ソーシャルレンディングはオワコン?今後も期待できる理由とは

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#リスクマネジメント #市場規模
過去に運営事業者の不祥事などによる信頼性の低下もあり、ソーシャルレンディングはオワコン(※終わったコンテンツ)といわれることがあるようです。金融庁の規制も強化されることから、これから投資して儲かるのか心配に思う人もいることでしょう。

しかし規制が強化されるということは、投資家が安心して投資できる環境が整うということでもあります。この記事で、本当にオワコンなのか、また今後のソーシャルレンディングがどうなるのかをチェックしてみましょう。

ソーシャルレンディングがオワコンといわれる背景

ソーシャルレンディングがオワコンといわれる理由ソーシャルレンディングがオワコンといわれる理由として次のようなことが挙げられます。

オワコンといわれる理由1.運営事業者による不祥事のイメージがある

ソーシャルレンディングは運営事業者による相次ぐ不祥事がオワコンとのイメージにつながっています。

2017年にソーシャルレンディング事業者「みんなのクレジット」がずさんな運用を行うなどして最終的に投資家への償還を停止し、東京都産業労働局より業務停止処分などを受けています。

また、2021年5月にはSBIホールディングスが子会社のSBIソーシャルレンディングを廃業し、ソーシャルレンディング事業から撤退することを発表しました。これはSBIソーシャルレンディングが4月28日に金融庁から業務停止命令を受けたことが原因になっています。業務停止命令を受けた理由は、貸付先企業が資金を不正流用していたにもかかわらず、SBIソーシャルレンディングが金融商品取引法で義務付けられている確認義務を果たしていなかったからです。

このような不祥事が起こると、投資家は信用して投資できないことから、「ソーシャルレンディングはオワコン」といったイメージが広まっていったと考えられます。

オワコンといわれる理由2.市場規模が縮小している

ソーシャルレンディングがオワコンといわれる理由として、市場規模が縮小していることも挙げられます。

「一般社団法人 日本クラウドファンディング協会」の2021年7月発表データによると、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の市場規模は次のように推移しています。

  • 2017年:1,316億円
  • 2018年:1,764億円
  • 2019年:1,113億円
  • 2020年:1,125億円
2017年以降にソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けたことを反映して2019年にはその市場規模が大幅に縮小しました。2020年には少し戻していますが、市場規模が以前ほどに増えるのかどうかが不透明となっています。市場規模が縮小すれば参入する運営事業者も減少し、利回りが期待できる案件も減少すると考えられます。

オワコンといわれる理由3.金融庁による規制強化が進んでいる

運営事業者の不祥事などを受けて金融庁がソーシャルレンディングの規制を強化するとの発表が2023年3月にありました。具体的にはファンド事業者に運用成績などを示す運用報告書を交付することを義務付けるものとなります。投資家にとってはリスク回避につながるものですが、事業者が参入する障壁が高くなる可能性もあります。

もちろん不正があっては意味がありませんが、市場規模がさらに縮小される可能性も考えられます。これもまたソーシャルレンディングがオワコンといわれる理由と考えられます。

ソーシャルレンディングは本当にオワコン?メリットをあらためてチェック

ソーシャルレンディングは本当にオワコンといわれるほど投資する価値がないものか、あらためてメリットをチェックしてみましょう。

メリット1.少額投資ができる

ソーシャルレンディングは多くの場合、1万円から少額投資ができます。少額であればたとえ損失が生じたとしてもダメージは少なく済みます。ソーシャルレンディングはすべての案件に問題があるわけではありません。

一般的に、高利回りのファンドはリスクも相応に高くなりますが、少額投資ならではのメリットを生かして複数のファンドに資金を振り分ければリスク分散が可能です。

メリット2.比較的利回りが高い

ソーシャルレンディングはリスクもありますが、それに見合う高いリターンも期待できます。そもそもソーシャルレンディングは銀行などの金融機関から融資を受けられない案件が資金を集めるものなので、そのリスクに見合う高いリターン設定となっています。

諸事情で金融機関の評価を得られなかったものでも優良なプロジェクトは数多くあります。ソーシャルレンディングは全体的に良好な利回りが期待できるものが多いので、魅力ある投資商品といえます。

メリット3.価格変動が少ない

ソーシャルレンディングはREIT(リート/不動産投資信託)のように簡単に売買できる市場がありませんが、そのかわりに価格変動がないのが特徴です。日々の値動きがあるとどうしても気になるものです。ソーシャルレンディングにはそのような心配がないのは利点だと言えます。

メリット4.ほったらかし投資ができる

ソーシャルレンディングは案件を選ぶ手間はかかりますが、投資をしたらあとはそのまま放置できます。日々の値動きをチェックしながら売却のタイミングを図るような手間がかからないことも利点です。

もちろん放置する以上は案件選びの重要性が高いということでもありますが、一度投資してしまえばあとはほったらかしで資金運用できるのは大きな魅力だといえるでしょう。

ソーシャルレンディングの今後はどうなる?

ソーシャルレンディングの今後はどうなるソーシャルレンディングを取り巻く環境は市場規模の縮小や規制強化など、一見すると厳しいように思えます。これがソーシャルレンディングがオワコンだといわれる理由ですが、実際には投資家が安心できる環境が整うことにつながります。

大前提として、日本では「貸金業法」の規制により個人間の融資が行えません。もし個人が融資先の情報を詳しく把握できると、個人が貸金業者とみなされライセンスが必要になってしまうことから、それを避けるためにソーシャルレンディングでは融資先の「匿名化」が義務付けられていました。しかし、この匿名化が不正を生む原因につながりました。それを契機として2019年にはその匿名化は不要となり投資案件の情報開示が可能となりました。

そして今後は運用内容を開示することも必要になってくるでしょう。結果として多くの投資家が安心して投資できるようになり市場は活性化することにもつながります。市場に参入する運営会社が増えれば魅力的な案件の増加にもつながるため、さらに新規の投資家も増えることも期待できます。

ソーシャルレンディングはオワコンではない魅力ある投資

ソーシャルレンディングはオワコンなのかについて、詳しく解説してきました。

ソーシャルレンディングは決してオワコンではなく、むしろ投資家にとっては安心できる環境が整いつつあります。規制強化により不正や不祥事がなくなれば、ソーシャルレンディングは高い利回りが期待できる投資対象として新規投資家を呼び込むことにもなるでしょう。

そして、これはソーシャルレンディングだけでなくあらゆる投資商品にいえることですが、投資である以上は多かれ少なかれリスクは伴うものです。重要なことは、投資家側がその商品の特性やリスクを正しく理解して投資を行うことです。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    『ゴクラクJOURNAL』は、不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング、事業型ファンドといった少額投資ファンドに関する情報や、投資・お金、その他ファイナンシャルテクノロジーに関する情報を提供しています。編集部では、投資初心者の目線に立ったユーザーファーストのメディア運営を目指しています。

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