業物(ぎょうぶつ)とは?不動産用語の2つの意味と確認法

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#用語解説

不動産の物件探しをしていると、営業担当者が「これはうちの業物です」「その物件は業物なので確認します」といった言い回しを使う場面に出会うことがあります。

業物(ぎょうぶつ)は不動産業界の内部で使われる専門用語で、一般のお客様向けの広告やチラシにはほとんど登場しません。

この記事は、不動産の購入や賃貸を検討していて「業物」という言葉の意味を正確に知りたい方に向けて、2つの意味・関連用語との違い・取引で損をしないための確認方法までをまとめたものです。

この記事でわかること
✓業物には「不動産会社自身が売主の物件」と「他社が元付の物件(先物)」という2つの意味があり、会社や地域で指す対象が変わる
✓業物と言われたら「取引態様・売主・元付業者」を確認する
✓業者売主の物件は仲介手数料がかからないことが多く、宅建業法の8種制限で買主が手厚く保護される
✓他社物件(先物)は情報が古かったり成約済みだったりする可能性があり、囲い込みにも注意が必要
✓契約前に取引態様・元付業者・仲介手数料・募集状況・契約不適合責任の期間を担当者へ確認すれば失敗を防げる

業物(ぎょうぶつ)とは?不動産業界での2つの意味

業物の2つの意味

業物とは、不動産業界の現場で使われる業界用語(隠語)で、文脈によって指す対象が変わる言葉です。

大きく分けると「不動産会社自身が売主になっている物件」と「他社が売主から直接依頼を受けている物件(先物)」という2つの意味があります。

まずはこの言葉がどんな場面で使われ、それぞれの意味がどう違うのかを整理していきましょう。

業物の読み方と使われる場面

業物は「ぎょうぶつ」と読み、「業者物件」を略した言い方です。

刃物を指す「業物(わざもの)」と漢字は同じですが、不動産業界ではまったく別の意味で使われます。

主に不動産会社の社内や、仲介会社どうしの会話・問い合わせの中で登場する言葉で、お客様に配る広告や物件情報サイトの表示に出てくることはほとんどありません。

そのため、営業担当者が電話口で「それは業物ですね」と言っていても、意味を知らないと話についていけないことがあります。

用語:業者物件 不動産会社(宅地建物取引業者)が自ら売主、または取引の当事者として関与している物件を指す社内用語です。

意味①:不動産会社(業者売主)が売主の物件

1つ目の意味は、不動産会社自身がその物件の売主になっているケースです。

たとえば、不動産会社が中古の戸建てやマンションを買い取ってリフォームし、自社名義で売り出す「買取再販」の物件がこれにあたります。

売主が不動産会社で、仲介会社を介さず直接購入する場合、仲介手数料は発生しません。一方、別の不動産会社に購入の仲介を依頼した場合は、その会社との合意に基づく仲介手数料が発生することがあります。

売主が宅地建物取引業者であることから、買主には後述する宅建業法の手厚い保護が適用される点が大きな特徴です。

意味②:他社が元付の物件(先物)

2つ目の意味は、自社ではなく他の不動産会社が売主から直接依頼を受けている物件を指すケースです。

この意味での業物は「先物(さきもの)」とほぼ同じ意味で使われます。

売主から直接預かっている会社を「元付(もとづけ)業者」と呼び、その物件情報をもらってお客様に紹介する会社を「客付(きゃくづけ)業者」と呼びます。

元付と客付

客付業者から見ると、他社が元付になっている物件は自社で直接コントロールできないため、「あれは業物(他社物件)だから確認に時間がかかる」という使われ方をします。

地域や会社によって意味が異なる理由

業物が2つの意味を持つのは、この言葉が法律で定義された正式用語ではなく、現場で自然に広まった業界用語だからです。

そのため、同じ「業物」でも、会社によっては「業者が売主の物件」を指し、別の会社では「他社が元付の物件」を指すことがあります。

関東と関西で不動産用語の使い方に差があるのと同じように、業物の指す対象も地域や会社ごとに揺れがあります。

相手がどちらの意味で使っているか迷ったときは、言葉の定義を推測せず、次章以降で解説する「取引態様」を直接確認するのが確実です。

業物と関連する不動産用語の違い

業物を正しく理解するには、セットで使われる「先物」「元付」「直物」「客付」などの関連用語を押さえておくとスムーズです。

これらはいずれも、売主と買主のあいだに誰が何人の業者として関わっているかを表す言葉です。

似た言葉が多いので、まずは一覧で違いを確認しましょう。

用語 読み方 意味
元付 もとづけ 売主から直接、売却の依頼を受けている会社
客付 きゃくづけ 買主を見つけて紹介する会社
先物 さきもの 他社が元付になっている物件(客付側から見た呼び方)
直物 じかもの 自社が元付として直接預かっている物件

先物と元付・直物の違い

先物と直物は、同じ物件を「どの立場から見ているか」で呼び分ける言葉です。

自社が売主から直接預かっている物件は「直物(じかもの)」と呼ばれます。

一方、その同じ物件を他社の客付業者から見ると「先物(他社が元付の物件)」になります。

つまり直物と先物は反対の立場を表す言葉で、業物が「他社物件」の意味で使われるときは、ほぼ先物と同じ対象を指していると考えてよいでしょう。

元付業者と客付業者の役割

元付業者は、売主から売却の依頼を受けて物件を預かり、販売活動の中心を担う会社です。

客付業者は、その物件を買いたいお客様を探してきて、元付業者との取引をまとめる役割を果たします。

1つの取引に元付と客付の2社が関わることもあれば、1社が売主・買主の両方を担当することもあります。

どちらの形になるかで、後述する仲介手数料の負担や交渉のしやすさが変わってきます。

両手仲介・片手仲介との関係

1社が売主と買主の両方を仲介し、双方から仲介手数料を受け取る取引を「両手仲介」と呼びます。

これに対し、元付と客付がそれぞれ別の会社で、売主側・買主側から片方ずつ手数料を受け取る取引を「片手仲介」と呼びます。

ポイント

業物(先物)を紹介された取引は、元付と客付が別会社の片手仲介になりやすく、仲介手数料や情報伝達のスピードに影響することを押さえておきましょう。

業物かどうかは「取引態様」で確認できる

取引態様の確認

業物という言葉は会社によって意味が揺れますが、その物件が「業者売主なのか」「仲介物件なのか」は感覚で判断する必要はありません。

不動産の広告や販売図面には、必ず「取引態様」という欄があり、ここを見れば誰が取引の当事者なのかが一目でわかります。

取引態様の明示は宅地建物取引業法で義務づけられており、業物を見分けるうえで最も確実な手がかりになります。*1

取引態様の3区分(売主・代理・媒介)

取引態様は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3つに区分されます。

「売主」は不動産会社自身がその物件の売主であることを示し、1つ目の意味の業物(業者売主)にあたります。

「代理」は売主の代理人として会社が契約を結ぶ形で、売主本人が契約したのと同じ効果を持ちます。

「媒介」は売主と買主のあいだを取り持つ仲介の形で、この場合は買主に仲介手数料が発生するのが一般的です。

取引態様(売買) 広告を出す会社の立場 買主の手数料・確認事項
売主 会社自身が物件の売主

仲介会社を介さず直接購入する場合、仲介手数料は不要です。

別の会社に購入の仲介を依頼した場合は、その会社への仲介手数料が発生することがあります。

代理 売主の代理人として取引する会社

「代理」の表示だけで、手数料が無料とは判断できません。

買主が負担する費用の有無・名目・金額を確認してください。

媒介(仲介) 売主と買主の間を仲介する会社

仲介手数料の有無と、実際に支払う金額を確認してください。

金額は法令上の上限の範囲内で合意するもので、必ず上限額がかかるわけではありません。

取引態様は、その広告を出している会社の立場を示します。

「媒介」と表示されていても、売主が宅建業者の場合があります。

また、その表示だけでは広告会社が元付か客付かまでは分からないため、売主や元付業者が誰かは別途確認してください。

宅建業法と表示規約による明示義務

宅地建物取引業者は、広告をするときと注文を受けたときに、取引態様の別を明らかにしなければならないと法律で定められています。*1

これは消費者が「取引の相手は誰か」「仲介手数料は発生するのか」を事前に把握できるようにするための決まりです。

さらに、不動産業界の自主ルールである不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)でも、広告への取引態様の表示が求められています。

つまり、まともな会社であれば物件情報には必ず取引態様が書かれているため、これを確認せずに話を進める必要はありません。

物件広告・販売図面での見分け方

物件の販売図面(マイソク)やポータルサイトの物件ページには、たいてい下部の物件概要欄に「取引態様」の項目があります。

ここに「売主」と書かれていれば、その物件は1つ目の意味の業物(業者売主)である可能性が高いといえます。

「媒介」や「一般媒介」「専任媒介」と書かれていれば、その会社は仲介の立場で、売主は別にいる仲介物件です。

注意

取引態様の表示が見当たらない広告や、質問しても態様をはっきり答えない担当者には注意し、契約を急がず態様を書面で確認しましょう。

業者売主の物件(業物)のメリット・デメリット

ここからは、1つ目の意味の業物、つまり不動産会社自身が売主となっている物件のメリットとデメリットを整理します。

業者売主の物件には、仲介手数料や法律による保護の面で買主にうれしい特徴がある一方、価格や物件の状態で注意すべき点もあります。

まずは全体像を対比で確認しましょう。

◎ メリット

  • 仲介手数料がかからないことが多い
  • 宅建業法の8種制限で買主が保護される
  • リフォーム済みですぐ住めるケースがある

△ デメリット

  • 会社の利益が価格に乗りやすい
  • 値引き交渉が通りにくい場合がある
  • 買取再販は改修前の状態が見えにくい

仲介手数料がかからないケース

取引態様が「売主」の物件を、その売主である不動産会社から直接購入する場合、あいだに仲介会社が入らないため仲介手数料は発生しません。

仲介手数料の計算基礎となる売買価格が3,000万円の場合、通常の上限は96万円(税別)、消費税10%込みでは105万6,000円です。

これは必ず支払う金額ではなく、法令上の上限です。実際の金額は仲介会社との合意によります。*2

業者売主から直接買えば、この金額をまるごと節約できる可能性があるということです。

ただし、売主である会社が別の仲介会社を客付として使っている場合は、その客付会社に手数料を支払うこともあるため、誰から買うのかは必ず確認しましょう。

あわせて読みたい 仲介手数料の仕組みと上限をわかりやすく解説

宅建業法の8種制限による買主保護

売主が宅地建物取引業者で、買主が業者でない一般個人の場合、宅建業法の「8種制限(自ら売主制限)」が適用されます。*4

これは、プロである業者と知識に差のある一般の買主を守るための8つのルールです。

たとえばクーリングオフ制度の適用や、手付金等の保全措置、手付金の上限(代金の2割まで)などが含まれます。*4

とくに重要なのが契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)に関する制限で、買主に不利な特約は原則として認められません。*4

価格設定と値引き交渉の注意点

業者売主の物件は、会社が買い取ってリフォームや諸費用をかけたうえで、利益を乗せて販売価格を設定しています。

そのため、仲介手数料がかからない分がそのままお得とは限らず、販売価格自体が割高になっていないかを確認することが大切です。

また、会社は適正な利益を見込んで価格を決めているため、個人の売主ほど大きな値引きには応じにくい傾向があります。

近隣の似た物件の相場を調べ、価格が妥当かどうかを自分でも確かめておくと安心です。

買取再販物件の状態確認(インスペクション)

買取再販の物件は表面がきれいにリフォームされている一方、壁の内部や給排水管などの見えない部分の状態は外からわかりません。

そこで役立つのが、専門家が建物の劣化状況などを調べる建物状況調査(インスペクション)です。

中古住宅の売買では、媒介契約の際に業者がインスペクション業者のあっせんの可否を示すことが定められています。

リフォーム済みの見た目だけで判断せず、必要に応じて建物の状態を客観的に確認してもらうとよいでしょう。

他社物件(先物)を紹介されたときの注意点

続いて、2つ目の意味の業物、つまり他社が元付になっている先物を紹介されたときに気をつけたいポイントを見ていきます。

先物は、紹介してくれた会社が直接その物件を預かっているわけではないため、情報の鮮度や手数料の面で確認すべきことがあります。

トラブルを避けるために、以下の点を押さえておきましょう。

情報の鮮度と成約済み物件の可能性

先物は他社から回ってきた情報であるため、手元に届くまでに時間差が生じることがあります。

問い合わせてみたら「すでに申し込みが入っていた」「成約済みだった」というケースも珍しくありません。

気になる物件が先物だとわかったら、紹介してくれた会社に元付へ最新の募集状況を確認してもらうのが確実です。

とくに人気エリアの物件ほど動きが速いため、情報が今も有効かどうかの確認を怠らないようにしましょう。

売買・賃貸別の仲介手数料の上限

先物を仲介で購入・契約する場合は、仲介手数料が発生します。

売買の場合、仲介手数料の上限は宅建業法に基づく告示で定められており、売買価格400万円超なら「価格×3%+6万円+消費税」が速算式です。*2

なお、2024年7月からは800万円以下の低廉な空家等について、売主側から受け取れる仲介手数料の上限が最大30万円(税別)に引き上げられました。*3

賃貸の場合は、貸主・借主から受け取れる仲介手数料の合計が家賃の1か月分(消費税別)以内と定められています。*2

取引の種類 仲介手数料の上限(税別)
売買(200万円以下) 価格×5%
売買(200万円超〜400万円以下) 価格×4%+2万円
売買(400万円超) 価格×3%+6万円
賃貸 貸主・借主の合計で家賃1か月分

囲い込みとレインズのステータス管理

先物に関連してもう一つ知っておきたいのが、業界の課題とされてきた「囲い込み」です。

囲い込みとは、元付業者が自社で買主も見つけて両手仲介にするために、他社からの問い合わせに「商談中」と偽って情報を抱え込む行為を指します。

この問題に対し、2025年1月からは宅地建物取引業法施行規則の改正により、囲い込みが行政処分(指示処分)の対象として明確化されました。*5

あわせて、売主がレインズ(指定流通機構)上で自分の物件の取引状況を確認できる仕組みも整備され、取引の透明性が高まっています。*5

業物を検討する際に担当者へ確認したい5つの質問

契約前の5つの質問

ここまでの内容を踏まえ、業物(業者売主の物件・先物のどちらも含む)を検討するときに、担当者へ確認しておきたい質問を5つにまとめました。

これらを最初に聞いておくだけで、手数料や物件の状態に関する思わぬ食い違いを防ぎやすくなります。

遠慮せず、契約前に一つずつ確認しておきましょう。

1.取引態様は売主・代理・媒介のどれか

まず確認したいのは、その物件の取引態様が売主・代理・媒介のどれなのかという点です。

ここがわかれば、仲介手数料が発生するか、宅建業法の8種制限で保護されるかが判断できます。

口頭だけでなく、販売図面や重要事項説明書の記載でも確かめておくと確実です。

2.元付業者はどこか

先物を紹介された場合は、元付業者がどの会社なのかを聞いておきましょう。

元付がわかれば、情報の出どころや最新状況の確認がスムーズになります。

元付業者が自社なのか他社なのかで、情報伝達のスピードも変わってきます。

3.仲介手数料はいくらかかるか

仲介手数料が発生するのか、発生する場合はいくらなのかを具体的な金額で確認します。

「売主から直接買えば手数料は無料なのか」「客付の手数料がかかるのか」をはっきりさせておきましょう。

上限額は法律で決まっているため、提示額が上限を超えていないかもあわせてチェックできます。*2

4.現在も募集・販売中か

とくに先物の場合、その物件が今も募集・販売中なのかを必ず確認しましょう。

情報が古く、すでに申し込みや成約が入っていることもあるためです。

内見や申込みの前に、元付への最新確認を依頼しておくと無駄足を防げます。

5.契約不適合責任の期間はどのくらいか

購入後に不具合が見つかったときに備えて、契約不適合責任の期間も確認しておきたいポイントです。

売主が宅建業者の場合、引渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約は原則として無効と定められています。*4

個人が売主の場合は期間が短く設定されることもあるため、契約書の該当条項を事前に確認しましょう。

業物に関するよくある質問

最後に、業物についてよく寄せられる質問に回答します。

言葉の意味で迷ったときの参考にしてください。

業物と先物は同じ意味?

業物が「他社が元付の物件」の意味で使われるときは、先物とほぼ同じ対象を指します。

ただし業物には「業者自身が売主の物件」というもう一つの意味もあるため、完全に同じ言葉ではありません。

どちらの意味かは取引態様を確認して判断するのが確実です。

業物は避けたほうがよい物件?

業物だからといって避けるべき物件ということはありません。

業者売主の物件は仲介手数料がかからず、宅建業法の保護も受けられるメリットがあります。

大切なのは言葉のイメージで判断せず、取引態様・手数料・物件の状態を個別に確認することです。

賃貸でも業物という言葉は使われる?

賃貸でも、他社が元付になっている物件を指して業物(先物)という言葉が使われることがあります。

賃貸の場合も、取引態様の明示義務や仲介手数料の上限のルールは売買と同様に適用されます。*2

気になる賃貸物件が業物かどうかは、募集図面の取引態様欄で確認できます。

まとめ

業物(ぎょうぶつ)は、不動産業界で「業者が売主の物件」または「他社が元付の物件(先物)」を指す業界用語で、会社や地域によって意味が揺れる言葉です。

どちらの意味かを正確に知りたいときは、言葉の印象で判断せず、広告や販売図面に必ず記載される取引態様(売主・代理・媒介)を確認するのが確実です。

業者売主の物件は仲介手数料がかからず、宅建業法の8種制限で手厚く保護される一方、先物は情報の鮮度や囲い込みに注意が必要になります。

取引態様・元付業者・仲介手数料・募集状況・契約不適合責任の期間という5つのポイントを担当者に確認すれば、業物を正しく理解して納得のいく取引につなげられるでしょう。

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  • 記事を書いた人 ゴクラクJOURNAL編集部

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