映画ファンドとは?投資の仕組みとメリット・デメリットを解説
公開日 2023/12/20
最終更新日 2023/12/20
映画制作には多額の資金が必要となりますが、資金を投資家から集めて映画制作の実現を目指すのが事業型ファンドの1つ「映画ファンド」です。投資家として出資に興味がある人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、映画ファンドとは何か、基礎知識や投資の仕組み、さらにメリットやリスクなどついて詳しく解説します。
映画ファンドとは?
映画ファンドとは、映画制作資金を調達するために設立される投資ファンドです。映画の制作には多額の投資が必要となるため、スポンサーや金融機関から資金を調達する必要があります。しかし、映画制作の現場ではこうした資金調達が簡単にいかないケースが多いのも事実です。映画の成功には不確定な要素が多く、費用を回収できるかどうかが不透明であるという問題もあるためです。
このような場合に、不足した資金を調達する目的でつくられるのが映画ファンドです。映画のプロジェクトに賛同した投資家はファンドに出資を行い、映画の興行成績やメディア販売収益などに応じて配当を得られる仕組みです。
映画ファンドに投資するメリット
実際、映画ファンドに投資した場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。1.映画が当たればハイリターンが狙える
映画ファンドのもっとも大きなメリットは「(上手くいけば)高いリターンが期待できる」点でしょう。もし映画がヒットすれば制作費を十分に回収するだけでなく、さらに大幅に上回る収益を上げられます。2.映画制作に間接的に携われる
映画に出資するということは、自身もスポンサーになるということです。映画ファンにとっては「映画制作に携わっている」という実感が得られ、その映画への思い入れも大きくなるでしょう。もちろん、映画が成功すれば自分が貢献したという満足感も得られます。3.限定特典がもらえることも
映画ファンドへ投資した場合、金銭によるリターンだけでなく、限定ノベルティや出演者のサイン入りグッズなど、出資者限定特典がもらえることもあります。映画ファンドに投資するデメリット
映画ファンドへの投資にはデメリットもあります。しっかりチェックしておきましょう。1.リスクの高い投資である
映画ファンドも投資であることに変わりはないため、常にリスクが伴います。成功すれば大きなリターンも期待できますが、大前提として映画産業は常に変化しており、ヒット映画の制作は容易ではありません。映画制作は不確定要素が多く、突然の制作中止や想定外の予算不足といった問題が生じる可能性も抱えています。
そのため、映画ファンドへの投資にあたっては十分なリサーチとリスク管理が必要です。映画が思うようにヒットせず興行収入が低ければ損をすることになります。
2.投資機会が少ない
映画ファンドに投資したい投資家にとって、一番の問題はファンドの数自体が少ないことでしょう。非公開に組成される映画ファンドもあり、一般投資家が参加できる機会は限定されます。こまめに情報収集を続けないと投資すること自体が難しい可能性があります。映画ファンドの事例
次に実際に組成された映画ファンドの事例を紹介します。事例1.『226』の映画ファンド
国内の映画ファンド第1号となった作品は『226』です。ただし、この映画に関するファンドは法人向けで、個人投資家は参加できませんでした。事例2.映画ファンド「忍-SHINOBI」
個人投資家が参加できるようになった初の映画ファンドは、2004年に松竹が結成した映画ファンド「忍-SHINOBI」です。このファンドは2005年に公開された映画『SHINOBI-HEART UNDER BLADE-』の制作資金を1口10万円で募集し、DVDの売上や興行収入を償還しました。ただし、興行とDVDの売上は芳しくなかったため、投資資金は元本割れで償還されています。
事例3.映画ファンド「シネカノンファンド第1号」
2006年には、信託方式を採用した本格映画ファンド「シネカノンファンド第1号」が『フラガール』を制作してヒットを飛ばしています。なお、シネカノンファンドは、映画会社シネカノンの制作・配給映画20本に投資するファンドで、個人投資家から1口2,000万円の募集で約46億円を集めました。事例4.『阿修羅城の瞳』の映画ファンド
2004年12月には改正信託業法によって知的財産権の受託が可能となり、2005年4月公開の『阿修羅城の瞳』が著作権信託の映画ファンドで制作されています。事例5.投資型クラウドファンディング『種まく旅人~夢のつぎ木~』
2016年には、日本初の投資型クラウドファンディング映画ファンドによって『種まく旅人~夢のつぎ木~』が制作されました。映画ファンドはハイリスク・ハイリターンの投資
映画ファンドとは何か、詳しく解説しました。映画ファンドはリスクを取る投資家や映画ファンにとっては魅力的な投資商品です。作品がヒットすれば大きなリターンも期待できます。ただし、映画制作には不確実な要素が多く、ハイリスク・ハイリターンの投資商品といえます。投資を検討する際には慎重なリサーチとリスク管理が必要になるでしょう。映画の内容だけでなく、キャストや監督など、ヒットが期待できるかどうかを事前に綿密に調査した上で投資判断しなければなりません。
また、現時点では映画ファンドの実績が少なく、不透明な部分が多いのも事実です。良くも悪くもギャンブル的な要素があるため、投資の際は余剰資金で “ダメ元” で行う、あるいは趣味と割り切る、といった思い切りも必要です。
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