マスターリース契約とは?サブリースとの違いやメリット・デメリットを解説
公開日 2024/06/26
最終更新日 2024/06/26
不動産投資にはリスクがあり、安定した収入を得るためには適切な知識が必要です。そんな不動産投資におけるリスクを抑えて安定的な収益が望める方法として挙げられるのがマスターリース契約です。
この記事では、マスターリース契約の概要から、サブリース契約との違い、さらにメリット・デメリットについて詳しく解説します。契約の詳細について正しく理解し、リスクを抑えた不動産投資を実現しましょう。
マスターリース契約とは?
マスターリース契約は、不動産のオーナーが所有する物件を不動産事業者が一括で借り上げ、その後、第三者に転貸する形式の契約です。これにより、不動産オーナーは、不動産投資における空室リスクを避け、借主である不動産事業者から安定した賃料収入を得ることができます。
一方の不動産事業者は物件を転貸することで利益を得ます。この契約形式は、オーナーにとっては収入の安定性を提供し、不動産事業者にとっては賃料差益を得る機会を提供します。
マスターリース契約とサブリース契約の違い
マスターリース契約とサブリース契約は、いずれも不動産賃貸に関わる契約形態で混同されることもありますが、実際には明確な違いがあります。マスターリース契約は、建物のオーナーが一括して不動産事業者に建物全体を貸し出す契約です。この契約での賃借人は不動産事業者です。
一方のサブリース契約は、オーナーから不動産を借り上げた不動産事業者が、実際に入居する第三者と結ぶ転貸借契約(=又貸し)のことを指します。この契約では賃借人は入居者となります。
不動産投資の説明では、このマスターリース契約〜サブリース契約までの一連の流れをまとめて「サブリース」と呼んだりすることもあるため、混同されやすい言葉となっています。
マスターリース契約のメリット
マスターリース契約のメリットについて解説します。メリット1.安定した収益が望める
マスターリース契約の最大のメリットは、不動産のオーナーが安定した収益を得られる点です。借主である不動産事業者は入居率にかかわらず一定の賃料を保証するため、空室リスクや賃料変動リスクを心配する必要がありません。これにより、オーナーは長期的に資金計画を立てやすくなります。
メリット2.管理負担の軽減
マスターリース契約では、物件の管理・運営を借主である不動産事業者が行います。これによりオーナーは物件の管理業務から解放されるため、時間と労力を節約できます。
仮に入退去が発生した場合でもオーナーが個別に対応する必要がないため、特に複数の物件を所有するオーナーにとっては、大きなメリットとなります。
メリット3.相続税の節税効果がある
マスターリース契約は、相続税の節税対策として有効です。相続税を軽減するには、評価額をできるだけ低く抑えることが重要です。不動産は現金よりも相続税評価額が低くなり、さらにその不動産を第三者に貸し出している場合は相続税評価額がより小さくなる仕組みになっています。
また、収益不動産の相続税評価額を計算する際には「賃貸割合」が重要な指標となります。相続税評価額は賃貸割合が高いほど低くなり、逆に空室が多いと高くなります。
マスターリース契約を結んでいる場合、すべての部屋を不動産業者に貸し出していることになるため、賃貸割合を100%として評価額を計算することができ、相続税の節税効果を最大化することができます。
マスターリース契約のデメリット
次に、マスターリース契約のデメリットも見ていきましょう。デメリット1.賃料が減額されるリスクがある
マスターリース契約では、空室は保証される一方で、賃料は完全に保証されるわけではありません。マスターリース契約は賃貸借契約であり、借地借家法によって借主(不動産事業者)はオーナーに賃料減額を要求することが認められています。例えば、入居率があまりに下がってしまった場合、管理会社側の収益が大きく下がってしまいます。このようなケースでは、賃料が減額されることもありえます。
デメリット2.オーナー側からの契約解除が難しい
マスターリース契約はオーナー側からの契約解除が難しい場合があります。オーナーが契約を解除したい場合には、違約金が発生することが一般的です。逆に、借主である不動産事業者からは解約予告をすれば簡単に解約が可能であり、一方的に解約されるリスクも抱えることになります。
不動産クラウドファンディングにおけるマスターリース契約のメリット・デメリット
少額から不動産投資を行える不動産クラウドファンディングにおいても、投資対象不動産についてマスターリース契約を結んでいるケースがあります。このような場合での、投資家が受けるメリットとデメリットについて見ていきましょう。メリット
不動産クラウドファンディングの投資対象物件がマスターリース契約を結んでいる場合、賃貸先の不動産事業者が一定の賃料を保証することになるため、賃料収入減による配当の減額などは起きにくいといえます。投資家は空室リスクについて心配する必要がなく、また安定的な収益が期待できます。デメリット
マスターリース契約では、賃借人側からオーナー(不動産クラウドファンディング事業者)側へ賃料減額を要求できることになっており、もし何らかの要因によって著しく入居率の低い状態が続けば、賃料の減額が発生し、投資家に配当されるはずの利回りも低減される可能性もゼロではありません。同様に、ファンド運用中に不測の事態により賃借人側からマスターリース契約の解約要求があった場合も利回りに影響が出る可能性があります。
マスターリース契約は安心材料の1つ
マスターリース契約の概要やサブリース契約との違いについて詳しく解説してきました。
マスターリース契約は、不動産オーナーにとって安定した収益を提供し、管理負担を軽減する有効な手段です。しかし、完全に賃料が保証されるわけではなくリスクもゼロではない点には注意が必要です。
また、近年では不動産クラウドファンディングにおいてもマスターリース契約が活用される事例が増えています。マスターリース契約があることで一定の安心感があることは確かなので、今回の記事を参考に正しく契約のことを理解した上で投資に活用していきましょう。
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