海外不動産投資のデメリットは?リスクの全体像と対策・向いている人を徹底解説
公開日 2026/06/22
最終更新日 2026/06/22
海外不動産投資に興味があるものの、国内不動産に比べデメリットやリスクが多いのではないかと、不安を感じている方も多いでしょう。
この記事では、海外不動産投資の主なデメリット、起こりやすいトラブル事例、税制改正による節税スキームの制限、国内不動産投資との違い、そして向いている人・向いていない人の特徴まで整理します。
- ・為替・カントリーリスクなど海外不動産特有のリスクがある
- ・国によって外国人の不動産所有規制が異なり、所有権そのものに制約がある場合も
- ・かつて使えた節税スキームは令和2年度改正で大きく制限された
- ・デメリットを理解し対策できる人だけが検討すべき投資である
海外不動産投資が注目される背景とメリットの整理
海外不動産投資のデメリットを理解する前提として、なぜ注目されているのかを簡単に整理します。
メリットとデメリットは表裏一体の関係にあるため、両方を理解しておくことが適切な判断につながります。
経済成長・人口増加への期待
新興国などでは人口増加や経済成長が見込まれるエリアがあり、将来的な不動産価格の上昇に期待する投資家もいます。
成長期待が高いエリアほど、参入時点での価格上昇余地が大きいと見込まれることがあります。
資産・通貨の分散効果
資産の一部を海外不動産に分散することで、日本国内の経済状況や円資産のみに依存しないポートフォリオを構築できる点は、海外不動産投資が注目される理由の一つです。
ただし分散効果を得るためには、為替や現地市場の動向を継続的に把握する手間がかかります。
分散効果を期待する場合でも、投資額が資産全体の一部にとどまるよう配分を調整することが望ましいです。
海外不動産投資の主なデメリット・リスク
海外不動産投資には、国内の不動産投資にはない独自のデメリット・リスクが存在します。
ここでは代表的な6つのリスクを整理します。
為替変動リスク
海外不動産投資では、購入価格や家賃収入が現地通貨で発生するため、円とのレート変動が投資成果に直接影響します。
為替相場は外国為替市場における需要と供給のバランスで決まるため、円高・円安のどちらに動いても利回りや資産価値に影響を及ぼす可能性があります。
購入時点と売却時点の双方で為替の影響を受けるため、運用期間が長くなるほど為替変動の影響を予測しづらくなる点に注意しましょう。
カントリーリスク(政治・経済・法制度)
投資先の国の政治・経済情勢や法制度の変化が、不動産の価値や運用に影響を与えるリスクをカントリーリスクと呼びます。
特に注意すべきは、外国人による不動産所有そのものに制限を設けている国が少なくないという点です。
例えばタイでは、外国人の持分が登録資本の49%を超える法人や外国人株主が半数を超える法人は、原則として土地を取得できません。
住居目的でも、4,000万バーツ以上の投資資金や3年以上の投資期間といった条件を満たさなければ、1ライ(1,600平方メートル)以下の土地取得すら認められないという厳しい制度になっています。
出典:国土交通省|海外建設・不動産市場データベース(タイの不動産関連情報)
融資(ローン)を受けにくい
海外不動産は国内金融機関にとって担保評価が難しいため、融資を受けにくく、現金での購入が前提になりやすい傾向があります。
外国人の不動産所有が制限されている国では、抵当権の設定自体が難しくなるため、フルローンでの購入はさらに難易度が高くなります。
物件の管理・入居者対応が難しい
物件が遠隔地にあるため、入居者対応や設備の不具合への対応を自分で行うことは現実的ではありません。
現地の管理会社に委託することが前提となりますが、委託先の質によって運用の安定性が大きく左右されます。
言語の壁があることで、トラブル発生時の状況把握や対応の指示が遅れやすい点にも注意が必要です。
情報収集・適正価格の判断が難しい
現地の不動産市場に関する情報は、日本語で十分に得られないことが多く、適正価格の判断が難しくなります。
現地の相場感がないまま購入すると、相場より高い価格で取得してしまうリスクがあります。
売却・資金回収に時間がかかる
海外不動産は買主を見つけるまでの期間が国内不動産より長くなりやすく、売却による資金回収に時間がかかる点もデメリットです。
外国人の所有規制があるエリアでは、購入できる層自体が限られるため、買主探しがより難しくなることもあります。
急に資金が必要になった場合でも、すぐに現金化できない可能性がある点を踏まえておく必要があります。
海外不動産投資で起こりやすいトラブル事例
海外不動産投資では、国内では想定しにくい独自のトラブルが発生することがあります。
代表的な3つの事例を知っておくことで、同様のトラブルを避けやすくなります。
プレビルド(建設前)物件が完成しないケース
建設前の段階で購入する「プレビルド」物件は、価格の安さが魅力ですが、開発計画の中止や工事の遅延により完成しないリスクがあります。
完成しない場合、支払った資金の回収が困難になることがあるため、開発会社の実績や信頼性を慎重に確認する必要があります。
外国人の所有が制限されている国では、完成後に所有権を取得できる保証自体が不確実になることもあり、契約段階での権利関係の確認がより重要になります。
送金規制で資金を持ち出せないケース
国によっては外国への資金の持ち出しに規制があり、売却代金を日本に戻せない、または手続きに時間がかかるケースがあります。
日本国内から海外への送金についても、外国為替及び外国貿易法に基づき、3000万円相当額を超える支払いを行った場合には報告書の提出が必要になる場合があります。
送金規制のある国を投資先に選ぶ場合は、資金の出し入れに関するルールを事前に確認しておく必要があります。
出典:財務省|日本と海外との間の送金を行う際に必要な手続はどうなっていますか
悪質業者・詐欺的勧誘のケース
海外不動産投資の勧誘の中には、日本国内で無登録のまま営業する業者によるものも存在します。
金融庁には、無登録業者との取引について「出金ができていたのに突然出金を拒否された」「法外な出金手数料を請求された」「連絡が取れていたのに急に連絡が取れなくなった」といったトラブルが報告されています。
無登録業者は、登録業者に求められる虚偽表示の禁止や資産の分別管理といった投資者保護の体制が整っていない可能性が高いため、勧誘業者の登録状況を事前に確認することが重要です。
「海外不動産の節税スキーム」は使えなくなった点に注意
かつて海外不動産投資は、減価償却を活用した節税スキームとして注目された時期がありましたが、現在は大きく制限されています。
この制度変更を知らずに「節税になる」という古い情報のまま検討してしまうと、想定していた効果が得られない可能性があります。
国外中古不動産の減価償却による損益通算の規制
令和2年度の税制改正により、租税特別措置法第41条の4の3「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」が創設されました。
この特例により、令和3年以後、簡便法等により耐用年数を算定した国外中古建物から生じた不動産所得の損失は、生じなかったものとみなされ、他の所得との損益通算ができなくなりました。
対象となるのは、法定耐用年数の全部を経過した資産や、簡便法(中古資産の耐用年数を法定耐用年数×20%などで算定する方法)を用いて耐用年数を算定した国外中古建物であり、こうした物件を使った「減価償却費を大きく計上して赤字を作り、給与所得などと相殺する」という従来のスキームは機能しなくなっています。
出典:国税庁|第41条の4の3(国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例)関係
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この損益通算の制限は所得税に関する措置法上の規定であり、個人が国外中古建物を保有する場合に適用されます。
一方、法人がこの規定の対象外とされているのは、法人税には個人の所得税のような損益通算という仕組み自体が存在せず、すべての所得が一括して法人所得として課税される構造になっているためです。
そのため「個人ではなく法人で海外不動産を所有すれば節税できる」と勧誘されるケースもありますが、法人を設立・維持するコストや手続きの負担も踏まえて慎重に検討する必要があります。
国内不動産投資と比べたデメリット
国内の不動産投資と比較すると、海外不動産投資には構造的に異なるデメリットがあります。
主な違いを3つの観点から整理します。
| 観点 | 国内不動産投資 | 海外不動産投資 |
|---|---|---|
| 情報量・流動性 | 豊富で売却もしやすい | 情報が少なく売却に時間がかかる |
| 法制度・税制 | 日本国内の制度のみ理解すればよい | 日本と現地の両方の制度を理解する必要がある |
| 所有権 | 外国人を含め誰でも所有可能 | 国によって外国人の所有が制限される |
情報量・流動性の違い
国内不動産は物件情報や成約事例が豊富で、相場の把握や売却活動が比較的スムーズに進みます。
海外不動産は情報量が限られ、買主を見つけるまでの期間も長くなりやすいため、流動性の低さを前提とした計画が必要です。
法制度・税制の複雑さ
海外不動産投資では、日本国内の税制に加えて、現地国の不動産関連法や税制も同時に理解する必要があります。
タイやフィリピンのように外国人の土地所有そのものが制限される国もあれば、コンドミニアムなど一部の不動産形態に限り所有を認める国もあるなど、制度は国ごとに大きく異なります。
日本国内であれば外国人を含め誰でも不動産を所有できますが、海外ではこうした前提が成り立たない点を理解しておく必要があります。
リスクとリターンのバランス
海外不動産投資は高い成長期待がある一方、為替・カントリーリスクなど国内投資にはないリスクも上乗せされるため、期待リターンとリスクのバランスを慎重に見極める必要があります。
リスクを取れる範囲を超えた投資にならないよう、資産全体に占める割合を考慮することが重要です。
海外不動産投資のデメリットへの対策
デメリットをゼロにすることはできませんが、対策を講じることでリスクを軽減することは可能です。
以下の4つの対策を組み合わせることが基本になります。
投資先の国・エリアを慎重に選ぶ
政治・経済が比較的安定しており、外国人の不動産所有に関する制度が整備されている国・エリアを選ぶことが、カントリーリスクを抑える第一歩です。
タイやフィリピンのように所有規制が厳しい国を検討する場合は、コンドミニアムの外国人保有上限やリース期間といった制度の詳細を事前に確認しておくことで、想定外の規制によるトラブルを避けやすくなります。
信頼できる現地パートナー・管理会社を選ぶ
物件の管理や入居者対応を任せる現地パートナーの実績や対応の透明性は、運用の安定性を大きく左右します。
複数の管理会社を比較し、実際に投資している人の評判も確認した上で選定することが望ましいです。
担当者とのコミュニケーション手段や対応スピードも、長期的な運用のしやすさを左右する要素です。
契約内容・税制を正確に把握する
契約書の内容や税制上の取り扱いを正確に理解せずに購入すると、想定していた利益が得られないリスクがあります。
国外中古建物の損益通算制限など税制改正の内容を踏まえ、税理士など専門家に相談しながら判断することが重要です。
他の資産と組み合わせて分散する
海外不動産投資のみに資産を集中させず、国内不動産や他の金融資産と組み合わせることで、特定のリスクへの依存度を下げられます。
資産全体でのバランスを意識することが、海外不動産特有のリスクを和らげる基本的な考え方です。
定期的にポートフォリオ全体を見直し、特定の資産や地域への偏りが大きくなっていないかを確認することも大切です。
海外不動産投資が向いている人・向いていない人
海外不動産投資のデメリットを踏まえると、向き・不向きがはっきり分かれる投資手法といえます。
自分の状況と照らし合わせて検討することが大切です。
向いている人(キャッシュ購入できる・海外在住など)
自己資金で現金購入ができる人や、現地に居住・勤務しており情報収集がしやすい人は、海外不動産投資のデメリットを相対的に抑えやすい立場にあります。
資産の一部を分散させたいと考えている資産規模の大きい投資家にも、選択肢の一つとして検討されやすい投資手法です。
向いていない人(少額・短期・安定重視の人)
少額の資金で始めたい人や、短期間での資金回収を希望する人、安定した運用を最優先したい人には、海外不動産投資はハードルが高い選択肢です。
流動性の低さや融資の受けにくさ、外国人の所有規制を考えると、こうした人は国内の不動産投資や少額から始められる商品を検討する方が無理のない選択といえます。
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海外不動産投資のデメリットについて、特に質問の多い3点に回答します。
初心者でも海外不動産投資はできる?
制度上は初心者でも購入できますが、為替・カントリーリスクや法制度の複雑さを考えると、初心者にとって難易度の高い投資手法です。
まずは国内の不動産投資や少額から始められる商品で経験を積んでから検討する方法もあります。
いくらから始められる?
現物の海外不動産投資は数百万円以上の資金が必要になることが一般的です。
現金購入が前提となりやすいため、国内不動産投資と比べてまとまった自己資金が必要になる点を踏まえておく必要があります。
円安・円高はどう影響する?
円安が進むと、現地通貨での資産価値や家賃収入を円に換算した際の価値が高まりやすく、円高が進むとその逆の影響を受けやすくなります。
購入時と売却時の為替レートの差によって、想定していた利益が変動する可能性があるため、長期的な視点で資産価値を捉えることが大切です。
まとめ|デメリットを理解し対策できる人だけが検討すべき
海外不動産投資には、為替変動・カントリーリスク・融資の受けにくさなど、国内不動産投資にはない独自のデメリットがあります。
かつて注目された節税スキームも税制改正により大きく制限されているため、最新の制度を正しく理解した上で判断することが欠かせません。
デメリットを正しく理解し、対策を講じられる人だけが検討すべき投資であることを踏まえ、無理のない範囲で資産全体のバランスを考えることが重要です。
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