不動産クラウドファンディングはやめとけーーそういわれる5つの理由

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こんにちは。投資家・ブロガーの中田健介です。

現在不動産クラウドファンディング事業者の数は100社を超え、募集総額も年々増えています。その一方で、「不動産クラウドファンディング投資はやめとけ」といった意見も一部で聞かれます。

今回は、不動産クラウドファンディングについてよく聞かれるネガティブな意見について検証してみたいと思います。

不動産クラウドファンディングはやめとけといわれる理由

不動産クラウドファンディングはやめとけといわれる理由不動産クラウドファンディングはなぜ「やめとけ」といわれてしまうのでしょうか?その5つの理由を、実際に投資を行ってきた経験も踏まえて解説します。

理由1.元本割れが発生する可能性があるから

やはり不動産クラウドファンディング投資に対するネガティブな意見としてもっとも多いのは「元本割れが起きる可能性がある」という点のようです。

「遠くの地域の不動産物件に投資するなど、資金が返ってくるかわからない中で、とてもではないが恐くてできない」という意見はSNS等でもよく耳にします。現物不動産投資では、実際の物件をまったく見ずに購入するということは少ないでしょう。

しかし、不動産クラウドファンディングでは基本的に現物を見て投資することはありません。そのため不安も大きくなりがちです。確かに不動産クラウドファンディング投資には元本割れのリスクが付き物です。そのリスクを無視することはもちろんできませんが、各サービス事業者の過去の実績を見ると、元本割れの発生率は決して多くありません。

例えば、業界大手の「COZUCHI(コヅチ)」や「CREAL(クリアル)」では、2024年2月現在、元本割れは1件も発生していません。その他の事業者においても元本割れはほとんど発生していません。

投資である以上、元本割れのリスクに対して慎重に考える必要があるのは当然です。しかし、それを理由に不動産クラウドファンディング投資自体を行わないのは、ベテラン投資家の私からすると少しもったいないように思います。

理由2.サービス事業者が信用できるかわからないから

投資対象の不動産クラウドファンディング事業者が信用できるのかわからないという人も多いと思います。

不動産クラウドファンディングを提供する事業者は、一般にはあまり知られていない会社が多く、大事なお金を預けて大丈夫なのか心配だという意見もよく見聞きします。不動産クラウドファンディングを行うには、不動産特定共同事業法(不特法)に基づく不動産特定共同事業のライセンスが必要です。

この不特法は、2017年、2019年に大きな法改正が行われ、規制が緩和されました。これにより、サービス事業者が増加し、業界が大きく盛り上がっていくことになりましたが、裾野が広がったことにより比較的小規模な不動産事業者も多く参入しています。

中にはサービスを開始して間もない企業もあるため、どの事業者が信用できるのか慎重に見極める必要があるというのはその通りでしょう。このような心配がある人は、事業者の母体や出資元に注目されてはいかがでしょうか。

例えば、「Rimple(リンプル)」を手掛けるプロパティエージェント株式会社や「TREC FUNDING(トレックファンディング)」を手掛けるトーセイ株式会社は、東証プライム市場に上場する大企業です。このような企業は信用度という点では特に高いと考えられます。サービス事業者の信用度が気になる人は、まずはこのような事業者で投資を始めてみるとよいかもしれません。

上場企業が運営している不動産クラウドファンディングサービスの例

上場区分 運営会社 サービス名
東証プライム プロパティエージェント株式会社 Rimple(リンプル)
東証プライム トーセイ株式会社 TREC FUNDING(トレックファンディング)
東証プライム 株式会社FJネクストホールディングス GALA FUNDING(ガーラファンディング)
東証スタンダード 穴吹興産株式会社 Jointo α(ジョイントアルファ)
東証スタンダード 株式会社マリオン i-Bond(アイボンド)
東証スタンダード 株式会社ウッドフレンズ 信長ファンディング
東証グロース クリアル株式会社 CREAL(クリアル)
東証グロース 株式会社アンビションDXホールディングス A Funding(エーファンディング)
東証グロース 株式会社タスキ TASKI FUNDS(タスキファンズ)

理由3.利回りが低く、あまり儲からないから

「不動産クラウドファンディング投資は利回りが低く、あまり儲からない」と思っている人もいるようです。

確かに「1年間で資金を2倍にしたい」「100万円の資金を5年で1億円にしたい」といったチャレンジングな目標を持っている人は不動産クラウドファンディング投資をすべきではありません。不動産クラウドファンディング投資で得られる利回りは高くとも年利10%程度であり、1年で資金を倍にするといったことは不可能です。

このような一攫千金を目指したいのであれば、株式投資やFX(外国為替証拠金取引)といった投資を行うしかありません。ただし、ハイリターンにはハイリスクがつきものです。

短期間で大きく儲けたいならば、同じだけ損をする可能性がある点は認識しておく必要があります。不動産クラウドファンディングは、一定のリスクを取りながら中程度のリターンを中~長期で得ることを目的とした投資商品です。短期的に大きく資産を増やしたい人には向いていません。

理由4.投資に多くの資金が必要だと思われているから

「不動産クラウドファンディング投資には多くの資金が必要となる」というイメージを持っている人もいるようです。しかし、ほとんどの不動産クラウドファンディングサービスは1万円から投資が可能で、高くても10万円程度で投資できるサービスがほとんどです。

基本的に不動産クラウドファンディング投資を始めるのに何十万円、何百万円という資金は不要で、例えば現物不動産投資などとは必要資金は比べるべくもありません。

理由5.特別な知識が必要で難しいと思われているから

「不動産クラウドファンディング投資には特別な知識が必要で、ハードルが高い」と思っている人もいるようです。しかしながら、不動産クラウドファンディングはその始めやすさも特徴の1つです。

例えば株式投資やFX、現物不動産投資などで継続して利益を上げようとすれば非常に時間をかけて情報収集や研究を重ねる必要がありますが、不動産クラウドファンディングを行うために特別な知識は不要です。

中には「匿名組合契約」「任意組合契約」「優先劣後方式」といったなじみのない用語も出てきますが、こういった用語の意味は各サービス事業者のサイトや「ゴクラク」などの不動産クラウドファンディング情報サイトの解説を読めば理解できるものですし、投資方法自体がシンプルなので仮に知らなかったとしても運用は可能です(ただし、当然知っていたほうがファンド選びの精度向上につながります)。

実は運用の手間もほとんどない

また、不動産クラウドファンディング投資は面倒なのではないかという印象を持っている人もいるかもしれません。実際に体験すればすぐにわかりますが、不動産クラウドファンディング投資は株式投資やFXのように毎日相場をチェックする必要がなく、一度投資すれば期間が終了するまで特にすることはありません。ほかの投資に比べて時間のかからない非常に楽な投資だといえます。

不動産クラウドファンディングは初心者にもおすすめの投資

今回の記事では、「不動産クラウドファンディングはやめとけ」といわれる理由について考えてみました。

不動産クラウドファンディング投資は歴史の浅い投資サービスであり、個人投資家でもまだ知らない人は多いと思います。また、マスメディアやインターネットなどでも、一部では不動産クラウドファンディング投資に関する不正確な情報が見られます。

そうした情報不足や不正確な情報のために不動産クラウドファンディング投資をためらう人も多いのではないでしょうか。不動産クラウドファンディング投資に興味を持っている人は、ぜひ正しい情報をもとに判断していただければと思います。

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  • 記事を書いた人 中田健介

    IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始。同時にブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。 著書に「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)がある。

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