【国交省調査で141倍】不動産クラファン市場はまだ伸びる?金融400年の歴史から考察

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不動産クラウドファンディングの市場は、これからもっと大きくなる。筆者はそう考えています。

理由は、金融の歴史を振り返ると、ある共通点が見えてくるからです。

それは、投資の「小口化・民主化」が新たな投資家を呼び込み、市場を大きくしてきたということです。

株式、投資信託、金ETF、ネット証券。

これらは投資に必要な資金や手間を減らし、一般の個人に投資の機会を広げてきました。

そして現在、不動産市場でも同じ変化が起きています。

国土交通省によると、国内の不動産クラウドファンディングの年間出資額は、2018年度の12.7億円から2025年度には1,797.2億円へと、約141倍に拡大しました。

もちろん、今後も同じペースで成長するとは限りません。

それでも、過去400年の金融史を振り返ると、不動産クラウドファンディングの将来性を考えるうえで興味深い共通点があります。

1.400年の金融史が示す「小口化」の力

大きな資金が必要な事業でも、一人ひとりの負担を小さくすれば、参加できる投資家は増えます。

個人が負担する金額は小さくても、参加者が増えれば、企業が集められる資金は大きくなります。

金融の歴史では、この仕組みが何度も市場の拡大を支えてきました。

1602年|東インド会社が広げた株式投資

1602年、オランダ東インド会社が設立されました。

当時のアジアとの貿易には、船の建造費や長期間の航海費用など、多額の資金が必要でした。

そこで同社が活用したのが、株式によって幅広い出資者から資金を集める仕組みです。

大規模な貿易事業に、個人も自分の資金に応じて参加できるようになりました。

その後、株式の売買も活発になり、アムステルダムは世界的な証券取引の中心地へと発展しました。

一部の資産家に頼るだけでなく、多くの人から資金を集める。

株式は、大きな事業を動かすための資金調達の可能性を広げたのです。

19世紀|鉄道建設を支えた一般投資家の資金

19世紀の英国では、産業革命とともに鉄道建設が進みました。

鉄道は建設に莫大な資金が必要ですが、企業は株式を通じて幅広い投資家から資金を集めました。

産業革命によって中産階級が拡大し、鉄道株に投資する人も増加しました。

ニューヨーク連邦準備銀行によると、ロンドン市場に上場する鉄道関連証券は、1843年から1845年にかけて約3倍に増えています。

投資ブームは後にバブル崩壊を招きましたが、多くの投資家から資金を集める仕組みは、大規模なインフラ整備を支える役割を果たしました。

1924年|投資信託が資産運用を一般家庭へ広げた

20世紀に入り、投資の小口化はさらに進みます。

1924年、米国で初期のオープンエンド型投資信託「Massachusetts Investors Trust」が設立されました。

投資信託は、多くの投資家から集めた資金をまとめて運用する仕組みです。

個人が少額でも複数の企業に分散投資できるようになり、資産運用のハードルが下がりました。

その後、米国の投資信託市場は大きく成長します。

米国の投資信託業界団体ICIによると、投資信託を保有する世帯数は、1980年の460万世帯から2025年には7,270万世帯に増加しました。

現在では、米国の半数以上の世帯が投資信託を保有しています。

調査方法の変更や年金制度の普及なども影響していますが、資産運用が一部の富裕層だけのものではなくなったことは確かです。

少額から分散投資できる仕組みが、多くの家庭を投資市場へ呼び込んできたのです。

1976年|インデックスファンドが投資をさらに身近に

投資信託によって個人が少額から投資できるようになった後も、金融商品の進化は続きました。

1976年、バンガードは個人投資家向けのインデックスファンドを設定しました。

それ以前にもアクティブ型の投資信託は存在していましたが、インデックスファンドは市場平均に連動する運用を低コストで提供した点が画期的でした。

プロにお任せできる仕組みも発展につながった

当初の募集額は約1,100万ドルにとどまり、金融業界からも懐疑的な見方がありました。

しかし、低コストで幅広い企業に投資できる仕組みは、その後世界中に普及しました。

2024年末には、米国の長期運用型ファンドの純資産に占めるインデックス型の割合が51%に達しています。

既存の商品から移った資金も含まれます。

しかし、投資の費用や手間を減らすことが、一般投資家にとっての資産運用の選択肢をさらに広げたことは重要です。

2004年|金ETFが現物資産への投資を変えた

不動産クラウドファンディングの未来を考えるうえで、特に興味深いのが金ETFです。

金は古くから投資対象として利用されてきましたが、現物を購入するには保管や売却の手間がかかりました。

そこで登場したのが、金の現物を裏付けとするETFです。

2004年、米国で「SPDRゴールド・シェア(GLD)」が上場しました。

投資家は金地金を自分で保管しなくても、証券口座から金に投資できるようになったのです。

ここでも民主化が市場を大きくした

GLDは上場からわずか3営業日で、運用資産が10億ドルを突破しました。

その後も金ETF市場は拡大し、ワールド・ゴールド・カウンシルによると、2025年末の世界の金ETF等の運用資産は約5,590億ドルに達しています。

この成長には金価格の上昇も大きく影響しています。

それでも、現物を保管せずに投資できる仕組みが、金への投資を身近にしたことは間違いありません。

同じ資産でも、投資しやすい仕組みに変えることで、新しい投資需要を取り込める。

金ETFは、その代表的な事例といえるでしょう。

2017年|ネット証券の「100円投資」が投資家を増やした

日本でも、投資の小口化・民主化は進んでいます。

その代表例が、SBI証券や楽天証券などのネット証券です。

2017年、SBI証券は投資信託の通常購入に必要な最低金額を、原則1万円から100円に引き下げました。

こういったネット証券の普及とともに、投資する人も増えていきました。

ここでも小口化が投資家を増やした

日本証券業協会によると、ネット取引が可能な証券口座は、1999年10月末の約30万口座から、2026年3月末には5,625万口座へと拡大しています。

これは口座数であり、投資家の実人数ではありません。

それでも、ネット取引が広く普及したことがわかります。

ネット証券は投資に必要な費用や手間を減らし、個人投資家の増加と証券市場の拡大を支えてきたのです。

2.小口化は「投資できる人」を増やし、市場を広げてきた

ここまでの歴史には、共通点があります。

時代 投資の仕組み 何が変わった?
1602年 株式会社 多くの人が大規模事業に出資
19世紀 鉄道株式 一般投資家の資金がインフラ建設を支援
1924年 投資信託 少額でも分散投資が可能に
1976年 インデックスファンド 低コストでの資産運用が普及
2004年 金ETF 現物保管なしで金投資が可能に
2017年 ネット証券の100円投資 少額投資がさらに身近に

もちろん、各市場の成長には経済発展や制度改正など、さまざまな要因があります。

しかし、投資の小口化や低コスト化が参加者を増やしてきたことも事実です。

多くの人が購入できるようにしたことが、市場拡大につながった

そもそも、投資対象となる株式や金は、それ以前から存在していました。

新しい資産が発明されたから市場が大きくなったわけではありません。

すでに存在していた資産を、より多くの人が購入できるようにしたことが、市場拡大の重要な原動力になったのです。

では、この歴史を不動産市場に当てはめると、どうでしょうか。

3.不動産クラファンにも、同じ変化が起きている

不動産は、もともと多くの人が関心を持つ投資対象です。

賃料収入が期待でき、物件によっては売却益も狙えます。

しかし、現物不動産を購入するには、数千万円以上の資金が必要になることも珍しくありません。

銀行融資の手続きや、購入後の物件管理にも手間がかかります。

不動産でも小口化が市場を大きくする?

一方、不動産クラウドファンディングなら、1万円から参加できるファンドもあります。

もちろん、J-REITや従来の不動産小口化商品も存在します。

不動産クラウドファンディングが初めて不動産投資を小口化したわけではありません。

それでも、インターネット上で個別の物件や事業計画を確認し、少額から出資できる仕組みは、新たな投資機会を広げています。

実際、国土交通省の資料によると、不動産特定共同事業の運用中商品に参加する一般投資家数は、2019年の3.4万人から2023年には29.7万人へと、約8.7倍に増加しました。

なかでも、インターネット上の契約を通じた参加者は約7,000人から20万人に増えています。

小口化とオンライン化が進むなかで、不動産投資に参加する人が実際に増えているのです。

出典:国土交通省「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理」

4.個人の小口資金が、不動産会社の新たな資金源になる

不動産クラウドファンディングは、投資家だけでなく、不動産会社にとっても新たな資金調達の手段になります。

銀行融資だけでは難しい空き家再生や築古物件の改修にも、個人の資金を活用できます。

仮に1万人が10万円ずつ出資すれば、合計10億円。

個人の小口資金が集まることで、これまで実現が難しかった不動産事業にも可能性が広がります。

5.筆者が不動産クラファンの成長を期待する理由

国内の不動産クラウドファンディング市場は、すでに大きく成長してきました。

国土交通省によると、年間出資額は次のように推移しています。

年度 年間出資額
2018年度 12.7億円
2020年度 85.6億円
2022年度 604.3億円
2024年度 1,763.4億円
2025年度 1,797.2億円

※不動産特定共同事業法に基づく電子取引業務の実績。

2025年度の伸びは鈍化したものの、7年間で約141倍に拡大しています。

出典:国土交通省「不動産特定共同事業の利活用促進ハンドブック」10ページ

不動産の民主化で市場は大きくなるか?

ただし、筆者がこの市場の成長を期待する理由は、過去の数字だけではありません。

不動産には、住宅、オフィス、商業施設、ホテル、物流施設など、さまざまな投資対象があります。

さらに、既存物件の購入だけでなく、建物の改修や空き家の再生など、多様な事業があります。

こうした不動産事業に、これまで参加してこなかった個人が少額から投資できるようになる。

不動産会社も、従来とは異なる方法で資金を集められるようになる。

金融の歴史が示してきたように、投資する人と資金調達の選択肢が増えることは、市場を広げる力になります。

不動産クラウドファンディングには、まだ大きな可能性がある。

これが、ゴクラク編集部の一人として、この市場を8年見てきた筆者自身の考えです。

6.市場が成長するからこそ、調べ続けたいこと

とはいえ、市場が大きくなれば、それだけでよいとは思っていません。

不動産クラウドファンディングでは、償還遅延や元本割れ、事業者の経営悪化などの問題も起きています。

投資の小口化は参加者を増やしますが、投資そのもののリスクをなくすわけではありません。

だからこそ、市場が成長するためには、投資家が正しい情報をもとに判断できる環境が欠かせないと考えています。

汗をかき、有益な情報を届けます

ゴクラクでは、さまざまな不動産クラウドファンディング事業者やファンドの情報を集め、比較できる環境づくりに取り組んでいます。

筆者自身も、日々の調査や記事制作を通じて、利回りや募集額だけではわからない情報の重要性を感じています。

償還実績はどうなっているのか。事業者の財務状況に問題はないか。対象不動産の情報は正確なのか。

決算書を読み、登記を取り寄せ、必要に応じて事業者に取材する。

調べるほど、ファンドの募集ページだけでは見えてこない事実があることに気づかされます。

堅実なサービスもしっかり伝える

一方で、堅実に償還実績を積み重ね、投資家に丁寧な情報提供を続けている事業者もあります。

そうした事業者の取り組みや、魅力的な投資機会についても、もっと伝えていきたいと思っています。

不動産クラウドファンディングの成長に期待することと、問題点を厳しく検証することは矛盾しません。

むしろ、長く発展してほしい市場だからこそ、良い面だけを伝えるわけにはいかない。

これは、この市場を日々調べている筆者個人の思いです。

まとめ|不動産クラファンの未来に期待しながら、これからも調べ続けたい

1602年の株式会社から、投資信託、インデックスファンド、金ETF、ネット証券まで。

金融の歴史を振り返ると、投資の小口化・民主化が新しい投資家を呼び込み、市場の成長を支えてきたことがわかります。

不動産クラウドファンディングも、その流れの中にあります。

少額から不動産に投資できる仕組みが広がることで、個人の資産運用の選択肢が増え、不動産会社にも新しい資金調達の機会が生まれています。

もちろん、過去の金融商品と同じように成長するとは限りません。

市場の拡大とともに、解決しなければならない問題も増えていくでしょう。

それでも筆者は、不動産クラウドファンディングには、これからもっと大きな市場になる可能性があると考えています。

※本記事は不動産クラウドファンディング市場の将来や歴史的背景について考察したものであり、特定の事業者や金融商品への投資を推奨するものではありません。投資には元本割れ、事業者の信用リスクなどの各種リスクが伴います。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

    不動産クラウドファンディング等の情報を提供しています。投資初心者の目線に立った運営を目指しています。記事は情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する意思決定は、事業者の公式サイトにてリスク等の内容をご確認いただき、ご自身の判断にてお願いいたします。

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