不動産クラウドファンディングで、社会貢献の仕組みづくりへ。ーー「Lives FUNDING」新畑誠氏インタビュー

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#インタビュー
投資初心者でも始めやすい投資として、不動産クラウドファンディングソーシャルレンディングが近年盛り上がりを見せています。業界への新規参入事業者も増えており、市場規模は年々拡大しています。

このシリーズでは、そんな不動産クラウドファンディング/ソーシャルレンディングのサービス事業者側に焦点を当て、キーパーソンにインタビューを実施。サービスの深い部分を“中の人”に直接語っていただきます。

今回は、「Lives FUNDING」を運営する、株式会社ライブズ 代表取締役・新畑誠(しんばた・まこと)氏にお話を伺いました。

新畑誠(しんばた・まこと)
株式会社ライブズ 代表取締役
1969年、福岡県出身。1990年に20歳で不動産業界に飛び込み、主に営業職として実績を重ねる。2000年に独立し、株式会社アドバシステムを設立。2007年に社名を株式会社ライブズに変更。2022年に新規事業として不動産クラウドファンディング「Lives FUNDING(ライブズファンディング)」をスタート。現在は、株式会社ライブズの代表を務めるかたわら、一般社団法人「新しい都市環境を考える会」の幹事長も務め、不動産投資業界の健全化にも積極的に取り組む。

Lives FUNDINGとは?

「Lives FUNDING」は、2022年9月にサービスを開始した不動産クラウドファンディングです。同分野では後発ながら堅実な運用実績を重ねており、着実に知名度と人気を高めている 要注目のサービスです。

不動産投資を“習慣”に。ーーサービス立ち上げの思い

ーー株式会社ライブズの事業内容についてお聞かせください。 

当社は「不動産という商品を通して、お客様一人一人に安心を与え、未来の人生を支える」という使命を掲げていまして、投資用マンションの販売、賃貸、管理までを一貫して手掛けています。また、マンション開発も手掛けていまして、自社ブランドの「HY's(ハイズ)シリーズ」を展開しています。それと並行するかたちで2022年から不動産クラウドファンディングの「Lives FUNDING」をスタートしています。 

ーー新畑社長は、一般社団法人「新しい都市環境を考える会(都環会)」の幹事長を務めていらっしゃいますが、こちらではどのような活動をされているのでしょうか? 

「都環会」は土地・建物といった不動産に関する事業の健全な発展を推進する目的で2019年に設立された団体です。業界内外の著名な方や議員の方を招いて定期的に勉強会を行っているほか、2023年4月には「都環会」が中心になって「投資不動産販売員」という資格も立ち上げています。これは投資用不動産の現場営業担当者の育成・質向上を目的とした資格で、立ち上げ3カ月くらいで800名の合格者が出ていてよい反響をいただいています。

ーー株式会社ライブズでは、これまで現物不動産の取り扱いがメインだった中で、不動産クラウドファンディングに参入することになったきっかけを教えてください。

一番大きいのは、不動産投資をより多くの人に知ってもらうきっかけにしていきたいという思いからですね。やはり現物の不動産に投資しようと思うと何千万円というお金が必要になってきます。そうなると、一般の多くの方にとっては始めるのが大きなハードルになってしまいますよね。それを小口の少額から投資できれば、不動産投資の入り口として親しんでもらいやすいのではないかと思ったことが大きな理由です。

あとは、不動産クラウドファンディングを通して当社のことを知っていただくきっかけになればという思いもありました。もともと投資用の現物不動産を専門に扱っている会社ですので、1万円から投資可能な「Lives FUNDING」をきっかけに、「不動産投資ってこういう感じなんだ」とか「結構おもしろいな」と感じてもらって、ゆくゆくは当社のファンになっていただけたらいいなという思いがあります。 

ーー「Lives-FUNDING」立ち上げにあたって、当初から定めていたコンセプトなどはありますか?

「Lives FUNDING」のWebサイトでもメッセージとして載せているものなのですが、「不動産投資を“習慣”に。」ということですね。先ほどの話にもつながりますが、やはり不動産投資って多くの方にとってはハードルが高いイメージがありますよね。それをもっと身近なものに感じていただきたいですし、それこそ習慣や日常、というレベルにまで目線を下げることができれば、「未来の人生を支える」という使命の達成にも近づくことができるのではないかという気持ちもあります。

“入居者へフォーカス”、賃貸管理目線での物件選定

ーーファンドを組成する上での物件の選定ポイントを教えてください。 

これは明確で、「賃貸需要があること」に尽きます。当社が扱う物件は一都三県、特に東京23区内を重点的に扱っているのですが、その中でも「駅近」の条件は非常に重視しているポイントです。「Lives FUNDING」のファンドは現時点では基本的に賃料収入を配当原資にしていますので、物件の賃貸ニーズは文字通り生命線です。なので賃貸需要が高いエリアから選ぶことが大前提で、かつ駅近の物件を選定していく、というのはこだわっているところです。

あとは、「住みやすさ」の想定も慎重に行っています。特にエントランスをはじめとした共用部分のセキュリティ面は重視していますね。立地の良さは言わずもがなの最重要ポイントですが、賃貸管理にも強みがある当社ならではの視点として、本当のエンドユーザーである入居者に、「住みたい」「住み続けたい」と感じてもらえるような物件選びも心がけています。

キャピタルゲイン型案件の提供も視野に

ーー今、お話があったように、「Lives-FUNDING」では賃料収入によるインカムゲイン型案件が多い印象がありますが、どのような狙いがありますか?また、今後売却益を配当原資とするキャピタルゲイン型案件の提供も検討されていたりするのでしょうか?

そうですね。本音としては、土地から開発していくキャピタルゲイン型案件もやりたいと思っています。とはいえ「Lives FUNDING」のサービスがスタートしてまだ間もないので、まずは足元を固めるという意味で、当社の得意とする分野で進めているところです。

今、一番大事にしたいのが、確実にファンを増やしていくことだと思っているんです。おかげさまで、徐々に会員数も増えてきているので、ここからさらに成長フェーズに入っていくタイミング、できれば2~3年以内くらいに大きめの開発案件も手掛けていければと思っています。

ーー不動産投資というとリスクの部分が気になる方も多いと思います。リスクに対しては、「Lives FUNDING」としてはどのような取り組みをされていますか? 

まずは基本的な部分として「優先劣後方式」を採用し、サービス事業者として10~20%の劣後出資を入れていく。劣後出資を入れることで、仮に運用によって損失が発生したとしても、投資家のみなさまの損失を軽減することができます。

それから当社の現在リリースしているファンドについては、グループ会社のライブズナビと「マスターリース」という形式で家賃保証契約を結び運用を行います。これによって、仮に物件に空室が出てしまった場合などでも投資家のみなさまへの配当に影響が出ないようになっています。投資ですから「100%大丈夫」というものではありませんが、可能な限り安心して投資していただけるような仕組みを提供しています。

できるだけ多くの方に投資機会を

ーー「Lives FUNDING#12」で、過去ファンドの落選者を対象に優先募集の取り組みを実施されています。この優先募集実施のきっかけについてお聞かせください。

この優先募集の取り組みを行ったのは、そもそも「#10」「#11」の反響がよかったことがきっかけなんです。「#10」「#11」では、出資していただいた方全員に、Amazonギフト券3,000円分をプレゼントするというキャンペーンを行ったのですが、結果としてどちらも募集額を大幅に超える申し込みが集まりました。特に「#10」は500%を超える申し込み率で過去最高の額となったんですね。

もちろん当社としてはうれしい限りなのですが、当然そうなると落選する方が大勢出てきてしまいますよね。せっかく当社のサービスに興味を持っていただいたみなさまですので、なんとか救済の機会を提供したいということで、「#12」のファンドで優先募集枠を設けることにしたんです。

ーー優先募集の反響はいかがでしたか? 

実際には募集枠の60%強を優先枠として提供したのですが、反響はすごかったです。先着式で募集をしたところ、わずか1分で満額を達成しました。一度落選した方が、もう一度「Lives」に投資をしたいと思ってくださったということなので、素直にうれしかったですね。 

ーー今後、また優先募集の取り組みを行う可能性はありますか? 

もちろん、可能性はあります。今回の取り組みに関しては、ギフト券のキャンペーンを行ったという背景あっての部分もあるので、そうではない方法でも可能か考えていきたいですし、あとはキャンペーンの内容も含めて、いっそう投資家のみなさまに喜んでいただけるような企画を考えて今後も提供していければと思います。

「Lives FUNDING」の現在地と将来像

ーーサービス開始当初から小規模の案件がメインだったと思いますが、「Lives FUNDING#13」で、初めて1億円超えの案件を提供されています。背景や狙いを教えてください。 

 サービス立ち上げ期については、会員数も少ない状況ではあるので、基本的には小規模の案件を取り扱っていました。そんな中で、「#10」「#11」「#12」と立て続けに大きな反響をいただくことができて、なおかつ、投資家のみなさまからも「大型案件もお願いします」というお声をいただくことも増えていていたんですね。そこで、正直少しチャレンジングなタイミングではあったのですが、ちょうど「Lives FUNDING」1周年という節目でもあったので、キャンペーンもつけてやってみようということになったんです。「#12」の優先枠も1分で埋まっていますので、そこでまた投資できなかった方もいらっしゃいました。なので、そういったみなさまに対してもちゃんと投資枠を提供したいという気持ちもあって実施を決めましたね。

ーーこちらの案件では、満額の1億4,000万円には届かなかったものの、見事1億円の調達には成功しファンドが成立しています。このあたりの手応えはいかがでしたか? 

 ホッとしたのと悔しいのと半々ですね(笑)。「#13」に関しては1億円は達成できたのですが、達成できたのは応募締め切りの前日にようやく、という感じでした。募集開始初日にお申し込みいただいた方もいらしたので、まず、そういった方に対して、案件成立まですごくお待たせしてしまって申し訳なかったなという気持ちがあります。ここに関しては、まだまだ我々の力不足というのも痛感した部分です。

ただ一方で、今後サービスを進めていく上で1億円の調達を達成できたということは大変重要な一歩になったと思っています。まずは最低限の目標として1億円規模の案件を成立できて、また、この案件を通して「Lives FUNDING」を知った方も増えたと思います。なので、悔しい気持ちもありますが、これが「Lives FUNDING」の現在地であると再認識できたことはよかったですし、当社としてはあらためて気を引き締める機会にもなりました。今後は、もっとサービスをブラッシュアップして、ここから新しいスタートを切るという気持ちでやっていきたいと思っています。 

ーー最後に、今後の展望や考えている企画などがあればお聞かせください。 

 当面は区分マンションの案件を引き続きやっていきながら、今後は1億円規模になる大きめのファミリーマンション、例えばタワーマンションの案件なんかもやってみようと計画中です。あとは先ほど話に出たキャピタルゲイン型のファンド。開発案件として土地を購入し、そこに投資家のみなさまから募った資金で建物をつくって売却益を得る、というモデルのプロジェクトもいずれやっていきたいですね。

元来、クラウドファンディングには「応援」の側面もあると思いますので、将来的には、社会貢献ができるようなプロジェクトも手掛けていきたいと思っています。例えば学童施設を建てたりとか、医療モールのビルを建てたりとか、そういう街づくりを通した社会貢献を不動産クラウドファンディングで実現できたらと思います。(了)

\ 「Lives FUNDING」の公式サイトはこちら/

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  • 記事を書いた人 a.sato

    『ゴクラクJOURNAL』編集長。10年余りのラジオディレクター・構成作家の経験を経てライターに転身。延べ300社以上のコンテンツのコンサルティング・ライティング、ブランディングに携わる。以後エンタメ・インフラなどのWebメディアの編集長を歴任したのち現職。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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