海外不動産投資でローンは組める?資金調達の方法と国内・現地金融機関の使い方を解説
公開日 2026/06/22
最終更新日 2026/06/22
海外不動産投資を検討しているけれど、「国内と同様にローンを使って資金調達できるの?と」疑問を持っている方も多いでしょう。
この記事では、海外不動産投資でローンを組む方法、対応する金融機関の傾向、審査で見られるポイント、利用の流れ、そして現金購入との判断軸まで解説します。
- ・海外不動産は現金購入が基本で、ローンを組むには工夫が必要
- ・国によって外国人の不動産所有規制が異なり、融資対応にも影響する
- ・国内ローンより金利が高くなりやすく、為替変動リスクもある
- ・現金とローンどちらを選ぶかは、レバレッジとリスクのバランスで判断する
海外不動産投資の資金調達は「現金」と「ローン」
海外不動産投資の資金調達方法は、大きく「現金購入」と「ローンの活用」の2つに分けられます。
国内の不動産投資と異なり、海外不動産は現金での購入が前提とされる場面が多い点を理解しておく必要があります。
海外不動産は現金購入が基本とされる理由
海外の物件は国内の金融機関にとって担保評価が難しく、現地の法制度や物件情報の確認にも時間とコストがかかります。
こうした事情から、国内金融機関の多くは海外物件そのものを担保とする融資に慎重であり、結果として自己資金(現金)での購入が基本になりやすい傾向があります。
とりわけ、外国人による不動産・土地の所有そのものに制限がある国では、抵当権の設定や差し押さえといった担保権の実行が日本国内のようには進まないため、金融機関がさらに慎重になる要因となっています。
ローンを活用する場合の考え方
ローンを活用する場合は、海外物件そのものを担保にするのではなく、別の形で資金を調達する方法が中心になります。
国内資産や国内収入を裏付けとした融資を組み合わせることで、現金一括では難しい規模の物件にも投資できる可能性が広がります。
次の章で紹介する4つの方法を理解しておくことで、自分にとって現実的な選択肢を検討しやすくなります。
海外不動産投資でローンを組む4つの方法
海外不動産投資でローンを活用する場合、代表的な方法は次の4つです。
それぞれ担保や審査の仕組みが異なるため、特徴を理解した上で検討することが重要です。
- 国内金融機関で海外物件を担保に借りる
- 国内で保有する不動産を担保に借りる
- 国内の事業用ローン・フリーローンを使う
- 現地の金融機関で借りる
国内金融機関で海外物件を担保に借りる
一部の国内金融機関では、海外不動産そのものを担保として融資を行う商品を取り扱っています。
対応する国や物件種別が限定されることが多く、利用できる金融機関の数自体も国内ローンに比べて少ないのが実情です。
対象国として選ばれやすいのは、外国人の不動産所有が制度上認められており、所有権が明確に登記される国・エリアです。
国内で保有する不動産を担保に借りる
すでに国内に自宅や投資用不動産を所有している場合、その不動産を担保にして資金を調達し、海外不動産の購入資金に充てる方法があります。
担保となる不動産が国内にあるため、金融機関にとって評価しやすく、海外物件を直接担保にするよりも融資を受けやすい傾向があります。
この方法であれば、投資先の国における外国人の所有規制の有無にかかわらず、購入資金を確保できる点もメリットです。
国内の事業用ローン・フリーローンを使う
個人事業主や法人として活動している場合、事業用融資の枠組みを使って資金を調達し、海外不動産投資に充てるケースもあります。
用途自由型のフリーローンを活用する方法もありますが、金利は不動産投資ローンより高くなりやすい点に注意が必要です。
現地の金融機関で借りる
物件のある国の現地金融機関から直接融資を受ける方法もあります。
ただし、現地語での手続きや現地の信用情報が必要になることが多く、日本に居住しながら利用するにはハードルが高い方法とされています。
現地に居住歴や勤務実績がある場合は、現地金融機関の融資を受けやすくなるケースもあります。
海外不動産投資ローンに対応する金融機関の傾向
海外不動産投資ローンに対応する金融機関には、それぞれ異なる特徴があります。
ここでは国内金融機関・公的融資・現地金融機関の3つの傾向を整理します。
国内金融機関の特徴と対象になりやすい国
国内金融機関が海外不動産投資ローンに対応する場合、外国人の不動産所有が認められ、法制度が比較的整備された国・地域が対象になりやすい傾向があります。
一方で、外国人の不動産・土地所有そのものが厳しく制限されている国では、担保権の設定が難しいため、国内金融機関が融資対応していないケースが多くなります。
例えばタイでは、外国人の持分が登録資本の49%を超える法人や、外国人株主が半数を超える法人は、原則として土地を取得できないとされており、コンドミニアムについても外国人保有ユニットの総床面積が全体の49%を超えてはならないという制限があります。
また、フィリピンでも、土地を所有できる主体はフィリピン国籍を有する個人またはフィリピン法人に限られており、外国人が所有できるのはコンドミニアムの一部ユニット(全体の40%未満)や、最長50年の長期リースなどに限定されています。
このように対象国の所有制度そのものが融資対応の可否に直結するため、検討している国・物件種別が融資対象に含まれているかを事前に確認する必要があります。
出典:国土交通省|海外建設・不動産市場データベース(タイの不動産関連情報)
出典:国土交通省|海外建設・不動産市場データベース(フィリピンの不動産関連情報)
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不動産投資ローンと住宅ローンの違いを5つのポイントで詳しく解説日本政策金融公庫など公的融資の活用
日本政策金融公庫には中小企業の海外事業展開を支援する「海外展開・事業再編資金」がありますが、この制度はあくまで中小企業が海外で事業を行うための設備資金・運転資金を対象としたものです。
個人が投資目的で海外不動産を購入する場合の直接的な融資制度ではない点に注意が必要です。
同制度の融資限度額は7,200万円で、設備資金は20年以内、運転資金は10年以内の返済期間が設定されていますが、対象はあくまで「本邦内における事業活動拠点(本社)が存続すること」を条件とした法人・個人事業主の海外事業展開であり、個人の資産形成目的の不動産購入には利用できません。
現地金融機関を使う場合の特徴
現地金融機関を利用する場合は、現地に居住実績がある、または現地法人を持っているなど、一定の条件が求められることが多くなります。
海外の投資勧誘の中には日本国内で無登録のまま営業する業者も存在し、金融庁には「これまで出金ができていたにもかかわらず、出金の拒否や法外な出金手数料を請求された」「これまで連絡が取れていたのに急に連絡が取れなくなった」といったトラブルが報告されています。
無登録業者は、登録業者に求められる分別管理や対応窓口の設置といった投資者保護の体制が整っていない可能性が高いため、現地ローンの提携先を選ぶ際も、業者の登録状況や実態を確認することが欠かせません。
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【詐欺に注意】海外不動産投資は儲かる?デメリットや個人で失敗しないコツを解説海外不動産投資でローンを組む際の注意点
海外不動産投資でローンを組む際は、国内の不動産投資ローンとは異なる注意点がいくつかあります。
事前に把握しておくことで、想定外のトラブルを避けやすくなります。
審査のハードルが高くフルローンは難しい
海外物件は担保評価が難しいことから、融資額の上限が低く設定されたり、自己資金の比率を高く求められたりするケースが多くなります。
国内の不動産投資のようなフルローン(自己資金ゼロでの購入)は、海外不動産では難易度が高いと考えておく必要があります。
融資額の上限は物件価格の半分程度にとどまることもあり、不足分は自己資金で補う前提で計画を立てる投資家が多くなっています。
金利が国内投資ローンより高くなりやすい
海外物件を対象としたローンは、金融機関にとってリスクが高いと判断されやすいため、国内の不動産投資ローンと比べて金利が高く設定される傾向があります。
金利の高さは長期的な返済負担に直結するため、複数の金融機関で条件を比較することが欠かせません。
同じ物件であっても、利用する金融機関によって提示される金利や融資期間が大きく異なることもあるため、慌てずに条件を見比べる姿勢が求められます。
為替変動リスク(円建て・外貨建て)
海外不動産投資では、物件の購入価格や家賃収入が現地の通貨で発生する一方、ローンの返済を円建てで行う場合があり、為替の変動が収益に影響します。
為替相場は外国為替市場における需要と供給のバランスによって変動するものであり、円高・円安のどちらに動いても投資成果に影響を与える可能性があります。
外貨建てでローンを組む場合は、返済額そのものが為替レートによって変動するため、円建てローンとは異なるリスク管理が必要になります。
担保にできる物件・国が限定される場合がある
融資の対象となる物件種別(新築・中古、コンドミニアムなど)や国・エリアは、金融機関ごとに限定されていることが一般的です。
外国人の不動産所有そのものが制限される国では、所有権の取得方法自体が限定されるため、融資対象に含まれにくくなります。
検討している物件が融資対象に含まれるかどうかを、契約前に必ず確認しておくことが重要です。
海外不動産投資ローンの審査で見られるポイント
海外不動産投資ローンの審査では、国内の不動産投資ローンと共通する点に加え、海外特有の確認事項があります。
主に3つのポイントが審査で重視されます。
| 審査ポイント | 内容 |
|---|---|
| 年収・属性・自己資金 | 勤務先や年収、自己資金の額が融資可能額に影響する |
| 対象国・物件の担保評価 | 物件のある国の所有権制度や市場性が評価に影響する |
| 既存の借入状況 | 国内の住宅ローンや他の借入の有無が審査に影響する |
年収・属性・自己資金
国内の不動産投資ローンと同様に、年収や勤務先、自己資金の額は審査の基本的な判断材料になります。
海外不動産投資ローンでは、国内ローンよりも高い自己資金比率を求められることが多い点を踏まえた準備が必要です。
対象国・物件の担保評価
物件のある国の不動産登記制度や所有権の扱いは国によって異なり、担保としての評価のしやすさに影響します。
法制度が整備されている国・エリアほど、金融機関にとって担保評価がしやすく、融資条件も比較的有利になりやすい傾向があります。
外国人による不動産所有を制限している国もあるため、所有権そのものが認められるかどうかも事前に確認が必要です。
既存の借入状況
国内の住宅ローンや他の不動産投資ローンを既に利用している場合、その返済状況が審査に影響します。
既存の借入額が大きいほど、新たな融資の上限額は小さくなる傾向があります。
海外不動産投資ローンを利用する一般的な流れ
海外不動産投資ローンを利用する際は、いくつかの段階を順番に進めていきます。
大まかな流れを把握しておくことで、手続きにかかる期間や準備事項を見通しやすくなります。
事前相談・仮審査
まずは金融機関に相談し、希望する物件や予算をもとに仮審査を受けます。
この段階で、対応可能な国・物件種別かどうかが確認できます。
本審査・契約
仮審査を通過したら、物件情報や収入証明などの書類を提出し、本審査に進みます。
本審査では、現地の担保評価や物件調査の結果も踏まえて最終的な融資条件が決定されます。
必要書類は国内ローンよりも多くなる傾向があり、現地語の書類を翻訳して提出するケースもあります。
融資実行・海外送金
契約が完了すると融資が実行され、購入資金が現地の売主や仲介業者に送金されます。
日本と海外との間の送金については、外国為替及び外国貿易法に基づき、3000万円相当額を超える支払いを行った場合に日本銀行を経由した報告書の提出が必要になる場合があります。
出典:財務省|日本と海外との間の送金を行う際に必要な手続はどうなっていますか
ローンを使うべきか現金で買うべきかの判断軸
海外不動産投資では、ローンを使うべきか現金で購入すべきか迷う場面が多くあります。
判断にあたっては、以下の3つの軸で検討することが重要です。
レバレッジ効果とリスクのバランス
ローンを活用すれば少ない自己資金で大きな物件に投資できますが、その分為替や金利変動の影響を受けるリスクも大きくなります。
レバレッジ効果とリスクは表裏一体であるため、どこまでのリスクを許容できるかを事前に整理しておくことが大切です。
現金購入であれば為替や金利変動による返済リスクは抑えられますが、その分資産形成のスピードは緩やかになります。
為替・金利の影響度
ローンを円建てで組む場合と外貨建てで組む場合では、為替変動が与える影響の出方が異なります。
金利が高い通貨でローンを組む場合は、返済総額が大きくなりやすい点も考慮する必要があります。
家賃収入が現地通貨で入る一方、ローン返済が円建ての場合は、為替差損が利回りを圧迫することもあります。
自己資金とのバランス
自己資金の余裕度に応じて、無理にローンを組まず現金購入を選ぶという判断も、海外不動産投資では現実的な選択肢の一つです。
自己資金が限られる場合は、少額から始められる国内の不動産クラウドファンディングなどで経験を積む方法もあります。
海外不動産投資のローンに関するよくある質問
海外不動産投資のローンについて、特に質問の多い3点に回答します。
自己資金ゼロ(フルローン)で買える?
海外不動産は担保評価の難しさから、フルローンでの購入は国内不動産投資以上に難易度が高いとされています。
多くのケースで一定の自己資金が前提となるため、資金計画は余裕を持って立てることが重要です。
海外駐在中でもローンは組める?
海外駐在中であっても、国内の収入や資産状況によっては国内金融機関のローンを利用できる場合があります。
金融機関ごとに駐在員向けの取り扱い基準が異なるため、個別に確認する必要があります。
駐在期間や帰国予定の有無によって、審査の判断基準が変わることもあります。
現地ローンと国内ローンはどちらがよい?
現地ローンは現地の言語や法制度への対応が必要になる一方、国内ローンは手続きが日本語で進められる安心感があります。
どちらが適しているかは、対象国・自身の語学力・自己資金の状況などを踏まえて個別に判断する必要があります。
初めて海外不動産投資に取り組む場合は、まず国内金融機関に相談し、対応可否を確認することから始めるとスムーズです。
まとめ|海外不動産のローンは「組みにくさ」を前提に計画する
海外不動産投資のローンは、国内の不動産投資ローンと比べて審査のハードルが高く、金利も高くなりやすいという特徴があります。
特に、投資先の国における外国人の不動産所有規制は融資対応の可否に直結するため、タイやフィリピンのように所有制限のある国を検討する場合は、現金購入を前提とした計画がより現実的になります。
「ローンが組みにくいこと」を前提に、自己資金や担保となる国内資産を含めた資金計画を立てておくことが、無理のない海外不動産投資につながります。
為替変動リスクや送金手続きについても事前に理解し、複数の金融機関や方法を比較検討することが大切です。