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公開日 2026/10/06
最終更新日 2026/10/06
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「ゼロ円物件」「0円物件」と検索して、タダで家がもらえるならお得なのでは、と考えていませんか。
無償譲渡物件をもらう側・手放す側のどちらの立場でも、「実際にいくらかかるのか」「どんなリスクがあるのか」を認識しておくことが大切です。
取得側にかかる税金や費用の内訳、0円物件に潜む「訳あり」リスク、所有者が0円で手放す理由(カラクリ)、そして手放したい人の出口戦略まで、わかりやすく整理します。
まずは、ゼロ円物件がどういうものなのか、なぜ「やばい」「罠」といった言葉と一緒に語られるのかを整理します。
ゼロ円物件とは、売買価格を0円として譲渡される不動産のことです。
自治体の空き家バンクや、民間のマッチングサイトを通じて紹介されることが多く、老朽化した戸建てや、使い道の少ない土地が中心です。
ポイントは、「物件価格が0円」であることと、「取得にかかる費用が0円」であることは、まったくの別物だという点です。
後述するとおり、価格が0円でも、税金・登記費用・リフォーム費など、物件価格以外の費用が発生する可能性があります。
結論
ゼロ円物件は「物件価格が0円」なだけで、「費用が0円」ではありません。
取得にかかる諸費用とリスクを見積もらずに飛びつくと、後悔につながります。
ゼロ円物件が増えている背景には、深刻化する空き家問題があります。
総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月1日時点の全国の空き家は900.2万戸で、空き家率は13.8%でした。*1
2018年の前回調査から51.3万戸増加しています。
このうち、賃貸・売却用及び別荘などの二次的住宅を除く空き家は385.6万戸でした。
こうした「使い道がなく、売っても値がつかない物件」が、無償譲渡というかたちで市場に出てくるようになったのです。
ゼロ円物件に「タダより高いものはない」という言葉がついて回るのは、無償で手放される物件ほど、その裏に何らかの事情を抱えているケースが多いからです。
建物が老朽化していれば解体やリフォームに費用がかかり、土地に問題があれば建て替えすらできないこともあります。
所有しているだけで固定資産税や管理の手間が発生し続けるため、「お金を払ってでも手放したい」と考える所有者も少なくありません。
つまり、0円という価格は「価値がない」というより「マイナスの価値を抱えている可能性がある」というサインとして読み解く必要があります。
ここからは、ゼロ円物件をもらう側に、具体的にどんな費用がかかるのかを一つずつ見ていきます。
物件価格が0円でも、税金・登記・手続き・リフォームなどで、合計すると数十万〜数百万円規模の出費になることは珍しくありません。
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに原則として一度課税される地方税です。
課税標準は購入価格ではなく固定資産税評価額で、標準税率は4%とされています。*2
ただし、土地と住宅については令和9年3月31日までの取得分に限り、税率が3%に軽減されています。*2
宅地については、課税標準額を2分の1にする特例もあります。*2
無償で譲り受けた場合でも「取得」に当たるため、不動産取得税の課税対象となります。
実際には、課税標準額が免税点未満の場合や軽減措置の適用により、税額が生じないこともあります。
不動産の名義を自分に変える所有権移転登記の際には、登録免許税という国税がかかります。
贈与による所有権移転登記の税率は、土地・建物とも固定資産税評価額の1,000分の20(2.0%)です。*3
参考までに、売買による移転登記も原則1,000分の20ですが、相続の場合は1,000分の4(0.4%)と大きく下がります。*3
たとえば固定資産税評価額500万円の物件を贈与で受け取ると、登録免許税だけで10万円になる計算です。
個人から個人へ無償で不動産を譲り受けた場合、もらった側に贈与税がかかることがあります。
暦年課税では1年間に受け取った財産の合計から基礎控除110万円を差し引き、残額に税率を掛けて計算します。*4
税率は課税価格に応じて10%から55%まで段階的に上がる累進課税です。*4
不動産は評価額が高くなりやすく、基礎控除を超えれば無視できない負担になるため、法人からの譲渡か個人からの譲渡かも含めて事前に確認しておきましょう。
ポイント
贈与税は「個人間」の無償譲渡で問題になります。
自治体や法人が絡む譲渡では課税の扱いが変わるため、誰から受け取るかを最初に整理しておくと安心です。
ゼロ円物件でも、贈与契約書の作成や登記手続きには専門家の力を借りるのが一般的です。
所有権移転登記を司法書士に依頼すると、登録免許税とは別に報酬として数万円〜10万円程度の費用がかかります。
境界の確認や測量が必要な場合は土地家屋調査士への依頼も発生し、内容によっては数十万円になることもあります。
「タダでもらう」つもりが、手続き費用だけでまとまった出費になる点は見落とされがちです。
物件を取得すると、その後は原則として毎年、固定資産税が課税されます。
また、市街化区域など一定の区域では都市計画税が課税されることがあります。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、標準税率は1.4%です。*5
住宅が建っている土地(住宅用地)には特例があり、200平方メートル以下の小規模住宅用地は課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1に軽減されます。*5
都市計画税は市街化区域内の不動産にかかり、税率の上限は0.3%です。*5
金額自体は大きくなくても、活用できない物件を持ち続ける限り、この負担が毎年のしかかってくるのです。
ゼロ円物件で最も大きな出費になりやすいのが、リフォームや修繕の費用です。
長年放置された空き家は、屋根・外壁・水回り・シロアリ被害など、複数の箇所に傷みを抱えていることが多くあります。
住める状態にするための改修は、内容によって数十万円で済むこともあれば、数百万円規模になることも珍しくありません。
「0円でもらったのに、住むためのリフォームで新築並みにお金がかかった」という事態を避けるため、取得前に費用の目安を把握しておく必要があります。
費用の次に確認しておきたいのが、0円物件そのものが抱える「訳あり」のリスクです。
物件の状態や権利関係によっては、住むことも売ることもできず、結果的に大きな負担だけが残ることもあります。
ゼロ円物件で特に注意したいのが、再建築不可物件に該当するケースです。
建築基準法では、建物の敷地は原則として建築基準法上の道路に2メートル以上接する必要があります。道路は原則として幅員4メートル以上ですが、幅員4メートル未満でも同法上の道路として扱われる場合があります。*6
この接道義務を満たさない土地では、原則として建物を再建築できません。ただし、一定の要件を満たし、認定・許可を受けた場合は建築できることがあります。*6
再建築不可の物件は、老朽化しても思うように建て替えができず、売却も難しいため、無償譲渡に出されやすい典型例といえます。
土地の境界がはっきりしていない物件も、トラブルの火種になります。
隣地との境界が未確定だと、後々の売却や建て替えの際に測量や隣地所有者との協議が必要になります。
また、隣家の屋根や塀、樹木の枝が自分の土地に入り込む「越境」や、逆に自分の建物が隣地にはみ出しているケースもあります。
こうした権利関係の問題は、解決に時間と費用がかかるうえ、近隣トラブルに発展することもあるため、取得前の確認が欠かせません。
長期間放置された空き家は、建物自体の劣化が進んでいることがほとんどです。
雨漏りによる柱や梁の腐食、シロアリによる被害は、見た目ではわかりにくく、補修に高額な費用がかかることがあります。
さらに、前の所有者の家具・家電・生活用品などが残されたままの「残置物」があると、その処分費用ももらう側の負担になります。
室内の状態は写真だけでは判断できないため、必ず現地で確認することが重要です。
建物の劣化リスクを見極めるには、ホームインスペクション(建物状況調査)の活用が有効です。
これは、国土交通大臣の登録を受けた講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、建物の劣化事象等の有無を調査するものです。
費用は数万円程度が目安ですが、取得後に数百万円のリフォームが必要になるリスクを事前に把握できると考えれば、決して高くはありません。
「もらう前に建物の健康診断を受ける」感覚で、専門家の目を通しておくと安心です。
なお、建物の瑕疵の有無を判定したり、瑕疵がないことを保証したりするものではありませんので注意しましょう。
ゼロ円物件を受け取る前に、最低限確認しておきたい項目を整理しました。
一つでも不安が残る場合は、契約を急がず、専門家に相談することをおすすめします。
注意
「無料だから」と現地確認や書類チェックを省くと、あとから想定外の費用が次々に発生します。
0円物件ほど、通常の売買以上に慎重な下調べが必要です。
そもそも、なぜ所有者はわざわざ0円で不動産を手放すのでしょうか。
その背景を理解すると、ゼロ円物件が抱えるリスクの正体と、価格が0円になる合理的な理由が見えてきます。
不動産は、持っているだけでコストがかかり続ける資産です。
毎年の固定資産税や都市計画税に加え、草刈りや建物の点検といった管理の手間や費用も発生します。
活用も売却もできない物件の場合、これらの負担が延々と続くだけで、何のリターンも得られません。
「持ち続けるより、費用を負担してでも手放したほうが得」という判断から、0円での譲渡が選ばれるのです。
老朽化した建物を取り壊そうとすると、まとまった解体費用がかかります。
木造住宅の解体費は1坪あたり3〜5万円程度が一般的な相場とされ、延床30坪の家なら100万円を超えることも珍しくありません。
この費用を自分で負担してまで更地にするより、建物ごと無償で引き取ってもらいたいと考える所有者もいます。
つまり、譲渡側にとっての0円は「解体費を払わずに手放せるならありがたい」という発想でもあるのです。
空き家を放置し続けると、税金の面でもデメリットが生じます。
住宅が建つ土地は住宅用地特例で固定資産税が軽減されていますが、この特例が外れると負担が跳ね上がります。
令和5年(2023年)に改正された空家等対策特別措置法では、令和5年12月13日から「管理不全空家」という区分が新設されました。*7
管理不全空家や特定空家として市区町村から勧告を受けると、住宅用地特例の対象から除外されます。*7
特例が外れると、小規模住宅用地では課税標準を6分の1とする軽減が受けられなくなるため、固定資産税の負担が大きく増える可能性があります。*7
こうした増税リスクを避けるためにも、所有者は早めに手放したいと考えるようになります。
そもそも、需要のない立地であることも、0円譲渡の大きな理由です。
過疎化が進む地域や交通の便が悪いエリアでは、売りに出しても買い手がつかず、賃貸に出しても借り手が見つかりません。
価格を下げても売れない物件は、最終的に「0円でもいいから引き取ってほしい」という状態に行き着きます。
もらう側から見れば、この「立地の悪さ」は活用の難しさに直結するため、譲渡側の事情として冷静に受け止めておく必要があります。
ここまでは主にもらう側の視点で見てきましたが、逆に「不要な不動産を手放したい」という人も多いはずです。
無償譲渡以外にも、国の制度や自治体の窓口など、いくつかの出口があります。
相続した土地を手放したい場合の選択肢が、相続土地国庫帰属制度です。
これは、相続または相続人に対する遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度で、法務省が所管しています。*8
利用には審査手数料に加えて負担金の納付が必要で、負担金は原則20万円ですが、一部の宅地・農地と森林は面積に応じて算定されます。*9
負担金の納付が完了した時点で、土地の所有権が国に移転する仕組みです。*9
建物が残っている土地は対象外になるなど要件は細かいため、利用を検討する際は法務局への相談が第一歩になります。
手放したい物件が建物付きの場合は、自治体の空き家バンクが有力な選択肢です。
空き家バンクは、空き家を売りたい・貸したい人と、使いたい人をつなぐ、自治体運営のマッチング制度です。
移住希望者向けの補助制度と組み合わせて紹介されることも多く、地域によっては活用が進んでいます。
まずは物件のある市区町村の空き家相談窓口に問い合わせ、どんな支援や制度が使えるかを確認してみましょう。
自治体の制度と並行して、民間の空き家マッチングサイトを使う方法もあります。
無償譲渡や格安物件を専門に扱うサイトでは、全国の買い手・引き取り手を探せるのが強みです。
自治体の空き家バンクよりも掲載のハードルが低く、スピーディーに相手が見つかるケースもあります。
ただし、当事者間の直接取引になりやすいため、契約書の作成や条件の取り決めは専門家を交えて慎重に進めることが大切です。
手放す方法を選ぶときは、無償譲渡だけでなく、買取や売却も含めて比較することが重要です。
多少の値がつく物件であれば、0円で譲るより、買取業者に売却したほうが手元に資金が残ります。
一方、解体費や税負担が価値を上回る「マイナス価値」の物件では、費用を払ってでも無償譲渡や国庫帰属で手放すほうが合理的な場合もあります。
それぞれの費用と手残りを試算し、トータルでどれが得かを見極めましょう。
最後に、ゼロ円物件で失敗しないための具体的な進め方を整理します。
もらう側・手放す側のどちらであっても、専門家の力を借りながら順を追って判断することが、後悔を避ける近道です。
ゼロ円物件の取引は、税金・登記・物件調査など、専門知識が必要な場面が多くあります。
贈与税や不動産取得税の試算は税理士、所有権移転登記は司法書士、物件の状態や相場は不動産会社と、それぞれの専門家に相談するのが確実です。
費用はかかりますが、思わぬ税負担やトラブルを未然に防げると考えれば、必要な投資といえます。
「無料の物件だから専門家に頼むのはもったいない」という発想こそ、失敗の入り口になりがちです。
物件情報と費用を洗い出す
税金・登記・リフォーム費まで総額を試算する。
現地とリスクを確認する
接道・境界・建物の劣化を専門家と点検する。
他の選択肢と比較して判断する
低価格の中古物件や補助制度と見比べて決める。
ゼロ円物件を活用するなら、自治体の補助金や移住支援制度も忘れずに確認しましょう。
空き家のリフォーム費用を補助する制度や、移住者向けの支援金を用意している自治体は少なくありません。
制度をうまく組み合わせれば、リフォーム費など取得後の出費をある程度抑えられる可能性があります。
物件のある自治体のホームページや窓口で、利用できる制度を早めにチェックしておくとよいでしょう。
実際に住む目的(実需)であれば、0円物件にこだわらず、低価格の中古物件も選択肢に入れて比較することをおすすめします。
0円物件は取得後の費用やリスクが読みにくい一方、数十万〜数百万円の中古物件なら、状態や権利関係が比較的わかりやすいこともあります。
「タダ」という言葉に引っ張られず、総額でいくらかかり、どれだけ安心して住めるかで判断することが大切です。
古家をあえて活用する投資的な視点も含め、幅広く情報を集めてから決めましょう。
最後に、ゼロ円物件についてよく寄せられる疑問にお答えします。
取得前の不安を解消するために、ぜひ参考にしてください。
物件の価格は0円でも、取得は無料ではありません。
不動産取得税や登録免許税などがかかる場合があり、個人間の贈与では贈与税が生じることもあります。
さらに、司法書士報酬やリフォーム費、取得後の固定資産税などを含め、総額で数十万〜数百万円になるケースもあります。
いったん所有すると、簡単には手放せません。
相続した土地であれば相続土地国庫帰属制度が使える場合がありますが、贈与で取得した土地は原則として制度の対象外です。
また、建物がある土地は申請することができません。
手放す際も別の引き取り手を探す必要があるため、取得前の見極めが何より重要です。
住宅ローンは物件を担保に融資する仕組みのため、担保価値の低い0円物件では利用しにくい傾向があります。
一方で、自治体によっては空き家のリフォーム補助金や移住支援制度を用意している場合があります。
利用条件は自治体ごとに異なるため、物件のある市区町村の窓口で確認しましょう。
ゼロ円物件は、「物件価格が0円」なだけで、「費用もリスクも0円」という意味ではありません。
取得には不動産取得税や登録免許税などがかかる場合があり、個人間の贈与では贈与税が生じることもあります。
さらに、リフォーム費や取得後の固定資産税なども考慮する必要があり、総額では数十万〜数百万円規模になるケースもあります。
なかには、再建築不可・境界未確定・建物の老朽化といった「訳あり」のリスクを抱えた物件も少なくありません。
所有者が0円で手放すのは、保有コストや解体費、増税リスクが物件の価値を上回っているからで、その事情を見極めることがもらう側には求められます。
逆に手放したい人には、相続土地国庫帰属制度や空き家バンクなど、無償譲渡以外の選択肢もあります。
「やばい」かどうかは物件しだいです。
費用とリスクを正しく見積もり、専門家に相談しながら判断すれば、ゼロ円物件を後悔なく活用することも十分に可能です。
※出典
*1:総務省統計局|令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果
*2:総務省|地方税制度|不動産取得税
*3:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表
*4:国税庁|No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
*5:総務省|地方税制度|固定資産税
*6:国土交通省|接道規制のあり方について
*7:公益社団法人全日本不動産協会|月刊不動産(空家対策特別措置法改正)
*8:法務省|相続土地国庫帰属制度の概要
*9:法務省|相続土地国庫帰属制度の負担金
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