新NISA口座を開設して放置するとどうなる?リスク・罰則と対策を解説
公開日 2025/10/28
最終更新日 2025/10/28
2024年にスタートした「新NISA」。
非課税で投資できる制度として注目されています。
「口座だけ作って放置している」「何も買わずに放置して大丈夫?」と不安に思う人も多いでしょう。
結論から言うと、新NISAを放置しても罰則や維持費はかかりません。
しかし、非課税という最大のメリットを活かせず、将来的な資産形成の機会を逃してしまう可能性があります。
この記事では、新NISAを放置したときに起こること、制度上の注意点を解説。
そして今からできる対策をわかりやすく解説します。
初心者の方でも理解しやすいように、丁寧に説明していきます。
なぜ「新NISAを放置」は注意が必要なのか
新NISAは「投資の利益が非課税になる」という点が最大の特徴です。
そのため、始めた時期が早いほど非課税で運用できる時間が長くなります。
つまり、放置している期間が長いほど、非課税の恩恵を受けるチャンスを逃していることになります。
非課税制度の「時間」は最大の資産になる
たとえば、同じ100万円を投資しても、1年早く始めた人と1年遅れた人では、最終的な利益に差が出ます。
複利効果が働くことで、非課税のまま運用できる期間が長いほど、増えるスピードも大きくなるためです。
新NISAを放置している人は、「時間を味方にするチャンス」を逃しているとも言えます。
放置によって起こる3つの「もったいない」
次に、放置によって起こる3つの「もったいないこと」をまとめます。
年間の非課税枠を使いきれない
1つ目は、年間の非課税枠(最大360万円)を使わずに終わってしまうことです。
この枠は翌年に繰り越せないため、「今年分を後で使おう」と思っても、来年には消えてしまいます。
分配金を非課税で受け取れない
2つ目は、配当や分配金を非課税で受け取るチャンスを失うことです。
銀行預金より高い利回りを得られる商品も多く、非課税効果は長期的に見れば非常に大きな差になります。
投資を先延ばしにしてしまう
3つ目は、心理的な損失です。
せっかく口座を開設したのに「何もしない状態」が続くと、投資の第一歩を踏み出す気持ちがどんどん薄れてしまいます。
新NISAを放置すると実際にどうなる?制度上の扱い
新NISA口座を開設したまま放置しても、基本的に費用はかかりません。
ただし、長期間放置することで起こり得る注意点を理解しておきましょう。
費用はかからないが「使わないと意味がない」
多くの証券会社では、新NISA口座の維持費や管理費は無料です。
放置しても勝手に閉鎖されたり、料金が発生したりすることはありません。
しかし、非課税で投資できる「制度の枠」を使わなければ、NISAを開設している意味がほとんどなくなってしまいます。
非課税枠は翌年に繰り越せない
新NISAでは、1年間に使える非課税の投資上限額が決まっています。
その枠を使い切らずに放置すると、翌年に繰り越すことはできません。
たとえば、2025年に1円も投資をしなければ、その年の非課税枠は失効します。
「いつか使おう」と思っても、過ぎた年の枠は戻ってこない点に注意が必要です。
売却後は翌年から枠が再利用できる
新NISAは「売却すると枠が戻る」という仕組みを採用しています。
ただし、同じ年のうちに再び使えるわけではなく、再利用できるのは翌年以降です。
そのため、運用を中断したいときは、再投資のタイミングも計画的に考える必要があります。
旧NISAを放置している人が注意すべき点
旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)を利用していた人の中には、そのままにしているケースもあります。
しかし、旧制度と新制度では扱いがまったく異なるため注意が必要です。
旧NISAは自動で新NISAに切り替わらない
旧NISAを利用していた人でも、新制度に自動的に移行されることはありません。
自分で新NISAの口座を開設し直す必要があります。
旧NISAの資産は満期後に課税口座へ移管される
旧NISAの非課税期間が終了すると、その資産は自動的に課税口座に移されます。
その際の評価額が新しい取得価格として扱われるため、移行後に値上がりすると課税対象になります。
損失があっても他の口座とは損益通算できない
NISA口座内の損失は、他の口座の利益と相殺できません。
税金の面では不利に働くことがあるため、NISA口座の運用状況は定期的に確認しましょう。
新NISAを放置したままの人が今すぐやるべきこと
放置していた人でも、今から始めるのは遅くありません。
以下の3つのステップで、すぐに行動を起こせます。
1. つみたて設定で「自動化」する
つみたて投資枠を使えば、毎月自動的に投資が行われます。
最初は月1,000円などの少額でも構いません。
自動化すれば、忙しくても継続でき、長期運用の恩恵を受けやすくなります。
2. 成長投資枠を少額で試す
成長投資枠では、ETFや個別株なども対象です。
「積み立てるよりも短期で運用したい」という人は、リスクを抑えて少額から始めるのが良いでしょう。
3. 金融機関を変える前に確認する
新NISA口座は1年に1回しか金融機関を変更できません。
別の証券会社へ移りたい場合は、変更のタイミングをしっかり確認しましょう。
「ほったらかし運用」と「放置」は違う
ここでは、NISAにおけるほったらかし運用の誤解も解説します。
よく似た言葉ですが、「放置」と「ほったらかし運用」はまったく別の意味です。
完全放置はNG、定期的な見直しが必要
ほったらかし運用とは、積み立て設定をしておき、必要以上に売買しないスタイルです。
しかし、完全に放置して何年も確認しないのは危険です。
少なくとも年1回は、商品内容や積立額を確認し、生活の変化に合わせて調整しましょう。
チェックすべき3つのポイント
・積立金額が家計に無理なく続けられているか。
・投資商品が自分のリスク許容度に合っているか。
・新しいキャンペーンや制度変更がないか。
この3つを定期的に見直すことで、リスクを抑えながら安定した運用が可能です。
証券会社によっては長期放置で口座が整理される場合も
基本的に新NISA口座が自動解約されることはありません。
しかし、マイナンバー未登録や長期間ログインしていない場合、証券会社によっては休眠扱いとなるケースもあります。
また、連絡メールが届かない状態が続くと、一時的に口座が利用停止になることもあるため注意が必要です。
定期的にログインし、登録情報を更新する習慣をつけましょう。
(つみたて)NISAで口座よくある質問に回答(Q&A)
Q. 新NISAを開設して放置しても大丈夫?
口座維持費はかかりませんが、非課税枠を使わずに終わるのはもったいないです。
早めに少額からでも投資を始めたほうが良いでしょう。
Q. 新NISAの投資枠は翌年に繰り越せる?
繰り越せません。
年内に使わなかった分は失効します。
Q. 旧NISAは新NISAに自動移行される?
されません。
自分で新NISA口座を開設する必要があります。
Q. 新NISAを放置しても証券会社に影響はある?
長期間未取引でもすぐに口座が閉鎖されることはありませんが、規約上の整理対象になる場合もあるため注意しましょう。
まとめ:新NISAを放置せず積立投資するのも1つ
新NISAを開設して放置しても罰則はありません。
しかし、非課税のメリットを活かせず、資産形成の時間を失うことが最大のデメリットです。
まずは少額でも良いので積み立てを始め、年1回の確認を習慣にすることが長期成功のカギです。
「口座を作ったまま何もしていない」という人は、今日がスタートのチャンスです。