円高・円安をわかりやすく解説。昨今の円安の原因や個人の対策は?

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#用語解説 #投資初心者
記録的な円安が話題となり、日本経済への影響が心配されています。2022年初めは1ドル115円程度だったものが、同年10月21日には151円90銭まで下落し、2024年4月初旬現在でも依然として円安傾向は続いており、今後も為替から目が離せない人が多いでしょう。

そこで今回は、円安と円高とは?についてわかりやすく解説します。基本知識の解説から、円安・円高のメリットとデメリット、さらに個人としてできる「円安への対策」についても触れますので、最後までお読みください。

円安とは?

円安とは、円が他の国の通貨に比べて価値が低い状態のことです。円安だと、1円で交換できる他通貨の単位数が相対的に少なくなります。円はドルとの比較をよくされるので、例を挙げて説明しましょう。

日本人がアメリカで1ドルの品物を購入するとします。1ドル100円であれば、100円で購入できます。ところが、1ドル150円となれば、先ほどと同じ品物でも150円がないと購入できません。

このように、円の価値が下がると1ドルで交換できる円が少なくなります。

円安のメリット・デメリット

円の価値が他国の通貨よりも低くなる円安状態になると、どんなメリットとデメリットがあるでしょうか。為替の変動は経済的に影響が大きいので、国内の企業や個人の観点で確認が必要です。

ここでは、円安のメリットとデメリットについてそれぞれ見ていきます。

円安のメリット

円安のメリットは、企業が海外で稼いだ外貨をより多くの円に交換できる点です。海外で100万ドル稼いだ売上を円に換算すると、1億円(100円/ドル)は、1.5億円(150円/ドル)になります。

企業の売上は円安の分だけ増えることになるので、業績にも好影響が出るでしょう。また輸出品の価格を安く設定できるので、国際的な価格競争力が高まります。

円安のデメリット

円安のデメリットは、同じ円に対して交換できる外貨が少なくなってしまう点です。海外のものやサービスを輸入しようとしても、円安の影響で価格が高くなってしまいます。

さらに、日本はエネルギー資源や食糧を海外からの輸入に頼っているため、円安になると私たちの生活を圧迫することになります。

また、海外旅行や留学なども割高になるため行きにくくなるのがデメリットといえるでしょう。

円高とは?

円高とは、円の価値が他の通貨に対して上がることです。1円で交換できる他通貨の単位数が相対的に多くなります。

例えば、日本人がアメリカで1ドルの品物を購入するとしましょう。1ドル150円であれば、150円で購入できました。ところが、1ドル100円となれば、先ほどと同じ150円の品物でも100円だけで購入できてしまいます。

このように、円の価値が上がることを円高と言います。。

円高のメリット・デメリット

円の価値が他国の通貨よりも高い円高の状態になると、どんなメリットとデメリットがあるでしょうか。円安の解説と同じように、国内の企業や個人の視点での確認が必要です。それでは、メリットとデメリットそれぞれについて見ていきます。

円高のメリット

円高のメリットは、円の価値が高くなるので海外のものやサービスが安く買える点です。石油や天然ガスなどの資源エネルギー、食糧なども安く買えるようになるため、私たちの暮らしは楽になるでしょう。

さらに外貨をより多く手に入れられるという理由から、海外旅行や留学などにも行きやすくなるのもメリットです。

円高のデメリット

円高のデメリットは、円の価値が上がることで輸出企業が海外で稼いだ外貨を円に交換する際に目減りしてしまうことです。また、海外に輸出した国内製品の価格は上昇するので、企業の業績にも悪影響があります。つまり、急激な円高が続くと輸出産業を中心に国内経済への悪影響が出ることになります。

2022年に円安が加速した原因

2022年に円安が加速した原因
2022年に円安が加速した原因は、主に次の2つであると考えられています。

  • アメリカと日本の金利差
  • ロシアによるウクライナ侵攻

それでは、詳しく見ていきましょう。

アメリカと日本の金利差

国際的な金利差が広がると、各国の通貨高や通貨安が大きくなるのが基本です。

2022年の急激な円安は、アメリカと日本の金利差が原因の1つとされています。現在アメリカは、物価の上昇が激しいインフレ状態です。インフレによる景気悪化を避けるため、アメリカの中央銀行であるFRBは金利を引き上げています。

一方、日本はデフレが続き不景気の状態なので景気を下支えするために、日本銀行が金利を下げ続けていてアメリカと日本の金利差は広がるばかりです。日本は金利を上げてしまうと、設備投資が冷え込んでしまったり住宅ローンなど個人の負担が増えてしまったりして一層の不景気を招いてしまうので、金利を上げることができません。

お金は、金利が低い方から高い方へ流れるという特徴があります。なぜなら、金利が高い通貨で運用した方が利益が見込めるためです。したがって、アメリカと日本の金利差が拡大すると、円安になりやすいというわけです。

ロシアによるウクライナ侵攻による影響

円安のもう一つの原因は、ロシアとウクライナ侵攻にも原因があります。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻すると、国際市場では原油や天然ガスを買うためにエネルギー価格が上昇しました。

さらに、エネルギー価格の上昇は日本国内のあらゆる物価の上昇につながっています。物価が上昇するときには金利を上げることが重要と言われていますが、今回の物価上昇は需要拡大や賃金上昇が伴っていないので、日本銀行は政策金利を上げていません。

このように、日本では金利を上げたくても不景気が進行してしまうために金利を上げられずに円安となっているのです。

昨今の円安の背景【個人への影響と対策方法も紹介】

昨今の円安の背景【個人への影響と対策方法も紹介】
次に、円安がもたらす個人への影響と、私たち個人でも行える円安への対策をについて見ていきましょう。

歴史的円安による個人への影響

円安によって輸入コストが増加するため、国内の生産物の製造コスト上昇が顕著です。その結果、あらゆる物価が上がっているため、国内はインフレ状態になっています。

経済全体が拡大局面にあるときに発生するインフレと異なり、単純に製造コストの上昇によるインフレは賃金と関係なく、物価だけが上昇するのが特徴です。こうした動向は、個人の暮らしに悪影響を与えることになります。

賃金が十分に上昇しないのに、スーパーでの食料品値上げが相次ぎ、飲食業などのサービスも値上げされているので、円安が個人へ与える影響の大きさは容易に実感できるでしょう。

個人でできる円安への対策は?

為替相場は常に流動的なため、円高が顕著な時期があれば、現在のように円安が進行してしまう時期もあります。

しかし、現在のように急激な円安になると、普段の生活に影響するだけでなく、収入や金融資産の価値にも影響が及ぶでしょう。

それでも、円安の時期に個人で対策を行うことはできます。円安の影響を極力抑え個人でできる対策は、次の2点です。

  • 外貨建て資産を保有する
  • 国内製品を購入する

円だけの資産ではなく外貨建ての資産も保有することで、今回の円安だけでなく将来の為替変動に備えることができます。金融資産は分散投資が基本です。さまざまなリスクに対応するため、国内外バランスの良い投資を心がけましょう。

また、同じような製品であれば国内製品を購入するのもおすすめです。製造コストが上がっているとは言え、輸入品を購入する場合と比べると影響は少なくなっています。

このように、外貨建ての資産保有や国内製品の購入で私たちの生活を守って行きましょう。

結局、円安と円高はどちらがいいの?

今回は、円安・円高について初心者にもわかりやすく解説しました。

円安と円高にはそれぞれメリットデメリットがあって、一概にどちらがよいとは言えません。

しかし、現在の急激な円安が私たちの生活を直撃しているのは事実です。消費者として考えると、金銭的な支出が増える円安には注意しなければなりません。日本ではさまざまな品目を輸入に頼っているため、円安になると特に生活必需品に対する支出が大きくなってしまいます。物価が上昇しても賃金がその分上がらない現状は苦しいものです。

歴史的円安にあって個人としてできる対策は、外貨預金などの金融資産の投資見直しや国内製品を買うことによる生活費の上昇抑制です。

今回の記事が、円安・円高についての理解と個人でできる対策についての参考となれば幸いです。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

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