【K-FUND】カワムラ建設インタビュー。不動産の醍醐味をドラマ性を感じるファンドで味わって欲しい
公開日 2025/10/01
最終更新日 2025/10/02

少額から投資でき、運用に手間がかからないことなどから、不動産クラウドファンディングに注目が集まっています。
サービスに参入する事業者も年々増えており、更なる市場拡大も期待されています。
当インタビューシリーズでは、そんな不動産クラウドファンディングのサービス事業者に焦点を当て、“中の人”にサービス運営の裏側を伺っていきます。
今回は10月から新たに不動産クラウドファンドの募集を予定する株式会社カワムラ建設について、会社や事業の概要そしてファンドの内容などを、同社親会社の株式会社カワケンホールディングス川村元洋社長(同社では執行役員)及び同社山本守彦CFOにお話を伺いました。
(取材日2025年9月18日)
株式会社カワムラ建設の立ち上げるファンドについて
株式会社カワムラ建設は横浜市に本社を置く不動産会社で、3年の準備期間を経て2025年10月から1号ファンドの募集を開始する予定です。
空き家などをまとめて更地にして売却する、不動産開発型のファンドの募集を予定しており、ユニークなタイプの不動産クラウドファンドの誕生が見込まれています。
不動産クラウドファンディング事業を開始、株式会社カワムラ建設の事業内容について
---本日はよろしくお願いします。
株式会社カワムラ建設は10月に第1号の不動産クラウドファンドの募集を予定しています。
最初に不動産クラウドファンディング事業を新たに開始する、株式会社カワムラ建設の事業内容などを教えてください。
株式会社カワムラ建設は都市開発事業、バリューアップ事業、リゾート開発事業の3事業を手掛ける横浜市に本社を置く創業11年目の不動産会社です。
社員11名、売上高10~15億円の企業で、利益率の高い不動産事業を手掛けています。
---どのようにして利益率の高い不動産事業を展開しているのでしょうか。
当社3事業のうち、主力事業は都市開発事業です。
都市開発事業の簡単な内容としては、“都心の空き家などを当社が複数買取り、まとめて更地にして大手不動産ディベロッパーなどに売却する”というものです。
都心にも空き家は存在していますが、開発には立ち退きなど地主との権利調整などに手間がかかるため、大手不動産会社などが手掛けない分野です。
また地主との交渉には、様々なノウハウやウェットな人間関係も必要とされるため、相当の経験も求められるため一朝一夕ではできない事業です。
---都市開発事業における、御社のノウハウの源泉はどこにあるのでしょうか?
当社は小回りの効く、意思決定が早い企業です。
意思決定の速さは、不動産事業では大きな強みとなります。
また、社員も不動産のベテランが多く、中には70歳超の社員もいます。
そして非常に丁寧なアプローチを心がけており、昔の地上げ屋とは真逆のことをやっている自信があります。
地主には高齢者の方も多く、税理士の紹介はもちろん不動産売却後の老人ホームの紹介など、地主の方の人生に寄り添う対応をしています。
こういった地道なことをできるのが当社の強みであり、同様の事業を行っている不動産会社は都内でも多くありません。
---更地にした土地はすぐに売れるものなのでしょうか?
地主との交渉は手間暇をかける必要がありますが、地主との話がまとまると、その後の展開は早いです。
都心中心に更地に対するニーズが非常に高いため、売却先は大手企業や資産家を中心にすぐに決まります。
仮にキャンセルが出ても、簡単に次が決まる状態なので、販売に苦労することはほとんどありません。
また売却価格についても、大手が算出する購入価格は合理的に予想できるため、採算が読みやすいのです。
このため、事前に高い利益が見込める物件にしぼり開発を行い、事業を展開しています。
事業を加速させるべく3年越しの計画で不動産クラウドファンディング事業に参入
---不動産クラウドファンディング事業に参入した経緯などを教えてください。
不動産クラウドファンディング事業の参入は3年越しの計画です。
これまで銀行融資を利用しながら都市開発事業を手掛けてきましたが、取得物件が古い空き家の場合は、銀行の融資が付かない若しくは希望額に満たないケースが少なからずありました。
融資さえ付けば大きな利益が見込める案件も、やむなく見送ってきました。
このため物件の仕入資金として、銀行とは別の投資家の資金の活用を以前から考えており、3年越しの計画でようやく不動産クラウドファンディング事業に参入し、事業を加速させたいと思っています。
---主力事業の都市開発事業を不動産クラウドファンドで手掛けるイメージでよいでしょうか?
その理解で結構です。
1つのファンドを半年から1年で回して、想定利回りはどのファンドでも10%以上とする予定です。
各物件の売却価格はある程度事前に読めますし、売却先もすぐに決まります。
投資なので当然リスクはありますが、我々としてはこれまでの実績ある事業をファンドで行う形となります。
---既存の不動産クラウドファンドでは、ほとんど見ない内容のファンドになりそうですね。
そうですね。
マンションなどの土地建物を対象とするファンドが多い中で、自社で空き家や未活用の土地等を仕入れ、事業化しやすい土地にして売却するファンドは珍しいのではないでしょうか。
当社のように、丁寧に空き家などの仕入をする不動会社自体も珍しいので尚更です。
これぞ不特法のメリット活かしたファンド、というファンドを立ち上げていきたいですね。
当社のファンドに投資することで、不動産開発の面白みを体験していただけると思います。
利回り10%超を予定、1号及び2号ファンドについて
---実際に立ち上げを予定している1号ファンドについて内容を教えてください。
ファンドのブランド名は「K-FUND(ケイファンド)」に決定しており、1号ファンドは、10月の第1週もしくは第2週から募集を開始する予定です。
横浜市鶴見区の住宅2件を解体し更地にして売却する案件となります。
既に地権者との立ち退き交渉は終えており、ファンド組成後に入居者の退去が完了次第、解体・更地化、そして売却を行う予定です。
売却実績のある大手ディベロッパーから買付証明書を頂いており、取得物件の所有権移転登記が完了する11月中旬ぐらいまでに売却契約を締結する見込みです。
---ファンドの期間や想定利回りはどの程度の予定でしょうか?
ファンドの期間は6ヵ月を予定しているものの、それよりも早く売却がなされる可能性が高いです。
また想定利回りは10%超の予定です。
なお、投資家からの1億円の出資に加えて、劣後出資0.27億円と借入1.7億円を加えた2.9億円のファンド規模を予定しています。
1号ファンドから劣後出資や借入も組み合わせるなど、本格的な不動産開発及び不動産投資を体験できるファンドです。
また、1号ファンドの募集を記念して、キャッシュバックキャンペーンも行う予定です。
---1号ファンドの後、2号ファンドの予定はあるのでしょうか?
関係者と調整中ですが、2号ファンドは1.5億円の募集を予定しています。
1号ファンドとは違い借入は行いません。
---他に2号ファンドは1号ファンドとどのような違いがあるのでしょうか?物件の内容なども教えてください。
2号ファンドが扱うのは、既に当社が所有する中央区新富の土地です。
現在該当の土地で当社は飲食店を営業しています。
その土地は、首都高速道路(首都高)を運営する政府系の首都高速道路株式会社の収用(買取要請)に応じる予定です。
既に同社の事業計画に、対象の土地を収用して道路の出入口を建築すると明記されており、Webサイトでもその計画が開示されています。
---既に御社が保有の物件について、ファンドを設立して売却する理由はあるのでしょうか?
対象の土地は借入をしており、抵当権が付けられています。
通常の不動産売買であれば、売却と同時に抵当権を抹消し買主に引渡すため、特にファンド設立の必要はありません。
しかし今回の売却は特殊で、抵当権を抹消し、抹消登記が完了してからではないと売買契約ができず、首都高株式会社への所有権移転登記の完了後に売却代金が弊社に入金されます。
このため2号ファンドは、抵当権を解除し売却するためのブリッジファンド、という位置付けです。
---まさに不動産の面白さが味わえるファンドですね。
2号ファンドの想定利回りや期間はどの程度となる予定でしょうか?
そうですね、手堅いながら当社らしいユニークなファンドになると思います。
2号ファンドの想定利回りは1号ファンドと同様に10%超の予定で、期間は半年の予定です。
期間は登記にかかる時間次第ですが、早期に売却がなされる可能性もあります。
---1号、2号と立て続けにファンドを組成されるご予定ですが、年間何本ペースでファンドを組成予定でしょうか?
1,2ヶ月1件ペースで組成したいとは思っています。
ただし、少人数で運営しており社内のリソース次第の面もありますね。
---他に御社のファンドの特徴などあれば教えてください。
当社はリゾート開発事業で伊豆半島に貸し別荘を持っており、出資者の方には宿泊券をプレゼントする構想もあり、また案件への理解を深めていただくべく、物件の見学会も可能なら開催したいと考えています。
不動産の醍醐味が味わえるドラマ性のあるファンドを立ち上げていきたい
---不動産特定共同事業の許可取得時のプレスリリースには、貸し別荘事業についても言及がありました。
今後のファンド事業の方針などを教えてください。
当社は貸し別荘事業も手掛けていることから、将来的にはファンドを活用した貸し別荘事業拡大の構想もあります。
しかし、まずは1号ファンドや2号ファンドのような、主力事業である開発型のファンド中心にファンドを運営する予定です。
当社は空き家などを自力で探して開発事業を手掛けています。
土地を仕入れて売却していくら儲かった、というビジネスではありますが、土地には不動産オーナーの思いが詰まっており、売却に至るにはオーナーの様々なドラマがあります。
そのドラマの部分が当社事業の醍醐味かつ面白味のある部分です。
当社では開発案件について、高い利益率に加えて社会性も見て案件化の可否を判断しています。
単純に、儲かるかどうかだけで案件化の判断はしていません。
日本では空き家や相続時の土地の分割などが社会問題となっていますが、それらの解決は待ちのスタンスでは解決しません。
当社のように自ら売却を働きかけることで、空き家問題などの解決が進む部分もあります。
当社の扱う不動産の裏には様々なドラマがあり、1件1件案件を職人が社会的意義を感じながらオーダーメイドで手作りしているイメージでやっています。
不動産の醍醐味が味わえる、またドラマ性のあるファンドを立ち上げていきたいですね。
---最後にファンド事業に対する意気込みをお願いします。
当社は3年越しの準備を経て、不動産クラウドファンディング事業に参入します。
プロが手掛けるこれぞ不動産投資、というファンドを組成して参ります。
また、当社ファンドの物件は売却先が見つけやすいため、相対的にリスクの低いプロジェクトの案件です。
当社のファンドを通じて投資パフォーマンスを得ていただくとともに、不動産投資の醍醐味や不動産のプロが手掛ける案件の面白さを味わっていただきたいですね。