいけれど資産運用したいという人に区分マンション投資は向いています。
少ない資金で不動産を保有したい人
区分マンション投資は比較的少ない自己資金でも不動産を自身で保有し、投資を始めることができます。売却によるキャピタルゲインは不動産を保有するからこそ狙えるものなので、そこに魅力を感じる人にとっては重要な点になるでしょう。
一方、不動産によるキャピタルゲインにこだわらないは、より少額(多くの場合、1万円から可能)で不動産投資にトライできる不動産クラウドファンディングという投資もおすすめです。
家賃収入を老後の生活費にしたい人
老後の生活費を確保したいと考えている人にも区分マンション投資はおすすめできます。中古マンションを安く購入して、早期にローンを完済すれば、あとは家賃収入の大部分を「不労所得」として受け取ることができます。少ない資金で区分マンション投資を始めてみよう
区分マンション投資の魅力、メリット・デメリット について解説しました。区分マンション投資には、良い点も悪い点もあります。それらを理解した上でリスクをどう抑えていくかをプランニングできれば、不安を軽減できるでしょう。また、管理・運用にかかる諸費用や空室リスクも考慮しながら収益計画を想定できれば、成功の可能性を高めることができます。
区分マンション投資は老後に備えた資産運用としても魅力的な投資なので、基本の知識を押さえた上で検討してみてはいかがでしょうか。
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