不動産投資で節税できる仕組みを徹底解説|効果が高い人・物件・注意点も
公開日 2026/06/08
最終更新日 2026/06/08
「不動産投資は節税になる」と聞く一方で、「実は節税にならない」という声もあり、混乱している方も多いのではないでしょうか。
不動産投資の節税は、減価償却と損益通算という仕組みを正しく理解し、自分に効果があるかを見極めることが重要です。
この記事では、節税の仕組み、効果が高い人・物件、そして失敗しないための注意点をわかりやすく解説します。
- ・不動産投資の節税は減価償却と損益通算が核心
- ・節税効果が高いのは課税所得900万円超の人
- ・木造築古物件は減価償却を多く取れて節税効果が高い
- ・節税だけを目的にすると物件選びを誤りやすい
不動産投資で節税できる仕組み
不動産投資の節税は、複数の税金それぞれに対して異なる仕組みで効果を発揮します。
所得税・住民税・相続税・贈与税といった主要な税金について、それぞれの節税メカニズムを理解することが第一歩です。
| 税金 | 節税の仕組み |
|---|---|
| 所得税・住民税 | 減価償却+損益通算で課税所得を圧縮 |
| 相続税 | 不動産で保有することで評価額を圧縮 |
| 贈与税 | 相続税と同じく評価額の圧縮効果 |
| 法人税 | 法人化で個人より低い税率を活用 |
減価償却による所得の圧縮
減価償却とは、建物の取得費用を法定耐用年数にわたって毎年経費計上できる仕組みです。
実際の支出を伴わない経費計上ができるため、不動産所得を会計上圧縮できます。
住宅用建物の法定耐用年数は構造別に以下のように定められています。
- 木造・合成樹脂造:22年
- 鉄骨造(軽量):27年
- 鉄骨造(重量):34年
- 鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC):47年
キャッシュアウトを伴わない経費計上で課税対象の所得を減らせる点が、不動産投資の節税のコア機能です。
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不動産投資における節税の仕組みや節税可能な税金の種類を解説損益通算で所得税・住民税を軽減
不動産所得が会計上赤字になった場合、給与所得など他の所得と相殺(損益通算)することで、課税所得全体を圧縮できます。
損益通算の対象となる所得は、国税庁の定義で不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4種類です。
高所得者ほど所得税率が高いため、損益通算による節税インパクトは大きくなります。
相続税・贈与税の評価額の圧縮
現預金1億円を相続するより、不動産1億円分を相続する方が相続税評価額が大幅に下がります。
土地は路線価方式または倍率方式で評価され、家屋は固定資産税評価額に1.0を乗じた金額で評価されます。
路線価は時価の約80%、固定資産税評価額は時価の50〜70%程度になることが多いとされています。
賃貸用不動産の場合はさらに「貸家建付地」「貸家」の評価減も加わり、節税効果がさらに高まります。
結果として、現金で保有するより不動産で保有する方が相続税評価額を50%程度まで圧縮できる事例もあります。
法人化による節税
所得規模が大きくなれば、個人の所得税より法人税の方が税率面で有利になるケースがあります。
個人の所得税最高税率(住民税込み)は約55%ですが、法人の実効税率は約30%前後にとどまります。
所得分散・経費計上範囲の拡大・赤字繰越期間の長期化など、法人ならではのメリットがあります。
一般的には課税所得900万円程度が法人化検討の目安と言われます。
ただし設立費用・年間ランニングコスト・社会保険負担なども発生するため、税理士と相談したうえで判断するのが安全です。
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【不動産投資】サラリーマンがプライベートカンパニーで法人化するメリットは節税?不動産投資で節税効果が高い人の特徴
不動産投資の節税効果は、人によって大きく異なります。
節税メリットを最大化できる属性に当てはまるかを、事前に確認しておくことが重要です。
| 属性 | 節税効果 | 理由 |
|---|---|---|
| 課税所得900万円超 | 大きい | 所得税率33%以上で損益通算インパクト大 |
| 課税所得900万円以下 | 限定的 | 所得税率が低く節税幅が小さい |
| 相続税対策が必要 | 大きい | 評価額圧縮で相続税が大幅減 |
| 長期保有志向 | 大きい | 長期譲渡区分で税率優遇 |
| 短期売却志向 | 限定的 | 短期譲渡で高税率 |
課税所得900万円を超える人
所得税率は累進制で、課税所得900万円を超えると税率が23%から33%に跳ね上がります。
住民税10%と合わせると、限界税率は43%となります。
高税率帯の人ほど、損益通算による節税インパクトは大きくなるため、節税目的の投資が現実的な選択肢になります。
長期保有を前提にしている人
節税効果は短期売却では薄れ、長期保有してはじめて十分なメリットが出ます。
所有期間5年超の長期譲渡所得は所得税15%・住民税5%と低税率になります。
所有期間5年超で譲渡所得の長期譲渡区分となり税率が下がるため、長期戦略前提の方に向いています。
相続・贈与対策を考えている人
相続税の発生が見込まれる富裕層にとって、不動産投資は有効な相続税対策となります。
現金資産を不動産に組み替えることで、相続税評価額を時価の50〜70%程度まで圧縮できます。
節税効果が高い物件の選び方
節税目的で投資する場合は、物件選びが効果の大きさを直接左右します。
減価償却の取り方を意識した物件選定が節税戦略の中核です。
| 物件タイプ | 耐用年数(住宅用) | 節税効果 |
|---|---|---|
| 新築木造 | 22年 | 中 |
| 築22年超の中古木造 | 4年(簡便法) | 大 |
| 新築RC(マンション) | 47年 | 小 |
| 築古中古RC | 10年以上(簡便法) | 中 |
木造・築古物件が有利な理由
木造の法定耐用年数は22年と短く、築古物件であれば短期間で減価償却費を多く計上できます。
法定耐用年数を超えた中古資産は、簡便法により「法定耐用年数×20%」で償却可能となります。
木造(耐用年数22年)の場合、簡便法では22年×20%=4.4年→端数切り捨てで4年となります。
たとえば建物価額1,200万円の築22年超木造アパートなら、年間300万円を4年間にわたり減価償却費として経費計上できるということになります。
築22年超の中古木造物件は、4年で建物部分を償却できるため、節税効果を急速に出すことができるのです。
建物割合が高い物件
減価償却の対象は建物部分のみで、土地は減価償却の対象外です。
そのため、同じ価格でも建物割合が高い物件ほど、減価償却で得られる節税効果が大きくなります。
固定資産税評価額や売買契約書で建物価額を明確にできる物件を選ぶことが、望ましい姿勢です。
新築区分マンションが不利になりやすい理由
新築の鉄筋コンクリート造区分マンションは、法定耐用年数47年と長く、減価償却費が分散されて単年度の節税効果は小さくなります。
節税を主目的にする場合、新築RCマンションは効果が出にくい物件タイプである点を理解しておきましょう。
不動産投資の節税シミュレーション
節税の効果イメージを具体的につかむために、簡易シミュレーションを紹介します。
あくまでイメージですが、自分の年収帯での効果を試算する出発点として活用してください。
所得税・住民税の節税効果の試算
不動産投資の節税効果は、「年収」ではなく、給与所得控除や各種所得控除を差し引いた後の課税所得をもとに考えます。
ここでは、課税所得1,000万円の会社員が、築22年超の木造アパートを購入し、年間100万円の不動産所得赤字を計上したケースで試算します。
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 課税所得 | 1,000万円 |
| 不動産所得 | マイナス100万円 |
| 所得税率 | 33%(課税所得900万円超〜1,800万円以下) |
| 住民税 | 概算10% |
| 税目 | 計算式 | 軽減額の目安 |
|---|---|---|
| 所得税 | 100万円 × 33% | 約33万円 |
| 復興特別所得税 | 33万円 × 2.1% | 約0.7万円 |
| 住民税 | 100万円 × 10% | 約10万円 |
| 合計 | 所得税+復興特別所得税+住民税 | 約43.7万円 |
課税所得1,000万円の人が、損益通算できる不動産所得の赤字100万円を計上した場合、概算で約43万円〜44万円の税負担軽減が見込まれます。
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不動産投資の節税効果をシミュレーション。サラリーマンの場合は?給与所得との損益通算の具体例
不動産所得が赤字になった場合、その赤字は一定の範囲で給与所得など他の所得と損益通算できます。
| 項目 | 損益通算前 | 損益通算後 |
|---|---|---|
| 課税所得 | 1,000万円 | 900万円 |
| 不動産所得 | なし | ▲100万円 |
| 税負担 | 通常どおり課税 | 所得税・住民税が軽減 |
会社員の場合、所得税はすでに源泉徴収されているため、確定申告後に納めすぎた分が還付される形で効果が表れます。
| 税目 | 反映タイミング | 内容 |
|---|---|---|
| 所得税 | 確定申告後 | 還付または納税額の減少 |
| 住民税 | 翌年度 | 翌年6月以降の住民税が下がる |
損益通算による節税効果は、課税所得が高い人ほど大きくなりやすい一方、赤字の内容によって通算できない部分もあります。
実際の投資判断では、購入前に税理士へ試算を依頼するのが安全です。
「不動産投資は節税にならない」と言われる理由
節税効果が期待できる一方で、「節税にならない」と否定的に言われることも少なくありません。
その背景にある正しい指摘を理解しておくことで、誤った期待を持たずに済みます。
赤字が出なければ効果がない
節税効果は、会計上の不動産所得が赤字になることで損益通算が成立する仕組みです。
家賃収入が高く経費が少ない物件は黒字になりやすく、節税ではなく純粋な家賃収入として課税される構造です。
家賃収入が経費を上回り黒字になる物件では、所得税の節税効果は期待できません。
2年目以降は節税効果が薄れる
初年度に集中して計上できる仲介手数料・登記費用・不動産取得税などの諸費用は、2年目以降は計上できなくなります。
ローン利息も返済が進むにつれて少なくなり、経費計上できる額が年々減少します。
年数が経つにつれて節税効果は減少していく傾向があるため、長期スパンで効果を試算する必要があります。
減価償却終了後のデッドクロス
減価償却期間が終了すると経費が一気に減り、帳簿上の利益と納税額が増加します。
デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態を指します。
元金返済はキャッシュアウトを伴いながら経費にならないため、デッドクロスが発生すると「黒字なのに手元資金が減る」という資金繰り悪化に陥ります。
築古木造で短期集中の節税効果を享受した後は、デッドクロス発生前に売却するなどの出口戦略が不可欠です。
節税目的の不動産投資で注意すべき3つのポイント
節税効果に魅力を感じても、注意すべき落とし穴があります。
以下の3点を踏まえて慎重に判断することが、節税投資の成否を分けます。
節税だけを目的にしない
節税効果を最優先にすると、収益性が低い物件や立地の悪い物件を選んでしまうリスクがあります。
節税で年間40万円浮いても、空室や修繕で年間100万円損失したら本末転倒です。
節税はあくまで副次効果と捉え、本質的な収益性とリスクを最優先に判断することが大原則です。
売却時(出口)の税負担に注意する
減価償却で取得費を圧縮した分、売却時の譲渡所得が大きくなり、譲渡所得税の負担も増えます。
長期譲渡(5年超)の税率は所得税15%・住民税5%、短期譲渡(5年以下)は所得税30%・住民税9%と約2倍の差があります。
節税で得た分が出口で取り戻される構造になっていることを理解し、トータルで損益を判断しましょう。
過剰な経費計上は認められない
不動産投資に関係のない私的な飲食費・旅費・スーツ代などは経費として認められません。
家事按分が必要な経費(自宅で投資業務を行う場合の家賃・通信費など)は、合理的な按分比率を設定して計上する必要があります。
税務調査で指摘されると追徴課税の対象となるため、経費計上は税務上の根拠に基づいて慎重に行いましょう。
不動産投資の節税に関するよくある質問
節税に関して初心者からよく寄せられる質問にまとめて回答します。
疑問を先に解消しておくことで、より客観的に判断できます。
会社にバレずに節税できる?
確定申告で住民税を「普通徴収」に切り替えれば、会社に住民税の通知が行かず、原則として知られにくくなります。
通常、確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付」を選択することで普通徴収を選べます。
ただし所得や副業内容によっては、会社経由で住民税が分かる可能性もゼロではありません。
また、副業禁止規定がある会社では、就業規則を必ず確認しましょう。
年収が低くても節税になる?
年収が低く所得税率が低い場合、節税効果も限定的になります。
たとえば課税所得500万円なら所得税率20%・住民税10%で、限界税率は30%程度にとどまります。
課税所得900万円以下の方は、節税より資産形成・家賃収入を主目的にした投資戦略の方が現実的です。
確定申告は必要?
不動産所得が発生する場合、サラリーマンでも確定申告が必要です。
青色申告を選択し複式簿記+電子申告で行えば、最大65万円の特別控除が受けられるため、節税効果を最大化できます。
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不動産投資にかかるコスト(税金・手数料)にはどんなものがある?まとめ|節税はあくまで副次効果、資産形成を本質に
不動産投資による節税は、課税所得が高い人や相続対策を考える人に大きな効果が期待できます。
ただし、節税だけを目的にすると物件選びを誤り、かえって損をするリスクがあります。
あくまで本質は安定した家賃収入による資産形成であることを忘れず、自分に合った投資先を選びましょう。
節税効果を見込んだ投資は、税理士などの専門家と相談しながら、自身の所得・将来の保有計画を踏まえて判断することが大切です。